実はナンをあまり食べない?インド人が主食として食べているものとは…

インド料理と聞いて思い出すのはやはりカレーではないでしょうか。スパイスがきいた色とりどりのカレー料理、インドでは定番ですよね。

実はナンをあまり食べない?インド人が主食として食べているものとは…

インド料理と聞いて思い出すのはやはりカレーではないでしょうか。スパイスがきいた色とりどりのカレー料理、インドでは定番ですよね。

では、そのカレーのお供といえば?そう、ナン……と言いたいところですが、実はそうではありません。日本のインド料理店などと違って、現地の庶民の生活において、ナンはあまり食されていないのです。ちょっと意外ですよね。

ナンはインドでは主流じゃない?


インド人はナンを食べないといえども、全く食べないわけではありません。インドでレストランに行けばナンはありますし、テイクアウトもできます。もちろんインド人がそこでナンを食べていたり、持ち帰っている姿を目にすることは多々あります。

ただ、普段の食卓においてナンを食べているかというと、そうではありません。理由は主に2つあります。

まず、ナンを作るにはタンドールという大きな専用の焼き釜が必要なのですが、それを持っている家庭はごく稀です。また、ナンの主原料である精製された小麦粉が高価なものであることも理由のひとつと言われています。

タンドール



そのため、ナンはインド人にとってお祝いごとや外食をするときの、ちょっとした贅沢品という立ち位置になっているわけです。

では、代わりの主食として何が食べられているかというと、それはライスやチャパティです。ライスは南インドで、チャパティは北インドで主に食されています。チャパティは全粒粉を水と塩で練って薄くのばし、フライパンなどで焼いて作られます。クレープのような薄い円形をしていて、これを手でちぎりながらカレーにつけて食べます。

チャパティ



インドでは多くの家庭が大家族で生活しているので、主婦はこのチャパティを一度に30枚ほど作ることも少なくないそうです。チャパティと似たもので、パラタというものもよく食されています。これはチャパティの生地に油を練り込み、幾層にも重ねて焼き上げたもの。カリフラワーやジャガイモを包み込んで焼く味付きのものもあり、世代を問わず人気です。

日本のナンはインドに存在しない?


とはいえ、日本のインド料理店でカレーと一緒に出てくるのは圧倒的にナンが多いと思います。プレーンのほかに、チーズナンやガーリックナン、ドライフルーツやナッツが練り込まれたカブリナンというスイーツ寄りのナンなどバリエーションも豊富です。

そんなナンの見た目は、独特なしゃもじの先端のような形に、お皿から飛び出すほどの大きさで迫力があるものをイメージするのではないでしょうか。実はそれは日本独自のものなのです。


本場のナンはチャパティと同じような円形をしていて、大きさもそれほど大きくはありません。なぜ日本であの形になったのかは定かではありませんが、パン食がご飯と同じくらいメジャーな日本人の好みに合わせたという説や、見た目のインパクトを重視したとの噂もあるようです。

日本でインドカレーが食されるようになったのは1927年のこと。1901年創業の老舗、新宿中村屋が最初に出したというのは有名な話です。当時は、洋風カレーの8倍もするかなり高級な一品だったそうです。

今ではインド人が経営する本格派のインド料理店もよく見かけますし、とてもリーズナブルにインドカレーを食べられるようになりました。それだけ時を超えて日本人に愛され、普及してきたということでしょう。

おまけ:インドのちょっと意外な食事情


ちなみにインドではちょっと変わった食事情があります。日本では夕食時というと18~19時頃が多いですが、インドでは 21時以降に夕食をとるのが当たり前。レストランもその時間に合わせて賑わいはじめ、深夜まで営業するところも少なくありません。

お腹が空かないのかなと思いますが、日本でいう3時のおやつならぬ6時(18時)のおやつタイムがあるので、夕食の時間が遅くても問題ないということです。

いかがでしたか?日本の大きくてモチモチしたナンもおいしいですが、機会があれば素朴な味わいのチャパティにもトライしてみたいですね。このカレーにはどちらが合う、などの食べ比べも楽しいのではないでしょうか。



※2019年1月8日更新:1972年のこと→1927年のこと
記載に誤りがございました。ご迷惑をおかけした読者の皆様に深くお詫び申し上げます。

page top