リモートワークやクラウドワーカーなど、オフィスに通わない働き方が生まれているなか、新たに注目されている「ワークケーション」(ワーケーションとも)というワークスタイルがあります。
「work」+「vacation」を組み合わせ、アメリカのビジネスパーソンから広まりつつあるワークケーション。バケーション先が職場になるという、一見楽しそうな働き方の実態に迫ります。
ワークケーションは“休暇”ではない
いまや、いつでもどこでもスマホやタブレットでメールを確認することができますが、休暇中にメールを見て、進捗の把握やクライアント対応を行うことはワークケーションではありません。
ワークケーションはオフィスや自宅を離れた旅先で仕事をし、この期間は休暇ではなく勤務日として扱われ、給与も通常と同様に支払われます。そのため、ワークケーションにはリモートで作業できる環境だけではなく、職場の理解も必要になります。さらに、家族や友人と一緒に旅行する場合は、旅先で仕事をすることを同行者に伝えておかなければならないでしょう。
滞在先で、仕事と遊びを両立!
それでは、ワークケーションにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
例えば、金曜日から旅行に行き、移動中や滞在先では通常通り仕事をします。そして夜や土日には観光を楽しみ、月曜日の夜に帰ってくる。すると不在日は2日のみですが合計4日間のバケーションを楽しめるのです。
また、旅先で仕事をしていても休憩時間に現地のレジャーを楽しめる点も大きなメリット。午前中に仕事をして、午後には近くの海辺で2時間ほどスキューバダイビングを楽しみ、夕方からまた作業再開、というタイムテーブルもワークケーションならば可能です。
時差が発生する滞在先で、オフィスとやりとりする時間が早朝や深夜になってしまう場合でも、業務が集中するのはその時間帯なので休憩時間とのメリハリがつく、という見方もあるようです。
ワークケーションという働き方を認めることで、雇用側としても社員から「会社を辞めなくても自由に働ける」と認識され、長期雇用につながるというメリットもあります。
リゾート地なのにリフレッシュできない……?
しかし裏を返せば、勤務日として扱われる以上、たとえ旅先でも通常通りタスクをこなさなくてはなりません。
そのため、開放的な気持ちになって仕事がおろそかにならないよう注意しなければなりませんし、また「リゾート地にいるのに仕事をしなければならないなんて……」と、仕事と遊びの境界が曖昧で逆にリフレッシュできない、という人には不向きといえるでしょう。
しかし「休暇に仕事をするなんて社畜もいいところ」「ビーチでパソコンを開くなんてばかげてる」という意見に対して、ワークケーションは「どこにいても仕事をしていい」と認める働き方です。いつも同じオフィスで仕事をするより環境が変わったほうが考えや視野が広くなるからいい、という方にはピッタリのスタイルなのではないでしょうか。
働くうえで自分が重要視することは何か
ワークケーションが伝えているのは、通常の休暇と比べてどちらが良い悪いということではなく「働き方の多様性」といえるでしょう。
時おり日本企業の問題点として挙げられる「残業をしている=仕事をしている」という認識、つまりオフィスにいないから仕事をしていない(してはいけない)という考え方は、今後廃れていくかもしれません。
大切なのはどこにいたかではなく、やるべきことをどんな状況でもこなすということ。会社の規定通りに働くのではなく、「自分がどのように働きたいのか?」「自分の人生で大切にしたいことは何か?」というワークライフバランスを自分で考え、決めていかなければならない時代に突入しているのでしょう。
まとめ
有給休暇とは異なるワークケーション。「有給すら取れない」と嘆く人が多い日本ではまだまだハードルが高いかもしれません。しかし、日本でもリモートワークを導入する企業が増えているほか、“ブラック企業”を取り締まるための法改正が行われるなど、いま働き手の権利を見直す潮流が生まれています。 近い将来、ワークケーションをはじめとする、もっと自由で自分に合った働き方ができるようになるかもしれませんね。
※この記事は2016/07/13にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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