「早く土曜日、こないかなー」
わかります。わかりますよ!でも、知ってますよね、それって仕事が嫌いな証拠だってことを?
でも冷静に考えてください。一週間は7日で構成されており、うち休日は一般的には2日。・・・さて、どうしましょう?5日をダラっと過ごして、2日の休日に人生の楽しみを捧げますか?
・・・別にアリだと思います。今回、話を伺ったフードドリンクユニット「Uchila(ウチラ)」も休日、土日で生まれたユニットなのです。このフードドリンクユニットとは、食事やドリンクを提供しに、東奔西走するユニットのこと。
ただ、彼女たちの信念は生半可なモノじゃありません。この活動をはじめたキッカケ、それは女子が大好きな“オシャレなカフェ”への疑念からスタートしているのです。
700円の“マズい”レモネードから、私たちは、はじまった
-- お二人って今も会社に在職しながら、ウチラの活動を続けているんですよね?
荒川:私は最近、辞めちゃいました(笑)。元々はWebマーケティングに関わる仕事をしていたんですけど、そろそろ転職しようかなって。
飯泉:私は今も小学校で給食の調理師をしていて、休日にウチラの活動をやっています。
-- ちなみに、ウチラの活動っていつからスタートしたんですか?
荒川:2014年の11月3日ですね。その半年ぐらい前から、気ままに活動はしてたんですけど。本格的に稼働しはじめたのはその時期です。
-- そもそも、フードドリンクユニットとして活動しようと思ったキッカケは?
荒川:調布で飲んだ美味しくない、700円のレモネードです(笑)。見た目はめっちゃオシャレでワクワクしながらストローを口にしました。「ちゅー」っと吸った瞬間...「あれ?」ってなって。
ほんと、価格に対して適切な味じゃないなと(笑)。なのにお店には行列、私たちも15分待ちました。「これって、オシャレ代を払ってるのかなと」と錯覚しましたね。
飯泉:全体的にそうなんですけど、最近はオシャレってだけでお店が人気になったり、選ばれたり。この中身がない風潮って、私たちは絶対にイヤなんです!つくる人の気持ちが入っていない食べ物が増えているんじゃないかなって。
-- 真摯ですね、食に対して。
荒川:私たちは優しい経済をつくりたい。それだけなんです!美味しいものを、美味しい価格で食べていただきたい!
飯泉:そう、優しい経済を!
-- は、はぁ(笑)
飯泉:すみません、話を戻しますね(笑)。私たちはただ、美味しいものを食べてほしいだけです。盛りつけはその後、視覚以前に味覚を楽しんでもらいたいだけ。
でも、今は華やかな盛りつけが先にきています。もっと食の本質を見つめ直してほしいなと、だからウチラを始めました!あ、ちなみにリベンジということで素材にこだわった美味しいレモネードも提供しましたよ!
ケータリング業者じゃない。食を通して、コミュニケーションを活性化したい、空気を変えたい。
-- ちなみに、活動の詳細について教えてもらえますか?フードドリンクユニットって、分からない人も多いと思うので。
荒川:ただケータリング(依頼された場所で食事を配膳、提供すること)をやっているように見られますけど、全然、趣旨が違います。シンプルに言うと、気持ちの入ったご飯を食べてもらって、喜んでもらうことが私たちの活動のコンセプトです。
飯泉:ケータリングって量産するものなので、基本、ご飯は冷めていて味は濃い目にしなければいけない。これって食材に無理をさせていることとも言えるんです。結果、食べる人のカラダにも少し無理をさせていることになります。
そうじゃなくて、私たちはご飯の本質である、できたてで美味しい、だから楽しい、そんな食の魅力を伝えることに勤しんでいるんです。
-- 確かにケータリングだと冷めているし、味も濃い。その時は美味しかったと思えても、時間が経つと、どこか後味も悪い気がしますね、あくまで僕個人の感想ですが。
荒川:ご飯を一緒につくるのではなく、時間、そして空気感までをもコーディネートするのが私たちの価値です。イベントのご飯をメインに任されますけど、参加者の性別から年齢層、嗜好まで、全てを計算してメニューを考えています。
大切なのは、「気持ち良い時間だったな~」と思ってもらえるかどうか。だから、私たちはご飯を持って行って、お金をもらって終わりじゃない。
ですから、「すごく美味しかった」はもちろん嬉しいですけど、
「お会いできて嬉しかった」
「すごく楽しい時間でした」
「家で実際につくってみたいです」
とか、そういう言葉を貰った時、ココロが跳ねているなと感じることができます。
生活の安定を取るか?自分らしさを貫くか?あなたなら?
-- ちなみに、会社を辞めてウチラに集中することはないんですか?店舗を持つなど、お二人がやりたいことを実現する手段としていいのではと?
荒川:しませんね。呼んでいただける様々なところに行って価値を提供し続けていきたいと思っています。それに普段、別の仕事をしているからこそ、見えるものがたくさんあるかなと。
飯泉:最初にお話ししましたけど、私は普段、小学校の調理師をやっていて。平日の夜はウエディング会社でインターンをやっていますし、土日はウチラの活動をやっています。
荒川さんと同じで、いろんなところに顔を出しているからこそ見えてくるものがたくさんあるなぁって。
-- 飯泉さん、めちゃくちゃハードじゃないですか?
飯泉:いえ、全然!好きなことをしていると、自然と体力って持つんです!
-- その感じだと、以前、好きじゃない仕事で消耗していた経験があるのでしょうか?
飯泉:すごい、良くわかりましたね!!!
ぱちぱちぱちぱち!
-- あの...話を進めていいですか(笑)?
飯泉:ごめんなさい(笑)。そう、新卒で入った会社は正直、何にも楽しくなくて。毎日を惰性(だせい)で生きてましたね。
荒川:そんな彼女を見ている私も辛かったので、「とりあえず辞めちゃえば?」と背中を押して。そしたら彼女、いつの間にか全く別の業態でインターンをはじめたりして。
飯泉:「何だか面白そう」と思って、まずは行動しました。結果、すごく面白くて、何より嬉しくて。ほんと、勢いでやめて良かったなと思ってます、前の仕事。
多くの人が、「辞める辞める詐欺」ってしがちだと思うんです。理解はできますけど、その状態が続くと、自分のことがどんどん嫌いになりますし。「じゃあ、どうしよう?」となった時に社会人インターンをはじめてみたんです。
もちろん、前の会社にずっと居たら、高い給与も保証されていたかもしれない。でも、私はわたし、お金よりも自分らしさが欲しくなって。
1人が怖いなら、仲間を集えばいい。大丈夫、きっと思わぬ誰かがいる。
-- ちょいちょい脱線しますけど、お二人の生き方、すごく好きです。では最後に。二人が仕事をする上で、フードドリンクユニットを続ける上で大事にしていることを教えてください。
荒川:ウチラでは一緒に料理をつくるということもしています。その際には特に褒めることを大事にしています。私はWebの世界で生きてきましたけど、褒める機会、褒められる機会が少ないように思えました。
人って、褒めなければ自信を持つことも出来ないし仕事を好きになることもできません。まずは周りを褒める、認める。そしたら必ず人が動きます。
課外活動を始めると、包丁を持てなかった人が1時間後に肉じゃがをつくれるようになっていたり、そんな光景を何度も目にしてきました。
「これが出来た、いいですね!じゃあ次はあれをやりましょう」と、常に褒め、そして次のステップを提示してあげること、これだけで嫌いなことが好きになれるんですよ。
飯泉:私の場合、どう楽しく生きるか、それだけかなと思っています。「仕事つまんない」、「生きる気力がない」と思っていても、結局、これを受け入れなければばなりません。
じゃあ、そんな苦しい毎日をどう楽しくしていこうか?この世界の中でどう楽しくしていくか?それを考えるだけでいいと思っていて。
仕事がつまらないから、「休日を生きがいに」と思う人もいるかもしれません。でも結局、休日をカラダを休めるだけで終わってしまう人が多いのでは?実際、わたしも昔はそうでした。
ただ、ココロを軽くしたいのであれば、まずはアクティブに動いた方がいいと思っています。考えるよりもアクションを起こす、そうでなければ何も変えられないし、何も変わりません。
-- 所感ですが、お二人の場合、1人では出来なかったことを2人だからこそ、叶えられたのかなと。
荒川:そう!1人では出来ない、不安と思うのであれば同じ想いを持った仲間2人とやればいい!
飯泉:私には荒川さんがいましたから。だからここまで好きに自由にやれて、かつ毎日を楽しく過ごせているのかなと思っています。
-- つまりは、「1人でダメなら、ウチラでやろう」って感じですか?
荒川・飯泉:さすが!!上手い!!ぱちぱちぱちぱちぱち!
-- もう、いいです(笑)。お二人の美味しいご飯、もっと多くの人に食べさせてあげてくださいね!
(聞き手・執筆)サムライトCCO 後藤亮輔 (撮影)大島未琴
※この記事は2016/11/04にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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