自分を知ることが一番の近道! 自己分析で気づく、自分が本当に求めるキャリア

自分が本当にやりたいことって何だろう…?

自分を知ることが一番の近道! 自己分析で気づく、自分が本当に求めるキャリア

自分が本当にやりたいことって何だろう…?

今後のキャリアプランを考え、初めての転職をスタートしようと思い始めたとき、「まずは何から始めればいいんだろう」「理想はあるけど、現実的にどうやってそのキャリアプランを組み立てていけばいいか分からない」と立ち止まってしまう方も多いのではないでしょうか。そこで、何を行うべきかと焦って行動を起こす前に、自分を知り自分への理解を深める手段となるのが「自己分析」です。

自己分析とは、自身のキャリアを振り返り、それまでの経験を踏まえ、自分の興味・関心、こだわり、キャリアプラン、向き・不向き……などを総ざらいすること。昨今の転職市場では、自己分析が不十分なことにより転職に失敗してしまった、という声も多くあがっています。

“本当の自分を知る”ための自己分析とはどんなもの? 就職活動で自分が行っていた自己分析は本当に正しいのかな?――このような疑問を解消すべく、今回はDODAのキャリアアドバイザーとして活躍されている住永正さんと坂田奈菜さんのお二人にお話を伺いました。

自己分析は独りよがりの自問自答にあらず!


今のキャリアに対して迷いや不安がある方にはカウンセリングを行い、希望や可能性に見合った求人の紹介から的確な応募書類や面接のアドバイス、さらには面接の調整まで、一人ひとりスキルや可能性を見いだし、転職成功まで1対1で寄り添ってサポートする。それがキャリアアドバイザーと呼ばれる転職サポートのプロたちです。

――「自己分析」する上で大切なことは何でしょうか?

坂田:自己分析では「Can・Will・Must」の3つの観点で今までのキャリアと希望を整理することが重要だと考えています。いくら自分のできること・やりたいことがあっても、それが世の中から求められていなければキャリアとして実現が難しくなるため、これら3つともがバランスよくそろっていることが最も大事なことなのです。


〈Can・Will・Must〉

Can =自分のできること。

Will =自分がやりたいこと。

Must =他者(社会・世の中)から求められていること・期待されていること。



住永:自分がやりたいことの方向性に優先順位をつけることも自己分析では大切なのですが、社会の中で他者と比較したときに、自分は何が強みで何が弱みになるのか――。この「他者と比較する」という作業が実はとても重要なことなんです。すなわち自己分析とは「自問自答」にあらず――ということかもしれませんね。

――自らの主観だけで答えを導き出せるものではない、ということですね。

住永:自己分析という言葉自体に「自問自答」というニュアンスが含まれてしまうせいか、勘違いされることが多いんです。しかし自問自答するだけだと、堂々巡りに陥ってしまいがち。

あらためて「Can・Will・Must」の3つの観点から整理することで自分がかなえたいキャリアを見つけ、それを実現するためにどうすればいいのか細かく分析していくのが「自己分析」です。

例えば「自分がやりたいこと(Will)」があったとき、かなえたいキャリアが実現できる仕事が与えられて初めて成し遂げられるものじゃないですか? ではどうすればそのような仕事が自分のもとに下りてくるのか――答えをたどっていくと、誰か(会社や上司)から認められることが大前提であることが分かります。

これは転職市場に置き換えても同じことが言えます。転職先として受け入れる会社から認められることで、その人のキャリア実現のための仕事がマッチングされますので、独りよがりに自問自答しても、できること・やりたいことが社会や市場から求められていなければ、結局実現できないまま終わってしまうんです。

キャリアアドバイザーの住永さん


自己分析の結果、相手に自分をアピールしやすくなる


――自己分析を行うことで、転職後のミスマッチが起こりにくい、なんてことも言われますよね?

住永:そうですね。転職サイトで希望の転職先を選ぶときにも、選択の判断にかかる時間が極力縮められると思います。転職市場では、人気企業ともなると1?2日で求人掲載が終了してしまうなんてこともありますが、自己分析が済んでいれば、自分にマッチした企業が分かっていることになりますから、即断即決によりチャンスを失うこともないでしょう。

あとは、他者と比較することで自分の売りとなるポイントが見えるようになるので、面接等自分をアピールする場面でも有利に働きます。

坂田:そうですね。「自分はこういう人間である、だから御社を志望している」というように、志望動機などを整理してより明確に伝えられると思います。受け手からしても、その人が何者なのかが分かりやすくなる。

住永:例えば、自己分析する前は「自分は忍耐力がある」ことを強みに思っていたので、面接でもそれを散々アピールしてきたけれど、なぜか面接官には全然響かなかったとしましょう。あらためて自己分析してみたら、他者と比較してそれほど忍耐力があるとはいえない代わりに、営業先に売り込むときの工夫力が秀でていることが実績につながっていることが分かった――。となれば、今後は「営業先に売り込むときの工夫力」を強くアピールすればよい、ということが分かります。


〈自己分析のメリット〉

1.転職で失敗が起きない、企業側と採用される側の思惑やイメージの乖離がない。

2.面接時などに、話を整理して伝えられる。

3.即断即決で、求人に対する応募のチャンスを失わずに済む。

4.自分のアピールポイントが見えてくる。


現在地を知り、目標・ゴールまでのルートを決める


――実際のキャリアアドバイザーによるカウンセリングはどのように進めているのでしょうか?

坂田:1枚の地図をイメージしてほしいのですが、自己分析とは、自分の現在地を知り、そのうえで目標・ゴールを定め、そこに到達するまでのルートを決める作業です。

キャリアアドバイザーによるカウンセリングでは、まず、現在地=「今の自分のこと」を知るために、その方の今までのキャリアを振り返って整理をしてもらうことから始めます。


〈自己分析でのキャリア棚卸し〉

・これまでの仕事で、何をやってきたのか。

・そこで何が強みとして得られたのか。

・反対に、弱み(課題に感じたこと)は何だったのか。

・何をやったときに達成感を感じたか。モチベートの源泉(モチベーションが上がるとき)はどこにあるか。



坂田:こうした棚卸しを行ったうえで、今後自分はどうなっていたいか「理想の自分像」を考えてもらいます。

このときに「何がやりたい?」→「スポーツが好き」→「ならばスポーツ関連の仕事を!」と短絡的に考えるのではなく、「将来、どういう人生を送っていたいか」など、ライフスタイルも踏まえたうえでの考えを聞くようにしています。そうすることで、自分がどういう方向に進みたいのか――地図に例えるなら「東西南北でいえば北の方角かな」という目安――が見えてくるため、その方角を目指すために必要なスキル・能力に対し、今の自分の強み・弱みを照らし合わせることができます。

――直近のキャリアだけでなく、人生全体の方向性を見いだしていくのですね。

坂田:ここまでの過程で理想の自分を知り、現時点でやらなければいけないことと足りないことが分かりますよね。とはいえ、人には向き・不向きがあります。その方角へ向かったとしても、さらにわくわくする仕事でなければ長続きしないこともあるでしょう。ですので、どんなときにモチベーションが上がるのかという観点からも照らし合わせたうえで、志望する転職先をともに考えていく、という流れになります。

キャリアアドバイザーの坂田さん


自己分析は身近にある恋愛にも似ている?


――ここまでお話を聞いてきて、自己分析の考え方は転職活動以外の場面、例えば婚活などの考え方にも似ている気がしました。

坂田:そうなんです、私はよく自己分析を「恋愛」にも例えたりして説明しています。結婚したいと思っているけど、なかなか良い出会いに恵まれない。そんな方っていらっしゃいますよね? 世の中にはたくさんの異性がいるし出会いの機会もたくさんある。なのに、なんかピンとくる人に出会えない……。

それって、どういう人が好みのタイプなのか、自分自身よく分かっていないせいであることが多いと思うんです。そしてそれがよく分かっていないと、「イケメンがいい!」とか「かわいい子ならいい!」とか表面的な部分だけで選びがちになり、たいてい失敗してしまう(笑)。

そして、あるタイミングで「自分が今までどういう人のことを好きになっていたか」「どういう人と付き合ったときに楽しかったか、逆に失敗だと思ったのか」――そうしたことを棚卸していくと共通点が見えてきたりする。それさえ見えれば自分が相手に求める本質的なものは何か、気づくかも知れない。

恋愛ならそうやって失敗を繰り返して学んでいけばいいのかもしれませんが、転職はそういうわけにはいきませんので、転職活動における自己分析は必須であると考えています。

――自己分析のやり方が分からず悩んでいる読者の方も多いかもしれません。最後にあらためてアドバイスをお願いします。

坂田:キャリアコンパス読者の皆さんは、ビジネス経験でいえば大学卒業から10年にも満たない状態ですよね。キャリアや仕事について自分が何を求めているのか、最初から正しく整理できているなんてごくまれなことです。今後のキャリア形成を踏まえ、気づいた段階であらためて自己分析を行ってもいいでしょう。

住永:繰り返しになりますが「自分が今、転職市場においてどういう価値を持っているのか」ということは、他者と比較して初めて分かるもの。分からないこと自体が普通のことですし、迷ったときはいつでも私たちキャリアアドバイザーを頼っていただければと思います。

――本日はありがとうございました。

自己分析の第一歩として、まずは今までのキャリアの棚卸しから始めてみませんか。「Can・Will・Must」の3つの観点から整理してみることで、あなたのキャリアプランが具体的な形になっていくはず。DODAでは、サイト内コンテンツとして、転職希望者の強み・弱み、能力、適した働き方や企業風土などを多角的に診断する「キャリアタイプ診断」、186万人の転職者データから適正な年収を査定する「年収査定」、転職者のキャリアをもとに転職人気企業ランキング上位300社で募集中の企業から合格可能性のある企業を診断する「合格診断」など、自己分析の準備にも役立つツールを公開しています。ぜひご活用ください!


キャリアタイプ診断 https://doda.jp/dcfront/personality/personalityIndex/
年収査定 https://assess.doda.jp/
合格診断 https://doda.jp/guide/popular/shindan.html

(取材・文:安田博勇)

識者プロフィール
住永 正(すみなが・ただし)
法人営業を経験後、キャリアアドバイザーに転身。医療業界の専任キャリアアドバイザーとしてMR、医療機器営業、臨床開発の方を中心にサポート。今までに1,500人以上の方の転職支援を担当。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

坂田奈菜(さかた・なな)
企業の中途採用コンサルティング営業を経て、DODAキャリアカウンセラーとして延べ1,000人以上のキャリアカウンセリングを実施。
営業職、販売・サービス職経験者を中心に転職をサポート。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

※この記事は2017/09/15にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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