年末の大掃除から毎日継続したい! 仕事を効率化させるデスク整理術

あの書類、どこにやったっけ…? 机の上に置いていた大事なメモ書きが見当たらない。

年末の大掃除から毎日継続したい! 仕事を効率化させるデスク整理術

あの書類、どこにやったっけ…? 机の上に置いていた大事なメモ書きが見当たらない。

オフィスという限られた空間で、ビジネスパーソンが探しものに費やす時間はなんと1年で150時間になるとも言われています。その時間をもっと有意義に使うことができれば、仕事の効率はグンと向上して残業も減るのではないでしょうか。

年末の大掃除の時期が近づいた今こそ、継続してデスククリーンをキープするための「7つの習慣」を実践してみませんか? 今回はファイリング・コンサルタントの小野裕子さんに「年末までに行いたいデスク整理術」について伺いました。

なぜ、片づいたデスクをキープする「デスククリーン」が必要なの?


2010年に発売された『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』(ソフトバンク文庫NF)という本が、いっとき話題になりました。なぜなら、整理術のカウンセリング会社を主宰しているという著者、リズ・ダベンポートさんが本著の中で「ビジネスパーソンは探しものをするのに1年間で150時間も浪費している」というなんとも衝撃的な事実を述べていたからです。ひと月あたりに換算すれば150÷12カ月で12.5時間(=750分)。ひと月につき20~25日間働いたとした場合、1日のうち平均30~40分間もの時間を探しものに費やしているという計算です。

もしも日頃からすっきりと整頓されたデスクを維持し、探しものをすることのないライフワークを送れたら……。きっと仕事の効率は、今より格段にアップすることでしょう。

しかし、そもそもなぜ、デスクまわりの整理が必要なのでしょうか? デスクまわりをきれいに保つ「デスククリーン」を提唱するファイリング・コンサルタントの小野裕子さんは次のように説明します。

「デスクというのは本来、仕事をするビジネスパーソンにとって神聖な場所であるはずなんです。例えるなら、飛行機が離発着する滑走路のようでもあり、デスクの上がごちゃごちゃと乱雑だったり、ホコリまみれになったりしていれば、考える・書く・計算する・書類を整理する・情報を処理する…といった仕事における一連の動作・行動を効率よくできなくなり、さまざまな問題が起こりえます。デスクの上を見れば、その人の頭の中の状態が分かるといっても過言ではありません」(小野さん、以下同)

〈デスクが散らかっていると起こりうる問題〉

1.必要なものが見つからない(時間のロス、ストレス……)

2.業務効率がダウンする(探し回ることで業務効率ダウン)

3.信用が落ちたり、セキュリティーの問題が発生したりする(大事な文書の紛失、信用問題にも発展する)

4.執務環境や衛生環境が乱れる(環境悪化は周囲に迷惑がかかることも)

5.マイナスイメージを与える(だらしない、ルーズな人だと思われるかも)


「仕事とは整理整頓の連続です。その点、デスクまわりの整理は自分にとって最も身近な整理整頓の場所であるはず。まずはその第一歩として、『デスク=仕事のベース基地』と意識し、整理整頓の行動・習慣につなげていくことが頭や時間の整理、ひいては仕事の効率化にもつながっていくのだと思います」

あなたは本当にデスクの整理整頓できていますか? セルフチェックシート


とはいえ、「自分はきちんと整理整頓できている」なんて思う方も多いのではないでしょうか。まずは小野さんに作成いただいたセルフチェックで、自分のデスククリーンの状態を確認してみてください。

〈デスククリーンのセルフチェック〉

□机の上の半分以上がモノに占拠されている

□机の上にA4の引き出しトレイなどが常に置いてある

□書類が常時横になって積み重なっている

□文房具を入れるペン立てが満杯で、机の上に置いてある

□机の上に未処理の書類がたまっている

□机の上や引き出しの中が、ガラクタ置き場になっている

□デスクマットの中に、いろいろな書類が重なってごちゃごちゃと入っている

□引き出しの中の仕分けができていない

□電話やパソコンに付箋などがペタペタと貼られている

□郵便物が封筒のままたまっている

□机の横にフックなどでぶら下げたものがある

□机の下に私物やダンボール、紙袋などが置いてある(非常時の用品はあってもよい)

意外にチェックのついた項目が多いと、焦った方もいるのでは? 1つでもチェックがあれば改善するポイントがあるといえますが、チェックが3つ以上ある人は要注意と考えて良いでしょう。3つ以上当てはまった方は、ここからご紹介する小野さん流「デスククリーンの習慣」を実践してみてくださいね!

デスクの上は3分割! 引き出しを使い分ける


まずは超・基本から。デスクの上・中・下の整理整頓です。以下の図をベースに説明していきましょう。


デスクの上
デスクの上は3つのゾーンに分割で使い分けます。手前の部分は作業ゾーン。奥の部分は常用ゾーンと仮置きゾーンです。(下の図は机を上から見た時)


「パソコン作業や書類の整理などは作業ゾーンで行います。常用ゾーンは電話、メモ帳などたびたび使う機器・道具の置き場。仮置きゾーンは進行中の書類、文房具、辞書など、その日一時的に使うものを置く場所とします。自分の座る位置(手前側)からの距離や使い勝手を考え、デスクの上にモノの指定席をつくるイメージです。一方でデスクマットを使用すると、ついついマットの下に名刺やメモなど、いろんなものを入れて見苦しくなるので、避けたほうがベターです」

デスクの中(引き出し)


引き出しは、小引き出し・中引き出し・大引き出し・センター引き出しに分類して整理します。

「小引き出しはペンやクリップ、付箋といった小物類(主に文房具など)を入れます。引き出しに合わせたトレイなども有効的に活用して整理しましょう。中引き出しは辞書や参考書、名刺など、少し大きかったりカサがあったりするもの。大引き出しはA4サイズの文書をファイリングし、見ればすぐ書類か分かり取り出せるように必ずタテにして収納します。

デスクのセンターについている引き出しには極力何も入れておかないのがベスト。使うとしても、文書や社内回覧の一時保管場所、あるいは、長尺ものの定規などを入れておくスペースとし、常にすっきりさせておくのがよいでしょう」

デスクの下


原則、デスクの下には何も置かないようにしましょう。「ゴミ入れや会社から支給された防災用品などは置いてもOKですが、極力すっきりさせておくことを心がけてください」。

「もちろん、不要なものは決してため込まず、廃棄する習慣も大事。退社前の5~10分は片づけ(翌日の準備)などの時間に充てていらないものを処分すれば、毎朝クリーンな状態で仕事を始められます。また、家から持ち出した私物は会社への持ち込みを控えるのが賢明です」

小野さん直伝! 大事な書類をキチッと管理する、ファイリングのコツ


さらに仕事をしていればどうしても増えてしまうのが書類の山。デスクの上に積み重なった書類が、何かの拍子に雪崩を起こして大惨事…なんてこともオフィスではたびたび目にする光景ではないでしょうか。そこで小野さんがオススメするのが、“小野さん式のファイリング術”です。

写真をご覧ください。これは小野さんに分類いただいた実際のファイリングの状態(イメージサンプル)です。


このファイリング術を実行するのに用意するものは、これだけ。

・見出しガイド(写真:一番手前、タブが付いた緑色の厚紙)

・個別フォルダー(写真:黄色の厚紙)

・フォルダーラベル

・ボックスファイル


「個別フォルダーで内容ごとに書類をまとめて、見出し山に、そのタイトルを書いたラベルを貼ります。さらに必要に応じて、フォルダーを大分類や中分類で区分けします」。上記の写真の例は「01共通」という分類名の中で、さらに赤いラベルは「01文書管理」、黄色いラベルは「02連絡・通達」、緑色のラベルは「03庶務」……と分けられている状態。

さらに、側面(棚に収納した場合は「前面」になる)の部分に中身が分かるように「見出し」を作成することで、「どこに・どの書類(ファイル)」があるかすぐに分かり、自分以外の誰かが探す場合もすぐに見つかり便利です。なお、机の引出しに収納する場合、仕切り板があればボックスに入れなくても大丈夫。

左は棚へ収納する際に側面に貼ったラベル。右は大引き出しに収納したファイリング済みの書類。



「作業中の書類については、『処理中・未処理・処理済』なんて分類ルールをつくっておくのもよいでしょう。書類を『フォルダーに入れてボックスに収納する』というルールがあれば、おのずと整理整頓の習慣ができあがります」

デスククリーン7つの習慣


今回、小野さんに伝授いただいたデスククリーンの心がけを「7つの習慣」にまとめると、以下のとおり。


〈デスククリーン7つの習慣〉

1.決めたルールは守る(机や引き出しの使い方、デスククリーンなど)

2.不要なものはため込まずに廃棄する

3.私物の持ち込みは控える

4.書類は上に積み重ねず、立てて整理するとスッキリする

5.書類は使ったらもとの場所に戻す・返す

6.書類は「処理中」「未処理」「処理済」に分けておく

7.退社前の5~10分は片づけ(翌日の準備)などの時間に充てる



最後に、小野さんは整理整頓の心得について、以下のように話します。

「『年末だから』と仕方なしに掃除するのではなく、普段から前向きに仕事効率化の入口として、デスクまわりのシステムをつくっておきましょう。そうした個人の心がけに連動して部署単位で情報共有化に取り組めるようになれば、仕事はもっと効率的になるはず。デスククリーンやファイリングシステムは、オフィス内のあらゆる整理整頓に連動していくものですから」

毎日5分でもデスククリーンを習慣づけることで、探し物へ割いていた時間は激減する上、気持ちもスッキリした状態で仕事に臨めるはず。無理なく無駄なく、今日から机まわりの整理整頓の習慣化を心がけてみませんか?

(取材・文:安田博勇/編集:東京通信社)

識者プロフィール
小野裕子(おの・ひろこ)
岡山県倉敷市出身。株式会社イトーキファイリング研究所を経て、2005年に独立。約30年の現場でのファイリング指導経験をもち、民間企業から各種団体や行政、個人事務所まで多数の指導実績をもつ。現在は、企業だけでなくSOHOや一般家庭のホームファイリング指導、通信教育の実施、ライフステージにマッチした商品開発など、幅広く活動。著書に『夢をかなえるファイリング』(法研)、『ファイリングの基本&超整理がイチから身につく本』(すばる舎)、『~仕事の効率がみるみる上がる~片づけの教科書』(明日香出版社)がある。
公式ホームページ:http://www.filing1.com/index.html#gyoumu

片付けの教科書

 

ファイリングの基本-超整理がイチから身につく本



※この記事は2017/12/08にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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