- 「承知いたしました」の意味と基本的な使い方・例文
- 「承知いたしました」と「承知しました」の違いとは?
- 「承知いたしました」の言いかえ表現とその使用シーン
- 【参考】言い換えとしては不適切な「承知いたしました」の表現
- 「承知いたしました」の使用における注意点とポイント
- 「承知しない」場合の答え方とポイント
- 「承知いたしました」の英語表現
- まとめ
「承知いたしました」の意味と基本的な使い方・例文
「承知いたしました」は、相手の指示や要望を理解し、それに従う意思を示す表現です。文字通りの意味は「理解して受け入れる」というものですが、ビジネスシーンではより広い意味合いで使用されます。
一般的に、目上の相手からの指示を受けた際や、取引先からの要望を確認した時などに使われます。
例文①:
(上司から「〇〇社との商談の日程を調整してもらえる?」と指示されて)
「承知いたしました。来週で日程調整いたします」
例文②:
(取引先とのメールでのやり取りの中で)
「ご依頼の件について、承知いたしました。来週中に資料を送付いたします」
「承知いたしました」と「承知しました」の違いとは?
「承知いたしました」と「承知しました」は、どちらも相手の指示や依頼を受け入れる際に使用する表現です。ただし、「承知しました」は「承知する」の丁寧語であり、一般的な場面で広く使用できる表現です。一方、「承知いたしました」は「いたす」という謙譲語を含むため、より丁寧な表現となります。ビジネスシーンでは、上司や取引先など目上の人に対して「承知いたしました」を使用するとより敬意を示すことができます。
「承知いたしました」は二重敬語ではない?
「承知いたしました」は謙譲語と丁寧語を組み合わせた言葉であるため、二重敬語にはなりません。相手や場面に合わせて、敬意の度合いを調整しながら使用することが大切です。
「承知致しました」と漢字にするのは表現として正しい?
「承知致しました」は厳密には正しくありません。正しい表記は「承知いたしました」です。一般的に「いたす」を補助動詞として使用する場合、ひらがな表記が適切とされているためです。
「承知いたしました」の言いかえ表現とその使用シーン
「承知いたしました」は便利な表現ですが、毎回使っていると少し単調に感じてしまうこともあります。相手や状況に応じて、適切な言い回しを選ぶと良いでしょう。具体的な「承知いたしました」の言い換え表現とその使用シーンについて紹介します。
「かしこまりました」
「かしこまりました」は、「承知いたしました」の丁寧な言い換え表現として使えます。主に目上の人や取引先に対して用いる言葉で、相手への敬意と真摯な態度を表現できます。
例文:
(取引先からの依頼を受けて)
「かしこまりました。すぐに取り掛かります」
「承りました」
「承りました」も、「承知いたしました」の丁寧な言い換え表現として使えます。主に対外的なコミュニケーションで使用される表現で、取引先からの依頼や要望を受けて応答する際に適しています。改まった表現になるため、社内では別の表現を使用するほうが適切でしょう。
例文:
(取引先からの注文を受けて)
「ご注文承りました。明日までに商品をお届けいたします」
「わかりました」
「わかりました」も「承知いたしました」の言い換え表現として使用できます。ビジネスシーンでも日常会話でも幅広く使えますが、カジュアルなニュアンスのため、目上の相手や状況によってはより丁寧な言い方を選ぶと良いでしょう。
例文:
(後輩から連絡を受けて)
「明日の会議は9時からですね。わかりました。」
<関連記事>「わかりました」は正しい敬語?承知しましたとの違いも解説
「了解しました」
「了解しました」は基本的に「理解して受け入れた」という意味を持ち、同僚や後輩に対して使用することが多い表現です。
ただし、「承認する」という意味合いを含むため、目上の相手に使用すると失礼な印象を与えてしまう可能性があります。代わりに、「かしこまりました」「承知しました」などのより丁寧な表現を使うようにしましょう。
例文:
(同僚から待ち合わせの場所の変更連絡を受けて)
「了解しました。それでは明日の9時に駅前の〇〇に行きますね。」
「了承しました」
「了承しました」は、相手の指示や依頼を受け入れたことを伝える表現です。丁寧語にあたる言葉ですが、「了解です」と同様に「承認する」というニュアンスを含むため、目上の人や取引先へはより丁寧な表現を使用するようにしましょう。
例文:
(他部署の同僚からプロジェクトの期限延長に関する連絡を受けて)
「プロジェクト期限の延長について、了承しました。新しいスケジュールを作成し、共有いたします。」
【参考】言い換えとしては不適切な「承知いたしました」の表現
「承知いたしました」の言い換え表現としては不適切なものも存在します。具体例をみていきましょう。
OKです
「OKです」は「承知いたしました」の適切な言い換え表現とは言えないでしょう。相手との関係性にもよりますが、ビジネスシーンでは、「OKです」は砕けすぎな印象を与える可能性があります。また、「承知いたしました」が持つ相手への敬意や理解を示すニュアンスを十分に表現できていません。
把握しました
「把握しました」も「承知いたしました」の適切な言い換え表現とは言えません。「把握」は情報や状況を理解し、全体像を掴むことを意味しますが、「承知」は相手の指示や依頼を受け入れる意思を示します。例えば、上司から「明日までに報告書を提出してください」と言われた際、「把握しました」と返答すると、単に指示内容を理解しただけで、実行する意思が伝わりません。
「承知いたしました」の使用における注意点とポイント
「承知いたしました」を適切に使用するには、いくつかの注意点があります。ここからは主なポイントを挙げていきます。
過剰な使用を避ける
「承知いたしました」の過剰な使用は、相手に不誠実な印象を与えかねません。ただ単に返事をしているだけと思われる可能性があるからです。例えば、上司からの指示に対して毎回「承知いたしました」と答えると、機械的で思考停止しているように感じられるかもしれません。
代わりに、状況に応じて「かしこまりました。具体的な進め方について確認させていただいてもよろしいでしょうか」など、表現を変えたり、理解度や積極性を示す言葉を添えると良いでしょう。相手の意図を正確に把握し、適切な返答を心がけることで、コミュニケーションの質が向上します。
非言語コミュニケーションも用いる
コミュニケーションでは、言葉だけでなく姿勢や声のトーン、表情などの非言語的要素も重要な役割を果たします。例えば、「承知いたしました」と言いながら目を合わせずに首を傾げた場合は、本当に理解したのか疑問に思われる可能性があります。特にビジネスシーンでは、姿勢や声のトーンが相手に与える印象を大きく左右するので、自分の非言語的な表現にも気を配ることが重要です。
状況に応じて補足となる言葉を添える
状況によっては補足となる言葉を添えると、より丁寧で柔らかい印象を与えられます。例えば、「承知いたしました。早速取り掛かります」や「ご指示ありがとうございます。承知いたしました」などの補足を適切に加えると良いでしょう。
特に初対面の人や目上の方とのやりとりでは、こうした言葉を用いることで、印象を和らげたり、配慮を示せるでしょう。ただし、使いすぎるとくどくなる恐れもあるので、適度に使用することがポイントです。
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「承知しない」場合の答え方とポイント
もし相手の依頼や提案を断る場合は、状況や相手との関係性に応じて適切な表現を選ぶことが重要です。具体的な表現の例や、断り方のポイントを紹介します。
「承知いたしかねます」が丁寧な表現
ビジネスシーンでは「承知いたしかねます」という丁寧な表現がよく使われます。例えば、「申し訳ございませんが、その件につきましては承知いたしかねます」と言うことで、相手に敬意を示しつつ断ることができます。
より柔らかい表現はある?
「承知いたしかねます」はやや直接的な表現のため、そのほかの言いかえとしては「申し訳ございませんが、ご要望にお応えすることが難しい状況です」や「大変恐縮ですが、ただちにお引き受けすることは困難です」などがあります。これらの表現は、相手の立場を考慮しつつ、自分の立場も明確に伝えることができます。
「承知しない」ことを伝える際のポイント
単に断るだけでなく、代替案を提示すると、相手との関係性を考慮することができます。例えば、「申し訳ございませんが、ご提案の方法では対応が難しいため、別の方法を検討させていただけないでしょうか」といった表現を使うことで、建設的な対話を続けることができるでしょう。
その他にも、状況によっては、「再考させていただきたく存じます」や「もう少しお時間をいただけますでしょうか」など、即答を避ける表現も有効です。これにより、相手の要求を完全に拒否することなく、検討の余地を残すことができます。
いずれの場合も、相手の立場を尊重し、丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。適切な表現を選ぶことで、円滑なコミュニケーションを維持しつつ、自分の意思を明確に伝えることができます。
「承知いたしました」の英語表現
最後に「承知いたしました」に相当する代表的な英語表現をいくつか紹介します。
「I understand」、「Understood」
「I understand」「Understood」は、相手の説明や指示を理解したことを伝える際に使用されます。汎用性が高く、ビジネスシーンでも使いやすいでしょう。
「Certainly」
「Certainly」は、相手の要求や提案に対して肯定的に応じる際に使用され、より丁寧さを示す表現です。特に取引先とのやり取りなどで、使用できます。
「Noted」
「Noted」は、特にビジネスメールやチャットでよく使用される簡潔な表現です。情報を受け取り、記録したことを示すのに適しています。
その他の表現
先に紹介した表現に加えて、より柔らかい言い回しや状況に応じた表現も存在します。
例えば、'Got it'は、カジュアルな場面で使用される口語表現で、特に若い世代や友人間のコミュニケーションでよく耳にします。 'I see'は、相手の説明を理解したことを示すと同時に、さらなる情報や説明を求める余地を残す表現として使われます。 相手に応じて、これらの表現を適切に使い分けましょう。
まとめ
「承知いたしました」は、相手の指示や要望を理解し、それに従う意思を示す丁寧な表現です。過剰な使用は避け、状況に応じて言い換え表現を活用することが大切です。
また、時には合わせて補足となる言葉を用いることで、より丁寧で柔らかい印象を与えることができます。「承知いたしました」を適切に使用し、ビジネスコミュニケーションをより円滑なものにしていきましょう。
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