ふとしたタイミングや出会いを大切にするだけ。「U/Iターン転職」ってそんなに大げさなものではありません。【後編】

千葉県船橋市⇒長崎県諫早市へ移住した芥川隆(あくたがわ・たかし)さん。

ふとしたタイミングや出会いを大切にするだけ。「U/Iターン転職」ってそんなに大げさなものではありません。【後編】

千葉県船橋市⇒長崎県諫早市へ移住した芥川隆(あくたがわ・たかし)さん。

前回は移住のきっかけや(株)日本ベネックスにて、経営企画として活躍する仕事のやりがいをお伺いしました。

業界有数の技術力を地域や県外の多くの方に知ってもらうために、今後何ができるのか―――。現在携わっている業務のやりがいと共に移住後の生活の変化についても聞きました。

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◆注目を浴び始めている。その過程だからこそできる挑戦


――「長崎にも新技術開発・最先端技術に携われる環境がある」のに知られていない現状を変えていく―――。会社だけではなく、地域の産業に影響を与えるような仕事ができる可能性があるんですね。

非常に優れた技術があるのに、「受け身」になりがちな、地域の産業を変えていく…それができたら、本当に面白いと思います。特に、「中小企業×地方創生」というキーワードが注目されている最中ですし、国としても非常に力を入れている分野。実際に、官公庁との連携の強化に取り組んでいたり、先日は九州経済産業局 局長の訪問があり、会社のご案内をしたり…これは、都会ではできない仕事です。

特に、当社は再生可能エネルギー分野で注目度が高まっているので、今、このタイミングでないとできない仕事がたくさんあると思うんです。この変革期に入社できたことは、私にはとても幸運でした。

――なるほど。でも、やはり長年の慣習などもあり、「新しいこと」に対する反発などもあるのではないですか?

もちろん、そういう声もあります。変えていくのは難しいですが、その分やりがいがありますよ。

今特に力を入れているのは、学生へのアピールです。私のように、長崎大学に通っていても「職がない」と感じて県外に出てしまう学生にも地域に目を向けてほしい。優秀な人材がそのスキルを活かせる環境がある、ということを知ってもらう取り組みです。

知名度向上のために社長が大学で講義を行ったり、インターンシップ制度を充実させたり…、長崎大学や地域の移住サポートセンターとも協力して、積極的に地域との関わりを強めています。「諫早でも、実はこんなすごいことをしているんだ」ということを、もっとアピールしていきたいと考えています。

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「一般的な知名度はまだまだですが、実は、保有している技術力は世界に通用するものなんです」



――大学生活を長崎で過ごしているから気づけることも多そうですね。

私自身も長崎で学生生活を送り、就職時に苦労したので、学生さんの気持ちがわかります。その時の経験も活かしつつ、当社のPRをしていきたいと思います。

◆ちょっとした「余裕」が生活の変化へ


――人材確保、という意味では仕事だけでなく「暮らし」も大切な要素だと思います。芥川さんは、生活の変化をどう感じていますか?

前職で大阪、東京などにも住みましたが、長崎が一番住みやすいですね!学生時代の知り合いもたくさんいますし…それに、どこに行っても「長崎大学の出身」と言えば、一人二人ぐらい共通の知り合いが出てきたりするので面白いです。初めてお会いするのに、友達の友達、みたいな形で、人間関係が広がっていきます(笑)

「同じ年齢」「同じ大学の出身」「住んでいる場所」等の話題で会話が弾むんです。そういう意味でも、人と人との「繋がり」は、以前より感じるようになりました。

――確かに、ビジネスライクな関係だけではなく、より人の繋がりを感じられるのは地方の醍醐味ですよね。

もちろん、それだけではなく、生活の面での変化も色々ありますよ!家賃とか。以前は千葉の船橋市に住んでいたのですが…首都圏なので、そこそこしたんです。でも、今は3LDKで6万円程度。びっくりするぐらい安いんですが、これでも妻には「高い」って言われています(笑)

今の仕事は、待遇面でも恵まれていますので、余裕のある生活ができていると思います。

――生活の質が上がる、というのはよく聞きますよね。

ただ、首都圏にいたころより、歩かなくなってしまったんですよ。東京にいると、通勤電車や乗り換えなどで結構歩くじゃないですか。だから、最近は家から40分かけて歩いて通勤しています。

――40分!確かに、周りにも緑がたくさんあるので、ウォーキングにはぴったりの環境ですね。

市街地には大きな運動公園もあるので、通勤だけではなく、休日は妻と一緒にジョギングをしたり、散歩をしたりして過ごすようになりました。ちなみに、運動公園の横には諫早の“眼鏡橋”があるんです!長崎市内にあるものの方が有名だったりするのですが、諫早の眼鏡橋も趣があって良いんですよ。

あとは、車で30分ぐらいいけば、近くの山で新鮮な水を汲める場所もあって、今、自宅ではすべてこの水を使っています。水を汲みに行くのも休日の習慣になりました。

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諫早駅から車で30分ほどの所にある多良岳。休日に水を汲みに来る人が多いのだそう。



―― そんな時間の使い方ができるぐらい、ゆとりがある穏やかな暮らしなんですね。

九州の良いところは、少し足を伸ばせば自然がたくさんあることだと思います。諫早からは雲仙も車で30分ぐらいなので、温泉を訪れる回数も増えました。それに、諫早って実は鰻が有名なんです!接待でも利用しますが、プライベートでもよく食べるようになりました(笑)

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諫早の鰻の有名店の一つ「魚荘」。うな膳が2,640~4,350円(税別)でいただけます。



一般的にはあまり知られていない事でも、生活をしてみて初めて見えてくる地域の魅力があると思います。

ちょっとした時間の使い方だったり、休みの日の過ごし方だったり…毎日のことだからこそ、ちょっとした変化が生活の質に大きく影響するのだと思います。

移住してみないと見えないことも多いからこそ、より多くの方に、地域での働き方や生活の仕方を知っていただきたいと思います。その中で、この町や地域を好きになってくれる方が増えていけば、嬉しいですね。

――ありがとうございました。

◆取材後記


U/Iターンというと、「余暇を楽しめる、のんびりした暮らし」として注目されることが多く、こと仕事においては「大企業」と呼ばれる企業群がないので、「職がない」というイメージが先行してしまいがち。

しかし、一般的な知名度だけで判断できない魅力が、まだまだたくさんあるのだと改めて気づかされました。

のどかな生活と責任ある仕事、一見相反するそんな暮らしを実現できる環境があることを、多くの方に知っていただきたいと思います。

◆会社データ


株式会社 日本ベネックス(http://www.japan-benex.co.jp/
―JAPAN BENEX CORPORATION

【会社概要】
創業:昭和32年10月1日
設立:昭和41年4月15日
代表者:代表取締役社長 小林 洋平
事業内容:産業機器、大型映像機器、電機・電子機器、空調冷熱機器、の設計・製造、環境エネルギー事業 太陽光発電所の設計・施工
本社/工場:〒854-8555 長崎県諫早市津久葉町99-48

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