125万円の豪華寝台列車に100万円のバス旅! アクティブシニアを狙った旅行ビジネス最前線

2020年にはおよそ3人に1人が65歳以上の高齢化社会となる日本。いわばほとんどの商品やサービスはシニア向けに設計することになります。その兆候がすでに見られるのが旅行業界。アクティブシニアを狙った列車、船、バスそれぞれの動向をご紹介しましょう。

125万円の豪華寝台列車に100万円のバス旅! アクティブシニアを狙った旅行ビジネス最前線

2020年にはおよそ3人に1人が65歳以上の高齢化社会となる日本。いわばほとんどの商品やサービスはシニア向けに設計することになります。その兆候がすでに見られるのが旅行業界。アクティブシニアを狙った列車、船、バスそれぞれの動向をご紹介しましょう。

◆最高125万円の人気クルーズトレイン「ななつ星in九州」


昨年10月に運行が始まったJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」。週1便で九州各地を巡る豪華な寝台列車は、1泊2日コースで18万~52万5千円、3泊4日コースで43万~125万円という高額な料金設定ながら、いまだ予約は21倍もの高倍率で人気を集めています。

JR九州の成功に続けとJR東日本やJR西日本から相次いで発表されたのが、ともに2017年春に運行開始を目指す新型寝台列車。JR東日本は総工費50億円をかけた10両編成、17室・定員34人の豪華列車。フェラーリも手掛けた奥山清行氏が車体をデザインし、最上級のデラックススイートはなんとメゾネットタイプ。

また、JR西日本の豪華列車も10両編成、16室・定員30人程度と同じような編成で、京阪神エリアから山陰本線・山陽本線を走って出雲や宮島などの観光地を巡る予定。この発表と同時に2015年春の廃止がアナウンスされた「トワイライトエクスプレス」(大阪~札幌)も人気が再燃し、オークションで10倍近くの値段で取引されるなど、「列車の旅」のニーズは高まるばかりです。

◆憧れのクイーン・エリザベスによる豪華クルーズ


その列車以上に人気を集めているのが豪華客船による船旅。国土交通省の発表によると2013年の日本人のクルーズ旅行利用者数は、過去最高の23万8000人にのぼったそうです。なかでも海外を巡る外航クルーズ乗客数が前年比14.8%と大幅に増加。

今春、日本に初寄港したクイーン・エリザベス号(3代目)もクルーズ人気を示す証拠といえましょう。なお、同船のツアーは2名1室60万~100万円が価格帯(11日間)。

ただし、この人気も人泊数や平均泊数では減少傾向にあり、数カ月におよぶ長い船旅よりも1週間から10日程度のショートクルーズが増える傾向にあるようです。

◆およそ1カ月をかける日本全国バスの旅


一方、変わり種として注目したいのが豪華な高速バス(の旅)。海部観光が東京~徳島間で毎日運行する「マイ・フローラ」は1台につきたった2列・12席しかないぜいたくな車両。前後左右のゆとりはもちろん、すべての座席にパーテーションとカーテン、テレビモニター、100Vのコンセントが付き、車両後方には広々とした洗面台付きお手洗いまで設置されています。それでいて乗車料金は片道1万3400円と同路線に比べそう高いものではありません。

同じくバスの旅で話題を集めているのが、日本旅行が創業100周年の特別企画として売り出した「日本一周バスの旅」。11月大阪を出発し、北海道から沖縄まで26日間かけて、日本を代表する観光地を巡るもので、料金は2名1室100万円(!)。あまりにも長期間におよぶため、5~7日ごとに1度、医師によるメディカルチェックを実施する計画だそうです。

こうした豪華移動の旅の多くは、いわゆるアクティブシニアを狙い撃ちしたもの。金銭的に余裕がある世代に対し、いかに本物の高級感や体験を提供できるかが鍵になっているといえそうです。

ただし、ほとんどの豪華旅行の旅程が1週間程度と、意外にも短いのが特徴。時間的な余裕があると思われるシニア層ながら、他の趣味やお付き合いなどの関係で、そう長く家を空けられないのが実態なのかもしれません。いわばシニア向け豪華旅行は、「短期集中の一点豪華主義」。これが今後の商品企画のキーワードとなりそうです。


※この記事は2014/08/07にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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