「自問」「計画」「行動」の3ステップが鍵! 問題解決の最短ルートはこれ!

いつも同じミスを繰り返してしまう、苦手な上司がいる、英語の勉強が続かない、ダイエットに挫折してしまう……ビジネスパーソンには、常にさまざまな問題がつきまといます。どうしたら、それらの問題をスムーズに解決できるのでしょうか?

「自問」「計画」「行動」の3ステップが鍵! 問題解決の最短ルートはこれ!

いつも同じミスを繰り返してしまう、苦手な上司がいる、英語の勉強が続かない、ダイエットに挫折してしまう……ビジネスパーソンには、常にさまざまな問題がつきまといます。どうしたら、それらの問題をスムーズに解決できるのでしょうか?

「その答えは自分に問いかけることでわかる」と力説するのは、『自分に聞く力で問題解決!』の著者であり、行動科学コンサルタントの冨山真由さんです。冨山さんは、「自分に問いかける」ことからスタートすれば、どんな人でも問題の解決策をスムーズに導けると話します。

とは言っても「自分に何を聞くの?」「そこからどう問題解決につなげていくの?」などの疑問が浮かびますよね。そこで今回は、「自分への問いかけをきっかけに、問題解決をする方法」をくわしく伺います。シンプルかつ確実に成果を出せる方法なので、ぜひこの機会にスキルの一つとして身につけてくださいね!

多くの問題は自分の「ちょっとした感情」がつくり出している


ビジネスシーンでもプライベートでも、大小関係なく私たちは日々多くの問題にぶつかっています。冨山さんはそんな問題の多くは自分自身がつくり出していると話します。

「私たちは常に問題と感情をセットで捉えがちです。たとえば明日のプレゼンが嫌だな、毎日のタスクが多すぎてうんざりする、など。感情を伴って考えてしまうことで、問題を自ら複雑化してしまっている人が多いのです。これらは思考を整理して、自身が取るべき行動をあぶり出せば、案外大した問題ではないことに気づけるはず」(冨山さん:以下同じ)

さらに、「がんばろう」と自身を沸き立たせるようなポジティブな感情さえも、時にはうまくいかない原因になると冨山さん。これは一体どのようなことなのでしょうか?

「がんばろうという意思を伴うと人は高い目標を設定しがちです。そうして自分が決めた目標をクリアできないと、途端に自己嫌悪感と挫折感に襲われます。これを繰り返すと、人はやる気や自信を失ってしまうものです」

冨山さんいわく、「やる気」で問題が解決できる人はごくわずか。これはみなさんにも思い当たる節があるのではないでしょうか? 問題から感情を取り除き「行動」に焦点を当てることで、問題解決が何倍もスムーズになるそうです。

「自問」に始まり「行動」で終わる、問題解決の3ステップ


ここからは具体的な問題解決の方法を解説していきます。まずは、その問題がなぜ起こったのかという原因を究明するステップから。

<ステップ1>4Wを紙に書き出し思考を整理する


「このとき大事なのは『なぜ起きたか?』と自分に問いかけること。問題の原因になり得る要素をすべて紙に書き出して、思考を整理していきましょう。そして、このステップを踏む際に基準にしてほしいのが『4W』です。これはいわゆる『5W1H』をさらにシンプルに省略したものです」

<思考整理の基準となる4W>

●Who(誰が?)

●What(何を?)

●When(いつ?)

●Where(どこで?)


たとえば「営業成績が下ってしまった」という問題を持つ人が、4Wを使って思考整理をした例は以下のとおりです。

●Who…以前より自分のモチベーションが下がっている

●What…何か社会的な変化があったのかもしれない

●When…半年前から成績が落ち始めた

●Where…どこか競合他社から影響を受けているかもしれない

「問題は頭の中で考えていると、マイナス面ばかりが目についてしまい、不安ばかりが大きくなってしまいます。紙に書き出して客観視することが、スムーズな思考整理のポイントです」

<ステップ2>実現しやすい行動計画は「MORSの法則」にならえ


原因を特定することができたら、解決策を洗い出し、行動計画に落とし込みましょう。

「解決策を洗い出す際も、先ほどの4Wが有効です。たとえばプレゼンが苦手なのは、自分自身の経験不足に原因があることを特定できた人であれば、いつ、どこで、何をして経験不足を補うかを細かく洗い出したうえで、行動に落とし込んでいきましょう」

行動計画に落とし込む際に指標となるのが、「MORSの法則」です。「行動とはそもそも何か?」がハッキリと定義されているこの法則に従うことで、正しい行動分析ができるのだそう。MORSは、以下の4つの要素から成り立っています。

Measurable(その行動は計測できるか)

Observable(誰が見てもその行動とわかるか)

Reliable(客観性があり、誰がやっても同じ行動になるか)

Specific(いつ・誰が・どこで・何をするのか)


「行動計画は、毎週本を1冊読むとか、毎日英語を勉強する、のようなざっくりとした内容では不十分。毎日20:00~20:15に近所のカフェで〇〇を読もうとか、毎日ベッドに入る前の15分間でオンライン英会話を見ようとか、細分化して具体的な行動にしなければなりません」

そしてもう一つ、行動に落とし込む際に忘れてはいけないポイントがあると冨山さん。

「冒頭の話に戻りますが、行動計画を立てる際は高すぎる目標を設定しないこと。小さな目標達成を積み重ねながら、徐々に最終目標に近づくスモールステップの考え方を大事にしましょう。はじめの段階では、日常生活に取り入れられるぐらいのハードルの低い行動にすることが成功の秘訣です」

計画を立てるときは、つい「よし!」と気合いをいれて高い目標を掲げたくなるもの。しかし、感情を伴わない思考整理と実現可能な目標設定が、より最終目標の実現可能性を高めてくれるようです。

<ステップ3>アクションへ移すときは「ABCモデル」を活用


ハードルの低い行動計画を立てたら、最後はその計画を実行していくステップ。ここで問題となるのは、「行動に移すことができない」「行動が続かない」といったことでしょう。この課題を突破するために知っておくべきなのが、人が行動を起こす際のメカニズムである「ABCモデル」です。

●Antecedent(行動を起こすキッカケ、行動を起こす前の環境)

(例)仕事の幅を広げるために英語力が必要

●Behavior(行動、行為や発言)

(例)テキストを使って英語の勉強をする

●Consequence(行動によってもたらされるもの、行動した直後の環境変化)

(例)海外案件を担当できるようになり報酬がUPする

もし、ここで「C」が「報酬は上がらず業務が多忙になる」という結果であれば、「B」の「英語を勉強しよう」という行動は起こさないでしょう。でも、「報酬がUPするうえに自分の視野も広がる」というポジティブな結果ならば勉強をしようという気持ちになるはずです。

つまり「B」の行動によって望ましい結果が得られるのであれば、人はその行動を繰り返すようになります。よって行動を習慣化させるためには、ポジティブに感じられるような「C」の結果を意図的に置くことで、Bの行動を生み出しやすくする工夫が必要なんです。そして「A」のキッカケにも同様のことが言えます。

「たとえば英語力を身に付ければ確実に給料UPが狙えるけれど、参考書を読むのは億劫だと思っている人がいるとします。それならば、勉強するかどうかは置いておいて、毎日仕事帰りに30分カフェに立ち寄ると決めてしまう。

カフェに入ったら参考書を手元に置いてみる。そうすると、そのうち『開いてみようかな』という気になります。実際にページを開いて参考書を読み始めることができたら、今度は勉強をやめることのほうがストレスに感じるようになるでしょう。環境要因をつくることで自分の脳をだますことができるんです」

もし、継続できなかったとしても「失敗した」とか「自分はダメだ」などと、落ち込んだり反省したりする必要はないとのこと。

「習慣化できない場合は、原点に戻って4Wを使った思考整理からやり直しましょう。うまくいかない原因は目標が高すぎるとか、行動が面倒になっているということがほとんどなので、『やらなきゃ』ではなく『やりたい』と思えるように工夫することを意識してみてください」

冨山さんが言うとおり、毎日参考書を30分読むことよりも、まずカフェに行く習慣をつけることから始めるのならば、負担はだいぶ軽くなりますよね。このように自分自身を上手にコントロールしながら、徐々に結果を積み上げてみましょう。そうすることで達成感が得られ、自分に自信が持てるようになります。

悩まない。環境のせいにしない。自分の人生は自分でつくれる


最後に冨山さんから、キャリアコンパスの読者に向けてメッセージをいただきました。

「仕事においても人生においても、頭の中で悩んでいるだけでは何も解決しませんし、ましてや環境のせいにしてしまうと現状は何も変わりません。自分自身に問いかける力を養えば、問題を自分で解決することができるようになり、きっと理想的な人生に近づけるはずです」

冨山さんが教えてくれたように、多くの人は自分自身で問題を肥大化させてしまっているのかもしれません。「どうして?」と客観的な視点で自分に問いかけることにより原因を見つけ、具体的な行動に落とし込み実行していく。たとえ小さな行動でも、それが100回、200回と積み重なればとてつもない変化になります。

自分自身を一番のメンターにすることができたら、どんな大きな問題も解決できる自分になれるはずです。

(取材・文:小林 香織/編集:東京通信社)

識者プロフィール


冨山真由(とみやま・まゆ)
行動科学コンサルタント
1984年生まれ、神奈川県鎌倉市出身。大学で行動変容理論を学ぶ。人間の感情ではなく行動に焦点を当てた技法を専門とする。元は医療分野と教育分野で行動習慣の指導士として活動をしていた。現在は、人材育成のコンサルティング会社で企業の管理監督者の方向けに研修を導入している。年間の登壇数は120回以上。主要メーカーをはじめ保険業界や製薬業界までサービス業全般。
代表書籍に『めんどくさがる自分を動かす技術』(永岡書店)、『めんどくさがる相手を動かす技術』(永岡書店)、『1%の素敵な人だけが実践している「なりたい自分」になる方法』(あさ出版)、『今すぐ! 集中力をつくる技術』(祥伝社)。最新書籍『効率・時間・スピード すごい習慣力』(三笠書房)が好評発売中。
オスカープロモーションに所属。
公式サイト:http://www.oscarpro.co.jp/#/profile/entry/112899

※この記事は2018/04/17にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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