デキる女性は自分に合う靴を知っている。仕事の効率アップをかなえる靴選びHOW TO

「仕事ではヒールのある靴を履かないといけないけど、いつも足が痛くなってしまう……」

デキる女性は自分に合う靴を知っている。仕事の効率アップをかなえる靴選びHOW TO

「仕事ではヒールのある靴を履かないといけないけど、いつも足が痛くなってしまう……」

そんな20代の女性は多いのではないでしょうか。しかし、痛みを我慢していると、営業に行くのがおっくうになったり、作業に集中できなかったりと、どんどんネガティブな方向にいってしまいがち。

時には業務に支障が出るほど痛みを感じていることもあるかもしれません。それでも「ハイヒールやパンプスは足が痛くなるものだから仕方ない」そう思い込んではいませんか? しかし自分にぴったりの靴を履くことで、むしろこれまで以上に歩きやすくなって、さらに冷えやむくみなどの体の不調さえも治ることがあるのだとか。

今回は“靴は売らない靴屋”として、靴の中敷き調整や選び方のアドバイスを行っている「シューフィット・神戸屋」の西村泰紀さんに、女性に向けた正しい靴選びの方法を教えてもらいました。日々、足の疲れと痛みを我慢しながら仕事に取り組んでいる皆さん、必見です。

「日本人は幅広甲高」は間違い?


「足が疲れない靴ってどんな靴?」と聞かれた時、あなたはどんな靴を想像するでしょうか。

やわらかくて幅が広く、ゆったりした靴と答えた人、それって実は間違った選び方なのです。

「やわらかければ足を締め付けず痛くないはずだというイメージがあるかもしれませんが、これは間違い。良い靴はだいたい側面と靴の裏が固く作られています。むしろ現代の私たちの生活では、最低限足の骨格をキープできる靴が必要なんです」(西村さん、以下同)

さらに、楽だろうと幅広の靴を選んでしまうのも間違い。日本人の足は幅広甲高が定説になっていますが、西村さんによれば最近の若者の足はどんどん細くなっているといいます。

「足の幅(足囲)をあらわすJIS規格は、現在A、B、C、D、E~EEEE、Fの9種類。昔の日本人はEEが標準でしたが、現在23~29歳の女性が10代の時に行われた調査では、標準サイズはCになっています。甲もそんなに高くありません。幅広甲高は昔の人の基準なのですが、自分の足もそうだと思い込んでいる人がとても多いんです」

デキる女性は、自分に合う靴を知っている!


「デキる女性ビジネスパーソンになりたければ、自分に合った靴を履くべき!」と西村さん。たしかに、サイズ感が合っていない上にヒールの高い靴を履いて足の痛みに気を取られてしまうと、会議や作業に集中できなかったり、人と会う時に笑顔がこわばり無愛想に思われてしまう、なんてことがあるかもしれません。

自分に合った靴を履くことは、仕事の生産性を高める第一歩。では、そんな自分に合った靴を見つけるにはどうすればいいのでしょうか。

「まずは自分の足の正しいサイズを知ることが大切です。測るのは足の長さと幅(足囲)、そして足の指が曲がる位置(ボール位置)の3つ。これらは自分で測ることもできますが、シューフィッターの方に測ってもらうのをおすすめします。

足の幅の測り方。親指と小指の付け根の出っ張った部分を結ぶようにくるりと一周させて測る




測るタイミングは夏と冬の各1回ずつ。また、女性は生理周期によっても足のサイズが変わるので、生理後4~5日後が一番平均的なサイズが分かります」

さらに年齢によっても足の大きさは変わってくるので、定期的に測るのがおすすめなんだそう。ただし、まったく測ったことがないという人の場合は、時期など意識せずにまずは測ってもらうことが、理想の靴に出会う第一歩だといえるでしょう。

靴選びのポイントはたったの3つ


続いて、実際に靴選びする際のポイントを見ていきます。西村さんによれば、気をつけるべきは次の3つだそうです。

1.靴の裏を見てみる

 

靴を裏返して見てみると、表から見るよりも靴先の細さや親指・小指を結ぶボール位置の角度が靴によってそれぞれ違うのが分かる



最初にあがったチェックポイントは「靴の裏」。靴を買うときにデザインを吟味して上や横から靴を見ることはあっても、裏まで見るという人はほとんどいないのではないでしょうか。

「足の形には大きく3つのタイプがあります。まずは、親指が一番長く、小指にかけて順に短くなっていく“エジプト型”。続いて、人差し指が長くて指の連なりが山型になっている“ギリシャ型”。最後が、親指、人差し指、中指の長さがほとんど同じになっている“スクエア型”です。自分に合った靴を選ぶためには、自分の足がどのタイプかを知ることがとても重要になります。そして靴を裏返してみると、その靴のタイプがどれに当てはまるかよく分かりますよ」

見ただけで分からなければ、実際に履いてみましょう。足のタイプに合わない靴を履くと、靴の側面に不自然なシワが寄ります。さらに西村さんによれば、感覚をつかむためにはまずサンダルで試してみるのが分かりやすいそうです。

「サンダルだと横から見た時に、合っていないと明らかに隙間があることが確認できます。一方、タイプが合っていると指の曲がる位置からかかとまでが靴にしっかりくっついて隙間ができません。サンダルを履いて感覚をつかんだ上でパンプスを履くと、より判断しやすくなるでしょう。足の裏はセンサーが非常に発達していますから、一度覚えると体に染みつくはずですよ」

2.足の甲に隙間ができないか


次に確認するのは足の甲。西村さんによれば、履いた時、靴の甲に指がまったく入らない、あるいは指先がちょっと引っかかるくらいがジャストサイズ。ここがぴったりだと足がしっかり固定され、靴の中で足が動くことがありません。

上の写真のように、指がすっぽりと入ってしまうのは大きすぎる証拠。下の写真のように、ほとんど指が入らないくらいがベスト



さらに、試着は5分ほど履いて歩いてみるのがベストだそう。試着で5分は長く感じますが、自分に合った靴を探すためにも、少し勇気を出してやってみましょう。

「選んだ靴が大きすぎた場合、5分履くと親指と小指の外側の付け根が赤くなってきます。ここは足の中で一番幅が広いところなので、靴の中で足が固定されていないとずれてぶつかってしまうんです。幅が広い部分が痛くなるのは靴が細いせいだと勘違いしてしまいがちですが、実際は反対なんですね。

また、指の関節の上が赤くなるのも大きすぎるサイン。これは靴がずれるのを防ぐため、指を握るように丸めて靴を支えようとしている状態で、足の筋肉を正しく使えていないパターンです」

3.つまさき立ちをしてみる

 

つまさき立ちをしてもかかとが抜けないのが、ぴったりの靴を見分けるコツ



3つめはつまさき立ちをしてみること。この時にかかとが抜ける場合はサイズが大きく、靴ずれの原因になってしまいます。

「足の甲にできる隙間は中敷きで調整できますが、かかと部分は中敷きでの調整が難しくなっています。ここはなるべくフィットするものを選びましょう。そのためには、つまさき立ちをしてもかかとが抜けないことが目安になります」

さらに、「靴が笑っている」とも言われる、側面に不自然な隙間ができている場合や、足の甲や親指側にシワが寄っている場合も要注意。これらも靴ずれの原因になるので、かかとと併せてチェックしておきましょう。

理想の靴に出会うなら、少し図々しくてもいい


自分に合った靴を探すためには、シューフィッターや靴屋の店員さんとしっかり話をすることが重要。そう西村さんは話します。

「足のサイズを測ってもらう時も、いろいろと質問するようにしてみてください。あまり細かいことを気にしないお客さんが多いので、シューフィッターの方も知識はあるけれど聞かれたことがない人がほとんどだと思います。『私の指って長いんですか?』『幅は広いですか?』そう質問しながら答えを引き出すことで、より自分の足に合った靴を見つけられるようになりますよ。

シューフィッターの方にお願いするのは気後れするという人もいるかもしれません。ヨーロッパではものすごい数の靴を試し履きして、買わずに帰るなんてことがよくあります。そのくらいしないとぴったりの靴には出会えないものなので、多少図々しくなってもいいと思いますよ」

しっかり自分と相性の良い靴を導き出さないと、一人で靴を買いに行った時、合わない靴を選んで振り出しに戻るなんてことも。仕事の生産性を上げるような理想の靴と出会えるならば、妥協せず積極的にプロの知識を盗んでもいいかもしれませんね。

さらに自分に合った靴を履けば、足の痛みだけでなく健康にも効果があるそうです。

「女性が気になる冷えやむくみにも効果がありますよ。ちゃんとした靴を履くと足の筋肉を正しく使えるようになり、全身の血流の循環が促進されます。これによって体温が上がり代謝が良くなるので、冷えやむくみも解消されるんです。

あとは腰や膝への不必要な負担がなくなり痛みがなくなったという人のほか、意外と多いのは顎関節症が改善されたという人。これは私の臆測ですが、靴が合っていないと、足でバランスがとれない分をかみ締めてカバーしようとするのだと思います。足に合った靴を履くことでその必要がなくなり、症状が出なくなるのではないでしょうか」

履き心地と品格、どちらもかなう靴を見つけよう


足の痛みが解消されるだけでなく、健康にも影響があるとは驚きですね。最後に、西村さんはこんな話もしてくれました。

「“人の足元を見る”って言葉がありますよね。ネガティブなイメージがあるかもしれませんが、これって、靴にその人の価値観があらわれるという意味なんです。

仕事用の靴は、少しくたびれていてもつい、そのままにしてしまいがちです。しかし、仕事で成功している人ほどそこを見て、あなたがどういう人かを判断します。ですから、あなたに見合った靴を、ほんのちょっと背伸びする気持ちで選んでみてください。それだけで、社内や取引先からの印象も変わると思いますよ」

「どうせ仕事用だから」と、靴を適当に選んでいた上、ついメンテナンスがおろそかになっていた人もいるかもしれません。しかし、しっかりとした靴選びを心がけることで、さまざまなメリットがあることが分かりましたよね。履きこなせる靴のバリエーションも増えれば、仕事が楽しくなるきっかけにもなりそう。

自分に合う靴を知ることは、デキる女性に近づく第一歩。毎日を快適にするものだからこそ、一度時間をかけて選んでみてはいかがでしょうか?


<取材・文:小沼 理/編集:東京通信社>

識者プロフィール
西村泰紀(にしむら・たいき)
1958年東京生まれ、専修大学法学部卒業。松下精工(現パナソニックエコシステムズ)に23年間勤務。営業、事業企画を担当。在職中にMBA取得(英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA(日本語)プログラム)。47歳で義父の実家、神戸元町にあった創業明治27年の老舗靴店「コウベヤ」の経営を引き継ぐ。新潟医療福祉大学義肢装具自立支援学科 阿部薫教授が教える、(株)村井主催のシューフィットアカデミーで中敷き調整技術を習得。2010年1月、114年間の神戸での営業を終え、2011年1月、新宿御苑近くに「シューフィット・神戸屋」をオープン。2カ月待ちの人気店となっている。

※この記事は2017/10/27にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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