毎朝会社に出勤することなく、パソコン一つで場所を問わずに仕事をしたい…。働く環境がさまざまな角度から見直されつつある今、個人に合ったワークスタイルを提供するために、自宅での仕事を認める企業も増えてきました。
会社勤めのビジネスパーソンの中には、そんなノマドな働き方に憧れる人も少なくないのではないでしょうか。
今回は、現在オーストラリアでフリーランスのライターとして活躍し、自分に合ったライフスタイルとワークスタイルを確立している吉田有希子さん(29)をご紹介します。
さまざまな職を経験し、あることがきっかけで海外への移住を決意した彼女。そこには人生を大きく変える新たな道が待っていました。
オタク女子がつかんだライターという仕事
1987年生まれ、兵庫県出身の吉田さん。短大を卒業後は1年間保育士として働き、その後は舞台役者、OLを経て、現在のフリーランスのライターに転身しました。
「舞台だけでは食べていくことができなかったので、22歳から25歳までコスプレキャバクラでアルバイトをしながら役者として活動していました。ある日、お店で働いていたときに、たまたま編集者であるお客さんから声をかけていただいたことをきっかけに、アルバイト感覚でライターの仕事を始めたんです」(吉田さん、以下同)
舞台役者、キャバクラ、ライター、当時は25歳だった彼女は3つの仕事を掛け持つ中で、だんだんとライターという仕事の楽しさに引き込まれていったといいます。
そして、27歳になったとき、ライターの仕事1本に絞る決意をします。
「実は私、オタクなんです(笑)。特に乙女ゲームのマニアで、当時人気だったQuinRose(クインロゼ)やRejet(リジェット)作品などは全てクリアしました。
マンガやアニメは小さいころからずっと好きで、本当は家にひきこもっている時間が一番幸せだったりします。文章を読むのも書くのも好きということもありますが、在宅でも仕事ができることに最も魅力を感じました。
また、自分が好きな声優さんに実際に会って取材できたりしますし、言葉を文字にするライターの仕事はやりがいもある。本当に楽しいと感じているんです」
そんなオタク女子の吉田さんは、28歳のときにワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアへ飛び立ちます。
「私は失恋する度に、気分転換として海外旅行に行くという習慣があるんです。28歳のとき、1年付き合っていた彼氏と遠距離が原因で別れてしまって…。そこで、オーストラリアでワーキングホリデーの経験がある親友が、私にもワーホリで海外に長期滞在することを勧めてくれました」
心の傷がきっかけで思い切って海外に飛び出した彼女。そこにはどんな新たな扉が待っていたのでしょうか。
想像以上に快適だった海外生活
オーストラリアのメルボルンで、親友と2人部屋のシェアハウスに暮らすことになった吉田さん。
家賃は光熱費やWi-Fi込みで、一人あたり680豪ドル(約6万円)ほどだったとか。日本と違い、シェアハウスの仕組みが進んでいるオーストラリア。だいたいどこにでもシェアハウスがあるため、物件探しに苦労はしなかったとのこと。
「メルボルンのシティ内は路面電車が走っているのですが、乗車賃がなんと無料なんです。観光で遠くに出かけない限りは、この電車でほとんどのところへ行けるので、東京の都心で一人暮らしをしているよりも安く生活できていることに一番驚きました」
唯一高いと感じるのは外食のときで、カフェ・レストランで飲食すると、コーヒーが付いたランチでだいたい20豪ドル(約1,700円)前後はするそう。
そのため外食はなるべく控え、普段はローカルの人たちが利用する市場へ出かけて安く食材を購入し、自炊をしているそうです。
「ワーキングホリデーの制度を利用してオーストラリアに来ている日本人や韓国人が多いため、アジアンスーパーもたくさんあるし、食事もおいしいですよ。日本のダイソーがこっちでも人気。価格自体は日本と違って一品250円くらいですが、日本の調味料なども一通り揃うのでとても便利です。
一カ月の生活費は、家賃を入れてもだいたい10万円程度でしょうか」
現在は日本から、編集がメインのライターの仕事を受け、在宅で続けているそう。日本にいたときより仕事量は若干減ったものの、月に20万円前後の収入を維持しているため生活に困ることはないそうです。
ラブストーリーは突然に…オーストラリアで運命の出会い!
失恋がきっかけでオーストラリアへ立った吉田さんですが、なんと留学ビザで来ていた台湾人の男性と恋に落ちてしまいます。
「観光ビザで来ていた親友が部屋を出て行き、代わりに彼が入居。あれよあれよと言う間に同棲がスタートしました。彼と知り合ったきっかけは、英語を教えてくれる人を探していたときに使っていた出会い系のアプリです」
吉田さんは自身を「尽くし体質で恋愛下手」と分析。今まで好きすぎて空回りする恋愛が多かったといいますが、それを理解した上で受け止めてくれる台湾人の彼に出会ってすぐに魅かれていったそう。
「台湾人の男性は、愛情表現がものすごくストレート。純粋に喜んでくれるし広い心で受け止めてくれるんです(笑)」
台湾人の彼氏との同棲をスタートさせ、仕事も恋もまさに順風満帆!といった感じですが、ここで取材中に吉田さんから衝撃の告白が…。
「実は2017年の今年、彼と結婚することになりました(笑)。彼がオーストラリアで永住権を取得してこのままここで暮らしていきたいというので、私は一時帰国した後に留学ビザに切り替え、今後この地で生活していくためにも英語の勉強に励みます。
そして、彼が働いている会社からサポートビザが下りたら、パートナービザで一緒に滞在する予定です」
オーストラリアに来てまだ1年という短さにもかかわらず、結婚とオーストラリアへの移住という大きな決断を下した吉田さん。
今までの恋愛は好きと不安が表裏一体だったそうですが、今の彼に対して心から安心と信頼を感じたため、結婚に踏み切ったそうです。
「オーストラリアは日本よりも子育てなどの福利厚生が手厚いんです。またライターという仕事は、妊娠中や子育てをしながらでも在宅で続けていけるということが、女性の私にとって一番の魅力。
将来的に考えると、子どもと一緒にいる時間をしっかりと確保しながら社会とのつながりも持てる。これって働く女性にとってバランスも良く幸せな環境といえるのではないでしょうか。
もちろん不安はあります。でも、今後は現地でも仕事を得て、英語で情報を発信できるようなライターを目指したいです!」
20代よ、迷うならば突き進め!
失恋で訪れたオーストラリアで恋に落ち、結婚…。まるで映画のようなストーリーですが、結婚はハッピーエンドでなくあくまでスタート地点。だからこそ吉田さんは、「結婚・出産をしても仕事は続けていきたい」と意欲と希望に満ちた顔を見せます。
仕事はもちろん、結婚のことも考え始める20代。人生の岐路に立つことも多くあるでしょう。もしかしたら、吉田さんのように環境をガラッと変えることで、違った角度から幸せがやってくるかもしれませんね。
識者プロフィール
吉田有希子(よしだ・ゆきこ)
本名で舞台役者として活動したのちOLを経験。その後、名前を「つかさ」に変更して再度舞台役者を始めると同時に、コスプレをして取材をする“コスプレライター・つかさ”としても活動。ブログ「お前それでもライターか」にてオーストラリアの経験を生かし、英会話や台湾人彼氏についての記事を執筆。
※この記事は2017/02/16にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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