産業医に聞いた! うつ病になりやすい人に共通した3つの特徴とは?

最近再び「ブラック企業」という言葉が世間でも話題になっていますが、「働くこと」は多かれ少なかれ、ストレスがたまるもの。中にはストレスに負けて体調を崩してしまったり、うつ病などの精神疾患にかかってしまった人もいるのではないでしょうか?うつ病になりやすい人の特徴とは?産業医に聞きました。

産業医に聞いた! うつ病にかかりやすい人に共通した3つの特徴とは?

厚生労働省の統計によれば、躁鬱病などを含む気分障害の最新の国内患者数(2011年10月調査)は95万8千人となっていて、大きな社会問題としてとらえられている向きがあります。そもそもうつ病などになりやすい人というのは、どのような人なのでしょうか?

「うつ病などにかかりやすい人には、共通した特徴が3つあります。

一つ目は、完璧主義でどんな仕事もやり通さないと気が済まない人です。責任感が強い分、それだけストレスに晒されてしまうのです。

二つ目はやや一つ目に関連するのですが、仕事を人に任せられない人です。人の上の立場に立って仕事をする上で、仕事を人に任せる能力は必要不可欠ですが、周囲を信用しきれず、自分1人で抱え込んでしまう人は、精神的に追い込まれてしまいやすいといえます。

三つ目は、プレゼンやミーティングなど、人前で意見を述べるときに極度にあがってしまう人です。この手の人は、なるべく人前に立ったり、コミュニケーションを多く必要とする仕事に就かない傾向があるのですが、突如課長や部長などに昇進して、人をまとめないといけない、といった場合に発症してしまうケースがあるのです」(五十嵐 良雄先生)

また、働き方や労働状況によって、うつ病などにかかる確率が格段に上がってしまうのだとか。その要素とは下記の3つ。

1.残業時間が長い仕事をしている人

「仕事の時間が増えるということは、単純に自分の時間が減ってしまうということ。仕事を忘れて、『完全に自分の時間だ』と思える時間を過ごしていない人は、ストレスを上手に発散できずにうつ状態になりやすくなってしまうのです」

2.昼夜逆転生活など、労働時間が不規則な人

「仕事をする上でバランスはとても大切です。しかし夜勤がある看護師や、世界中を飛び回るCAなどは、体内時計のバランスが崩れやすく、うつ病などにかかる確率は格段に上がっていきます」

3.仕事のやりがいを感じられていない人、自分の仕事が適切な評価に結びついていないと感じる人

「仕事を頑張っても、社内や上司から適切な評価を受けていないと感じる人はうつ病などにかかりやすいといえます。逆に、過酷な労働環境でも、上司から自分の労力に対して正当に評価をされていると感じている人は、うつ病などにかかりにくいです。それは『仕事のやりがい』の少なくない部分が、職場内の評価によって決まっているからだということができるでしょう」

それでは、心身ともに健康に働くためにはどのような努力が必要なのでしょうか?

「仕事には根をつめすぎずにどこかで『まあ、いいや』と妥協点を見つけて力を抜いたり、人に任せる部分が欠かせません。つまり長期的な視点で見ると『上手にさぼる力』は仕事を健康な心身で行う上で必要不可欠なのです。それがどうしても不得意な人は、自分の生活の中で仕事のことを100%忘れられる時間を確保するように心がけることが大切です。

もし今仕事にストレスを感じているのであれば、自分がどの要素でストレスを感じているのかを理解して、それを軽減させるすべを建設的に考えましょう。それが息長く仕事を続けるテクニックです」

心身の健康なくして仕事で良い成果はあげられない? 今の働き方に悩みを感じる人は、先生のアドバイスを参考にしてみてはいかがでしょうか?

(関連リンク)
メディカルケア虎ノ門
厚生労働省「患者調査」データより

識者プロフィール

五十嵐良雄/メディカルケア虎ノ門院長。日本医師会認定産業医。虎ノ門でメンタルクリニックを開設し、主に働く人のうつ病などの治療にあたるかたわら、都内の企業の産業医を務める。うつ病などで休職した人々を復職させるためのリハビリであるリワークプログラムの第一人者。

※この記事は2013/08/16にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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