【今回の訪ね人(左)】
5歳
1983年生まれの35歳。7つ年下の嫁と、7歳と5歳の息子の4人家族。日々の家族日記をTwitterにつづる。好きなものは、嫁、息子、ビール、本。嫁に「これから子どもにお金が掛かるぞ〜」と毎日耳元で囁かれている。5歳さんと嫁と息子たちとの、ドタバタで愛情たっぷりの生活を漫画にした『ぼくの嫁の乱暴な愛情』(KADOKAWA)が発売中。また、現在会社設立のために奮闘中。
5歳さんTwitter
【今回の仕事人(右)】
澤山モッツァレラ
SNSプランナー・コピーライター・編集者。編集者として、頻繁にヤフートップを飾るほど“バズる”記事を手掛ける。その経験を生かし、メディアコンサルタントとしても数々の人気サイトを手掛ける。現在は自身のTwitterでのバズを生かし、ソーシャルメディア運用のプランナーや企業のコピーライターとしても活躍。
澤山モッツァレラさんTwitter
毎日ネットに2万字も書いていたモラトリアム期間があったから、今がある
いやあ澤山さん、今日も天気が良いですねえ。
えーっと、僕なんで今日呼ばれたんですか(笑)?
いや、僕らいつも本当にくだらないことしか話してないから、こういう企画でもないと仕事について聞けないなと。澤山さんっていつも面白いことをしているから「これからもっとすごいことしてくれるんだろうな」って、見てるとワクワクしてくるんですよ。
そうなんですか? それは嬉しいです。
だから今日は澤山さんがどんな仕事観を持っているのか聞きたいと思って。最初は僕のオンラインサロンに入ってくれたんですよね。Twitter好きな人たちが集って、仲良くなったのはそこからですよね。
そうですね。知り合いから「面白い人がいるので、何も言わずこのサロンに入ってほしい」と言われて、何も知らずにまんまと……。
超怪しいじゃん、その紹介の仕方(笑)。
それまで5歳さんのこともよくわからなくて。だから初めて会ったとき、第一印象は「ちょっと待て、アイコンと顔違うじゃん!」です。
だんだんあの顔に見えてきますよね?
ええ、間違いないです。
絶対思ってないじゃん、それ!
でもその後、5歳さんのライター講座の記事を読んで、「こんなにTwitterについてロジカルに研究している人がいるんだ!」と感銘を覚えました。フォロワー数がすべてではないですが、当時で僕の10倍以上のフォロワー数(約12万フォロワー)でしたし。単に漫画原作を書いてるだけでなく、すごく再現性の高いやり方で伸ばしたんだなと。
そもそも澤山さんはなんで編集者になったんですか? 昔から憧れてたとか?
いや、それが話すと長くなるんですが、高校生までの僕ってほんとに暗くて、そもそもなりたい職業がなかったんです。ゲームして飽きたら筒井康隆の本を読む、みたいな生活をしてました。「別に学校に行かなくても、外に出なくても、家の中にこんなに自由な世界があるじゃん」と思っていたんです。別に友だちがいなくたって、幸せな人生は送れると。
なかなかこじらせた青春時代ですね。
とはいえ大学からはちゃんと学校に行くようにはなったんですけど、今度は履修をミスして2回生で留年(笑)。
何もかもうまくいかない!
そう。で、留年したのがインターネット出始めたぐらいの時期だったんですね。そのときは『Google』よりも『Yahoo!』が主流の時期で。
あー、懐かしい。
当時は2ちゃんねるが全盛期でしたが、僕はより長文が書ける『Yahoo!掲示板』が好きでした。必然、他ユーザとの議論も長文の応酬でした。Twitterほど即レスが求められないので、反論のために図書館で文献をあさったりして。気がついたら、毎日2万字くらい書いていたんですよ(笑)。
毎日2万字ってやばいですね! でもそれが修行になったんですね。
そうですね。Yahoo!掲示板には文章を極めている人たちがたくさんいて、そういう人のテキストを日々読んでいたので「見る目」が養われていったんでしょうね。自分は長文を書くのが得意でしたし、議論する上で人の書いた文章にも細かくツッコミを入れていたので、「これって編集者に向いてるのでは」と思って。
すごい発想だなあ。
その後スポーツメディアを運営していた会社に新卒で入って、いろいろなメディアやSNSのプランニングを経験し、独立して今に至るわけです。
なるほど。しかし留年中のモラトリアム期間があって良かったですね。その時間がなければインターネットにそこまでのめり込むこともなかったはずなので。
結果として見ればそうですね(笑)。
バイト時代に始めたTwitterがターニングポイントになった
5歳さんは小さい頃、何になりたかったんですか?
僕は大工になりたかったんですよ。親父が職人をしていた影響もあるんですけど、いつか自分の手で家を建てたいと思っていて。当時団地に住んでいた子を10人ぐらい集めて、本格的な秘密基地を作ってました。
すごい、僕と違って友だちが多い……。
そして高校卒業したあとに親父と協力し合って、ついに本物の家を作ったんですよ。
ええっ!? そんなことできるんですか?
さすがに図面は大工さんが引いて枠組みは作ってくれたんですけど、あとは半年間かけて親父と作りましたね。それが実家です。
僕とは正反対の青春時代を過ごしてきたんですね。でもどうやって今に繋がってくるんですか?
大工の夢は家を建てたことで結構気が済んじゃって(笑)。その後は沢木耕太郎の『深夜特急』とかパウロ・コエーリョの『アルケミスト』に触発されて、旅人になったんです。
自由すぎる。
何年間か世界を飛びまわって楽しかったんですが、それと引き換えに結構な額の借金を抱えてしまったんですね。
さすがにやばいと思って、帰国後にひたすら働いたんです。寿司屋、パチンコ屋、生協の配達、マッサージ……いくつもかけもちして。
ということは、整体師としての経験もこの期間に培ってるんですね。
そうです! で、ちょうどそんなときにTwitterと出会って、ひたすら嫁との生活についてつぶやいてたんです。するとそんなつぶやきが注目されて「ライターとして書いてみないか」と依頼をくれる会社も出てきて。それがターニングポイントになって、今ではライターや整体師プランナーとして活動しています。あ、そうだ今度会社も作るんですよ!
バイト時代にTwitterを始めたことが、今に繋がってくるんですね。やっぱりTwitterは偉大だなあ。
Twitterと仕事は表裏一体。ただ、お金や責任というところでは明確に違う
そういや澤山さんって常にTwitterにいますよね。どんな生活してるんですか?
いやいや5歳さんこそ僕よりTwitterにいると思いますよ! 僕は朝方の生活をしていますね。朝8時くらいに子どもを保育園に送って、10時ぐらいに常駐先に行きます。だいたい、SlackとTwitterを同時に開いてますね。
もうやばい気がしてきた。
MTGが散発的にあるので、そこで適当にアイデアを出しつつ、18時に子どもを迎えに行くまでひたすらTwitterをしてます。もちろん昼寝するときもありますよ。
いやいや、ほとんど仕事してないじゃないですか!
同時にSlack開いてるので、バレませんよ! いかに効率的に仕事するかって話ですよ。もちろんやるときはやりますけど、フリーランスなので時給が高くなるように意識していますね。5歳さんはどんな生活してますか?
僕は結構真面目に仕事してるかも。少なくとも澤山さんよりは(笑)。
たいていの人類、僕よりも仕事してると思います(笑)。
僕は今、週2回出社してるんですよ。打ち合わせにもちゃんと出席してます。ただそれ以外は基本的に家にいますね。朝起きたらまずラーメン二郎に行って……。
仕事できます? それ。
今は本の執筆中なので、二郎のあとちゃんと書いてますよ。夕方に打ち合わせして、夜中の1~3時ぐらいまで原稿を書いてますね。
それでもTwitterに入り浸ってますよね。
澤山さんならわかってくれると思うんですが、もはやTwitterも仕事の一環なんですよ。トレンドを追っかけながら、「世界が今どうなってるのか」というのを常に把握しておきたい。それがいずれ自分が作るコンテンツに影響するので。
よくわかります。それに、僕は自分がいいと思ったものを沢山の人に広めるのが仕事なんですよね。自分の手掛けた記事や企画が話題になったときは嬉しいし、Twitterでのつぶやきがバズったときも同じぐらい嬉しい。
そうですね。ただその上で、最近考えていることがあって。
どんなことですか?
Twitterもいいんですが、ちゃんとクライアントがいて、その方たちが喜んでくれたときが一番嬉しいなって思うんです。(真面目な顔)
急にどうしたんですか!
いや、これ割と真剣に思っていて。文章を書いてお金くれる人って世の中になかなかいなくないですか? それは同時に「自分のコンテンツに責任が生まれる」ということなんですが、やっぱりお金を出してくれる人には全力で還元したいと思うんです。しかもその仕事でクライアントが喜んでくれたら、僕もものすごく達成感を感じるんですよ。だからお金をくれる人を大切にしたいなって。
たしかにそれはありますね。もちろんクライアントが喜んでくれるのは、書いた記事が良くて、さらにそれをたくさんの人が「面白かったです」と言ってくれた結果なんですけどね。
そうですね。だからTwitterは仕事と表裏一体なんですよね。ただ、お金や責任という点においては明確に違うんですよね。
ネットも現実も1年先はわからない。だから備えておくことが大事
そういったことを考えた上でTwitterをしている5歳さんはやっぱりプロですね。今後はどうしていきたいとかあるんですか?
そうですね、僕将来はキャンプ場のオーナーとかやりたいんですよ。ものづくりとか自然が好きなので。
やっぱり根幹は大工的な思想なんですね。
でも今はコンテンツの仕事が面白いから東京にいるし、しばらくはこの仕事を続けていきたい。だからなるべく飽きられないように、Twitterで今までにない投稿をするとか、ライターだったら新しいテーマで書いてみるとか、面白いことを常にやっていきたいなと思ってます。澤山さんは?
将来のビジョンはあまりないんだけど、『猫足立ち』みたいな状態でいたいなと。
猫足立ち? なにそれかわいい。
僕いちおう有段者なんですが、猫足立ちっていうのは空手の立ち方のひとつです。どの方向から攻撃が来ても素早く避けられ、反撃できる態勢のことです。ネットの世界は目まぐるしく変わるし、僕たちは1年先も読めない世の中に生きているわけです。何が起きても乗り越えられる、猫足立ちのようなスタンスで備えておく。これが大事ですね。
Twitterで叩かれてメンタルやられないようにしなきゃね(笑)。
そのときはTwitterの師匠である5歳さんに頼らせてください(笑)。
もーしょうがないなあ。
(文章/高山諒 カメラ/Hide Watanabe 編集/サカイエヒタ)
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