梅雨時期の憂鬱とどう向き合う?ポジティブに働くためのマインドセット

ビジネスパーソンにとって梅雨は少し憂鬱になりがちな時期。仕事を頑張りたいのにやる気がでない、身体がついていかないという人も多いことでしょう。今回は、メンタルヘルス・コンサルタントの船見敏子さんにお話を伺い、梅雨の時期特有の心のモヤモヤとの向き合い方について解説します。

梅雨で憂鬱な気分になるビジネスパーソン

なぜ梅雨の時期はメンタルが落ち込みやすいのか?

梅雨時期にメンタルが落ち込む人のイメージ

新しい環境でのスタートは、期待に満ちている一方で、知らず知らずのうちに大きなストレスを蓄積させています。特に梅雨の時期は、環境に慣れて少し落ち着き始めるのと、雨が続き憂鬱な気分になりやすいこともあり、4〜5月にかけて蓄積していたストレスが顕在化しやすい時期といえるでしょう。

なぜこの時期に心身の不調を感じやすいのか、主な理由について船見さんに聞きました。

梅雨という季節的要因

梅雨は湿度が高く、気圧の変化が不安定なため、自律神経のバランスが崩れやすくなります。また、日照時間が少ないのでセロトニン※の分泌が減ることも、気分がうつうつとする原因に。

さらに、『昨日は寒かったのに今日は暑い』『外は暑いのに建物内は冷房が効いて寒い』など、寒暖差が激しいことも自律神経の乱れにつながります」(船見さん、以下同)

※日光を浴びると脳の「脳幹」と呼ばれる部分から分泌される神経伝達物質。覚醒状態を調整したり、意欲や気力などに影響したりと、感情をコントロールすることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。

環境変化によるストレスの蓄積

「4月から新しい環境になることで、覚えることや慣れない人間関係が多く、想像以上に精神的・肉体的な負担がかかっています。新しい知識やスキルを習得するプレッシャー、周囲の期待に応えようとする努力などが、知らず知らずのうちにストレスとして蓄積されているのです。

最初の頃は環境についていくことに意識が向いていてあまり自覚することができませんが、仕事にも慣れてきて少し気が抜け始める梅雨時期ごろに、今まで蓄積されたストレスが一気に噴き出すことがあります」

理想と現実のギャップ

「春に入社や異動を経験した人にとって、6~7月くらいの時期はちょうど、理想と現実のギャップを実感しやすくなる頃。『こんなはずじゃなかった』という失望感や、『自分はもっとできるはずなのに』という焦りがモチベーションの低下に繋がります

でも、はじめから理想の業務に就ける人はごくわずか。『今の業務も必ず将来とってプラスになる!』と前向きに捉えましょう」

周囲との比較による焦り

「特に新社会人にとっては仕事の成果が気になりはじめる時期。順調に見える同期と自分を比較して、自分が出遅れているのではないかと焦りや劣等感を感じる人もいるでしょう。

SNSで他者の活躍を目にする機会が増えた現代において、比較による精神的な負担は大きな課題です」

ストレスの溜まり具合のセルフチェック

もしかしてストレスが溜まっているのかも、という人は下記のセルチェックを試してみてください。

【ストレスの溜まり具合のセルフチェック】
□朝起きるのがつらい
□食欲がない
□ベッドに入ってもなかなか寝つけない
□寝ても疲れが取れない
□お腹の調子が悪い
□休みの日でも体がだるい(or 休みの日に何もする気が起きず寝て過ごしてしまう)
□やたらイライラする
□原因のわからない不安や焦燥感がある
□休みの日でも仕事のことを考えてしまう
□趣味を楽しめなくなった
□本を読んでも内容が頭に入ってこない
□注意力や判断力が低下した
□人と会うのを億劫に感じる
□自分は役に立たないと思うことが多い
□出社した瞬間から家に帰りたいという気持ちが強い

3つ以上チェックが入った人はストレスを溜め込んでいる可能性が高いです。後述する対処法を試してみてください」

梅雨の時期、ストレスを溜め込みすぎてしんどいときの対処法

睡眠をとって疲労を回復させるイメージ

ストレスを溜め込みすぎて心身の不調を感じたとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、しんどいと感じた際の対処法について船見さんに聞きました。

まずは十分な睡眠をとる

「ストレスが溜まっているときは疲労が蓄積している状態なので、もっとも効果的な解消法は睡眠です。眠りにつけなくても、横になって体を休めるだけでも効果があります」

生活リズムを整える

「休みの日はついつい昼まで寝てしまっているということはありませんか。実は、休日でも平日と同じ時間に起きるなど、生活リズムを一定に保つことが体調管理に役立ちます

休日だからといって遅くまで寝ていると体内時計が狂ってしまうので、とりあえず早く起きて、どうしても眠くなってしまったら昼寝をしましょう」

食生活を見直す

食事をないがしろにしている人はメンタルの不調を抱えやすい傾向があります。梅雨は蒸し暑いのでどうしても冷たいものが欲しくなりますが、冷たいものやアルコールの摂りすぎには注意し、意識的に温かいものを摂取しましょう。

普段の食事にプラスしやすいスープやみそ汁がおすすめなのと、コーヒーやお茶などの飲み物もできれば温かいものを選んでみてください」

適度な運動を取り入れる

「ストレス解消には有酸素運動が効果的。運動は前頭葉を休ませ、気持ちをスッキリさせたり、悩みを小さく感じさせたりする効果も期待できますよ。毎日でなくてもいいので、週に2〜3回、30分程度の運動を行いましょう。

梅雨の合間の晴れた日に散歩をして気分転換をするのがおすすめです。外に出て日光を浴びることは前述したセロトニンの分泌にもつながります。歩く際は少し早めのリズム(1分間に120歩程度)で歩くようにすると、よりセロトニンの分泌が促されるという説もあるので、いつもよりも気持ち早歩きにすることを意識してみましょう」

休日に外出する

「休みの日は家で過ごすよりも、外出するほうが活力につながります。ただ寝て過ごすだけだと、『せっかくの休みなのに何もしなかった……』と罪悪感を感じ、かえって元気がなくなってしまうことも。

梅雨時期は天気が悪いことが多いのでついつい家で過ごしてしまいがちですが、思い切って外に出て好きなことを楽しんだ方がリフレッシュできますよ

自分を褒める習慣をつける

「ストレスが溜まっていると、ついついネガティブな思考になってしまいがち。梅雨時期は天気の影響や家にこもりがちになるので普段よりもその傾向が強まってしまいます。自己肯定感を上げるために、自分を褒める習慣をつけるようにしてみましょう。

特におすすめなのが、夜寝る前にその日の良かったことや頑張ったことを書き出す、『褒め日記』をつけること。『会社に行った』など、普通にやっていることでも、自分を褒める材料になります。頭の中で思い浮かべるのではなく、手帳やノートなどに書き出してみると、『自分も案外、頑張っているんだな』と改めて気付くことができますよ。

それ以外でも美味しいものを食べたり、自分の好きなものを買ったりするなど、自分にご褒美をあげることも大切です。コンビニのプリンのようなささやかなものでも構いません。自分を労い、満たしてあげる意識を持ちましょう」

ポジティブに働くためのマインドセット

マインドセットを整理するイメージ

日々の考え方をポジティブに変えることで、梅雨時期の憂鬱を乗り越えることができるようになるそうです。ここからは、前向きな気持ちを育むために役立つマインドセットを紹介します。

「できないこと」ではなく「できていること」「できるようになったこと」に目を向ける

「自分に合っている仕事にこだわる方も多いですが、その仕事が自分に合っているかどうかはなかなかわからないもの。多少しんどくても仕事を続けていられるなら、それは十分『合っている』と言えるのではないでしょうか。

新しい環境に慣れてきた梅雨時期になると、周りと比べて自分は成長していないのではないかという思いにとらわれがちです。まずは今やっている仕事でどういう力が自分に身についているかを改めて考えて、できていないことではなく、できていること、できるようになったことに目を向けましょう。

やりたい仕事の理想を持ちつつ、将来その仕事につくために今何の力を磨いているのかという点に目を向ける視点も大切です。いきなり応用はできないので、まずは基礎から身につけるという考え方を持つようにしましょう」

感謝の言葉を伝える

日常的に『ありがとう』を伝えることは、人間関係を円滑にし、自身のメンタルヘルスにも良い影響を与えます。感謝は幸福度を高める効果があるため、積極的に言葉に出しましょう。簡単な挨拶や感謝の言葉を重ねるだけでも、良い人間関係の土台ができます」

将来のポジティブなイメージを描く

「例えば、3年後や5年後など、未来の自分についてポジティブなイメージを思い描いてみましょう。将来の理想像があると、今やるべきことの方向性が明確になり、迷いやブレが少なくなります

『こうならなければいけない』ではなく、『こうなっているといいな』くらいのゆるい捉え方でイメージしましょう」

目標は小さく設定する

「若手の頃は大きな目標を立てがちですが、大きすぎる目標はなかなか達成できず、達成できないことで落ち込みにつながります。目標はなるべく小さく設定するのがおすすめ。まずはスモールステップを積み重ねていきましょう

完璧主義を手放す

「若手ビジネスパーソンは完璧主義になりがちですが、『8割できていればOK』と考えるようにすると心が楽になります。例えば資料作成においては、デザインが洗練されていなくても、本来の目的である『相手に伝える』ことを意識できていれば十分です。

作業や業務の『コア部分』を意識し、それ以外は適度に力を抜きましょう」

相談は「ギフト」であると捉える

「特に、最近の若手ビジネスパーソンは人に相談をするのが苦手な人が多い印象ですが、モヤモヤを感じたら一人で抱え込まず、まずは上司や先輩に相談しましょう。

人に相談することが苦手な方は、『相談することは相手へのギフトである』と考えましょう。なぜなら、信頼していない人には相談しないからです。つまり、相談することは、相手を信頼しているというメッセージになります。

『実績がないから相談しにくい』と感じる人もいますが、むしろ実績が出ていないときこそ相談が必要。上司に話しにくければ、先輩や同僚など、話しやすい相手を何人か見つけておくのがおすすめです」

心身の不調が深刻な場合はどうすれば?

これまで紹介してきた対処法やマインドセットを取り入れてもなかなかしんどさが改善しないという場合はどうすればいいのでしょうか。

いろいろ試してみても心身の不調が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合は、専門機関に相談することも検討してみましょう。心療内科、精神科、カウンセリングルームなど、専門家はあなたの状況を理解し、適切なサポートを提供してくれますよ。

決して恥ずかしいことではないので、自分の心と体を守るために、勇気を出して相談してみましょう」

梅雨明けはもうすぐ!夏の時期にストレスを溜めない方法は?

食事をしっかりとって夏バテを解消するイメージ

梅雨が明けたら夏本番! 夏バテによる食欲不振や寝苦しさなどの症状が出てくる人も多いのでは。最後に、船見さんに聞いた夏の時期にストレスを溜めないためのコツも紹介します。

「暑い夏は食欲がないからそうめんだけで済ませてしまうなど、ついつい手軽なものだけを食べてしまって栄養が偏りがち。食生活が乱れるとメンタルの不調につながるため、しっかりと栄養を摂ることが大切です。暑い時期は特にビタミンB1が消費されやすいため、豚肉、うなぎ、枝豆など、ビタミンB1を多く含む食品を意識的に摂りましょう。

また、夏は暑くてぐっすり眠れないケースが増えます。寝苦しいときは我慢をせずにエアコンを上手に活用しましょう。とはいえ、エアコンで体が冷えてしまうと体調不良につながるので、なるべく身体を冷やさないよう心がけてください。

体を冷やさない工夫としては、夏でも就寝時にレッグウォーマーを着用することがおすすめです。つま先が開いているため靴下ほど熱がこもらず、快適に冷えを防ぐことができますよ」

まとめ

じめじめした梅雨の時期は心身の不調を感じやすいもの。特に、この春に入社や異動をした人にとっては、仕事への理想と現実のギャップが見え始めたり、周囲が成果を出しているように見えて劣等感を抱いたりと、なにかとモヤモヤしやすい時期です。

そんなときは、この記事で紹介した対処法とマインドセットを取り入れてください。ポジティブなマインドで、梅雨の憂鬱を乗り越えましょう!

監修:船見敏子さん
メンタルヘルス・コンサルタント、公認心理師、1級キャリアコンサルティング技能士。雑誌編集、フリーライターを経てカウンセラーに転身。産業カウンセラー、キャリア・コンサルタントの資格を取得し、2005年から現職。企業や自治体などでメンタルヘルス対策および組織活性化支援を行う。主な著書に、『結局、いいかげんな人ほどうまくいく』(PHP研究所)、『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)などがある。

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