「ご了承ください」とは、「こちらの事情を理解してください」という意味で使う言葉です。丁寧な表現ですが、目上の人に使うと失礼にあたります。
ビジネスシーンで失敗しないために、本記事で「ご了承ください」の意味や注意点などを理解しておきましょう。
「ご了承ください」の意味
「了承」とは、「事情を汲み取り、納得すること」を意味します。「了承」に丁寧語の「ご」や「ください」を付けた「ご了承ください」は、「こちらの事情や提示要件を理解・納得してほしい旨」を丁寧に説明したフレーズです。
「ご了承ください」を使用する際の注意点
「ご了承ください」は丁寧な表現ですが、使い方を間違えると失礼な印象を与えかねません。ここでは、「ご了承ください」を使用する際の注意点を2つ解説します。
ビジネスシーンで目上の人に使うと失礼
丁寧な言葉のため、つい「ご了承ください」を上司や取引先など、目上の人に対して使いがちです。しかし、「ご了承ください」はこちらが提示した要件や提案について、相手に選択する余地を与えていないため、ビジネスシーンで目上の人に使うと失礼にあたります。
目上の人に対して、どうしても理解・納得してもらわなければならない場面では、「ご了承いただけますか」と疑問文で表現するようにしましょう。
「ご了承いただけますでしょうか」は誤用とする人もいる
こちらの事情を先方に納得してもらうのが申し訳ないという気持ちで、「ご了承いただけますでしょうか」と丁寧に表現することもあるでしょう。しかし、このフレーズには、「ます」と「です」が混在しているため、「二重敬語で誤用」と捉える見方もあります。
二重敬語とは、同じ種類の敬語を二つ重ねた言葉です。二重敬語は一見丁寧に見えますが、一般的に慇懃無礼で失礼とされています。
その一方で、「でしょうか」は「だろうか」を丁寧に表現した言葉ととらえることも可能です。その場合、「でしょうか（だろうか）」は「ます」に添えられた言葉のため、二重敬語にはあたりません。
つまり、「ご了承いただけますでしょうか」が「誤用」とは言い切れないのです。ただし、「誤用」だと考えている人が一定数いるため、相手の誤解を招くことがないように、使用は極力避けた方が無難でしょう。
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「ご了承ください」の正しい使い方・例文
「ご了承ください」の正しい使い方ができるように、3つの例文を確認していきましょう。
あらかじめご了承ください
「あらかじめご了承ください」を用いて以下のように表現できます。
混雑を避けるため入場制限をさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
ただし、「ご了承ください」は、敬語として不十分ととらえられるおそれがあるため、使用には注意が必要です。
何卒ご了承くださいませ
「何卒ご了承くださいませ」は、「ご了承ください」と言い切るよりも丁寧な印象を与えます。顧客に対し、以下のように使用可能です。
本日はまもなく閉店となります。ご了承くださいませ。
ご了承くださいますようお願い申し上げます
「あらかじめご了承ください」や「ご了承くださいませ」よりもさらに丁寧に表現した敬語が、「ご了承くださいますようお願い申し上げます」です。目上の人やお客様にどうしても理解してもらわなければならない場面では、以下のように表現するとよいでしょう。
費用をご負担いただく場合がございます。あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。
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「ご了承ください」の言い換え表現は？
「ご了承ください」には、いくつかの言い換え表現があります。ここでは、「ご承知おきください」「ご容赦ください」「ご理解ください」の意味や例文を確認しておきましょう。
ご承知おきください
「承知」は「事情などを把握すること」の意味です。「ご承知おきください」と使うことで、相手に事情を知っておいてほしいことを伝えられます。
ただし、「ご了承ください」と同様に、目上の人に使うと失礼になるため、注意しましょう。
「ご承知おきください」の例文
この度、書式を変更いたしました。ご承知おきください。
ご容赦ください
「容赦」の意味は、「大目にみること」「許すこと」などです。「ご容赦ください」を使うことで、「大目にみてください、許してください」という気持ちを伝えられます。
「ご了承ください」と比べ、「ご容赦ください」は謝罪の場面で使われる言葉です。また、目上の人に使うと失礼にあたる場合があります。
「ご容赦ください」の例文
なお、本メールと行き違いになった場合は、何卒ご容赦ください。
ご理解ください
「ご理解ください」は、「理解してほしい」ことを丁寧に伝えた表現です。「ください」と言い切っているため、他の表現と同様に、目上の人にはできるだけ使用しないようにしましょう。
また、自分に非がある場合は、「ご理解」ではなく「ご容赦」の方がなじみます。
「ご理解ください」の例文
○○に関しては、お答えすることができませんので、ご理解ください。
「ご了承ください」は意味を理解した上で使おう
「ご了承ください」とは、相手に選択肢を与えず、こちらの事情を理解してもらう際に使用する言葉です。そのため、目上の人に対して使うと失礼な印象を与えかねません。
目上の人に対して、どうしても事情を理解してもらわなければならない場合は、より丁寧な敬語表現である「ご了承くださいますようお願い申し上げます」を用います。今後は、状況や相手の立場を考慮した上で、意味を十分に理解して「ご了承ください」を使用しましょう。
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