ヒトカラメディア代表が語る、仕事の理想と現実の差を埋めるための条件

「私のやりたいことって、こんなことじゃないのに……」。社会人として働いていると、“自分のやりたいこと”と“目の前の仕事”のズレに疑問を抱くことがあると思います。

ヒトカラメディア代表が語る、仕事の理想と現実の差を埋めるための条件

「私のやりたいことって、こんなことじゃないのに……」。社会人として働いていると、“自分のやりたいこと”と“目の前の仕事”のズレに疑問を抱くことがあると思います。

しかし、長い間身を置く不動産業界で感じた矛盾を、自らの行動で変えてきた人がいます。株式会社ヒトカラメディア代表取締役の高井淳一郎さんです。「不動産=ハード」というイメージが強いなか、同社では「ヒト=ソフト」の領域まで深く踏み込むソリューションを提案し、注目されています。

高井さんがどのように“自分のやりたいこと”と“目の前の仕事”のズレを埋めてきたのか。彼の話から、仕事の理想と現実を埋めるために必要な一つの条件が見えてきました。

ヒトカラメディアが行う3つの事業


まずはヒトカラメディアという会社がどのような事業を行っているのか見ていきましょう。高井さんによれば、ヒトカラメディアの事業は以下の3つに集約されるといいます。

■オフィス事業
「成長企業のオフィス移転の仲介をしています。企業が成長してオフィス移転を検討することになったときに、企業の成長やブランディング上どういった場所に移転するのが良いかということなどを助言する仕事です。またプラスアルファで、オフィスをつくるお手伝いもしています」(高井淳一郎さん:以下同じ)

■住まい事業
「基本的には、法人としてお付き合いのある企業の経営陣ないし従業員の、家の引っ越しなどのお手伝いを行っています。単に金額面で住居を仲介するのではなく、『その人に合った働き方・暮らし方』をテーマに、トータルサポートをしています」

■ウェブ事業
「これから本格化するのですが、マーケティングの支援という形で立ち上げていく事業です。日本中の地域の情報を発信するお手伝いをさせていただきます。ウェブは知ってもらうためのツールとしては有用ですが、ウェブだけでリアルに結びつくかというと難しいのが現状です。そこで弊社では、ウェブとリアルなもの(不動産)をつないでいくお仕事をしていきたいのです。具体的には、日本各地の地域をもっとじっくり味わえる情報を発信するメディア『TOWNER(タウナー)』(2014年12月12日現在公開準備中)を運営し、同時に実際に移住などのお手伝いをさせていただきます」

働き方や暮らし方まで踏まえた住まいのサポートや、地域の情報発信から移住までのフォローなど、ヒトカラメディアは不動産業界にありながら「ヒト」に注目する事業を展開しています。

変わらない業界のシステムに気付いたことが起業につながった


業界の常識を覆すこれらのサービスは、高井さんが新卒から一貫して不動産業界に身を置くなかで、変わらない業界のシステムに気付いたことから生まれたといいます。

「不動産業界のシステムって、戦後一貫して変わっていないところがあります。不動産が存在するというハードの部分の情報(物件のスペック、空室情報など)にしか価値がなかったのですね。でもこれからの時代、ハードの情報だけでは付加価値は創造できないのではないかと感じます。将来はハードの情報だけではなく、ソフトの情報が重要になってくるのではないでしょうか。ここで言うソフトの情報とは、不動産と入居者のマッチングやプロデュースのことです。『不動産をどう活用するか』というのが大事になっていくのではないかと思ったのです」

変わらない不動産業界。そこに目を付けた高井さん。不動産の価値をいかに上げられるかということにチャレンジすべく、ヒトカラメディアを起業しました。

「やりたいこと」と「目の前の仕事」のジレンマ


矛盾に甘んじることなく、自ら行動することによって状況を変えていく。そんな高井さんの原点はどのようなものだったのでしょうか。

「もともと小学校のときに『建築家になりたい』という気持ちがありました。おそらく形に残るものをつくりたいというのが根本的にあったのだと思います。大学も建築学科に進みましたし、都市計画などを学ぶ中で『地域再生』『商店街活性化』といったテーマには非常に興味を持ちました。ただ、自分は物事を突き詰めるよりも広い視野で発信していきたいという気持ちがあったので、『建築家になるタイプではないな』と感じていました。プロデュースしていくほうが自分に合っていると思っていたのですね」

その後、高井さんは、新卒でオフィス空間のプロデュース事業を行う株式会社リンクプレイス(現在はディー・サイン)に入社します。しかし入社してみると、それまでの仕事に関するイメージと実際の仕事とのズレがあったと高井さんは語ります。

「『やりたいこと』と『目の前にある仕事』のギャップってありますよね。新卒という立場なので、参加できるプロジェクトを選べる立場ではないですし、仮に選べたとしても、自分にプロとしてのスキルがあるわけでもありません。課題を解決するまでなかなかたどり着けないというジレンマはありました。最初に配属されたのは、希望していたオフィス空間のプロデュースではなく、ビルの空室情報を提供するウェブサービスを運営する部署で、ビルのオーナーへの営業を経験しました。しかしそれは自分が本当にやりたかったことからは少し離れたものでした」

しかし「目の前にある仕事」と「やりたいこと」のズレを解消するため、高井さんは行動を起こします。

「『このままではいけない』と思った私は、別サービスを立ち上げ、最終的には社内に事業部を立ち上げるまでに成長させました」

たとえ理想と現実にズレがあっても、アクションを起こすことによって現実を変えていく。そんな高井さんの行動力は、当時から発揮されていたようです。その後、高井さんは、保証会社のベンチャー企業に移ります。まったくの創業段階から参加したにも関わらず、その会社でも最終的には大手ディベロッパーの実績を得るまでに成長させました。この会社でも着実に実績を積み重ねていったのです。

結果を出さなければ、やりたいことなどできない


高井さんのように「やりたいこと」と「目の前にある仕事」のギャップを乗り越えるためには、どうしたらいいのでしょうか。

「結果を出すことが大事」と、高井さんはその信念を語ります。

「私は『結果を出せない人には発言力はない』と思っています。結果を出すという定義にはいろいろあります。分かりやすい例は『目標数字を達成する』ということでしょうか。『社内の信頼を勝ち取る』というのも一つの結果だと思います。関係者に『この人になら任せられる』と思ってもらうこともそうです。すべてのことにおいて『結果を出さなければやりたいことなどできない』というのは当たり前です」

理想ばかり追い求めるのではなく、今、目の前の仕事で「結果を出す」。そのことを抜きにやりたいことはできないのです。さらに、結果を出し続けるためには誰もやりたがらないことも目標を立てて実践することが大事だと高井さんは言います。

「とりあえず小さなことでもいいので、目標を掲げて実践すると良いです。私の場合は『毎朝、机を拭く』とか『○時に出社する』とか、細かいことですが誰も進んでやりたがらないことを実践していました。そこからさまざまな仕事を任されるようになり、だからこそ仕事としても結果を出せるような土俵に立つことができました。あとは徹底的に働きましたね。毎日始発から終電までひたすら仕事をしていました」

また、結果を出すためには目線を上げることも大事だとも言います。

「つまり顧客に対して、どうやったら高いパフォーマンスが発揮できるのかを考えて、それに見合った水準に自分を引き上げること。それができないのであれば、いったん適切な人間をアサイン(任命)して、自分がプロデュースできるような能力を身に付けること。それだけでも圧倒的にパフォーマンスを上げられると思います」

疑問があるなら、まずは動く


最後に今の仕事に疑問を持っている社会人へ、高井さんからのメッセージです。

「疑問を抱いているなら、まずは動くことです。量の中でしか質は生まれないと思うので。試行錯誤していく中で自分なりの哲学が生まれ、仕事の目線も上がってくると思います」

高井さんへのインタビューから、仕事の理想と現実のギャップを埋めるには、目の前の仕事で結果を出すことが必要だということが分かってきました。皆さんも、「やりたいことはこの仕事じゃない!」と嘆くのではなく、とにかくアクションを起こし続けて「結果を出す」ということを徹底してみてください。やりたい仕事は、その後にきっとついてくるはずです。


識者プロフィール
高井淳一郎(たかい・じゅんいちろう)/
1985年生まれ。岐阜県出身。株式会社リンクプレイスにてオフィス仲介・構築、ビルオーナー向け新規事業開発に携わった後、上場準備中のベンチャー保証会社にスタートアップメンバーとして参画。多方面から不動産業界に携わるも、昔から変わらないこの業界に疑問を抱き、変えることを決意。「ヒト」という新しい価値基準をもって顧客価値の創造を行うため、ヒトカラメディアを設立。

※この記事は2014/12/22にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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