影響力のある人の特徴は?ビジネスにおけるメリットや高めるポイント、方法も紹介

影響力は、仕事を円滑に進める上で欠かせない力の一つです。この記事では、そもそもの意味や種類、影響力のある人の特徴、高めるメリット、方法などを解説します。

影響力のある若手社員のイメージ

影響力は、ビジネスシーンでもよく耳にする言葉ですが、どうしたら高められるのか分からないという人も多いのではないでしょうか。実は、影響力は地位や立場だけでなく、人間性や実績などによっても生み出されるため、ポイントを押さえれば、若手ビジネスパーソンでも高められる力です。

そんな影響力について、経営コンサルタントとして経営者やマネジャー向けに研修やセミナーを行っている横山信弘さんに伺ったお話をもとに、そもそもの意味や種類、影響力のある人の特徴のほか、高めるメリットや方法などを解説します。

影響力とは?そもそもの意味を簡単に解説

疑問を持っているイメージ

「影響力」とは、自ら率先して他者に働きかけ、考えを変えたり、行動を促したりする力のことです。

仕事やビジネスを円滑に進めるには、他者の協力を得ながら、課題を解決していく必要があります。そのため、ビジネスシーンでは、影響力が求められる場面も少なくありません。

また、近年では価値観や働き方の多様化が進んでいるため、職場でチームワークを発揮するのが以前より難しくなっています。そのため、役割や立場を問わず、同僚や上司、取引先などに自ら働きかけ、協力を得る力が求められているのです。

ビジネスシーンには、自身のスキルや仕事の質、周囲の人とのコミュニケーションの取り方など、自分の行動で変えられる要素もあれば、市場の状態や取引先の業績、他社の戦略など、自分では変えられない要素もあります。

このことを意識しながら、自分にできることを増やし、影響を与えられる範囲を広げていくと、自然と影響力も高まっていくでしょう。

影響力には5種類ある

社交的で人間性がもたらす影響力がある人のイメージ

影響力は、人間性や実績、専門性、地位、周囲の人との関係性など、さまざまな要素によって形づくられます。まずは、影響力のタイプについて詳しく見ていきましょう。

人間性がもたらす影響力

まず挙げられるのが、人間性による影響力です。例えば、社交的で話し上手な人は、周囲を巻き込む力があるため、影響力を持ちやすいでしょう。

ただし、パーソナリティが影響力を発揮するかどうかは、相手との相性によります。「寡黙でも確実に成果を出し続ける」「人知れず努力を重ねる」「派手な実績はないが、部下の育成に時間を惜しまない」といったパーソナリティも、周囲の人から信頼されやすく、他者に良い影響を与えられるでしょう。

無理に社交的になろうとしたり、積極的になろうとしたりする必要はありません。自分の持ち味を活かした方法を見つけることが大切です。

実績がもたらす影響力

社内での実績や成果も、影響力に関係する大きな要素です。「営業成績が常にトップクラス」「新規事業を成功させた経験がある」「困難なプロジェクトを完遂させた」といった具体的な実績があると、周囲から信頼されやすくなり、影響力も高まります。

人間性が良く、仕事に誠実に向き合っている人であっても、具体的な成果や実績がなければ、その人の意見や主張に説得力を感じられないという人も少なくありません。大きな実績ではなくても、自分にできる範囲で堅実に成果を積み重ねていけば、周囲からの信頼が高まり、影響力も高まっていくでしょう。

専門性がもたらす影響力

専門性も影響力をもたらす要素の一つです。

何かしらの分野に精通しており、「この分野については、あの人に聞けば大丈夫」と周囲から頼りにされている人は、その道のプロフェッショナルとして、周囲の相談に乗ったり、アドバイスしたりできるので、影響力も自然と高まります。

例えば、ITの知識が豊富な人、マーケティングに知見がある人、法務のスペシャリストなど、高い専門性を持つ人から何かを提言された場合、「プロフェッショナルが示すアドバイスだから実践してみよう」と行動に移す人も多いでしょう。

専門性による影響力は、キャリアが浅く、経験や実績が少ない場合でも発揮しやすいので、得意分野を早めに見つけて磨いておくのがおすすめです。

地位や立場がもたらす影響力

地位や立場も、大きな影響力をもたらす要素です。例えば、「部長」や「取締役」といった肩書があれば、自身で意思決定を行いながら、部下や従業員に指示を出すことができるので、影響力も自然と高まります。

また、業務の裁量や責任の範囲、人間関係が広がるため、その立場に見合う視座や責任感、知見も身につくなど、成長のきっかけになる場合も多いでしょう。すると、経験や実績が増えるだけでなく、周囲からの信頼度が上がることで、影響力がさらに高まっていきます。

関係性がもたらす影響力

周囲の人との関係性も、影響力を生み出す基本的な要素です。例えば、同僚や上司と信頼関係を築けていると、意見や提案を受け入れてもらいやすくなり、周囲の人への影響力が高まるでしょう。

さらに、昇進などによって他部門の管理職や経営層、取引先の部長クラスとの関わりが増えれば、スケールの大きな課題に触れる機会が多くなり、自身の影響を及ぼせる範囲も広がっていきます。

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若手ビジネスパーソンが意識すべき影響力は?

5種類の影響力を紹介してきましたが、若手ビジネスパーソンが一から影響力を高める場合、人間性による影響力から始めるのがおすすめです。

まずは、素直さ・勤勉さ・積極性・社交性といった、自分ならではのパーソナリティを活かしながら仕事に取り組み、周囲の人と信頼関係を築いていきましょう。並行して、地道に経験を積みながら、実績や専門性を高めていくことも大切です。そうした積み重ねを続けると、周囲に与える影響が少しずつ大きくなり、結果的に昇進や責任あるプロジェクトを任せられるなど、キャリアアップにつながるケースもあります。

新しいポジションに就けば、人間関係や裁量が広がり、影響力はさらに高まっていくでしょう。すると、人間性や実績、専門性なども磨かれ、バランスの良い影響力を持てるようになります。

このように、影響力を生む要素は、螺旋状に連動し、互いを高め合っています。このことを意識しながら行動に移していくことが、影響力を高める第一歩になるでしょう。

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影響力のある人の特徴は?

周囲と信頼関係を築ける人のイメージ

影響力の種類について見てきましたが、実際に影響力を持っている人にはどのような共通点があるのでしょうか。ここでは、主な特徴を5つ紹介します。

周囲と信頼関係を築ける

人の考えを変えたり、何か行動を促したりするには、まず、相手から信頼してもらうことが何より重要です。そのため、影響力を持つ人の多くは、周囲の人と信頼関係を築く力を持っています。

例えば、約束したことは必ず守る人や有言実行できる人、トラブルやミスがあったときに人のせいにせず、自分の責任を認められる人は、周囲からの信頼を得やすく、良好な関係性を築けるでしょう。また、高い共感力を発揮したり、相手の話に耳を傾けたりできる人も、相手が安心感を感じやすく、多くの人と協力関係を築けます。

学び続ける姿勢を持っている

常に学ぶ姿勢を持ち、情報収集やスキルアップなどを継続しているのも、影響力のある人に共通する特徴です。前向きな姿勢で仕事に取り組む人を見て、自分自身も良い影響を受けたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

また、学び続ける姿勢を持っている人は、周囲の人に意見やアドバイスを求めたり、普段の業務にも積極的に取り組んだりする傾向があります。こうした傾向があると、信頼関係を構築しやすく、実績も積み重なっていくので、影響力も自然と高まっていきます。

高い専門性やスキルがある

先ほども紹介したように、専門性の高いスキルを持っている人や、特定の分野について深い知識や知見を持っている人は、オピニオンリーダーとして、社内外で影響力を発揮しています。

また、そうした専門性やスキルなどを活かして実績を挙げているのも、影響力のある人の特徴です。「数々のプロジェクトを成功させてきた」といった大きな実績だけでなく、「あの人は仕事の質が高く、作業も早い」「相談すると的確なアドバイスがもらえる」といった日々の仕事ぶりも、影響力の高さにつながっています。

戦略的思考力がある

長期的な目標に向けて戦略的に思考し、仕事を進められるのも、影響力がある人の特徴です。

目の前の業務だけに集中していて、業界や市場の変化、自社の課題などが見えていないと、上司や同僚、取引先など、周囲の人が納得できる意見や成果物を出せない場合も少なくありません。

一方、戦略的に思考し、説得力のある意見や期待にあった成果物を出せる人は、周囲からの評価も上がり、影響力も高まっていきます。トラブルが起こったときにも冷静に対処できるので、頼れる存在となるでしょう。

未来のビジョンを示せる

未来のビジョンを示せることも、影響力を持つ人の特徴です。

中長期的な目標や将来像を周囲の人にも示せると、目標達成に必要な協力を得やすく、周囲の人のモチベーションや行動にもポジティブな影響を与えられます。

また、目の前の課題に取り組むだけでなく、会社や業界、市場の未来を具体的にイメージし、中長期的な視点で仕事を進められる人は、「目先のことに振り回されず、ビジョンのために行動している」という評価を得られるため、一目置かれやすいでしょう。さらに、失敗を恐れずにチャレンジし、次の仕事に活かせるので、自然と実力や自信がつき、周囲への影響力も高まっていきます。

ビジネスパーソンが影響力を高めるメリット

周囲のモチベーションを高められる人のイメージ

影響力を持ちたいと考えるビジネスパーソンは少なくありませんが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、影響力を高めるメリットを4つ紹介します。

提案や意見が通りやすくなる

第一のメリットは、提案や意見が通りやすくなる点です。

提案や意見が受け入れられるかどうかは、内容への評価だけでなく、提案者のパーソナリティや実績、専門性などによって左右されるケースも少なくありません。ほぼ同じ内容であれば、影響力がある人の意見の方が通りやすいと感じる人も多いでしょう。

影響力があると、「この人の意見なら聞いてみよう」と関心を得られるケースが多く、社内外を問わず、企画の提案や改善策などが受け入れられやすくなります。

自分や周囲のモチベーションが高まりやすくなる

影響力を持つ人の言動は、周囲の人の考えや気持ちにも大きく影響を及ぼします。特に、失敗しても挫折せず、未来のビジョンに向かって仕事に前向きに取り組める人は、周囲の人のモチベーションも高められるでしょう。

また、チームの人間関係も良好になり、お互いに助け合いながら仕事を進められるので、良い循環が生まれ、自分自身のモチベーションも高まります

サポートを得やすくなる

ビジネスシーンでは、チームメンバーや他の部門、パートナー企業などのサポートが必要になる場面も少なくありません。普段から周囲の人との関係性を大切にしたり、地道に実績を積んだりして影響力を高めておくと、サポートを得やすくなるのも、大きなメリットです。

また、人脈も広がるため、ビジョンに共感してくれる先輩や業界の有識者とつながりやすくなり、仕事に役立つ助言や情報が集まりやすくなります

キャリアパスが広がる

キャリアパスが広がるのも、影響力を高めるメリットの一つです。

影響力があると、「この人に任せたい」「一緒に働きたい」と、信頼や期待を寄せられるので、社内外からオファーを受ける機会が増えていきます。キャリアが浅く、実績がまだ少ない場合でも、ポテンシャルを評価され、重要なプロジェクトのメンバーやリーダー候補に抜擢されるケースもあるでしょう。

また、キャリアの幅が広がれば、メンターやロールモデルとなる人物に出会いやすくなるのも、大きな利点です。お手本になる人物から直接学べる機会が増えると、キャリアを長期的な視点で検討できるようになり、キャリアパスがさらに広がっていきます。

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影響力を高める具体的な方法は?

自分の強みを明確にして影響力を高めるイメージ

では、影響力を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、若手ビジネスパーソンにぜひ実践してほしい方法を5つ紹介します。

自分の強みを明確にする

まずは、自分の強みを明確にしましょう。持っているスキルや知見、専門性などを自覚し、日ごろから周囲の人に伝えておくと、実績を積むチャンスや相談を受ける機会が増え、影響力が高まりやすくなります。

強みを見つける際は、スキルや知見だけでなく、パーソナリティやコミュニケーションの取り方、考え方などにも目を向けることが大切です。例えば、「真面目に努力を重ねる」「明るく場を和ませる」「いつも冷静に状況を分析できる」といった特徴は、一見重要には見えなくても、影響力の基礎になります。

こうした自分らしさを大切にし、磨いておくと、徐々に影響力が高まり、キャリアアップしたあともさらに大きな影響力を発揮できるでしょう。

学び続ける姿勢やチャレンジ精神を持つ

影響力を高めるには、学ぶ姿勢を持ち続けることも大切です。日々の業務に真摯に取り組むだけでなく、将来を見据えて専門性を高めたり、新しいスキルを身につけたりしておくと、影響を及ぼせる範囲を広げられます。セミナーやイベントに参加したり、資格取得や社内コンテストなどにチャレンジしたりするのも良いでしょう。

若手ビジネスパーソンの場合、失敗しても許される場面も多くあります。チャンスがあれば、積極的に挑戦する姿勢を持ち、経験を積み重ねていきましょう。

小さな成功体験を積み重ねる

先ほども解説したように、影響力の大きさは、自分の行動で変えられる範囲の広さによって決まります。そのため、日々の業務を通じて、小さな成功体験を積み重ねていくことが、影響力を高める近道といえます。

例えば、所属するチームの業務効率に問題があれば、改善点を洗い出し、解決策を提案してみるのも良いでしょう。実際に業務改善を行ってチームの生産性が向上すれば、自信や実績になり、チームメンバーとの信頼関係を深めるきっかけにもなります。

最初は小さなことでも良いので、少し難易度が高いと感じることにチャレンジし、成功体験を積み重ねていきましょう。

チームワークを意識する

影響力を高めるには、自分の成果や実績だけを伸ばすのではなく、周囲の人と協力関係を築き、状況を変えていく力を身につけることも大切です。

業務を行う際は、チームの成果を最大化することを意識し、他の人をサポートしたり、必要な提案を行ったりしましょう。上司やメンバーから、「この人はチームのために動いている」「この人のアイデアを実現すれば、さらに良い成果を出せそうだ」と感じてもらえると、影響力は自然と高まっていきます。

ロールモデルを見つけて積極的に学ぶ

お手本になるロールモデルを見つけて、その人のスキルや仕事への姿勢などを積極的に学ぶことも大切です。ロールモデルを設定すると、キャリアパスや将来像がイメージしやすくなり、仕事へのモチベーションが高まる、成長のスピードが上がるといったメリットもあります。

まずは、上司や先輩、取引先のビジネスパーソンなど、身近な人をロールモデルとして設定してみましょう。ロールモデルがうまく見つけられない場合は、有名人を参考にしたり、分野やスキルごとに複数設定したりするのも良いでしょう。ただし、有名人をロールモデルにする場合は、どの部分を真似したいのか具体化し、日々の業務に活かしていくことが大切です。

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日々の業務に真摯に取り組み、影響を与えられる範囲を広げていこう

影響力は一朝一夕で身につくものではありませんが、日々の業務を通じて、周囲の人と関係性を築き、地道に実績を積むことで高められます。「大きな成果を上げなければ」「良い評価を得なければ」と無理をするのではなく、自分の行動で変えられるものに着目し、影響を及ぼせる範囲を少しずつ広げていきましょう。

また、「誰に対して、どのような影響を及ぼしたいのか」「なぜ影響力を高めたいのか」といった点を明確にしておくことも大切です。影響力を高めようと夢中になっていると、目的を見失ってしまったり、周囲から反感を買ってしまったりする場合もあります。そうしたときこそ、「影響力を何に役立てたいのか」と自分に問いかけ、原点に立ち返ることが、周囲からの信頼を集め、行動や考えを変えていく鍵になるはずです。

監修:株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、コラム執筆、昨今ではYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いでいる。大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ち、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読。主な著書には「絶対達成」シリーズのほか、「『空気』で人を動かす」「キミが信頼されないのは話が『ズレてる』だけなんだ」等多数。

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