間違って使ってない!?メール文面でのあるあるNG敬語

ビジネスシーンで知らないうちに使ってしまっている「NG敬語」。中には、本当は誤った敬語なのに慣例的に定着しているものや、一見間違っているようでいて実は正しい敬語というものもあります。今回はメールでのコミュニケーションについてです。

間違って使ってない!?メール文面でのあるあるNG敬語

現在のビジネスシーンにおいて、メールでのコミュニケーションはもっとも頻繁に行われている手段です。そこで今回はメール文面で間違いがちなNG敬語。冒頭のあいさつに使用する一文から「御社と貴社」「弊社と当社」の使い分けなど、細かいところですが注意が必要です。

■バックナンバーはこちら
vol.1:上司に言ってはいけないNG敬語
vol.2:気を付けたい二重敬語 

とりあえず返信するときの「取り急ぎ~まで」は失礼になる!?

「取り急ぎ〜まで」

至急連絡することが必要な場合に限り、この言葉は使ってもOKです。ただし、追ってしっかりと連絡を取ることが前提です。また、この言葉は「とりあえず」「一応」という意味があるので、取引先や目上の人には使わないようにしましょう。

「拝受いたしました」

「拝受」の「拝」は、目上の人に対する敬意を示す言葉です。「受領」の謙譲語になります。これに、謙譲語の「いたす」も加わっているので、二重敬語に当たりますが、ビジネスシーンで慣習的に使われているのでNGではありません。

「回答させていただきます」

「回答」に、「させてもらう」の謙譲語である「させていただく」を使い、「ます」という丁寧語を用いて構成されています。敬語として間違いではありませんが、これは「許しが必要な時に使う言葉」なので、日本語として100%正しいとはいえません。

「お世話様です」

この言葉は、仕事を依頼した相手や自分に何かをしてくれた人に対する「ご苦労様」という意味が込められています。「ご苦労様」は、一般的に、目下の人に使います。目上の人や取引先に用いるのは、相手に失礼な印象を与えかねません。もはや定型文となっていますが、「お世話になっております」というのが無難です。 

「○○はお休みを頂いております」

社外の人に伝える言葉であることを考えると、まず、「休み」に「お」をつけている時点で、社内の人間の行動に尊敬語を用いていることになるのでNGです。また、「頂く」は「もらう」の謙譲語ですが、休みは自分で「取る」ものなので、表現として不適切です。「○○は本日休みを取っております」「○○は不在にしております」というのが正しい使い方です。

「どういたしますか」

「どう」という副詞は、相手に何かを聞く際にはややくだけたニュアンスになります。「いたします」という敬語は入っていますが、この言葉は相手と対等な関係性の印象になるので、自分より立場が上の人には使用を控えるべきです。「いかがされますか」というのが自然です。

【番外編】「御社と貴社」「弊社と当社」正しい使い方は?

使い分けが必要な「御社」と「貴社」

「御社」も「貴社」も正しい敬語です。ただし使い分けが必要で、例えば「貴社」は、「帰社」「記者」「汽車」などの同音異義語が多いため、話し言葉には向いていません。「貴社」は書き言葉として、「御社」は話し言葉として使い分けると良いでしょう。

社内か社外かで変わる「わが社」「弊社」「当社」

「わが社」はプライドが込められた言葉で、社長や役員などが主に社内に向けて使用するシーンが多くみられます。「当社」は社内文書などで用いられ、この2つはいずれも、外部に対しては使いません。「弊社」は、相手を敬い、謙遜して使う言葉です。こちらは、外部に対して使います。

今回は「メール文面でのあるあるNG敬語」をテーマに解説しました。最初は違和感があるかもしれませんが、知らず知らずのうちに使ってしまっているものがあれば、徐々に直していけるといいですね。以下のバックナンバーでも同様にNG敬語を解説しているので、ぜひご覧ください。

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vol.1:上司に言ってはいけないNG敬語
vol.2:気を付けたい二重敬語

プロフィール

人財育成トレーナー
美月あきこ
CA-STYLE主宰。人財育成トレーナー。オールアバウト「ビジネスマナー」ガイド。日系・外資系双方の国際線客室乗務員の経験を活かし、人財育成会社を起業・経営。『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』など著書多数。

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