皆さんは普段、会議をどのように進めていますか? 「いつも大人数で、役職が上の人が話をしているのを聞いているだけ」「いつの間にか何の話をしているのか分からなくなり、ついていけなくなっている」という人もいるかもしれません。これでは会議時間が無駄な時間になってしまいます。そこで今回は、会議の質を上げるためのテクニックの1つ「会議を『地上戦』に持ち込む」ことをご紹介します。
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会議を見える化する「地上戦」
「地上戦」とは、話の内容を「見える化」することです。逆に、会話だけで議論を行うことを「空中戦」と呼んでいます。なぜ、地上戦に持ち込む必要があるのでしょうか。
会話だけで会議を進めてしまうと、いつの間にかテーマがすり替わっているのに、そのことに気付かずに話し続けてしまい、本題からずれた話が長時間に及んでしまうということがあります。さらに、予定していた時間を過ぎていることにすら気づかない、なんていうことも。特に議論をした上で何かを決定するような会議や、進捗を確認して対策を整理する会議などには、会話だけの「空中戦」は不向きです。そのため、会議を効果的に進めるには、何を話しているのか、どこまで話が進んだのかが素早くかつ視覚的にも分かりやすく理解できる「地上戦」を適切に取り入れる必要があるのです。
会議における「地上戦」の具体的な方法
では、「地上戦」はどうやればいいのでしょうか。地上戦にもさまざまな方法がありますが、今回はホワイトボードの有効活用と、付箋を利用した情報整理法をお伝えします。
ホワイトボードをフル活用して「地上戦」に持ち込む
会議室内に設置されているホワイトボードを有効活用して、会議を地上戦に持ち込みましょう。
まず、ホワイトボードの左上に会議の目的を書きます。「営業部戦略会議」など会議のタイトルを書いてしまうことが多いのですが、それで終わりにせず、「今後3カ月間の営業戦略を全員が理解すること」など会議が終わった後のゴールを書くことがポイントです。会議終了時の状態やゴールを最初に「見える化」しておくと、議論が脱線したときにもそれに気付きやすくなります。
次に、議題ごとの時間配分の目安もホワイトボードに記載しましょう。話し始めると議論が白熱して延長してしまうこともありますが、目安からどの程度ずれたかが素早く把握できるので、後半の議題で時間調整しやすくなります。
また、会議終了後にホワイトボードの写真を撮ると議事録代わりにもなります。何が結論なのか、ポイントはどこか、ホワイトボードマーカーの色を変えて記載しておくと分かりやすくなりますね。
付箋を活用した「地上戦」の情報整理術
付箋を利用した情報整理法にはどのようなものがあるのでしょうか。付箋は会議をうまく進めるためにとても便利なツールですので、使い方を覚えておくと便利です。
最初に、会議に参加している人全員に、付箋とサインペンを配りましょう。ボールペンだと文字が細くて見えにくいことがあるのでサインペンが適しています。そして、参加者から意見を求めたいときやアイデアを集めたいときに、1枚の付箋にひとつの意見・アイデアを書いてもらいます。まさに意見やアイデアの「見える化」です。書いてもらった付箋はホワイトボードやA3用紙などに貼っていきます。近い意見や似たアイデアは近くに貼るとスピーディにまとまります。
コツは、記載時間を1~2分と短めに設定すること。タイムプレッシャーをかけることで脳が活性化しますし、飽きて違うことをし始める人の発生防止にもなります。また、無言で貼られるとどんな意見なのか周りの人は把握できず、意見が漏れてしまうこともあります。付箋を共有するときは、書いてある内容を読み上げながら貼るように会議を進めることが大切です。
付箋を使うメリットは他にもあります。たとえば、「部長の後で発言しよう」などの忖度をせずに意見が出せるところも大きなメリットです。役職で意見の良し悪しが決まるわけではありませんから、本質をついた意見をピックアップすることにつながり、会議の質向上を実現できます。また、多様な意見が一面に貼り出されますので、全体を俯瞰して見ることができます。もともと設定していた会議のゴールからずれていないかの確認もしやすくなりますね。
いかがでしたか? 会議の方法を「空中戦」から「地上戦」にすることで会議を効率的に進められるようになると、会議の質も改善できます。ホワイトボードや付箋はオンラインでも使えるツールが出てきていますので、早速取り組んでみてくださいね。
文=大塚万紀子
編集=矢澤拓
【プロフィール】
大塚万紀子
楽天を経て06年(株)ワーク・ライフバランスを小室淑恵とともに創業。高いコミュニケーション力やコーチングスキルを活かし売上利益に貢献する働き方改革コンサルティングの先駆者。心理学や組織論等をもとに多様性をイノベーションにつなげることが得意。経営者から”深層心理まで理解し寄り添いながらも背中を押してくれる良き伴走者”と厚い信頼を得る。農林水産省「食品産業戦略会議」委員(働き方改革分野担当)なども担当。二児の母。
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