社長の顔をパンチングできるって本当? 福島のIT企業「株式会社Eyes, JAPAN」がおもしろ福利厚生を作ったワケ

「福利厚生」は企業の風土を表すものであり、就職活動においては志望先を選ぶ際の基準にもなりますよね。

社長の顔をパンチングできるって本当? 福島のIT企業「株式会社Eyes, JAPAN」がおもしろ福利厚生を作ったワケ

「福利厚生」は企業の風土を表すものであり、就職活動においては志望先を選ぶ際の基準にもなりますよね。

そんな福利厚生の一環として社内に愚痴を言えるBarを作るなど、一風変わった制度を取り入れているのが1995年に福島の会津で創業したIT企業「株式会社Eyes, JAPAN」です。

「優れたテクノロジーは魔法と区別がつかない」をビジョンに掲げ、各種システムやアプリケーションの開発、webサイトの企画制作などを請け負う同社で、おもしろ福利厚生が生まれたワケとその成果について、代表取締役の山寺純さんに伺いました。

「バー マトリョーシカ」に「アイスクリームブレイク」、趣向を凝らした福利厚生


まずは、Eyes, JAPANが取り入れている福利厚生をご紹介しましょう。誰もが「うらやましい!」と思うような、バリエーション豊かな福利厚生が揃っています。

Bar Matroshuca(バー マトリョーシカ)
社内の一角には、愚痴をこぼせるBarが存在します。ここにはタブレットPCが置かれ、地元の有名なマスターがカクテルを作る映像が流れています。そのマスターに向かって愚痴をこぼせば、なんとなく気持ちがスッキリするのでは?という山寺さんの考えから生まれたもの。なんと18時以降は、ここでお酒を飲んでもOKなんだとか。

集まって、アイスクリームブレイク!

 

フリービタミン制度


朝食を抜きがちな社員たちの健康を気遣い、バナナやオレンジなど旬のフルーツが常備されています。ビタミンを摂取できるだけでなく血糖値が上がって頭の回転が良くなり、仕事がサクサクはかどる効果もあるのだとか。

フリーカフェイン制度


ただのコーヒーではなく、本格的なエスプレッソマシンで淹れるコーヒーを自由に飲むことができる制度。上質な仕事をするために、上質な味を知ってもらいたいというのが狙い。

アイスクリームブレイク


それぞれ独立して仕事をする社員たちの心の垣根を溶かしたい、そんな山寺さんの思いから生まれた制度。飲みニケーションの代わりに、アイスを食べながら仕事の交流を図っているそう。「みんなでテーブルに集まって食べる」のがアイスクリームブレイク唯一のルール。

SSS(Shacho Sandbag System)


代表の山寺さんの似顔絵付きのパンチングバッグが置かれており、それを殴ってうっぷんを晴らしてもらおうという制度。日々の業務のなかで、どうしても募ってしまいがちな上司へのストレスを健やかに解消できます。またオープンな社風をアピールしたいという意図もあるそう。

これでストレス発散だ!

 

シエスタ


眠くなったときに15~30分程度の昼寝を認める制度。社内には昼寝用のシェルターのほか、ハンモックやソファが用意されており、眠くなったらそこで昼寝ができます。

おなかま会(同じ釜の飯を食べる会)


新米がある時期に実施される制度。週に1度、社内でランチをとる場合に、お米が無料で食べられます。同じ釜の飯を食べることで、仲間意識を高めてもらうのが意図。

「人は一番の資産」エンジニアにとって天国のような会社にしたい


20年以上にわたりIT業界に身を置く彼らが、その歴史のなかで独自の福利厚生を次々と生み出してきた理由はどこにあるのでしょうか? そこには創業者である山寺さんの思いが隠れていました。

「何より『自分が働きたいと思える会社をデザインしよう』と思ったことが、このような福利厚生を作ったキッカケです。そもそもソフトウェアの業界は『人財』がすべて。パソコンとインターネット、そして優秀な人財がいれば正直仕事はどこででもできます。

企業の一番の資産である社員たちにとって気持ちよく仕事ができる環境、いわば「エンジニアの天国」のような場所にしたかったんです」(山寺純さん:以下同じ)

代表の山寺さん




また、IT業界は膨大な経費がかかるわけではないので、福利厚生に使える予算を捻出しやすいという条件も相まって数々の福利厚生が生まれたとのこと。これらの制度が導入されたことで社員たちの働き方だけでなく、会社への社外からの見え方も変化してきたと山寺さんは言います。

「健康的にストレスを発散できるBarやパンチングバッグ、業務効率を上げる昼寝やフリービタミン、交流の機会を生むアイスクリームブレイクやおなかま会、仕事の質を高めるフリーカフェインと、あらゆる角度からのアプローチによって、社員の働き方は目に見えて変わりました。

弊社ではムダな残業をする社員はほぼおらず、プライベートも有意義に過ごせるようなメリハリのある働き方が浸透しています。また、社員たちは会社を好きだと言ってくれます。これは福利厚生の効果が非常に大きいでしょうね。さらに、外からの見え方についても変化があり、採用活動をするなかで福利厚生を通じて会社の印象が良くなったと感じています」(同)

社員の働き方はもちろん、企業の印象にも大きく影響するのが福利厚生なんですね。社員が自慢したくなるような会社は、誰から見ても「いい会社」であることに間違いはありません。

新たなイノベーションを起こすべく非連続的な変化を追い続けたい


さらに山寺さんにお話を伺うと、福利厚生のほかにも社員たちの好奇心やモチベーションUPのための配慮がなされていることも分かりました。

「オフィスにはミラーボールがあり、金曜はミラーボールが回転するなかで仕事をしています。なんとなくミラーボールが頭上で回っていたらテンションが上がるじゃないですか。あとは想像力をかき立てるようなおもちゃ類や、セグウェイなんかも置いてありますね。

新たなイノベーションを起こすには、非連続的な変化が必要不可欠だと思います。さらなる『エンジニアの天国』を目指して、改良を続けていきたいですね」(同)

テンションも上がる!?ミラーボール



ミラーボールとは、なんともゴージャスな気分に浸れそうな演出ですね。そんなユニークかつ恵まれた環境のなかで日々成果を上げている社員たちに、山寺さんはこんなアドバイスを送っているのだとか。

「残念ながら日本のエンジニアは海外のエンジニアに比べると、能力は劣っていると思います。だから社員たちには、『富士山ではなく、最初からエベレストを目指してほしい』と伝えているんです。

また、日本人の方はよく『Why(なぜ?)』と聞きますが、『Why not(なぜダメなの?)』と考えたほうが結果的に幸せになれると私は思っています。ミラーボールの演出についても、よく『なんで?』と聞かれることがありますが、そうではなく『なぜダメなのか?』と考えたら、ミラーボールを付けちゃいけない法律なんてないワケですよね。

柔軟な頭で考えれば、やってはいけないことが案外少ないことに気がつくはず。何事にも果敢にチャレンジし、イノベーションを生み出してほしいと思っています」(同)

まとめ


1日のうち長い時間を過ごす会社が天国のような空間だったら、どんなに仕事が楽しくなるかは想像に難くありませんよね。目の前の仕事だけに集中できる環境下でベストなパフォーマンスを発揮できているからこそ、Eyes, JAPANは発展を遂げてきたのではないでしょうか。福利厚生という形でなくとも、自らこういった働きやすさの工夫をしてみてもいいかもしれません。

(取材・文:小林香織)

(取材協力)
株式会社Eyes, JAPAN

※この記事は2017/01/13にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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