【結婚式・披露宴】4万円のお祝い金はダメ! 祝儀袋から金額までご祝儀の基本を学べるマナー講座

社会人になると、友人や職場の同僚などの結婚式に招待される機会が多くなります。気持ちよくお祝いするために知っておきたいのが、ご祝儀のマナー。意外と知らないご祝儀の金額や渡し方を確認しておくことで、いざというときの不安を解消することができます。そこで今回は、NPO法人日本サービスマナー協会でゼネラルマネージャーマナー講師を務める松原奈緒美さんに、結婚式のお金のマナーについて教えていただきました。

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一般的なご祝儀はなぜ3万円なの?

披露宴の費用は意外とかかる!

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ご祝儀の金額は、年齢や会社内での役職、新郎新婦との関係性で変わってきますが、通常3万円を用意するのが一般的です。というのも、披露宴で参列者にコース料理を提供する場合、新郎・新婦は1人あたりドリンクも含めて1万5千円以上かけていることも少なくありません。それとは別に引出物など諸々の費用がかかります。料理代+引き出物代にお祝いの気持ちを添える意味で、3万円以上を贈りたいところです。

親族や会社の上司がご祝儀を贈る場合

おじ・おばや兄弟姉妹など、関係性が深い場合は5、7、8、10万円程度を包みます。偶数の金額は「割り切れる」ため避けられる傾向にありますが、末広がりで縁起の良い「8」は例外です。また「10」については偶数と捉えるのでなく、「奇数の5の倍数」として考え、結婚する両家が互いに手を結び合って縁結びをする意味で良いとされています。

上司が部下の式に出席する場合には、5万円以上を包むこともありますが、業界によって金額が異なります。出席者が社内で何人かいる場合は、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。

昨今のカジュアルなパーティーの場合は、ペアを意味する2万円を包むケースもあります。パーティーの主旨などを確認して包むと良いでしょう。

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また、小学生などの子どもが出席するため、子ども向けの食事を用意してもらった場合は、プラスアルファでご祝儀を贈るようにしましょう。夫婦(大人2名)と子ども1名で出席する場合には7万円、あるいは5万円+お祝いの品というのが一般的です。両親のどちらか一方(大人1名)と子ども1名の場合、5万円を用意するのが厳しければ、3万円+お祝いの品ということも考えられます。

また、急な欠席は新郎新婦の負担になるため、渡すのを予定していたご祝儀(3万円程度)を全額贈った方が良いでしょう。基本は直接渡してお祝いを伝えたいところですが、会うのが難しい場合はご祝儀袋に入れて、手紙とともに現金書留を利用します。

もし、招待状を返す際にあらかじめ欠席が分かっている場合には、挙式当日にお祝いを届けるのが良いでしょう。その際の品物は、お返しの負担を感じさせない範囲で贈るのが一般的です。例えば、新居で使える実用的なものを選んだり(火を連想させるものを避ける)、ペアで使える品物を贈ったりするなど。関係性が近い場合には、事前に欲しいものを聞くのも良いかもしれません。

カラーの祝儀袋を買うときにはココをチェック!

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ご祝儀は、直接・郵送を問わず、祝儀袋(のし袋)に入れて渡すのがマナーです。最近はカジュアルなカラーの祝儀袋も多くなり、マナー違反だと言われることはありませんが、その際に注意するべきなのは、袋を中央で止めている「水引」の結び方です。「水引」は贈答品にかける紙ひもで、祝儀袋には飾りのひもとしてつけられています。

結び方には「結びきり」と「蝶結び」の2種類がありますが、結婚式には一度結んだらほどけない「結び切り」を使います。結婚は一度きりが良いとされているからです。鶴の形など華やかな「飾り結び」になっているものもあり、それらも結婚式では良いとされています。10万円など金額が大きい場合は、それに合わせて豪華な水引の袋を使った方が良いでしょう。

また、祝儀袋の右上には通常「のし」がついていますが、これは「良いことが長く続きますように」という願いを込めてつけるものです。現在は紙で簡略化されていますが、昔はアワビを伸ばした「のしあわび」を使っていました。一部には「のし」が付いていないものもあるので、確認した方が良いでしょう。

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祝儀袋の表書きは「寿」「御祝」が一般的です。名前など文字を書く際には、濃い墨のペンを使うようにしましょう。「消えない」「かすれない」「にじまない」ことが大切です。

連名の場合は、中央に代表者の名前を書き、そこから左へ順番に名前を書きます。3名以上の場合は、代表者の左に「外一同」などを記載しますが、その際には必ず連名の内訳を書いた別紙を同封するようにしましょう。連名の内容が分からないと内祝を返したいときに、誰に返せば良いのか分からなくなってしまいます。

意外と知らない「ピン札」と「新札」の違い

内袋の書き方は?

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祝儀袋の中には「中包み」と呼ばれる白い内袋が入っています。表側には金額を縦書きで書き、裏側に自分の住所と名前を記載します。金額を書く際には、通常の数字ではなく漢数字を使用しましょう。

  • 「一」→「壱」
  • 「二」→「弐」
  • 「三」→「参」
  • 「五」→「伍」、
  • 「十」→「拾」
  • 「千」→「仟」
  • 「万」→「萬」

大切なお金の入れ方

肝心のお金は「ピン札」ではなく「新札」を入れるのが望ましいとされています。

見た目は同じかもしれませんが、両者には明確な違いがあります。ATMなどで偶然入手することが多い「ピン札」は、何人かの手を渡ってきています。その一方、銀行の窓口などで入手する「新札」はより新しく、新生活をスタートする結婚式にふさわしいと考えられています。また、新郎新婦のために新たに用意することで「お祝い」の意味も加わります。

用意したお金を内袋に入れる際には、札の向きに気をつけましょう。札は表を向けて、肖像画が上向きになるように入れます。

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祝儀袋は必ず、「袱紗(ふくさ)」に入れて式場に持参します。ご祝儀は新郎新婦への“ギフト”なので、その袋を汚さないことが肝心です。購入した贈答品を紙袋へ入れるように、必ず袱紗に入れるようにしましょう。ポケットやバッグに直接入れるのはマナー違反です。

紫色の袱紗ならお祝い事と弔事の両方で使えるので、社会人になったら一つは用意しておくことをオススメします。包み方に自信がない方は、畳まずに入れるだけの簡略式の袱紗を購入するのも良いかもしれません。

以上が結婚祝いのマナー解説です。結婚式は新郎新婦の門出であり、感動的なイベントです。そんな結婚式を心の底から楽しむためにも正しいマナーを知った上で出席しましょうね。

取材協力=NPO法人日本サービスマナー協会
文=平原健士(iPPON COMPANY GROUP)
編集=野田綾子+TAPE

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【監修者プロフィール】

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松原 奈緒美
NPO法人 日本サービスマナー協会 ゼネラルマネージャー講師
EXSIA代表。
講演・研修年間約150登壇。様々な企業研修、講演を担当し、延べ35000名以上を指導。「マナー講師養成講座」「プロフェッショナルマナー講師養成講座」では、プロ講師育成や認定試験官担当。テレビ、雑誌などにも多数出演。Eラーニングやマナー映像監修なども多数行い、企業内マナー映像も手掛ける。

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