- 「プライドが高い」とは?
- プライドが高い人がとりがちな行動
- プライドが高くなってしまう原因
- プライドが高いことのメリット・デメリット
- プライドが高い人に対する接し方のコツ
- 「自分はプライドが高いかも?」と思った時の対処法
- プライドはうまくコントロールしよう
身近な人に対して「あの人はプライドが高い」と感じたり、「自分はプライドが高いかも?」と感じたりすることはありませんか。プライドは、「自尊心」「誇り」を意味し、仕事においてモチベーションを高める大切な要素でもあります。
一方でプライドが高すぎると、他人の意見を受け入れにくかったり、失敗を認められなかったりすることも。本記事では、公認心理師の川島達史さんに伺ったお話をもとに、プライドが高い人の特徴とその心理的背景を分析し、職場での適切な接し方や、自分自身のプライドと上手に付き合う方法までをご紹介します。
「プライドが高い」とは?
「プライドが高い」とは、そもそもどのような意味をもつのでしょうか。プライドの本来の意味と、「プライドが高い」と言われる人の特徴について詳しく解説します。
「プライド」の意味
プライド(pride)は、成功や達成によって得られる、自己評価に関連する感情の一つです。プライドは、ポジティブに作用するプライドとネガティブに作用するプライドの大きく2つに分けられます。
ポジティブなプライドは、自己成長や努力の結果に基づく健全な自尊心のことです。モチベーションを高め、他者との関係を構築します。一方、ネガティブなプライドは、他者に対する優越感、過剰な自己評価に基づくものです。自己中心的で傲慢な態度や、人を見下す言動の原因となり、マイナスの意味で「プライドが高い」と批判される性格を形成します。
(参考: Paulhus, D. L., & Williams, K. M. (2002). "The Dark Triad of personality: Narcissism, Machiavellianism, and psychopathy.")
プライドは良い方向に作用することもありますが、ネガティブなプライドが高くなると、周囲との協力関係がうまく築けなくなるなどの問題が生じる場合も。本記事では、主に後述のネガティブなプライドについて取り上げます。
プライドが高い人がとりがちな行動
プライドが高い人は、ビジネスシーンでどのような言動をとりがちなのでしょうか。ここでは、ビジネスシーンでよく見られる例を紹介します。
大げさに成果をアピールする
プライドが高い人は、自分の価値を大げさにアピールする傾向があります。例えば、チームの成功を「自分のリーダーシップがあったからこそ」と語り、すべてを自分の手柄にするなど、周囲からの評価を過剰に求めがちです。
指摘されること・批判されることを嫌う
プライドが高い人は、傷つくことを極端に嫌うため、上司や同僚からのフィードバックを素直に受け止められず、感情的になる傾向があります。例えば、「この資料、少し修正が必要かも」と言われると、「自分の仕事を否定された」と思い、言い訳をしたり、不機嫌になったりするかもしれません。
欠点やミスを隠そうとする
プライドが高い人は、「失敗=自分の価値を下げるもの」と考えがちで、自分の弱点を見せるのを恐れることが多いです。例えば、資料の作成ミスを指摘されると、「自分のせいではない」と言い張ったり、話題をすり替えたりすることもあるかもしれません。また、成功事例だけを強調し、失敗や課題については触れない傾向もあるでしょう。
嫉妬しやすい
プライドが高い人は、自分が「特別でいたい」という意識があるため、他人の成功を純粋に喜べない傾向があります。例えば、同僚が評価されたり、仕事で成功したりしていても、素直に喜ぶことができず、批判的な態度をとることもあります。
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プライドが高くなってしまう原因
プライドが高くなり、前述したような行動をとってしまうのはなぜなのでしょうか。考えられる主な原因について解説します。
自己肯定感が低い
自己肯定感が高いからプライドも高くなるというイメージを抱いてしまいがちですが、プライドが高い人は逆に自己肯定感が低い場合が多いです。自己肯定感が低いと、自分の価値が下がることを過剰に恐れてしまいます。そのため、自分の価値を守ろうとしてミスや欠点を隠したり、大げさに成果をアピールしたりという言動につながってしまうのです。
自己愛が強い
プライドが高い人は、自己愛が強い人とも言えます。自己肯定感は、ありのままの自分を受け入れて愛するという健康的な感情ですが、自己愛の場合は自己中心的で、過剰な自己評価に基づくことが多いです。
自己愛が強い人には、自分は特別で重要な存在だという強い自尊心があります。これを守ろうとして、他人からの賞賛を過剰に求め、成功を誇張したり、他者を見下したりするような態度をとってしまうのです。
「他人より優れているべき」と思っている
「自分は常に他人より優れていなければならない」という思い込みもプライドの高さにつながります。そういった強い思い込みがあるので、自分の欠点や弱みを隠すために、他人を批判したり、責任転嫁したりと、周囲に優れている姿を見せようとする行動が増えてしまうのです。
挫折や失敗の経験がない
挫折の経験が少ない場合も、自分の欠点を受け入れる力が育たず、プライドが高くなりがちです。大きな挫折をせずに成功体験が続くと、失敗を恐れて自分の弱点を認められなくなることもあります。
競争的な環境にいる
競争の激しい環境では、自分の価値を他者より高く見せることが求められます。こうした環境に適応しようとして、プライドが高くなってしまうこともあるでしょう。特に、成績評価が厳しい職場では、「負けられない」という心理が働きやすくなります。
プライドが高いことのメリット・デメリット
プライドが高いことは、マイナスの影響ばかりという訳ではありません。ここでは、プライドが高いことのメリットとデメリットを解説します。
プライドが高いことのメリット
プライドが高いと、周囲に「頼れる存在」として映ることがあります。そのためリーダーとしての役割を期待されやすく、交渉やプレゼンの場面でも、その自信が説得力につながることもあるでしょう。
プライドが高いことのデメリット
プライドの高さから生まれる自己中心的な態度が周囲との摩擦を生みやすく、人間関係が悪化することも多いです。
また、自分の能力を過大評価し、状況に応じた適切な判断ができないこともあるでしょう。プライドが高いと、周囲のアドバイスを聞き入れるのも難しいため、失敗を防ぎにくくなります。
プライドが高い人に対する接し方のコツ
プライドが高い人とのコミュニケーションがスムーズに運ばないこともあるかもしれません。しかし、接し方を少し工夫することで、生じがちなトラブルを避けることができるでしょう。ここでは、特にビジネスシーンにおいて、プライドが高い人に対する接し方のコツを解説します。
過度に批判をしない
プライドが高い人は批判を受け入れにくい傾向があります。そのため、改善点を指摘する際には慎重に言葉を選び、できるだけポジティブに伝えることが重要です。
例えば、ミスや改善点を指摘する際は「このアプローチはとても良いと思いますが、進め方をもう少し効率化してみましょう」のように、相手を否定するのではなく、ポジティブな印象を与えるフィードバックをするように意識すると、プライドを傷つけずに改善を促すことができるかと思います。
特性を仕事に活かせるようにサポートする
プライドが高い人のエネルギーや自信を、より良い形で活かせるようにサポートするのもおすすめです。「〇〇さんなら、できると思いますが、おまかせできますか」など、モチベーションを高める声かけをして、自信を活かして活躍できる環境を作れると良いでしょう。
必要なときは、はっきりと指摘する
プライドが高い人に対しても、時にはフィードバックをはっきりと伝えることが大切です。もし、アドバイスを聞き入れてもらえない場合は、プライドが高いことによって生じている課題を指摘する必要があるかもしれません。ただし、その際には相手の気持ちを尊重し、配慮をもって伝えるようにしましょう。
「自分はプライドが高いかも?」と思った時の対処法
「自分はプライドが高いかもしれない」と感じる場合は、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、プライドを適度に保ち、周囲と良い関係を築くための方法をご紹介します。
欠点を見せることを恐れない
自分の弱みを認めることは、成長の第一歩です。周囲に対しても自分の欠点を隠さず、前向きに改善策を考えることで、信頼を得られるはずです。プライドを適切に保つためには、「この分野は苦手だから詳しい人にアドバイスをもらおう」のように、自分の弱さを受け入れて、それを克服しようとする姿勢が重要になります。
過度なアピールをしない
過度な自己アピールや成果の誇張は、しばしば周囲の反感を招くこともあります。他人と比較して自己肯定感が低下したり、焦りから無理にアピールしたくなったりすることもあるかと思いますが、自分のペースで着実に成長することが重要です。実際、結果が伴っていれば、自然と評価もついてくるもの。「認められたい」という気持ちは抑えて、誠実に努力を積み重ねるよう心がけましょう。
周りの意見を聞く
プライドが高いと、自分の考えこそが正しいと思い込みがちですが、周囲と良い関係を築くためには他人の意見を聞くことが重要です。失敗を防ぐためにも、周囲からのアドバイスを積極的に受け入れ、視野を広げるように心がけましょう。
プライドはうまくコントロールしよう
プライドは適切にコントロールすると、モチベーションを高め、自己成長を促してくれる大切な要素です。しかし、他人に対して優越感を持っていたり、自己中心的な態度が目立ったりするようであれば、非適応的プライドが強くなりすぎている可能性があります。必要以上に自分を守ろうとせず、素直な気持ちで周囲の意見を聞くことで、成功のチャンスを広げることができるはずです。
監修:ダイレクトコミュニケーション 代表取締役 川島達史
目白大学大学院心理学研究科を修了し、現在ではコミュニケーション講座の講師として、心理学や人間関係に関するワークを行う。専門は成人のソーシャルスキルが孤独感・対人不安に与える影響。普段は「コミュニケーション講座」の主催や、YouTubeチャンネル「ダイコミュ大学」による情報発信を行っている。
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