- 「先見の明」「先見の目」どっちが正しい?
- 「先見の明」とは
- ビジネスシーンにおける「先見の明」の使い方と例文
- 「先見の明」の言い換え表現・類語
- 「先見の明」の対義語
- 「先見の明」の英語表現
- 「先見の明」は先を見通して対応できる力
「先見の明」は、ビジネスで理由を説明する場面や人物像を語る場面などで使われる言葉です。上司や取引先に違和感を与えないために、使用する際は読み方や表現方法などに気をつける必要があります。
本記事では、「先見の明」の正しい使い方を解説します。
「先見の明」「先見の目」どっちが正しい?
「先見の明」が正しい言葉で、「先見の目」は誤用です。会話中に「先見の明」と「先見の目」のどっちが正しいかわからなくなり、戸惑うことがないようしっかり覚えておきましょう。
なお、「先見の妙」も「先見の目」と同様によくある誤用表現です。
「先見の明」とは
「先見の明」とは、もともと「後漢書」にある「楊彪伝」の中で、「先見之明」として記述されていたことに由来する言葉です。ここから、「先見の明」の読み方や意味について詳しく解説します。
「先見の明」の読み方
「先見の明」の読み方は、「せんけんのめい」です。「さきみのめい」や「せんけんのみょう」などと間違えて読まないようにしましょう。
「先見の明」の意味
「先見」とは、「将来どうなるか、あらかじめ見抜くこと」です。そのため、「先見の明」は、「事が起こる前にそれを見抜く見識(*)」を意味します。同じく「先見」を使って、「先見の識(せんけんのしき)」とする表現も可能です。
「先見の明」がある人とは、将来起こる可能性のある出来事をあらかじめ想定し、現在の行動に反映させられる人のことを指します。
*見識(けんしき)…物事を深く見通して本質をとらえるすぐれた判断力
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ビジネスシーンにおける「先見の明」の使い方と例文
ビジネスでは、何かの理由を説明する場面や人事に関して意見を述べる場面などで、「先見の明」を使う事があります。ここから、例文と一緒に使い方を確認していきましょう。
例文①:理由を説明する際に使う
ビジネスの成功や失敗についての理由を説明する場面で、「先見の明」を使う事があります。競合企業の動向について上司に説明した際の例文が、以下の通りです。
上司:A社はなぜ今までどこも進出していなかった〇〇地区に去年出店したのだろうね。
自分:担当者に先見の明があったからではないでしょうか?オープン以来大盛況で、今年に入っても客足が途絶えていないようです。
例文②:人事に関して意見を述べる際に使う
上司に、自分の部下・後輩に関する人物像を尋ねられた際にも、「先見の明」を使用できます。部下の「先読みできる資質」を表現した例文が、以下の通りです。
上司:〇〇さんに次のプロジェクトリーダーを任せようと思うのだけれど、若いしまだ早いだろうか。
自分:〇〇さんなら、任せられると思います。先見の明があり、部内のメンバーとも上手にコミュニケーションをとれているので、プロジェクトリーダーとしての役割を十分に果たせるのではないでしょうか。
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「先見の明」の言い換え表現・類語
「先見の明」には、言い換え表現や類語がいくつか存在します。「先見の明」以外でも説明できるように、意味や使い方を確認していきましょう。
識見
「識見(しきけん)」とは、「物事を正しく見分ける力」や「すぐれた意見」のことです。「見識」と表現することもあります。
「識見の高い」と表現することで、対象の人物に物事を正しく見分ける力が十分に備わっていることを説明できるでしょう。
「識見」の例文
2年間一緒に働いて、〇〇さんはとても識見の高い方だと感じました。
洞察力
「洞察(どうさつ)」とは、「物事を観察し、本質や奥底にあるものを見抜くこと」です。「洞察」が備わった能力のことを「洞察力」と表現します。
基本的に、「洞察力」は現在起こっている物事の本質を見抜く力である点がポイントです。それに対して、「先見の明」は将来どうなるかを見極める力を指します。
「洞察力」の例文
(後輩社員に説明する際に)
ビジネスには、洞察力を身につけることが大切だよ。日頃からさまざまなことに興味を持って、視野を広げよう。
慧眼
「慧眼(けいがん)」とは、「物事の本質を鋭く見抜く力」のことです。仏語で、心理を認識する五つの能力を表した五眼(ごげん)のひとつの「慧眼(えげん)」に由来するとされています。
「慧眼」は、上司や取引先に対しても使用可能です。また、「慧眼」に接頭辞の「ご」をつけて「ご慧眼」とすれば、より丁寧に表現できるでしょう。
「慧眼」の例文
(取引先B社の担当者からB社が発表した新たな戦略についての感想を尋ねられて)
自分:御社の〇〇常務のご慧眼には恐れ入ります。
先見性
「先見性(せんけんせい)」とは、「将来どうなるか、あらかじめ見抜くこと」を意味する名詞の「先見」に、接尾辞として性質を意味する「性」をつけています。主な意味は、「先を見通す力」です。
なお、証券用語として、「情報が表面化する前から将来の材料を織り込み、株価が推移すること」を指すこともあります。
「先見性」の例文
(経営者に必要な資質は何か問われて)
経営者には、市場動向や顧客のニーズの変化を正しくとらえて戦略を立てる「先見性」が求められると思います。
「先見の明」の対義語
「先見の明」の能力を期待できない相手について説明する場合は、対義語を使いましょう。ここから、「先見の明」の対義語の使い方や例文を紹介します。
見る目がない
「見る目」とは、「物事の真偽や優劣を見分ける力」のことです。そのため、物事の真偽や優劣を見分ける力に欠けている人物を「見る目がない」人と表現する事があります。
「見る目がない」の例文
取引開始からわずか1年で、まさかA社が倒産するとは思いもしなかった。自分は見る目がないと上司に判断されてしまうだろうか。
後手に回る
「後手(ごて)に回る」とは、「他に先を越されたり、先に攻められたりすることによって、受け身の立場になること」です。「先見の明」は将来を見通して行動できる人物に対して使うのに対し、「後手に回る」は基本的に出遅れることに対して使います。
なお、「後手」の対義語は「先手」です。そのため、「先手を打つ」の対義語として「後手に回る」を使う場合もあります。
「後手に回る」の例文
上司:なぜライバルA社に〇〇社との契約を先に取られてしまったのかな?
自分:新規取引開始にあたって〇〇社の信用調査に時間をかけた結果、交渉が後手に回ってしまいました。
「先見の明」の英語表現
「先見の明」を英語にする場合は、「foresight」を使うとよいでしょう。「foresight」は、「先見の明」以外に、「洞察」や「見通し」なども意味する言葉です。
例えば、上司に部下の人物像を尋ねられた際に、以下のように表現できます。
He(She) is very adaptable and has foresight.
(彼/彼女には、高い順応性や先見の明があります。)
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「先見の明」は先を見通して対応できる力
「先見の明(せんけんのめい)」とは、「物事が起こる前にそれを見抜く見識」を意味します。書く際は「先見の目」「先見の妙」としないこと、話す際は「さきみのめい」「せんけんのみょう」などと読まないことに注意が必要です。
「先見の明」があれば、ビジネスで先を見通して事前に対応できます。日頃から未来を意識して物事を考えて、「先見の明」がある人物を目指しましょう。
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