EQとは? 高い人はどんな特徴がある? IQとの違いも解説

EQとはどのような能力であり、EQの高い人にはどのような特徴があるのでしょう。EQを高めながら、仕事を楽しく意欲的に進めていくためのポイントを産業カウンセラーの大美賀直子さんに伺いました。

EQとは

近年、ビジネスの世界では「EQ」という言葉が話題になっています。「EQ」とは感情の知性と呼ばれるもので、自他の感情をよく理解し、感情を上手に扱いながらセルフマネジメントを行い、対人関係を円滑に進める力を意味します。EQは日常生活や仕事の中で高め、活性化していくことができます。

日本語では「心の知能指数」

「EQ」とは、Emotional Intelligence Quotientの略語であり、日本語では「心の知能指数」と訳されます。1990年代にアメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンが提唱した概念で、『EQ こころの知能指数』という本が全米でベストセラーとなり、日本でも1996年に翻訳本が出版され、空前の「EQブーム」となりました。EQはその後もさまざまな分野で研究が進められてきましたが、近年ビジネスの領域で再びEQの概念が注目されるようになりました。

IQとの違いはなに?

いわゆる「頭の良さ」を測定する指数として「IQ」(知能指数)があり、IQが高い人ほど高度で難しい課題を解決する力を持ち、一般的には「仕事ができる人」と見なされることが多いと思います。しかし、いくらIQが高くて高度な仕事を処理することができたとしても、感情を上手に扱うことができなければ、仕事は円滑に進まなくなってしまいます。そこで、仕事においては「IQ」つまり「頭の良さ」にばかり注目するのではなく、「感情の知性」すなわち「EQ」を高めることが大切であると考えられるようになりました。

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ビジネスシーンで重要視されるEQ

ビジネスでは、「EQ」の発揮を求められるシーンがたくさんあります。特に、集団で仕事を進めるにあたっては、コミュニケーションを通じて仕事を円滑に処理していく必要があるため、感情を上手に扱う能力としてのEQが重要視されているのです。多くのビジネスシーンでは、仕事を一人だけで決断して遂行することはできず、周りと連携して考え、進めていくことが求められます。そのためにも、EQを高めていくことは非常に重要になります。

対人関係を良好に保ち仕事を進めることができる

EQが高い人は、対人関係の構築を非常に大切にしています。周りの人と日頃からよいコミュニケーションをとり、信頼関係を築けていれば、仕事にトラブルが発生したときにも素早く連携し、よりよい解決策を見つけることができるからです。仕事のトラブルは、いつどのようなシーンで起こるか予測できないものであり、一人で解決しようとしても限界があります。周りにサポートを依頼し、互いの解決策を持ち寄ることによって、柔軟で高度な解決が可能になります。

リーダーシップを発揮し良いチームづくりができる

EQの高さは、リーダーシップの発揮にも良い影響を与えます。EQが高いと仲間の感情をよく理解できるため、メンバーが困っているときには声を掛けてサポートし、メンバーが困難を乗り越えたときにはねぎらいと称賛の言葉を掛けて、さらなる挑戦意欲を引き出すことができます。そしてEQが高い人は、チームは一人一人の前向きな感情によって支えられ、運営されていることをよく理解しているため、メンバーから慕われ、尊敬されます。

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EQが高い人の特徴7つ。仕事にどう活きる?

EQが高い人にはどのような特徴があり、仕事のどのようなシーンで生かすことができるのでしょう。EQが高い人の7つの特徴と、それぞれの特徴が仕事のどのようなシーンで活用されているのかを解説します。

柔軟性があり、物事に臨機応変に対応できる

仕事の状況や流れを見ながら柔軟に動き、臨機応変に対応することができるのも、EQの高さによるものです。EQが高い人は、例えば、通常はマニュアルに従った対応を行いながらも、相手の表情やしぐさから状況や要望をくみ取りながら、別の角度からのサービスなども適宜組み合わせて提案したりすることができます。相手の感情を察しながら、柔軟かつ臨機応変に対応することができるため、仕事の精度が高くなります。

共感力が高く、相手の心情を受け止められる

相手の気持ちに共感することができるのは、EQが高い人の代表的な特徴です。たとえ自分には経験のないことであっても、自分が相手の立場に置かれたらどう感じるだろうと常に想像し、相手が抱いている感情をできる限り相手の立場で理解しようと努めます。そのため、相手に「自分の気持ちを親身になって受け止めてもらえた」という実感を与えることができます。

失敗や指摘も素直に受け入れる

失敗したときや間違いを指摘されたときにも感情的にならず、人の指摘を素直に受け入れることができるのも、EQの高さによるものです。EQが高い人は、失敗や間違いは「正すべきもの」として真摯(しんし)に受け止めて反省しますが、指摘を受けたことで「自分自身の人格まで責められ、否定された」というようにネガティブに深読みすることはありません。失敗した自分を過剰に責めたり、間違いを指摘した相手を逆恨みしたりすることはなく、まっすぐに自分の過ちを認め、自分の行動を正すことができます。

傾聴力が高く、聞き上手

EQが高い人は人の話によく耳を傾け、相手の意図を深く理解しようと努めるため、優れた傾聴力を持ち、人の相談にしっかりと対応することができます。たとえ相談内容が仕事の愚痴であっても、その話のなかから相手の頑張っている姿勢や誠意を肯定的に読み取り、温かみのある姿勢で相手の感情に寄り添います。聞き上手なのでたくさんの相談が寄せられます。

我慢しすぎず、ストレスを適切に管理できる

つらいときには感情に流されず、冷静に判断することが大切ですが、この行動にもEQが関わっています。EQが高い人は難しい仕事が重なって限界を感じたときに、「自分だけが我慢することで、なんとか乗り越えていこう」というように考えることはありません。自分自身のつらい状況を周囲の人に説明し、締め切りの調整やサポートの依頼をするなどして話し合いをし、ストレスを適切に管理できるよう行動します。

粘り強く仕事に取り組める

EQが高い人は、物事を一時的な感情で判断するのではなく、目的を明確にしながら取り組みます。そのため、粘り強く仕事に取り組むことができます。同じ仕事を何年も続けていくと、飽きが生じて意欲を失いがちになるものですが、そうしたときでも常に新しい目標を見つけ、目の前の目標を達成することを楽しみにしながら、前向きな気持ちで仕事を続けていくことができます。

苦しいことがあってもポジティブに捉えられる

誰にでも思いがけず逆境に置かれることがあり、逆境のどん底に陥ったときには、強く落ち込んでしまうものです。そんなときでも、EQが高い人はネガティブな感情にとらわれたままにならず、希望を見いだしながら再び前進することができます。ネガティブな感情は実体がなく、考え過ぎても意味がないということを理解しているため、周囲と連携しながら一歩ずつ前進することによって、逆境を乗り越えていけると考えることができます。

EQを構成する能力ってどんなもの?

EQ研究の第一人者であるサロベイ博士とメイヤー博士によると、EQを構成する要素は、「感情の識別」「感情の利用」「感情の理解」「感情の調整」という四つの能力に分けられます。それぞれの能力について説明します。

①感情の識別

自分の感情を認知し、他人の感情との違いを識別することのできる能力です。例えば、ある共通の出来事に遭遇したときでも、自分の感じ方と他人の感じ方はそれぞれに異なります。似たような感情であっても、人はそれぞれに微妙に違う感じ方をしているものです。EQには、この自他の感じ方の違いをありのままに受け止める「感情の識別」の能力が必要です。

②感情の利用

何かの課題に取り組む際には、前向きな感情をつくりだすことによって、モチベーションを高めて取り組むことができます。逆に思いがけず失敗したときには、「失敗は成功のもとであり、これも大きな学びであった」というように前向きに捉えることによって、再起への意欲をつくりだすことができます。EQには、必要な場面に応じて自分の行動に役立つ感情をつくりだすことができる「感情の利用」の能力が必要です。

③感情の理解

人の行動を左右するものの一つに、本人も気付きにくい心の底の感情が存在しているものです。例えば、「これをやり遂げたい!」と意欲はあるのに具体的な行動を起こすことができず、途方に暮れている人がいます。これは本人の心の底に、意欲と異なる感情があるためです。このように、EQには自他の心にある感情を深く読み取り、理解する「感情の理解」の能力が必要です。

④感情の調整

上記の①感情の識別、②感情の利用、③感情の理解という三つの要素を活用しながら、目標達成のためにどのような行動をとるべきかを考える必要があります。例えば、自分のミスを強い口調で指摘されたときには、怒りや失望などのネガティブな感情に振り回されずに「信頼を回復するために全力を尽くそう」と前向きに考え、相手の感情を理解して善処策を提案していくことが必要になります。このようにEQには、①感情の識別、②感情の利用、③感情の理解という三つの要素を活用して、とるべき行動のために「感情の調整」をする能力が必要です。

EQを高めるには? 明日からできる5つのこと

EQを高めるためには、日常の中で自他の感情に気付き、一時的な感情に振り回されずに感情を上手に活用する体験を数多く持つことが必要です。明日からできる5つのことをお伝えします。

傾聴を意識して人と対話する

傾聴の経験をたくさん持つことは、他者の感情を理解し、感情を大切に扱う習慣が身に付くため、EQを高めるのに役立ちます。人から相談を寄せられたときには、相手の立場に立ってじっくりと話を聞きましょう。「こうするべきなのではないか」「なぜこうしないのだろう」といった自分自身の価値観を押しつけず、真摯(しんし)に相手の話に耳を傾けること。すると、人の感情を深く理解する力が身に付きます。

人や物事のよい面を見いだして言葉にする

EQを高めるためには、感情をプラスに役立て、生かしていくことが必要です。そのためには、人や物事のよい面を見いだして、それを言葉にするという習慣を持つようにするとよいでしょう。例えば、仕事のスキルが低い人を「仕事がデキない人」と捉えるのではなく、「仕事の伸びしろのある人」というように前向きに捉え、その言葉を相手に伝えていくとよいでしょう。このような習慣を持つと、人や物事をおおらかに捉えることができ、よりよい対人関係を築くことができます。

逆境にあってもポジティブな考え方をする

思いがけず逆境に陥ってしまったときこそ、EQを高めるチャンスです。逆境に陥ると落ち込みますが、その感情を放置するとネガティブ思考にはまり、希望を見失ってしまいます。逆境においては「この局面だからこそ伸ばせる力があるはずだ」というようにポジティブに考えていくと、感情が前向きに変化し、状況を打開するためのアイデアが生まれてきます。

衝動的に行動せず一呼吸置いて冷静になる

自分の感情をコントロールできず、怒りに駆られて攻撃的な言葉を口走ってしまったり、うれしくて有頂天になり相手の都合を無視して連絡してしまったりすると、EQは育ちにくくなってしまいます。強い感情が湧いたときには、その感情のままに衝動的な行動をせず、一呼吸置いてから次の行動を起こすようにしましょう。冷静になると、一時的な感情から上手に距離をとり、最も適切な行動を選択して行うことができます。

EQが高いと思われる人と積極的に関わる

EQを高めるためには、EQが高いと思われる人との関わりを増やし、その人の考え方や振る舞いから学んでいくことが大切です。人の話をよく聞いて共感しながら接する人、物事のよい面を見いだしてそれを言葉にして伝えている人、逆境でも希望を見いだして前進している人、一時的な感情に振り回されずに冷静に対処する人。このような特性を持つ人は、EQが高いと思われます。ぜひ積極的に関わることで、たくさんのよい影響を受けていきましょう。

まとめ

EQは、誰もが心掛け次第で伸ばしていくことのできる能力です。ぜひ、日常生活や日ごろのコミュニケーションのなかで、自他の感情の微細な違いに気付き、物事をポジティブに捉えて意欲を高めたり、感情を深く理解したりしながら、感情を上手に活用していきましょう。ストレスを軽減でき、モチベーションを高めながら仕事に挑戦していくことができるでしょう。

【プロフィール】
大美賀 直子(おおみか なおこ)
メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士(以上、国家資格)、産業カウンセラーの資格を持つ。「こころと人生と人間関係のベストバランス」をテーマに、カウンセリング、講演、執筆活動を行う。働く人のメンタルケアに関する造詣も深く、テレビ、新聞、雑誌、インターネットを中心に情報を発信。企業研修でも好評を得ている。『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』『サイボーグを目指さないことにした働く私の「自分時間」』(アスカビジネス)、『どうして会社に行くのが嫌なのか?』(アスキー新書)などの仕事に関する著書も出版。
大美賀直子|メンタルケア・コンサルタントーこころと人生と人間関係のベストバランスを提案 - 大美賀直子(メンタルケア・コンサルタント)の公式HP (mentalcare555.com)

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