指示待ち人間になる原因は?周囲への影響や改善方法までを詳しく解説

上司や先輩から指示されたことだけしか取り組まない「指示待ち人間」は、ビジネスシーンでさまざまな影響をもたらします。今回は、指示待ち人間の特徴や改善方法についても紹介するので、お悩みの方は参考にしてみてください。

仕事に対して消極的な人のイメージ

ビジネスシーンでは、主体的に考えて行動することが大切です。言われたことだけをこなす「指示待ち人間」は、本人だけではなく、周囲の人にもさまざまな影響を与えかねません。

今回は心理カウンセラーの笹氣健治さんに伺った話をもとに、指示待ち人間の特徴や具体的な改善策まで詳しく解説します。

指示待ち人間とは

ビジネスにおける「指示待ち人間」とは、指示されたこと以外は取り組まない人を指します。上司や同僚の指示をひたすら待ち、主体的な行動が取れないことが特徴です。とはいえ与えられた指示通りに仕事をこなすことは、決して間違いではありません。

しかし、それだけを意識していると、ビジネスシーンにおいては「積極性がない」「機転が効かない」などのイメージを持たれる可能性もあるので注意してください。

指示待ち人間の特徴

指示待ち人間の特徴とは具体的にどのようなものでしょうか。主なものについて見ていきましょう。

仕事の効率化に興味がない

仕事の優先順位や効率化などを自主的に考えたりするよりも、決められた手順や順序を守ることを重視する特徴があります。例えば、日常的に行っている同内容の入力作業であれば、効率化のためにテンプレート作成などの工夫が考えられます。しかし、指示待ち人間の場合は、現状のやり方を淡々と繰り返すことも多いでしょう。

ミスやトラブル発生を自分ごととして捉えていない

ミスの発生やクレームが入るなど突然のトラブルがあったときに、咄嗟に対応することが苦手です。問題が起こったときに上司に報告したら自分の仕事は終わりだと考えてしまいがちなため、原因究明や再発防止まで考えが至らずに、同じ問題を繰り返してしまう可能性があります。顧客から苦情を言われたときにも、対処方法が身についていないので問題を大きくしてしまうことにもつながりかねません。 

仕事に対して消極的

基本的に仕事に対して消極的な特徴があるため、担当者が決まっていない仕事などについても自分から手を挙げて取り組むことは少ないでしょう。自分の担当範囲だけをこなせばいいという態度を取りがちなので、忙しくて困っている同僚がいても声をかけて手伝うことはあまりありません。

意見やアイデアを求められるのが苦手

会議などで自分の意見を求められても、何も思いつかずに発言できないことも特徴です。指名で意見を求められても、「特にありません」「皆さんの意見に賛成」といった発言をする傾向があります。

指示待ち人間になってしまう原因

視野が狭くなっている人のイメージ

指示待ち人間になってしまう背景には、成功体験の少なさや自己効力感の低さなどが関わってきます。ここでは、指示待ち人間になる原因について見ていきましょう。

仕事が「自分ごと」になっていない

指示待ち人間は、仕事を「与えられたもの」「やらされているもの」として認識する傾向にあります。仕事に対して興味を持てないため、自分ごととして捉えることができません。興味を持てない原因は、自分の仕事が会社の中でどのような目的があるのか理解していないからです。その目的や会社全体から見た位置付け、仕事を続ける際のキャリアプランなどを頭の中に描くだけでも、改善につながるでしょう。

視野が狭くなっている

自分の仕事範囲や自分がどう見られているかに意識が集中してしまうことも指示待ち人間になる原因のひとつでしょう。その背景としては主に経験不足が挙げられ、仕事の全体像や自分が置かれている状況などについて視野を広げられていないので、目の前のことで手一杯になっているのです。

自己効力感が低い

主体的な行動が取れない人は、自分の判断ミスなどで問題が起こったときに、自分が責められることを無意識に考えてしまう傾向があります。そのため、責められることから逃れようとして、自分で判断することや行動することを避けがちです。その原因として、多くの場合は過去の成功体験が少ないことによる「自己効力感の低さ」が挙げられます。どうせ失敗してしまうと考えて責任を負うことが重荷に感じ、自分には無理だと思い込んでしまうのです。

指示待ち人間が組織に与える影響とは

もし、チーム内に指示待ち人間がいたら、その人が与える影響はどのようなものが考えられるでしょうか。具体的に説明します。

チーム内の生産性が低下する

チーム内に指示待ち人間がいると、仕事がその人のところで止まってしまい、チーム全体が停滞する可能性があります。特に緊急な意思決定を求められるビジネスシーンにおいては、その停滞が大きな問題を引き起こすこともあるので、関係各所にも迷惑をかけるリスクがあるでしょう。

チーム内の人間関係がギクシャクする

指示待ち人間の、本人のミスや周囲からのフォローが増えていくと、周囲の人は「自分ばかり負担が増えている」と不公平感を覚えるでしょう。そのためチーム内の空気が悪化し、全体的なモチベーション低下にもつながります。

結果的にお互いをサポートし合う環境がなくなると、「自分の仕事だけこなせばいい」と考える個人主義的な空気が生まれ、人間関係の悪化や長期的な仕事のパフォーマンスに悪影響を与えてしまうのです。

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指示待ち人間を改善する方法は?

常に問題意識を持つ人のイメージ

もし自分が「指示待ち人間になってしまっているかもしれない」と感じている場合は、どのような点に注意すべきなのでしょうか。日ごろ仕事を行ううえで、少し意識を変えるだけでも改善は可能です。まずは次のようなことに取り組んでみましょう。

会社の業務内容に興味を持つ

最も重要なことは、自分が所属する会社の業務内容を深く理解し、その仕事が社会に対してどのような貢献をしているか再認識することです。何のために自分はこの仕事を行っているのかを考えるようになり、責任感や働く喜びを感じる第一歩となります。

具体的には、会社のビジョンや目標を把握し、仕事に関する全体の流れや各部門の役割を調べてみましょう。自社製品やサービスを自ら体験する方法もおすすめです。これにより、自分が担当している仕事の重要性や影響を理解できるようになります。

常に問題意識を持つようにする

指示待ち人間から脱却するには、常に問題意識を持つことが重要です。問題意識があって初めて、自分で考え行動することにつながります。

具体的な方法としては、仕事を行ううえで、「ミスをしてしまった」「この工程は複雑で非効率だ」と思ったポイントについて、細かな内容でもメモを取ること。また、上司や同僚からの注意についてもこまめに記録するようにして、自分が抱えている課題は何なのか、どのような対応を求められているのかを考えることもおすすめです。

客観的な自己評価をする時間を持つ

客観的な視点で自己を評価することも、指示待ち人間からの脱却には大切です。具体的には、過去に人から褒められたことや、プレゼンなどがうまくいった経験をリストアップするといいでしょう。自分の良いところを否定せずに受け止められるようになります。

同時に良いところだけではなく、自分が現在できていないことについても、正直にリストアップするようにしましょう。自分が得意なことと苦手なことを自覚すると、他人と比較せずとも自分を客観的に判断でき、スキルアップのために今何が必要なのか見えてくるはずです。 

チーム内の指示待ち人間な人とうまく付き合うには?

では、自分のチームなどに指示待ち人間の同僚や後輩がいたらどうすればいいのでしょうか。うまくコミュニケーションを取って、チーム内で協働する方法について解説します。

感情的にならずに相手を心理的に安心させる

指示待ち人間な人に対し、「どうして動かないのか」「もっと積極的になってほしい」といった不満を持つと、感情的になってしまいます。厳しい口調や態度は相手を防衛的にさせ、こちらの言葉が届かなくなる可能性も。不満を持っていても、まずは感情をコントロールし、冷静さを保ちましょう。すると、相手も安心して防衛的態度をとらなくなるので、指示や指導が通りやすくなるでしょう。

相手の持つスキルや人間性をよく理解する

相手のスキルや個人的な考え、事情をよく理解することも大切です。

相手の得意な仕事や苦手な仕事、気になっていることなどをよく聞き出し、できる限り希望や人柄に合った内容の仕事を依頼するようにしましょう。また、その際には仕事の目的や期限までをセットで伝えるようにすると、重要度や仕事の順番などについても共通の認識が取れるので、トラブルも少なくなるでしょう。

指示待ち人間にならないための予防策とは

仕事の効率化を考えてリスト化する様子

職場の環境や人間関係によって、本来は指示待ち人間の特徴がない人でも指示待ち人間になってしまうことがあります。事前に取れる予防策として、次のことに注意しましょう。

仕事の効率化を常に考える

仕事の効率化を考えるには、自分で仕事を可視化し、俯瞰することが大切。まずは、紙やデジタルツールを使い、1日の仕事を細かく書き出してみましょう。時間のかかったものをはじめ、良かったことや反省点なども一緒に書き出します。機会があれば、上司や先輩へメモの内容を報告し、第三者の目で気づきを入れると効果的です。これが習慣化すれば、自分の仕事の進め方や効率化に対して問題意識が持てるようになるでしょう。

仕事の優先順位をつけるようにする

自主的に仕事を進めるためには、現在抱えている仕事の優先順位をつけてリストアップすることが必要です。まずは、今ある仕事内容を「重要かつ緊急」「重要だが緊急でない」「緊急だが重要でない」「重要でも緊急でもない」の4つに分類。そのリストに沿って縦軸を「重要度」、横軸を「緊急度」としたグラフにすると、整理しやすくなります。

重要度・緊急度に分けた表

そのグラフをもとに同僚や上司と面談を重ねることで、常に重要度と緊急度を考える癖がつき、積極的に仕事を行うことができるでしょう。

トラブル解決後に振り返りの時間を持つようにする

仕事を「自分ごと」として捉えるためには、ミスやクレームなどのトラブルが発生したときに、振り返りの時間を持つことが重要です。まずは、「あのとき、どうしたらよかったか」を冷静に考えてみましょう。同時に、ミスで迷惑をかけた上司やクレームを入れた顧客の立場に立って、相手の考えや本来取るべきだった解決策を考えるようにしましょう。具体的な事例を振り返ることで、同じような問題が再度起きた場合でも、冷静に考えられる余裕が生まれます。

指示待ち人間を自覚することは大きな成長への第一歩

自分が指示待ち人間かも?と思っている人は、自分を改善しようとする意思があり、改善に向けて動き出しているので大きく成長する可能性を持っています。自分を変えて壁を乗り越えようとするときに、自分の課題やスキル不足を直視することはつらいかもしれません。しかし、それを乗り越えると大きなレベルアップにつながるでしょう。ビジネスパーソンとしての将来の姿を描きながら、まずは自分のペースで取り組んでみましょう。

監修:心理カウンセラー 笹氣健治
株式会社グラン・スポール代表取締役社長。会社を経営する中で人間関係の問題に直面し、人間心理を学ぶ必要性を痛感。20年以上に渡ってカウンセリングの統合的アプローチの研究と実践を重ねる。経営者でありながら心理カウンセラーとしても多方面で活躍。ビジネスパーソン向けのカウンセリングをはじめ、メンタルヘルス関連のビジネス書22冊を出版。企業や団体への講演や、新聞・ビジネス誌・テレビなどのメディア出演も多数。

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