日本IBM・開発リーダー直伝! 仕事が速い人が必ずやっている「思考スピードを上げる」ノウハウ

「どれだけ仕事をこなしても成果が出ない……」そんなお悩みをお持ちの方にこそ読んでほしいのが、今回のテーマです。

日本IBM・開発リーダー直伝! 仕事が速い人が必ずやっている「思考スピードを上げる」ノウハウ

「どれだけ仕事をこなしても成果が出ない……」そんなお悩みをお持ちの方にこそ読んでほしいのが、今回のテーマです。

思考スピードをとことん速める意識をすることで、仕事で成果にグンと差がつくというのが今回お伝えするノウハウ。「どんなときも意識すべき3原則」「思考スピードを速める具体的なノウハウ」「10年後に差がつく思考の型」の3つの章に分けて、わかりやすく解説します。

アドバイスをいただいたのは、『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』の著者であり、日本アイ・ビー・エム株式会社の開発チームで数百人の指揮を執る木部智之さん。14年のキャリアのなかで培ったビジネスノウハウを明かしてくれました。

20代のビジネスパーソンが忘れてはならない3つの鉄則


まだまだ経験値が低い若手のビジネスパーソンが常に意識すべきこととして、木部さんは以下の3つを挙げています。

1、一度で確実にこなすという意識を持つ


「確実にこなすことは一見、仕事が遅くなるようにも思えますが、間違いがあれば当然やり直しが求められますよね。結果的には、一度で確実に終わらせるほうが時間的にも早いのです。どんなときも『絶対に一度で終わらせる』という意識を忘れないでください」(木部智之さん:以下同じ)

2、1人でやる仕事にこそ期限を設定する


「期限を決めないと、どんどん溜め込んでしまうのが人間の習性。早めに終わらせるには、仕事が発生したその瞬間に、手帳にToDoとして締め切りを書き込みましょう。日時の設定は、本来の締め切りよりも1週間ほど早めるのもポイント。ビジネスシーンでは、さまざまな『横やり』が入るのが当たり前ですからね」(同)

3、期待値を少し超えるくらいの結果を出す


「まず、若手のうちは常に100%の全力を出すことを忘れてはいけません。そのうえで、大幅に期待値を超える必要はないので、ほんの少しでも成長を感じてもらえるような仕事を心がけてください」(同)

毎日実践しよう! 思考スピードを速める具体的なノウハウ


続いては、毎日実践することで確実に思考スピードを速めることができるという、具体的なノウハウをご紹介します。これは、木部さんが「どうしたら、いかに速く仕事ができるか」を意識して、試行錯誤を繰り返したことで身につけたノウハウだそう。取り入れれば、すぐに効果を実感できることでしょう。

1、手帳の使い方で「うっかり」を防止する


「ついやってしまいがちな『うっかり漏れ』を防ぐには、スケジュール管理が何より重要です。使い方のコツは以下のとおり。一度失った信用を取り戻すのには膨大な時間がかかります。こういった工夫をすることで、漏れを防ぎましょう」(同)

・ゆるいToDoはメモページにまとめる
・終わらなかったToDoは金曜日の夜に書き写す
・数カ月先の予定も書いておく
・終わったToDoは取り消し線+チェックで頭から消す

2、メールは絶対に1回しか読まない


「メールを読んでいると仕事をした気になるものの、その時間は何も生み出していません。メールは絶対に1回しか読まないと決めてください。そのうえで、読んだメールは他のフォルダへ移動するなどして、開く頻度が一番高い受信ボックスにメールを残しておかないことです」(同)

3、ルーティン作業は最速を極める


「仕事が速い人は、あらゆるPC作業を『ショートカット』で完了させています。私も基本的にマウスは使いません。最初は、ショートカットキーを覚えるのに少々苦労するかもしれませんが、その時間は先行投資。慣れれば格段に作業スピードが速くなります」(同)

4、資料作成は8割を手書きで行う


「資料作成にかける労力は80%を構想、20%を作成に使いましょう。そうすると最小限の時間でアウトプットができます。ポイントは構想を練る際、『手書き』にすること。やり直しが多い構想段階では、PCを使うほうがむしろ時間がかかってしまいます。まず資料のエッセンスを書き出し、紙上で構想・構造化、最後にPCで完成させてください」(同)

5、メールは24時間ルールを共有する


「メールの返信は期限を決めないと、ついつい延び延びになってしまいがち。これを防ぐためのいい方法は、メールの処理は24時間以内と決めることです。さらに、この24時間ルールをチームで共有すれば、誰かが連絡を止めることもなくなりますよね」(同)

6、図解でコミュニケーションをとる


「コミュニケーションは言葉だけじゃなく、図解を加えることにより短時間で確実に相手に伝わるようになります。要は紙に図を描きながら説明するのです。私のチームはこれを徹底したおかげで、コミュニケーションが劇的にスムーズになりました」(同)

7、仕事は途中でチェックポイントを設ける


「頼まれた仕事をするとき、または誰かに仕事を依頼するときは、必ず途中でチェックポイントを設けるようにしましょう。こうすることで大幅な修正を防ぎ、結果的に時間短縮につながります。もし、頼まれた仕事でどうしてもわからない内容があった場合、調べることも重要ですが悩みすぎは禁物。遠慮せずにアドバイスをもらってください」(同)

8、「とりあえず」と「いったん」は禁句


「ビジネスシーンでは割と使われる『とりあえず』と『いったん』ですが、私はこの言葉は禁句にしています。なぜかというと『暫定的』『一時的』な仕事は、いずれ仕上げの作業が必要になるからです。どうしても仮の対応が必要なときだけに留めましょう」(同)

10年後に差がつく「思考の型」を日々実践すべし!


最後は今日明日にすぐ効果を発揮するのではなく、将来的に差がつく方法をお伝えします。木部さんが提唱する「思考の型」をインプットし20代のうちから実践すると、10年後には必ず今より「思考スピードが速くなる」とのこと。実際に木部さんは、この思考の型を身につけたおかげで、現在、部下の5倍以上のタスクをこなすことができているのだとか。これは絶対身につけるしかないですね!

1、憶測や意見ではなく「事実」をインプットする


「最速で答えにたどり着くためにまず必要なのは、『正しい情報』をインプットすることです。人から何かを言われたときは、話を『憶測』『意見』『事実』の3つに分類しながら聞くと、正しくインプットできるようになります」(同)

2、事実を捉えるために「視点」「視野」「視座」を変える


「ビジネスの世界では、そんなに簡単に事実を捉えることはできません。そのために『視点』『視野』『視座』を変えるという方法があります。視点とはどこを見るかということ、視野とは見る範囲のこと、視座とは見る立場のこと。この3つを変えながら物事を見ると、事実を捉えることが容易になります」(同)

3、「タテ」「ヨコ」の質問で最速で本質にたどり着く


「インプットの一つに、人に聞くという方法がありますよね。このとき、良い質問ができれば良い結果が手に入ります。良い質問をするには『何を知りたいのか』を明確にすることと、『タテ』と『ヨコ』の2つの軸の質問を用いることが重要。横方向に『広げる』質問と縦方向に『深掘りする』質問のテクニックを覚えましょう」(同)

4、数字は「絶対数」だけで捉えない


「数字には『絶対数』と『相対数』があります。絶対数は純粋なそのものの数字、相対数は何かと比べての数字。仕事では、より『相対的なインパクトが強いほう』に力をかけるのがいいですね。比べる観点のポイントは以下の3つです」(同)

・「母数」と比べてどうか
・「他」と比べてどうか
・「以前」と比べてどうか

5、深く理解するために手書きを使う


「一見手間がかかるように見えますが、結果的には手書きのほうがより理解が早いと私は考えています。世界的にもさまざまな実証結果があり、タイピングよりも手書きのほうが記憶を留めやすいと報告されているようです。またデジタル環境では全体像の俯瞰をしにくいこともあり、私はアナログのノートと手帳を手放しません」(同)

6、ゼロから考えず「型」にはめて考える


「思考スピードが速い人は、絶対にゼロから物事を考えません。20代で必ず身につけておきたい型が、MECE(全体像を把握する)、ピラミッド(構造化する)、問題解決のフレームワークの3つです」(同)

・MECE(ミーシー)…漏れなく全体像を把握するためのフレームワーク。たとえば事業をグローバル展開しようと思ったら、世界地図で各大陸の全体像を把握することがまず必要だということ。
・ピラミッド…物事を分類し、階層に分けて整理するフレームワーク。先ほどの例でいくと、世界の大陸を国ごと、都市ごとにそれぞれ分類すること。
・課題を解決するフレームワーク…仕事のフロー図と事実に対する予測を割り出し、そこから「why」を5回唱えて事柄を深掘りしていくフレームワーク。上にフロー図を並べたら、その下に事象・課題・解決策の順に書くとわかりやすい。

まとめ


仕事がデキる人は、思考スピードを速めるためにこんなにも工夫をしているんですね。日常的にこれらの習慣が身につけば、これまでの倍以上のタスクをサクサクと処理できるようになるかもしれません。

その結果として、能力を認められて昇進する、ワークライフバランスが整う、新たな分野にチャレンジする余裕ができるなど、いくつもの価値が生まれるでしょう。すべてを一気に取り入れなくても大丈夫! まずは手を付けやすいことから、思考スピードを上げるトレーニングを始めてみませんか? 


識者プロフィール


木部智之(きべ・ともゆき)/日本IBMシニア・プロジェクト・マネージャー。
横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネージャーを経験、2006年にフィリピン人メンバーと一緒に仕事をした際、優秀な彼らに衝撃を受け、いちビジネスパーソンとして世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。現在もそのプロジェクトを担当しており、日本と大連で数百人のチームをリードしている。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。
著書:『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』

※この記事は2016/11/14にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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