「小さなムダ診断テスト」で名もなきムダ仕事を洗い出そう!仕事ができる人になるための行動習慣

資料作りや会議などのルーティンワークには、余計な時間がかかる小さなムダが潜んでいます。本記事では、仕事ができる人がさりげなく取り入れている、貴重な時間を奪う「名もなきムダ仕事」への対処法を解説します。

ムダ仕事が多くて他の仕事に辿り着かないイメージ

普段の仕事で当たり前にこなしているルーティンワークの中には、たくさんの「小さなムダ」が潜んでいます。仕事ができる人は、そういった余計なことに時間を使わないからこそ、大事なことだけに集中できて、結果を出せているのです。

今回は、良かれと思ってやっている「名もなきムダ仕事」と、それらへの対策を『AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣』の著者である越川慎司さんに伺いました。

やらなくてもいい「名もなきムダ仕事」に時間を割いていませんか?

ムダな仕事に時間をかけるイメージ

「どれだけ頑張っても残業が減らない」「いつも定時で上がっている同僚のほうが、残業している自分よりも評価されている」なんて経験はありませんか。

業務コンサルタントとして、のべ800社以上、17万人を超えるビジネスパーソンの効率アップを支援している越川慎司さんによると、仕事を頑張っているはずなのに結果が出ないと思っている人の多くは、やらなくてもいい「名もなきムダ仕事」に時間を取られているそうです。

「仕事ができる人は、余計なことをやめて大事なことに集中する、つまり『選択と集中』をしているから仕事を効率的に進めることができているのです。

日々取り組んでいる仕事には『膨大な時間と労力がかかる資料作り』『煩雑なメールでのやり取り』『長すぎる会議』『社内の人間関係の調整』などの、成果に結びつかない小さなムダが潜んでいます。私はそれらを『名もなきムダ仕事』と呼んでいます。

それを改善していくのはハードルが高いと思いがちですが、実は日々のルーティンに組み込まれた小さなムダはちょっとした工夫でなくすことができるのです。

まずは、こちらの仕事診断テストを受けてみてください。自分がどのくらい、やらなくてもいいことに時間を割いているのか分かりますよ」(越川さん、以下同)

【仕事の小さなムダ診断テスト】

A(資料作り)

□毎回凝った内容のパワポ資料を作成している
□説明資料は1枚にまとめなくてはいけないと思っている
□上司から資料を差し戻されることが多い
□自分が修正したほうが早いと思って仕上げを抱え込んでしまう
□提案資料にはつい自分の熱い思いを込めてしまう
□AIに資料作成をさせているが、修正箇所が多い

※Aにチェックが多くついた人はパート1

B(メール・チャット)

□ついつい長文のメールを書いてしまう
□メールに書く文面について毎回悩んでしまう
□角が立たない表現にするのに時間を使いすぎてしまう
□Slackなどのチャットでも「お疲れ様です」と書いている
□仕事の依頼をする際に「なる早で」「できれば今週中に」と書くことが多い
□すぐ近くの席にいる人にもわざわざチャットでメッセージを送る

※Bにチェックが多くついた人はパート2

C(会議・打ち合わせ)

□会議中に発言することが少ない
□雑談ばかりで会議や打ち合わせが予定時間内に終わらないことが多い
□会議では上司が一人で話していることが多い
□結論が出ずに並行の議論が延々と続く会議が多い
□リモート会議中によく内職をしている

※Cにチェックが多くついた人はパート3

D(社内調整)

□上司・先輩に相談するタイミングが分からず、結局一人で進めてしまう
□同僚とあまり親しくないので用があってもなかなか声をかけられない
□仕事を1人で抱え込んで残業することが多い
□後輩から「ちょっとだけいいですか?」と相談されることが多い
□上司や先輩に対して論点が曖昧なまま相談することが多い
□トラブルになってから後輩や部下に相談されることが多い

※Dにチェックが多くついた人はパート4

「診断テストは、資料作り、メール・チャット、会議・打ち合わせ、社内調整と、大きく4つのカテゴリーに分けています。例えば、Aにチェックが多くついた人は資料作りでたくさんの『名もなきムダ仕事』をしている可能性があります。

それぞれのパートでどういった点がムダなのか、そしてどんな対策をすればいいのかについて解説しているので、チェックが多かった項目のパートを参考にルーティンに隠れた小さなムダを洗い出してみましょう」。

  • Aにチェックが多くついた人はパート1
  • Bにチェックが多くついた人はパート2
  • Cにチェックが多くついた人はパート3
  • Dにチェックが多くついた人はパート4

パート1|資料作りでの「名もなきムダ仕事」

資料作りに時間をかけるイメージ

会議や打ち合わせ用の発表資料やクライアントへ提出する提案書、プレゼン用のパワーポイント資料など、仕事には資料作りが常について回ります。だからこそ、資料の作成には小さなムダがたくさん隠れているのです。

まずは、資料作りでの「名もなきムダ仕事」とその解決策について越川さんに伺いました。

毎回凝ったパワポ資料を作ってしまう/「1枚にまとめなきゃ」と思っている

「重要な部分にアクセントをつければ見やすくなると思ってカラフルで文字やグラフを詰め込んだ、凝りまくりのパワポ資料を作っていたら要注意!

せっかく時間をかけて作った資料なのに、目がチカチカして内容が頭に入ってこないためまったく読んでもらえないなど、逆効果になってしまいます」。

【解決策】
資料は相手に読んでもらうことが何よりも大事。パワポ資料を作成する際は、使う色は3色以内・1スライドに入れる文字数は105文字以内を意識しましょう。作成時間が短くなるうえに、要点がまとまって読みやすい資料になります。

パワポ資料が情報過多になりがちな人は、「1枚にまとめる」ことを意識しすぎている場合もあります。無理に1枚にまとめようとせず、『1枚目は全体を把握するための導入パート』『2枚目のスライド以降はそれを補足する資料』と割り切りましょう

2〜3枚くらいのスライドで収めるようにすると、パッと短時間で全体像を把握できる資料になるかと思います」。

上司から資料の差し戻しをされることが多い/自分が仕上げを抱え込んでしまう

「上司や先輩からの指示通りに会議の資料や提案書を作成したのに、チェックをお願いすると『まったく違うから作り直して』といわれたことはありませんか。

一から作り直して再提出するとまたもや差し戻し……と、差し戻しの無限ループにハマってムダに時間を使ってしまった経験は社会人なら誰しもあるかと思います」。

【解決策】
「上司や先輩から資料作りを指示された際は、作業を完了した後に意見を聞く『フィードバック』ではなく、作成途中で意見を聞く『フィードフォワード』がおすすめです。

資料が20%くらいできた段階で『こんな感じで作っているのですが、イメージは合っていますでしょうか?』と聞いてみてください。資料を作り始める前に、予定ページ数や目次を見せて確認するのもいいでしょう。

逆に自分が資料をチェックする側になると、自分が直した方が早いと思って仕上げを抱え込んでしまうという人もいます。上司からの差し戻しが多いときと同じように、後輩や部下に対してもフィードフォワードを実施し、早めに方向性を軌道修正しておくのがおすすめです。

進捗20%(パワポ2枚程度や手書き構成案など)くらいの段階で確認すれば、方向性のズレに早く気づくことができ、修正のためのムダなやりとりを減らすことができます」。

曖昧な指示を受けることが多い

「資料作成を依頼されたとき、『いい感じで作って』などの曖昧な指示を受けることはありませんか。どういった資料を求められているのかが分からないまま作業を進めてしまうと、後からやり直しが発生する原因になります」。

【解決策】
「社内外問わず、こういった曖昧な指示を受けることは意外と多いかと思います。ムダな手戻りを防ぐために依頼されたタイミングで、曖昧な指示をできるだけ言語化するようにしましょう

例えば、予定ページ数や目次、必要なデータや仕上がりのイメージなどを聞いて、「5枚でいいよ」「比較表じゃなくて価格を入れてよ」といった具体的な言葉を引き出して忘れずにメモしておき、それに沿って資料を作成すると、ムダなく効率的に作業を進められます」。

提案資料にはつい自分の熱い思いを込めてしまう

「どうしても実現したい企画があって、時間をかけて準備をして何度も提案しているのにいつも会議で却下されるということはありませんか。もしかすると提案を通したい気持ちが強いばかりに、相手の視点が十分に反映されていない資料を作っているのかもしれません」。

【解決策】
「提案資料を作るときは、『自分が主役』ではなく『相手が主役』という意識を持つことが大切です。例えば、水を飲みたがっている相手に対して、『自分が淹れたコーヒーは美味しいからぜひ飲んでほしい!』とコーヒーを押しつけてはいませんか?

 『自分が作りたい資料』ではなく『相手が求めている資料』を作りましょう」。

AIに資料作成をさせているが、修正に時間がかかっている

「業務効率化のために資料作りを生成AIにお願いしているという人も最近は多いかと思います。しかし、思うような資料が生成されず、修正する箇所が多くて結局自分で作るよりも時間がかかっているということはありませんか。

その原因は何も考えずに生成AIに丸投げしているからかもしれません」。

【解決策】
「生成AIに的確な資料を作らせるには、ターゲット層や目的などの条件を丁寧に指示文(プロンプト)に書く必要があります。また、生成AIに過去の成功例と失敗例を学習させることも大切です

『過去に上司から一発OKをもらった資料』や『差し戻しされた資料』を読み込ませ、成功例の資料を作成するようにしっかりと誘導しておきましょう」。

ここまで資料作りに関する「名もなきムダ仕事」を紹介してきましたが、資料作りにおけるムダを減らすポイントは「過剰な気遣い(忖度)をやめること」と「何のために作る資料なのかを考えること」だそうです。あれもこれもと詰め込んだ資料は、結局誰からも読まれません。

「自分が伝えたいこと」ではなく「相手が知りたいこと」を、端的に資料に落とし込みましょう。

パート2|メール・チャットでの「名もなきムダ仕事」

メール作成にムダな仕事が発生しているイメージ

ビジネスではメールやチャットでのやり取りが欠かせません。それだからこそ、たくさんの小さなムダが隠れています。メール・チャットでの「名もなきムダ仕事」とその解決策について越川さんに伺いました。

ついつい気持ちを込めて長文のメールを書いてしまう

「『熱い思いは伝わってくるけど、具体的に何をいいたいのかが不明な長文メール』を受け取った経験はありませんか。思い入れがあるからこそ、その思いが先走ってついつい長文になってしまうこともあるでしょう」。

【解決策】
「ビジネスメールは“簡潔に”が基本です。『何を』『いつまでに』やればいいのか、相手に求めるアクションを具体的に記載しましょう。文章が長くなりそうなら箇条書きを使い、伝えるべき情報が多い場合は無理にメール内に書こうとせず、添付資料にまとめるのがおすすめです」。

メールの文面を考えるのに時間がかかる/角が立たない表現にするのに時間を使いすぎてしまう

「メールを書くとき、『角が立たない表現にしなければ』と思うあまり時間がかかっていませんか。特に文章を書くことに慣れていない人は、正解の文面を探すのに時間がかかる傾向があるようです」。

【解決策】
「メールの文面を考えるのに時間がかかってしまう人には、AIにベースとなる下書きを作らせたうえで、それを自分で調整するのがおすすめです。

ただし、AIが生成した文章は、アスタリスク(*)の多用、一文が長すぎる、語尾が単調になるといった特徴が出やすいもの。自分の言葉で自然に整えるように注意しましょう」。

チャットでも「お疲れ様です」や「お世話になっております」から始めてしまう

「Slackなどのチャットツールにメールの文化をそのまま持ち込んで、毎回冒頭に『お疲れ様です』『お世話になっております』と入れたり、宛名に『〇〇課長』と肩書きを入れたりする人もいるかと思います。

場合にもよりますが、過剰な気遣いはチャットで返事をする時間がムダに長くなるだけでなく、読み手の時間も奪うことにもなります」。

【解決策】
「個人だけでなく、チーム全体でそういう傾向があるなら、チーム内で『挨拶や肩書きは不要』というルールを提案してみましょう。その際のポイントとしては、『試しに1週間だけやめてみませんか?』と実験的に提案し、成果を共有して定着させるアプローチが有効です。

また、『確認しました』といった返信文も不要とし、リアクションスタンプで済ませるルールにしておくとムダが省けます」。

「なる早」「今週中」などの曖昧な期限による探り合い

「メールやチャットで作業を依頼する際に、『なる早で』『できれば今週中に』といった曖昧な書き方をしていませんか。曖昧な期限を設定すると、受け手に『なる早ということは17時くらいまで?』『今週中とは金曜の17時か、日曜の深夜か?』と考える時間が発生してしまいます。

また、依頼した側にも『そろそろ返事が来るはず』とムダな待ち時間が生まれてしまいます」。

【解決策】
「期限を曖昧にしておくとムダな待ち時間が発生するだけでなく、場合によっては双方の認識違いからトラブルになってしまうことも。作業を依頼するときは必ず『いつまでに』『何をしてほしいのか』を明確にしておきましょう

特に期限については解釈が分かれるような曖昧な書き方はせずに、『金曜日の17時まで』というように具体的な日時を指定するようにしてください」。

相手の状況を無視した「待ち」のコミュニケーション

「急ぎの案件なのに、いつ見られるか分からないメールを送って返信を待ったり、すぐ近くの席にいるのにわざわざチャットで長文を打ったりしていませんか。返信待ちのコミュニケーションは、お互いにとって時間がムダになります」。

【解決策】
チャットツールのオンライン・オフラインの表示(プレゼンス)を確認し、相手がオンラインであればチャットを送りましょう。本当に急ぎであれば、状況に応じてプレゼンスを見たうえで電話をかけたり直接話したりするなどのほかの手段を検討するのが確実です」。

メールやチャットを簡潔化するために大切なのは、「何のためのメール・チャットなのか」を押さえることだそうです。そこから、相手にどんな行動をしてほしいのかというアクションが導き出されます。メールやチャットはあくまでも「単なる連絡手段ではなく相手を動かすツール」と考えましょう。

パート3|会議・打ち合わせでの「名もなきムダ仕事」

会議の開催に伴い余計な作業が発生するイメージ

資料作成やメール・チャットに続いて仕事で多いのが会議や打ち合わせです。ここにも多くの小さなムダが隠れています。会議・打ち合わせでの「名もなきムダ仕事」と解決策について越川さんに伺います。

会議中に発言することが少ない/参加だけが目的の会議が頻繁に開かれている

「メールで共有すれば済むような連絡事項を共有するだけで、あとは雑談になっている会議は案外多いもの。そんな『開催することが目的化されているミーティング』はまさしく時間のムダです」。

【解決策】
「会議を主催する側の場合は、会議の時間を有意義にするために、必ずアジェンダ(目的や議題)を共有しましょう。遅くとも会議の24時間前には参加メンバーにアジェンダを周知しておくのがおすすめです。

一参加者でしかない場合は、会議の主宰者(上司)に、『次の会議では〇〇について決定してはどうでしょうか?』と提案してみましょう」。

雑談ばかりで予定時間に終わらない

「会議が始まったのはいいけれど雑談ばかりでなかなか本題に入らない、なんて会議もありますよね。そうなると、予定では1時間のはずなのに時間内に終わらずに、会議の時間が延長になり、その分次に入れていた他の予定が遅れたり、自分の作業時間が少なくなったりしてしまいます」。

【解決策】
「中堅社員であれば、自ら率先して会議の進行役(ファシリテーター)を引き受けましょう

会議時間は基本的に60分が多いかと思いますが、45分に設定することを提案してみましょう。60分は確かにきりがいいのですが、会議が延長すると次の予定も遅れてしまうことになってしまいます。45分にすることで、もし延長しても60分内に収まるだけでなく、いつもより時間が短いことで集中して有意義な会議になる可能性が高まります

時間を守ることを徹底したいなら、キッチンタイマーをセットして終了10分前、5分前に鳴らすという手も効果的です」。

会議で上司が一人で話していることが多い

「会議で熱弁をふるってしまう上司、いますよね。誰も止めることができず、会議時間の7割は役職者が話していたということも。時間は延長するだけでなく、ひたすら話を聞くだけの時間が生まれてしまいます」。

【解決策】
会議での話が長くなりがちな役職者は『きちんと理解してほしい』という思いから話しているので、まずはその思いを受け止める一言を添えましょう。『〇〇部長、ご発言ありがとうございます。本質をついたお話で大変共感しました』という具合です。

その上で、『大変申し訳ございませんが、会議時間残り15分で2つのことを決めなければなりませんので、次のアジェンダに移らせていただいてもよろしいでしょうか」と話を進めましょう。角が立たないように、最後にもう一度『〇〇部長、ありがとうございました!』とまとめるのがおすすめです」。

結論が出ずに長引く

「例えば、異なる部門の部門長同士の意見が対立し、お互いに一歩も譲らず、意見が平行線のまま時間だけが過ぎていく……そんな会議もありますよね。これもまた参加者にとっては時間のムダとなる会議です。」

【解決策】
「そういった結論がすぐに出ない会議は、事前に『会議が煮詰まったら5分間の休憩を入れること』と『ホワイトボードで問題点を整理すること』を会議の進行役に入れ知恵しておきましょう。もしくは、自分が会議の進行役を買って出てみてもいいでしょう。

休憩を取ることで熱くなっていた部門長が冷静になったり、調整役が妥協案を提案したりできます。また、ホワイトボードで内容を整理することによって、参加者全員が問題を俯瞰的に見られるようになり、打開案が見つかりやすくなります」。

リモート会議中によく内職をしている

「カメラオフのリモート会議では、ミュートにして耳だけで会議を聴きながらついつい内職として別作業をしているという人は多いかと思います。しかし、それでは集中力が半減してしまい、会議でも内職でも成果を出せずにどちらも中途半端になってしまいます」。

【解決策】
「リモート会議で集中できずについ別の作業をしてしまうという人は、まず会議を『自分ごと』にするように意識してみましょう。そのためには、事前に会議のアジェンダに目を通し、どんな発言をするのかしっかりと考えておきましょう。

また、中堅社員のポジションになると、自分がリモート会議の主催側になることもあります。その際に参加メンバーの内職を防いで会議に集中させるには、こちらも会議を参加者にとっての「自分ごと」にすることが大切。

そのためには、「事前に会議のアジェンダを送付しておく」「会議の最初に参加者の名前を呼ぶ」「各自の役割を伝える」ことがおすすめです。役割は「〇〇さんは発表を、△△さんは質問を、◇◇さんはアイデアの取りまとめをお願いします」というふうに会議の前に伝えておきましょう。

ほかにも、内職ではないですが、議事録を頼まれてメモをとろうとすると肝心の会議内容が頭に入ってこないという人もいるかと思います。そういった場合は、無理に手書きで記録しようとせずに、録音データを文字起こししてくれるサービスを駆使しましょう」。

会議におけるムダを省くポイントは、会議を「自分ごと化」することだそうです。参加者が「自分が何のためにここにいるのか分からない」という状況にならないよう、ファシリテーターを買って出て、アジェンダを事前に周知したり、全員に発言を求めたりしましょう。

パート4|社内調整やコミュニケーションに関する「名もなきムダ仕事」

社内調整に時間をかけるイメージ

最後に、意外と手間がかかる社内調整や上司・同僚・後輩とのコミュニケーションに関する「名もなきムダ仕事」とその解決策について越川さんに教えてもらいました。

上司・先輩に相談するタイミングが分からず、結局ひとりで進めてしまう

「『いつでも相談して』といわれていても、上司や先輩が忙しそうにしている姿を見ると声をかけづらく感じてしまうものです。そうなると、分からないことがあっても、自分で解決しようとして余計に時間がかかってしまいます」。

【解決策】
「上司や先輩に相談する際は、事前に『〇〇について相談したいのですが、明日少しお時間いただけますか?』などと相談を予告するのがおすすめです。そうすることで相談される側も余裕のあるタイミングで話を聞けるので、有益なアドバイスをもらえる可能性が高くなります」。

同僚とあまり親しくないので用があってもなかなか声をかけられない

「いつも否定ばかりする同僚や、反応が薄い同僚とは心理的な距離を縮めにくいもの。空気を読む人ほど、『もしかして嫌われているのかな』などと考えてしまい、相手に話しかけるのが億劫になってしまいます」。

【解決策】
「同僚に気兼ねなく話しかけるには、普段から良好な関係を築いておくことが大切です。そのために有効なのが雑談。雑談の際は、相手と自分との共通点を2つ見つけることを意識しましょう

2つ以上の共通点があると腹を割って話して関係性を深める可能性が高まります。相手の話を聞くときは、しっかりと頷きながら聞くのがコツ。リモート会議のときはさらに大きく頷くのがおすすめです」。

仕事を1人で抱え込んで残業することが多い

「職場の同僚や先輩に協力をお願いするのが苦手で、仕事を1人で抱え込んで残業する傾向がある人は意外と多いかと思います。自分でやった方が早いと考えがちですが、結果として残業しているわけで、そういった仕事の抱え込みは決して効率が良いわけではありません」。

【解決策】
「仕事を1人で抱え込みがちな人は、『仕事の見える化』ではなく『仕事の“見せる化”』を意識してみましょう。

具体的なアクションとしては、メールやチャットで進捗を報告する際に、『明日の企画書を作っていて今進捗50%です』『苦戦していて進捗20%です』と、うまくいっているときもそうでないときも、進捗のパーセントを書いて自ら状況を開示しましょう。

同僚や先輩に協力をお願いするのが苦手でも、自分から進捗をオープンにすることで、周囲から『話を聞こうか』『助けるよ』と協力の手を差し伸べてもらいやすくなることもあります」。

後輩から「ちょっとだけいいですか?」と相談されることが多い

「ある程度年次を重ねると、自分も後輩から質問される側になってきます。特に『ちょっとだけいいですか?』と声をかけられた相談が『ちょっと』では終わらなくて、想像以上に時間がかかってしまったという人も多いのではないでしょうか。

話を聞いたところで質問しても明瞭な返事が返ってこなかったりすると、負担が増してしまいます」。

【解決策】
「相談を持ちかけられたら、最初に『まず結論や困っているポイントから話してみて』と伝えると効果的です。その結論を聞いた上で、そこまで時間がかからない内容だったらその場で対応し、話が長くなりそうであれば、『あとでミーティングの時間を設けよう』と自分の都合で時間を調整しましょう」。

論点が曖昧なまま相談してしまう

「上司や先輩に相談する際に何について意見をもらいたいのかが整理できていないまま『どう思いますか?』などと漠然と聞いてしまうことは意外と多いものです。そうすると相手もどの観点で話せばいいかわからず、回答を得るまでに時間がかかったり、望むようなアドバイスがもらえなかったりします」。

【解決策】
「相談するときは、あらかじめ論点を整理し、選択肢を用意した上で自分の仮説を伝えましょう。例えば、『A案とB案があり、実現可能性の観点でいうとA案だと思いますが、いかがですか』という具合です。

すると上司は『いや、今回は費用対効果を重視してB案でいこう』などとその場で判断しやすくなり、確認待ちの時間が短くなるでしょう」。

社内コミュニケーションで大事なのは、心理的安全性の確保だそうです。そのためには、上司や先輩に上手に頼る、同僚と距離を縮める、部下や後輩から話しかけられやすい雰囲気を作ることが大切です。

相手の立場に立ち、常に相手を意識しながら仕事をするよう心がけましょう。

まとめ

仕事が遅い原因は、本人が良かれと思って行う「名もなきムダ仕事」にあります。ルーティンに隠れている小さなムダを削減するためには、作業に取り掛かる前に方向性を確認する「フィードフォワード」を意識する、メール・チャットのルールを決める、会議は事前のアジェンダ共有と時間制限を徹底するなど、ムダを省くための工夫が大切です。

また、普段から相手の立場に立ったコミュニケーションを心がけ、社内で良好な人間関係を築いておくこともポイントになります。この記事を参考にしてムダを省き、大事な仕事だけに集中しましょう。

話を聞いた人:越川慎司さん
専門家プロフィール:日本の通信会社、ITベンチャーの起業などを経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員としてPowerPointやExcelなどの事業責任者などを歴任。2017年に業務改善コンサルティング会社「株式会社クロスリバー」を起業。のべ800社以上、17万人を超えるビジネスパーソンの効率アップを支援してきた。

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