「東大」の頭脳が集まるテクノロジーラボがイノベーションを生み続ける4つの理由とは?

先日1.5億円の資金調達を実現した「coromo」というスタートアップ企業をご存知でしょうか?

「東大」の頭脳が集まるテクノロジーラボがイノベーションを生み続ける4つの理由とは?

先日1.5億円の資金調達を実現した「coromo」というスタートアップ企業をご存知でしょうか?

スマートフォンのホーム画面を着せ替えできる同名アプリを開発し、世界中のユーザーのホーム画面をプラットフォーム化。昨年11月に開催された「第43回東京モーターショー2013」でも正式導入され、話題を集めました。こうしたスタートアップ企業を輩出し続けるのが、昨年1月に立ち上がった、東京大学構内に拠点を構えるテクノロジーラボ「Intellectual Backyard」。

現役東京大学大学院生でもある代表の井上碩さんに、イノベーションを起こす組織運営のコツについて伺いました。

シリコンバレーのように日本のベンチャーからスタートアッププラットフォームをつくりたい


「そもそも『Intellectual Backyard』を立ち上げたのは、ものづくりのアイデアに秀でたデザイナーやエンジニアが自身の思いを生かせる場を、国内でつくりたいと思ったのが大きなきっかけです。いうなれば『Intellectual Backyard』は大学生の技術を事業化することを目的とした私設ラボという位置付けです。現在、『Intellectual Backyard』には、エンジニアリングやデザインのスキルがある現役の東大生や院生などのメンバーが8名ほど在籍しています。他にも、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を専攻しているデザイナーが広告デザインを担当したり、米投資銀行で働いていた人が資金調達を行う役割を担当して、組織が成り立っています」(同)

と創立の経緯について教えてくれた井上さん。ラボの中で出てきたアイデアは、どのように事業化しているのでしょうか?

「プロトタイプが完成し、事業戦略が整い、個人投資家などの支持を集めた段階で、プロジェクトごとに法人化し、フルタイムの社員を雇用するという仕組みです。現在ラボの子会社には、『coromo』と『Mist Technologies』という2つの組織があり、今後は自炊書籍など、異なるファイルやバージョンやメディア間でのコメント共有を可能にするPDFコメント共有サービスやビッグデータ関連のプロジェクトが子会社化されていく予定です」(同)

起業からわずか1年で既に2つも子会社化に成功しているのは驚きです…! さらに井上さんは、ラボを運営していく上での4つのポイントを教えてくれました。

1.役割を横断した対等な全体会議


「エンジニア・デザイナー・マネジメントが対等に意見を出し合える場を持つべく、週に2回程度会議をしています。そこでは将来的に事業化させるプランの開発状況を共有したり、資金調達がどの程度進んでいるかなどについて議論しています」(同)

2.適性やモチベーションに合った役割分担


「従来の多くの学生ベンチャー企業が陥りがちだったのが、学業とプロトタイプの作成、開発費の捻出をすべて掛け持ち、事業戦略や顧客開拓などが後回しになるパターンでした。しかし私たちは役割をきちんと分担し、各個人がもっとも成果を出せる領域で活動してもらうようにしています」(同)

3.学業最優先が絶対条件


「学業がおろそかになっては、その人の開発者としての伸び代を狭めてしまうので、それは絶対させないように意識しています。法人化にあたっては、フルタイムでできるかなどをあらためてメンバーに問い、必要なリソースが割けなかった場合は、子会社のメンバーとして新たな人材の確保に乗り出します」(同)

4.優秀かつ余力のある人のみがメンバーになれる狭き門


「前述の条件を満たす上で、メンバーの人選がすごく重要になります。私たちがメンバーを選ぶ際、自身の研究や課題でトップクラスの成績を残しながら、まだ自分の活動容量に余裕がある人をメンバーの紹介などから見つけ出し、声を掛けているのです」(同)

なるほど。東大発だからこそできる組織のあり方といえるかもしれませんが、ベンチャー企業のあり方として参考になるかもしれませんね。これからの彼らの活動にも要注目です!


※この記事は2014/03/03にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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