家入一真さんに聞きました!「30歳目前!…だけど、夢も目標も持てなくて」と焦るアラサー女子の悩み。

読者から編集部宛に一通の“悩み相談のメール”が届きました。

家入一真さんに聞きました!「30歳目前!…だけど、夢も目標も持てなくて」と焦るアラサー女子の悩み。

読者から編集部宛に一通の“悩み相談のメール”が届きました。

「30歳目前。まわりは結婚したり、昇進したり、自分のやりたいことを見つけて頑張っていたり。でも私には、これといった夢も目標もありません。気持ちが焦るばかりで…、私はどうすればいいのでしょうか?」(28歳・女性/広告制作)

この悩み相談に答えてくれたのは、なんと家入一真さんです!

識者プロフィール
家入一真

起業家。1978年福岡県出身。JASDAQ上場企業「paperboy&co.(現GMOペパボ)」創業社長。「キメラ」代表取締役CEO。クラウドファンディング「CAMPFIRE」代表取締役。スマートEC「BASE」共同創業取締役。カフェプロデュース・運営「partycompany Inc.」代表取締役。スタートアップベンチャー投資「partyfactory Inc.」代表取締役。モノづくり集団「Liverty」代表。現代の駆け込み寺(シェアハウス)「リバ邸」を全国に作るなど、リアルやネットを問わず、カフェやウェブサービスなど人の集まる場を創っている。

「夢を持とう」という風潮が、強迫観念になっていると思う

 

※自分の内面だって、悩んでいる「アラサー女子」と大差はないと語る家入氏。



―中学時代から引きこもりになった家入さんですが、その後、株式会社paperboy&co.を創業、29歳の時にジャスダック市場へ当時最年少で上場させ、さらには都知事選に出馬した経験もあります!人生の酸いも甘いも知った家入さん、アラサー女子の悩みに、どう答えますか!?

家入:はっきり言って「夢」とか、「目標」とか、無理やり持つ必要ないですよ。

―えっ~~!必要ないんですか!?でも、今の世の中は、「夢を持とう、目的を持って生きよう!」という風潮が強い気がするんです。実際、書店を覗けば、そういった自己啓発本も平積みされていますし!!

家入:そういった風潮が、逆に強迫観念になっていると思うんです。「夢」を持たなきゃいけない。「目標」を達成しないといけない。それが、自分自身を苦しめているんです。

―ではでは、このアラサー女子の場合、どうしたらいいでしょうか??

家入:「夢」とか「目標」とか大きなことを言わなくていいんですよ。「自分」という物語がひとつの小説だとしたら、次の1ページをどう過ごそうか。今日は何をするか、明日は何をするか、そのくらいの気持ちでいいと思う。人間、やったことないことを突然やろうとすることなんて、ムリなんですから。

―なるほど。でも、家入さんって、ゼロから色んなことに挑戦しているように見えます。

家入:そんなことないですよ。僕自身、昔から大きな夢なんて全然無くて。常に目の前にあることしかしていません。中2で引きこもり、18歳の頃にようやく社会に出て、新聞配達の住み込みのアルバイトを始めました。それも、美大に行くために学費を稼ぐという目の前の必要に迫られたからだったし。

―は~。そうなんですね~。そのあたりの経緯って、家入さんの著書「こんな僕でも社長になれた」に詳しく書かれていますよね。私も拝見して、生きる勇気をもらいました!

家入:はい。でも結局、美大には行かず、デザイン会社に入って働いたのですが、朝起きれなくて遅刻ばっかりするし(笑)。クビになることが立て続いて。組織に属するのは無理だから、これはもう、自分で会社を作って仕事するしかないなと。

―ということは、起業する際に強い信念や、理念があったわけではなかったと?

家入:まあ、起業の背景は、結婚して子供が生まれるタイミングだったので、ちゃんと家族を養いたいって思いがあったんですけどね。結果的には、消去法で起業しました(笑)。地元・福岡で起業したのですが、自分にはこの働き方が合っていたんでしょうね。一緒に働いていた仲間たちにも助けられて、事業が順調に成長。一定以上の規模になったときに、GMOグループにジョインして、東京に拠点を移しました。25歳の頃ですね。その頃は、ホントに目の前のことだけに集中して仕事していましたね。特に上場を目的にしていたわけでもないので。

そうそう。世の中の自殺率って、月曜日が一番高まるってデータがあるんですよ。その感覚って、僕も凄くわかるんですよね。日曜日の夜の時点で、月曜の朝がくるのが怖いから休みも関係なく、土・日もゆるく働いてました。僕は、何にもしないことが不安になるから、起業したっていうのもあるんですよね。

仕事上、どんなミスをしてもトラブルが起きても、死にはしない

 

※失敗するのが怖いから、挑戦をしないというのはもったいないと語る家入氏。



―なるほど、なるほど。相談者のアラサー女子さんも、家入さんがそんな考えで起業した方とは思っていないかもしれませんね。でも、家入さんは現在、様々なサービスを手がけられています。やっぱり「今までにないこと」にも果敢に挑戦し続けているように感じるのですが!?

家入:まあ、そうですね。いろんなことを手がけてきました。でも、僕にとって挑戦は新しいように見えても、今までの仕事の積み重ねだったりします。よく思うんです。「最悪、仕事で失敗しても死にはしない」と。仕事で失敗しても、命を落とすようなことは、よっぽどなことがない限り無いですからね。

例えば、2012年に、「studygift」という学費支援のプラットフォームを作って、結果的に大炎上したことがありました。その時には、世界中の人が僕に石を投げているのかと思った。僕はただ、昔、行きたい美大の学費が無くて苦労した経験があるから、同じように苦労している人を“助けたい”なって思っていただけなのに…。1分単位で僕に「死ね」ってツイートを延々と送り付けるbotがあったりして。でも結局、僕、死んでないですからね(笑)

―家入さんは、大きな夢や目標を掲げてはいないですが、仕事で確かな成果を残してきています。家入さんが仕事をしている上で、一番大事にしていることって何ですか!?

家入:僕が大事にしているのは、「場をつくる」ことですね。仕事は、社会に対してボールをパスするようなことだと思っているんです。パスをしたら、いつになるかわかりませんが、結果的に自分にまたボールが回ってくることもあります。

―例えば、どういったことですか?

家入:僕は、「現代の駆け込み寺」をコンセプトにした『リバ邸』というシェアハウスを立ち上げたのですが、これはまさに「場をつくった」仕事ですね。『リバ邸』を卒業したメンバーが後々、無料でネットショップが作成できるスマートECを展開している「BASE」という会社を立ち上げて。今、僕は「BASE」の取締役も兼務しています。


―まさに、ボールが回っている状態ですね!!

家入:「夢」や「目標」をもつことも立派なことだと思いますが、それは「自分」が起点になっていることが多い。自分ではなく、「場をつくる」という他者貢献の視点を取り入れることが重要かもしれませんね。

アラサー女子さんへ、家入さんからの回答をまとめます

 


1.個人的な「夢」や「目標」を、無理やりもつ必要はありません。むしろ、大きな「夢」や「目標」が強迫観念になり、あなたを苦しめているのかも。

2.大きな夢ではなく、「自分」という物語の次の1ページをどう過ごすか?くらいの気持ちでいい。

3.仕事の起点を「自分」にするのではなく、「他者貢献」の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか?


取材場所のhive
※取材場所:#Hive Shibuya

(取材・執筆:眞田幸剛)

※この記事は2016/11/04にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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