もうすぐ導入! 月末金曜が待ち遠しくなる!?「プレミアムフライデー」とは

「月末金曜は定時前に退社して、プレミアムな時間を楽しもう!」。政府と経済界がタッグを組み、2017年2月より新たな消費拡大の施策をスタートします。その名も「プレミアムフライデー」。

もうすぐ導入! 月末金曜が待ち遠しくなる!?「プレミアムフライデー」とは

「月末金曜は定時前に退社して、プレミアムな時間を楽しもう!」。政府と経済界がタッグを組み、2017年2月より新たな消費拡大の施策をスタートします。その名も「プレミアムフライデー」。

月末金曜は定時よりも前に仕事を切り上げ、ショッピングや旅行、外食などの時間に充てようというのが、「プレミアムフライデー」の概要です。自由時間が増えるのはうれしい一方で、「その分の仕事はいつやるの?」、「サービス業の人はいつ休むの?」など懸念点も聞かれます。

そこで、日本経済団体連合会の担当者に、プレミアムフライデーの目的と効果、そして、懸念点についても率直に伺いました。

消費の機会を逃している一定層に対して「消費喚起」を促したい


日本経済団体連合会(以下、経団連)いわく、プレミアムフライデーの発端は「消費喚起」とのこと。その背景について、担当者はこう話します。

「安倍総理がおっしゃるGDP600兆円経済の実現を目指すには、どうしても消費をUPさせなければならない現状があります。もちろん年金などの将来不安や賃上げなどの諸問題には引き続き取り組んでいく所存です。

ただ消費UPを目指すとなると、やはりあの手この手を打たないわけにはいきません。そこで、すべての方に効く万能薬、それだけで効く特効薬ではないにしても、時間の問題などで消費の機会を逃してしまっている一定層の方に対して、そのチャンスをつくりたいというのがプレミアムフライデーの始まりです」

具体的には、毎月末の金曜日に、正午あるいは15時ごろと、定時よりも早い退社を促し、街に繰り出してプレミアムな時間を過ごしてもらうというのが狙いだそう。さらに、日本百貨店協会、日本ショッピングセンター協会、日本旅行業協会などの業界団体がこのプロジェクトに参加し、プレミアムフライデーだけの特別な体験ができるサービス等の実施を検討しているといいます。

「プレミアムとうたっているとおり、単なる安売りではなく、月末金曜だけの特別な体験や商品を各社から提供できればと考えています。ショッピングや旅行に限らず、映画や外食、あるいは自宅でのぜいたくな食事など、幅広く『消費』と捉えていただき、個々のプレミアムフライデーの楽しみ方を見つけてもらえればうれしいですね」

経団連ではハロウィンやバレンタインデーなど、グッと消費がUPするような習慣の一つとして、プレミアムフライデーを位置付けたいと考えているそう。毎月末金曜に自由な時間が生まれ、特別なサービスが受けられるという側面だけ見ると、非常に良い取り組みのように思えますが、ビジネスパーソンが抱える懸念点も無視はできないところです。

施策の実行に伴い「働き方」を見直すキッカケにしてほしい


インターネットに上がっていた懸念点の一つが、「給与」について。働く時間が減るということは給与も減ってしまうのでは?と考える人がいるようです。プレミアムフライデーの導入によって各企業の給与がどう変わるかは、それぞれの企業の判断に委ねられていますが、担当者の回答は以下のとおり。

「想定しているのは有給消化やフレックス活用による早帰りなので、プレミアムフライデーの影響による報酬減は考えにくいと思っています」

また、一番の懸念点となるのが、「月末金曜に早帰りした分のしわ寄せがくること」ではないでしょうか。この点については、「働き方の改革を促したい」とのことでした。

「残業や休日出勤が日常的にあるような企業では、導入のハードルが高いことは重々承知しています。ただ、一度業務の棚卸をしたうえで、働き方を見直してみていただきたいなと。これまで当たり前にやってきたけど、実はやらなくても影響が出ない仕事やテレワークでできる仕事など、改善点がきっと見つかると思います。

以前行った働き方のシンポジウムでは、テレワークの導入に当たり仕事の棚卸をしたことで、業務量がかなり減ったという企業の事例が紹介されました。また社員全員がテレワークとなり、本社をなくしてしまった企業もありました。IT関係の企業ではありますが、会議も飲み会もネットを介して行うそうです。すべての企業にとってそれが正解ということではありませんが、極端にやればそこまでできるんですよね」

確かに日々の仕事に追われて業務の棚卸ができていない企業は、案外多いかもしれません。この機会に、あらためて業務の効率化を図るのは良い取り組みといえそうです。

さらに、有給休暇を消化できていないビジネスパーソンには、「まず毎月末の金曜に半休を取得することから始めてみると、有給消化のハードルが下がるかもしれない」とのアドバイスがありました。

変化の激しい時代こそいくつもの視点が必要、継続することで習慣化させたい


一方で、サービス業に従事する人々の負担増については、「別のタイミングで自由な時間をつくれるようにしていきたい」と担当者はいいます。もちろんプレミアムフライデーの導入により消費が促進されれば、その問題を解決できる可能性はあるかもしれません。そこで働き方の改革とともに必須となってくるのが、各社が魅力的なサービスを打ち出せるか否かですよね。

「これまでも各社が創意工夫を凝らしたキャンペーンなどを打ち出していたものの、あまり周知されていないことが課題でした。それをプレミアムフライデーという一つのタイミングにまとめてインパクトを大きくすることで、サービスの認知度が高まることを期待しています。

売場の展開については各社に任せることになりますが、プレミアムフライデーに従来のキャンペーンを絡ませるなどして、自社PRの機会にしてほしいと思っています。各社の認知度を高めることで、利用者に何度も足を運んでもらえるようになれば何よりです」

消費に積極的なビジネスパーソンのサービス利用はもちろん、ワーキングマザーによる消費拡大も視野に入れているそう。

「働くお母さんたちって消費のニーズはあるものの、どうしても週末は子ども優先になりがちなんですよね。そこで、金曜の午後に自分だけの自由な時間が生まれれば、消費の促進につながるのではと考えています」

テクノロジーの進化や女性の社会進出などによって、多様な働き方がかなう時代になりました。そんな現代では、「仕事で求められる質が変わってきた」と担当者は話します。

「いわゆる団塊世代の仕事一徹の働き方は、高度成長期にはピッタリだったかもしれませんが、現代には当てはまらないでしょう。仕事だけじゃなく広く世の中を見て、いくつもの視点と柔軟な思考を持っておかなければこれからの社会に付いていけなくなると思います。ワークライフバランスを整えることは、決して仕事で手を抜いて楽に生きようということではなくて、変化の激しい時代に多様な価値観を持っておこうという働き方なんです。

消費喚起以外にこういった視点を養うためにも、プレミアムフライデーを大いに活用していただければと思います。一気に定着させることは難しいですが、地道に継続することで新習慣をつくっていきたいですね」

まとめ


政府と経済界による異例の取り組みということで、ネット上を中心にさまざまな意見が飛び交っているこの施策。経団連の担当者も話していたように決して万能薬ではないものの、国が全面的に促進するということで一定の効果が期待できるかもしれません。2017年2月のスタートに向けて、今から業務の棚卸を始めてみてはいかがでしょうか?


プレミアムフライデー ウェブサイト

(取材協力)
一般社団法人 日本経済団体連合会

※この記事は2017/01/06にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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