所得とは? 手取りとの違いや計算方法を図解で解説!

「年収400万円」って聞いていたのに、実際にもらえる金額はそれより少ない……。どうして!? そのように戸惑ってしまうのは、「収入」と「所得」の違いを理解していないからかも。二つの言葉の意味の違いを正しく学んでおきましょう。

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「あなたの年収はいくらですか」保険に加入する際や住居の賃貸契約を結ぶとき、そんなことを尋ねられますよね。いくらくらいだろうな……と「収入額」を思い浮かべるものの、そこでふと気づきませんか?

「あれ、年収よりも実際にもらえる金額って少なくない?」そう、会社から伝えられている年収と実際の支給額には乖離があります。一体どうして……。その疑問を解決するためには、「収入」「所得」の違いを理解する必要があるのです。

「所得」と「収入」はなにが違う? 「手取り」はどっち?

「所得」と「収入」と「手取り」。これらの言葉は似ているようで、それぞれ大きく異なります。この3つを端的に表すと以下のようになります。

所得:収入から経費や税金を差し引いた金額
収入:給与やボーナスなどをすべて合算した金額
手取り:実際に銀行口座に振り込まれる金額

次以降で各項目を詳しくみていきましょう。

「月給」「月収」にも違いがある!

「収入」とは?

「収入」は会社が支払う総支給額を意味します。一般的な給与明細には「総支給額」「控除合計額」「差し引き支給額」が記載されていることが多いはず。「収入」はこの「総支給額」のことを指し、会社が支払う給与総額を意味します。なお、収入は「給与」や「額面」というと同じ意味合いで使われる言葉です。

「所得」とは?

「所得」は所得税を計算するために算出されます。収入をもとに算出されるのが「手取り」と「所得」です。どちらも収入(総支給額)から各種項目を差し引いて計算されるのですが、総支給額から「給与所得控除額」を引いた金額を一般に「所得」といいます(会社員の場合、「給与所得」が正式名称)。なお、給与所得控除額は以下のように収入の額に応じて変動します。

【給与所得控除額の一覧表】

給与等の収入金額

給与所得控除額

(給与所得の源泉徴収票の支払金額)

 (令和2年分以降)

1,625,000円まで

 

550,000円

1,625,001円から

1,800,000円まで

収入金額×40%-100,000円

1,800,001円から

3,600,000円まで

収入金額×30%+80,000円

3,600,001円から

6,600,000円まで

収入金額×20%+440,000円

6,600,001円から

8,500,000円まで

収入金額×10%+1,100,000円

8,500,001円以上

 

1,950,000円(上限)

引用:国税庁HP「No.1410 給与所得控除」より

ちなみに、給与所得(=収入ー給与所得控除)から、さらに年金や社会保険料などの所得控除を引くと「課税所得」が計算できます。この課税所得に一定の割合をかけて、最後に控除額を引いた額が支払うべき「所得税」となります。

【所得税の計算方法】
(給与所得ー所得控除)× 所得税率 = 所得税の金額

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円

1,950,000円 から 3,299,000円まで

10%

97,500円

3,300,000円 から 6,949,000円まで

20%

427,500円

6,950,000円 から 8,999,000円まで

23%

636,000円

9,000,000円 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000円

18,000,000円 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000円

40,000,000円 以上

45%

4,796,000円

引用:国税庁HP「No.2260 所得税の税率」より

「手取り」とは?

「手取り」は銀行口座に実際に振り込まれる可処分所得を意味します。手取りは総支給額から所得税や健康保険料、厚生年金、組合費、確定拠出年金などの項目をすべて差し引いたあとに残った金額です。言い換えれば、自分の口座に振り込まれるお金であり、普段の生活で「自由に使えるお金=可処分所得」といえるでしょう。

<関連>
年俸制の給与は月給制とどう違う?

月給・年収の額面から手取りを簡単に計算する方法

諸経費や税金が差し引かれる「手取り」は、おおよそ額面金額の75~85%になるといわれます。もし手取りがいくらになるのかを知りたければ、収入(給与明細における総支給額)にその割合をかければだいたいの手取り金額がわかります。

例えば、月給が30万円の場合、手取りは「22.5~25.5万円」ほどになります。また、年収も同じように計算することができ、年間給与が500万円だとすると手取り目安の下限値は「375万円(=500×0.75)」、目安の上限値は「425万円(=500×0.85)」というふうに算出できます。

図解で解説!収入・所得・手取りの違い

いろいろな用語が登場したので、いったんここで整理しましょう。「収入」とは、会社が支払う総支給額。所得税を計算するために算出されるのが「所得」で、実際に銀行口座に実際に振り込まれる可処分所得が「手取り」となります。

上記で説明した内容を簡単にまとめると以下のようになります。

 

収入

所得

手取り

内容

会社が払う金額
(残業代、住宅手当などを含む)

収入から給与所得控除を引いた金額

自分の口座に実際に振り込まれる金額

給与明細における
文言

総支給額

給与明細には記載されていない

差し引き支給額

同義語

年収、月収、給与、額面

給与所得(事業主の場合は事業所得)

可処分所得

さらに図解するとこんな感じ。所得と手取りは両方とも収入から必要項目を差し引いて計算されますが、その引く中身が違う点を理解しておきましょう。

 

 

 

合わせて知っておきたい!年末調整・源泉徴収票とは?

収入や所得の違いがわかったところで、「源泉徴収」や「年末調整」についても知っておきましょう。ビジネスパーソンであれば一度は耳にしたことのある言葉ですが、意外と仕組みや意味を理解している人は多くありません。「源泉徴収」と「年末調整」は、どちらも所得税に関する用語です。

源泉徴収とは?

会社から給与が支払われる際、一般的に総支給額から所得税が差し引かれてお金が振り込まれます。これを「源泉徴収」といいます。ご自身の給与明細にも「所得税」の控除項目の記載があるはずです。この毎月の給与明細に記載されている所得税の金額はあくまで概算の値。1年が終わった段階で実際の所得をもとに所得税を計算されます。

源泉徴収票を確認すると、自分の年収や所得の金額などを把握することができます。

年末調整とは?

年末調整とは、毎月の給与で概算としていた「1年間で源泉徴収した合計額」と「本来徴収すべき所得税の総額」の差額を計算するために行われます。なお、給与金額や家族構成の変更、生命保険の支払いなどがある場合、年末調整を行うことで過不足金が生じることがあります。最終的に概算の所得税合計を計算し、それが記載されたものが「源泉徴収票」です。  

【まとめ】「収入」と「所得」を一言で表すと

今回、解説した「収入」と「所得」の違いを一言で表すとこちら。

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会社から「あなたの年収は400万円です」と伝えられているからといって、400万円を丸々使えるわけではありません。実際にはさまざまな税金や社会保険料、経費が引かれ、「手取り」として支給されるのです。

だからこそ、「収入」と「所得」の違いを理解していないと、なんだか損しているような騙されているような気持ちにも。本記事で、二つの言葉の意味について学んでおきましょう。

文=まいにちdoda編集部
イラスト=前田はんきち
編集=五十嵐大+TAPE

【参考記事】
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