遊び心を忘れない!タカラトミー「中の人」のおもちゃ愛

フォロワー31万人を誇るツイッターのタカラトミー公式アカウント。遊び心を忘れないスタンスは、子どもだけでなく大人たちからも厚い支持を集めています。今回はタカラトミーの「中の人」に胸の内を語っていただきました。

遊び心を忘れない!タカラトミー「中の人」のおもちゃ愛

新製品情報を単なるニュースとして右から左に流すことなく、実際に自分で遊んでみた感触に笑いを交えながら楽しく紹介しているタカラトミーの公式アカウント。その動機は、フォロワーの立場に立ち、何を期待されているのかを逆算するという、極めて純粋なホスピタリティでした。

 

フォロワーを楽しませる遊び心あるツイートを意識

――タカラトミーのツイートは「中の人」の個性を打ち出す発信でフォロワーの心を掴んでいると感じていますが、御社ではいつ頃からSNS運用を始めたのですか?

中の人:弊社のアカウントは、2010年5月に開設しました。当初は毎日運用するような活発なアカウントではなく、イベント開催時の情報発信のための意味合いが強いものでした。

私自身が担当し始めたのは、2015年4月頃からです。

――どういう経緯で、「中の人」になったんですか?

中の人:2014年10月に、弊社では新しくWebマーケティング部署が設置されることになり、当時、私は別部署にいたのですが、社内公募を通じて立候補したんです。

ツイッターの運用は当初、9人のチームで投稿文書を作っていましたが、私が制作したツイートへの反応が概ね良かったので、だんだんと私が投稿役を担う形になっていきました。

――なぜ立候補したんですか?

中の人:SNS運用の実績を見ていて、もっと効果的なやり方があるのではと思っていたんです。ツイッターも情報発信が中心で、フォロワーとのコミュニケーションまで手が回っていなかったと感じていました。もっとコミュニケーションの方法があるはずだと感じていたんです。

弊社は玩具メーカーですので、遊び心を何よりも大切にしています。ツイッターでも、もっと楽しそうな雰囲気を作れるんじゃないかと。

――フォロワーとのコミュニケーションで大切にしていることはありますか?

中の人:そうですね、今もすごく大切にしていることなんですが、フォロワーの皆さんとはどういう人なのか、どういう気持ちで見てくれるのかを常に考えるようにしています。フォロワーの気持ちに立ちながら、ツイートを作ってきました。

社内からの投稿依頼でありがちなのは、子ども向けの文章です。「〜〜に来てね!」とか、「〜〜に集まろう!」とか。商材が子ども向けなので、キャッチコピーもそういう文体になっているのですが、そもそもツイッターを見ている方々はお子さんではなく、親御さんたちが見ているものなので、私は親御さんに向けての言葉を選ぶようにしています。

お父さん、お母さんに向けて「お子さまにいかがでしょうか?」と視点を変えることが必要だと思っています。

――2010年開設とのことでしたが、企業アカウントが活発になり始めた頃ですね。

中の人:そうなんです。ですから前例から学べることがたくさんありました。キングジムさんは、商品紹介と「中の人」の個性表現のバランスが素晴らしいなと思って、参考にしていました。

――つまり、どういうツイートがよくて、どういうツイートがよくないのか、そうした感覚を他社の例から学び取っていったということですか?

中の人:その通りです。そして学んだ仮説は、必ず実践で検証したのも大きかったと思います。

トライ&エラーを続けるなかで、こういう表現は生かした方がいい、こういう場合は改めるべきとか、細かいところから試行錯誤して現在があります。

いちファンとしての視点を忘れず、リアルかつ遊び心のある雰囲気を作る 

――ツイッターを運用していくなかで「中の人」としてどんな思いがありますか?

中の人:遊び心を大切にしている会社である以上、運用者自身もその気持ちを忘れないようにしています。しかも、紹介者自身がそのおもちゃを面白いと思っていなければ伝わるはずもありません。

――たとえ親御さんに向けた文章であるとしても、堅苦しくしないということでしょうか?

中の人:はい。真面目に伝えなければならないときもありますが、玩具メーカーらしく「面白い」「楽しい」という雰囲気に沿うことを意識しています。

――「中の人」を担当するようになって、ご自身の働き方にも変化はありましたか?

中の人:弊社では月50~100商品、年間で1000~2000個の新商品を発売しています。それらをツイッターで紹介していくのですが、商品の売りを自分なりにきちんと把握していないと、購入までつながりません。ですから、ツイートする前には必ず自分の手で触れて、担当者にもヒアリングするようにしています。ツイートする側にも熱がないと、見透かされてしまうんですね。しかも、このギミックが面白い! というものも、実際に触ってみないと分かりませんし。

――情報は足で稼ぐ、ということですね。それは運用しながら気づいていったことですか?

中の人:そうです。いわゆる商品画像だけを載せたツイートよりも、自分で撮ったスマホ写真の方が、明らかに反応がいいんです。このアカウントでしか見られないものがあるからこそ、常日頃、アカウントを気にかけていただけているんだと思っています。

――「中の人」として、どんな時にやりがいを感じますか?

中の人:商品の購入やイベントへの参加など、実際にアクションしたというリプライは嬉しいです。自分の活動が報われたと思えます。

趣味嗜好が多様化していくなかで、同じ趣味や価値を持っている方々のプラットフォームになるといいなと思います。タカラトミーファンはもとより、弊社が扱うそれぞれのブランド、キャラクターのファンとの関係性を構築していきたいです。

――「中の人」として、個人的な目標はありますか?

中の人:私はタカラトミーの商品である「ベイブレード」で遊んできた世代です。父が転勤族だった関係で、私は小学校を3回転校したんですが、その転校先でも「ベイブレード」をきっかけにして、友達の和にすぐ馴染むことができました。これは入社した時から思い続けていることなんですが、あの時の気持ちを忘れず、今後もツイートしていきたいですね。

立場的には企業の「中の人」ですけど、いちファンという視点でツイートしていることもあると思います。

――例えば、どんな時にファンの視点に戻りますか?

中の人:数年前にベイブレードバーを企画した時です。ベイブレード発売から20年が経過して、当時遊んでいた子どもたちも、すっかり大人になりました。そこで、ビリヤードやダーツのように、大人の遊びとしてベイブレードを楽しんでほしいと、ベイブレードバーが期間限定で開かれたんです。あの時は、私自身、ファンのひとりとしてツイートを繰り返していました(笑)。

――楽しそうですね(笑)。

中の人:実際に開催すると、大人だけでなく子どもや、海外のファンの皆さんも集まってくれました。言葉の壁を越えて仲良くなれたことは、玩具のさらなる可能性を感じた瞬間でした。そういう玩具を、私たちはもっともっと作り続けたいと思っています。

―――
他社アカウントを参考にしながら、トライ&エラーを繰り返し、実践のなかで現在のスタイルを確立していったタカラトミーの公式アカウント。一見、自由奔放にも見えるツイート表現の裏では、論理的思考で導かれた「中の人」の努力がありました。

今回インタビューをさせていただくにあたり、「中の人」にビジネスマンにおすすめの大人のためのミニカー、ボードゲームなどをピックアップしていただきましたので、そちらもご覧ください!

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