
- 頭出しとは
- 頭出しの言い換えは?
- 頭出しを英語で言うと?
- 【ビジネスシーン別】「頭出し」の使い方
- 頭出しをするメリット
- 頭出しをしないときのデメリット
- 効果的な頭出しの方法
- 頭出しをする際の注意点
- 全体像やゴールを明確にさせるための「頭出し」
ビジネスシーンにおいて、会議やプロジェクトなどをうまく進行するために欠かせないものが「頭出し」です。「会議や商談がなぜかうまく進まなかった」と感じているときは、効果的に「頭出し」ができていないのかもしれません。
今回は「頭出し」の効果的な使い方について、社会保険労務士でキャリアコンサルタントの村井真子さんに伺った話をもとに解説します。
頭出しとは
ビジネスシーンにおける「頭出し」とはこれから説明する内容について、その概要を端的に相手へ伝えることを指します。相談事の概略や、強調しておきたいポイントなどを事前に軽く説明しておくことで、相手との認識や理解をスムーズにそろえることができます。
頭出しの言い換えは?
「頭出し」という言葉はいくつかの意味に言い換えられます。それぞれ確認していきましょう。
下相談
「本格的な相談の前に話し合うこと」を意味しており、「頭出し」と最もニュアンスが近しい用語となります。
[例文]
「来週の打ち合わせ前に、明日どこかで下相談させてください」
サマリー・さわり
「サマリー」「さわり」とは、意味としては「要約」となりおおよその全体像や概略を伝える際に使います。「頭出し」とは微妙にニュアンスが異なり、「事前に伝えておく」という意味は含まずに使われることが多いです。
[例文]
「今度の企画内容のサマリーだけ先にお伝えします」
概要呈示
「概要呈示」とは、詳細に入る前に全体像の概要を先に伝えておくことを指します。
[例文]
「明日の会議の概要を提示します」
先出し
全体像を伝える直前に、聞く人の注意喚起をする意味で使います。
[例文]
「今日の会議の議題を先出しするとAプロジェクトの件です」
頭出しを英語で言うと?
「頭出し」を直接的に翻訳する言葉はありませんが、一般的には「summary」「outline」などと表現されます。
「summary」は「要約」などと和訳される語で、「outline」は概略などの意味を持ちます。このほか、「前もってお知らせする」という意味で使われる場合は「heads up」で表現されることもあります。
【ビジネスシーン別】「頭出し」の使い方

実際にビジネスシーンにおいて「頭出し」がどう使われているのかについて、具体的に見ていきましょう。
役員など上の役職の人へ使うパターン
役員が参加する会議で規模の大きなプロジェクトなどについて議題を正式に説明する前に、ポイントとなる背景や意図、メリットを「頭出し」によって簡潔に伝えられます。
[例文]
「次回の役員会で発表する新規プロジェクト案について、先んじて概要を頭出しさせていただきます。お手元の資料をご覧ください」
同僚へ使うパターン
同じ部署やプロジェクトメンバー内で共同作業をするときに先立って簡単に情報を伝えるときや、意見交換する時間を確保してほしいときなどにも「頭出し」が使われます。
[例文]
「来週のミーティングに向けて、内容を頭出ししたいので5分だけ時間くれないかな?」
部下へ使うパターン
部下へ新しいタスクや方針を伝えたり、仕事の手順についてアドバイスをしたりすることもあるでしょう。そうした場面でも、まず概要や重要点のみを示すという「頭出し」を行うことがあります。
[例文]
「A案件の担当をお願いします。まずは頭出しとして、プロジェクトの目的とスケジュール感を共有しますね」
「課長にプロジェクトについてメールで頭出ししておいてください。方向性などについても対面で確認したいので、相談の時間が欲しいと伝えてください」
顧客・取引先へ使うパターン
商談や取引先へのプレゼンでも、事前に頭出しを行うとスムーズに進行できます。相手に時間を取ってもらう前にあらかじめ論点や概要を伝えることで、興味や関心を呼び起こすことが期待できます。
[例文]
「今回のプロモーション企画について、まずは頭出しとして基本コンセプトをご提示させていただきます。詳細なプランは追ってご提案いたしますね」
頭出しをするメリット

ビジネスシーンで頭出しを行うと、どのような効果が期待できるのでしょうか。主なメリットを見ていきましょう。
最初に全体像を把握することで、効率的な意思決定ができる
参加メンバーに事前に頭出ししておくことによって、あらかじめ全体像を把握した状態で、本題について議論ができるようになります。「深掘りすべきなのはこの部分」というポイントが明確になり、話の目的やゴールを見失わずに、意思決定が進められるでしょう。
ネガティブな話であっても、事前に話すことで影響を抑えられる
事前の相談なしに自分にとって不利益なことや調整が必要なことを話された場合、人によっては怒りや戸惑いを覚える可能性があるでしょう。事前に情報を共有しておくことで、ネガティブな意見や否定的な発言を減らすことができます。
頭出しをしないときのデメリット
頭出しをした場合のメリットについて紹介してきましたが、頭出しをしなかった場合のデメリットについても覚えておきましょう。
相手との認識がずれたまま進行してしまう
事前に概要を共有せずに会議を開いてしまった場合、参加メンバーや関係者が話の全体像を把握できないまま会議が進むというリスクもあります。会議が終わったあとから、「思っていた内容と違う」といった認識のずれが発覚しがちです。結果的に、会議が終わってからも追加の説明や再調整が必要になり、時間や工数が余計にかかってしまうこともあるでしょう。
議論が発散し、会議のゴールにたどり着けない可能性も
ほとんどの会議や打ち合わせなどには、時間の制限があるでしょう。しかし、あらかじめ全体像を共有しないまま会議が始まると、参加メンバーの集中力も切れやすくなり議論が発散してしまいます。その結果時間切れとなり、議題の全てを終えることができなくなってしまう可能性もあります。
突然の情報共有に対して、否定的な反応が多くなる
突然会議の場で予想外の話を聞かされたときには、驚きとショックで冷静な反応ができないものです。落ち着いて聞いているときは通るような内容であっても、初めて会議の場で聞かされると、面目を潰されたと思いつい反対してしまうということもあり得るでしょう。
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効果的な頭出しの方法

ここからはどのように頭出しを行えば、ビジネスシーンで効果を発揮しやすいのかを具体的に見ていきましょう。おすすめの方法を4つ紹介します。
伝える「順番」を意識する
どの相手から伝えるのか、という順番は大切です。まずは、その案件に直接関わっているプロジェクトメンバー、次にその直属の上司、役員など……と順番に、情報を頭出ししていきましょう。事前に自分と立場が近しいチームメンバーから頭出しをすることで、初期段階の見落としや誤りを指摘してもらい、会議の場ではよりブラッシュアップされた情報を伝えられるようになります。また、同僚や上司の同意が取れていることを役員に伝えることで説得力が増し、スムーズな情報の伝達が可能になるでしょう。
相手が知りたい「メリット」を先に提示する
頭出しで「目的」や「背景」を伝えるときには、相手が得られるメリットや価値を伝えるよう意識しましょう。特に、顧客への提案やプレゼンの際には事前に相手のメリットを示しておくことで「詳細な説明を聞きたい」と関心を持ってくれる可能性が高くなります。
まずは「概要」を簡潔に伝える
どこまで頭出ししていいか迷う場合は、まずは概要だけでもいいので、プロジェクトなどに関わるメンバーやその直属の上司などに「こんなプロジェクトが始まる予定です」「プロジェクトメンバーはAさんとBさんにお願いしたいです」などと伝えておくようにしましょう。その後の具体的な打ち合わせの場で主体的に参加してもらいやすくなり、話がスムーズに進行します。
「詳細は後ほど説明します」の一言を添える
頭出しはあくまで概要や要点を簡潔に伝えるもの。そのため、頭出しするタイミングでは「詳細は後ほど」「次回の打ち合わせで詳しく」などと一言添えるのがベストです。相手に安心感を与えつつ、自分が発信する情報を整理しながら伝えることができます。
頭出しをする際の注意点
メリットが多い頭出しですが、押さえておきたい注意点についても説明していきます。
情報の粒度と共有タイミングを調整する
「頭出し」として情報を発信するときは、社内外の関係者にどれくらいの情報量で伝えるのか、それぞれいつ伝えるのかを考えることが重要です。まだ確定情報ではない情報を流して混乱させてしまったり、プロジェクトメンバー以外に細かすぎる情報を流してしまったりすることもトラブルの元となります。
情報を発信する際は見込み段階なのか、これから議論して詰めていきたいのかなどのレベル感を踏まえて伝えるようにしましょう。特に社外の相手には、守秘義務や契約上の制限を考慮し、慎重に段階を踏んで頭出しするようにしましょう。
相手が欲しい情報を把握してから頭出しする
職位、立場、権限、部署によって同じプロジェクトでも頭出しで伝えるべき情報は異なります。そのため相手が欲しい情報や興味のあるトピックについて事前に精査して、反応を見ながら頭出しすると効果的な情報伝達ができるでしょう。
今後の流れを明確にし、スムーズな進行を準備する
頭出しをしたら、相手に今後の業務の流れや担ってほしいタスクを具体的に想像させることが重要です。例えばプロジェクトに関わるメンバーには、必要になるタスクや今後の流れについてあらかじめ説明しておくことで、スムーズなプロジェクト進行が可能になります。また、頭出しだけを行ってその後の細かな連絡を怠ると、次のアクションをどうしたらいいのか周囲に戸惑いが生じてしまうため注意しましょう。
全体像やゴールを明確にさせるための「頭出し」
プロジェクトの共有やミーティング、商談などに役立つ「頭出し」。身につけることで自分自身の頭の中が整理されるメリットもあります。
誠実に仕事を行ってきたのになぜか評価してもらえないと悩んでいる人や、参加者の多い会議だとうまく進行できないと考えている人は、ぜひこの「頭出し」の効果的な方法を身につけてみてください。
監修:村井社会保険労務士事務所 代表 村井真子
社会保険労務士/キャリアコンサルタント/経営学修士(MBA)。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。LGBTQ+アライ。行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』、監訳に『バウンダリーレス・キャリア上巻』『組織と従業員の間で変化する心理的契約』『経営心理学』など。
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