仕事で怒られる人の特徴は?怒られる理由や対処法、改善策を解説

仕事で怒られることは、多くの社会人が経験していることです。しかし、頻繁に怒られる場合は、原因を分析して対策することが大切です。この記事では、仕事で怒られやすい人の特徴や、怒られたときのリアクション別に対処法を解説します。

仕事で怒られて反省している様子

仕事で怒られるという経験は、特に若手社員の方に多いかもしれません。怒られることがあると、「怒られるのが怖くて仕事に行きたくない」「どうして怒られなくてはいけないの?」など、さまざまな感情が沸き起こってくるでしょう。

この記事では、臨床心理士として活躍されている関屋裕希さんにお話を伺い、怒られやすい人の特徴や、怒られたときの感情別の心理学的な意味、怒られたときの対処法について解説します。

仕事で怒られやすい人の特徴は?

コミュニケーション不足で孤立しがちな人のイメージ

仕事で怒られることは、決して珍しいことではありません。しかし、怒られることが何度も続く人には、以下のような特徴があります。

コミュニケーション不足

仕事では、上司への報告・連絡・相談のほか、同僚との密なコミュニケーションが求められます。しかし、この「報連相」を怠り、周囲とのコミュニケーションが不足すると怒られることが多くなります。

例えば、仕事でミスをしたときや、業務の進捗状況が思わしくないときなどに報告が遅れると、チーム全体の生産性が下がるため、上司から怒られることがあるでしょう。

業務の確認不足

仕事の内容や指示を正確に理解していなかったり、よく確認せずにそのまま仕事をしてしまったりする人も、怒られることが多いです。「きっとこういう意味なんだ」と自分なりに解釈をしてしまうと、結果として成果が出ず、同じ失敗を繰り返してしまいます

上司からは、「改善する意思が感じられない」「教えた通りに仕事をしていない」と見られるため、怒られる原因になってしまうのです。

期限を守らない

よく怒られる人には、「時間感覚が甘い」という共通点があります。時間感覚が甘いと、締切りや納期を守らなくなるため、「業務上のルールを守らない」と見なされ、結果的に怒られることになってしまうのです。提出期限や納期が遅れがちになると、周囲からの信用を失う可能性があります。

怒られたときのリアクションは人によってさまざま

先輩に怒られて「怖い」と感じるイメージ

怒られたときにどう感じるのかは、人によってさまざまです。ここでは、主に5つのパターンを紹介します。

怒られると「怖い」と感じ、萎縮してしまう

人から怒りを向けられたときに、「攻撃された」と認知すると、自分の安心感が脅かされたと感じ、「怖い」という感情状態になることがあります。

「相手から攻撃されている」と感じると、怒られること=怖いという思考パターンに陥り、怒っている人に恐怖心を抱くようになってしまうのです。

怒られると気分が落ち込む

仕事のやり方に対して注意指導されていても、自分自身が否定されたように受け止めてしまうと、落ち込みやすいです。特に、若手ビジネスパーソンの場合は、自分が否定されたように受け止めやすい傾向があるかもしれません。

「どうしてできなかったのだろう」など、自分を責める考えにつながると、落ち込みが続いてしまいます。

怒られると不安になる

怒られたときに、「周囲からの期待に応えられなかった」、「関係性まで悪くなった」ととらえると、不安になりやすくなります。他者から嫌われたくないという考えが強い人ほど、「怒られた=相手に嫌われてしまった」と思いがちです。

また、人の目が気になる人も、怒られた姿を他者に目撃されたなどの理由から、「仕事ができない人と思われたかもしれない」と不安になることがあります。

怒られても平気で全く気にしない

怒られても平気な人は、いくつかパターンが考えられます。

「ミスは誰もがするもの」と現実的に受け入れる人は、怒りは相手の感情反応であり、自分のことを否定されているわけではないと受け止めることができます。また、怒られたり失敗したりといった経験が豊富で、怒られること自体に慣れている人もいるでしょう。

その他にも、仕事や評価に対する関心が低く、「怒られても別にいい」ととらえている人や、表面上は気にしていないように振舞っているものの、怒られたときの傷ついた感情を受け止め切れていない人もいます。

怒られても平気な人は、感情のコントロールができ、客観的に自分と他者を見ることができているとポジティブにとらえることもできます。しかし一方で、感情を受け止め切れていない場合もあり、知らず知らずのうちに精神的なダメージが積み重なっていく可能性もあります。

怒られると腹が立つ

「自分は正しい」、「相手が間違っている」と考えると、怒られることで怒りを感じます。また、「言い方がきつい」、「自分だけ怒られている」と理不尽さを認知したときに怒りを感じることもあります。

その他にも、実は傷ついたり落ち込んだりして不安を感じているときに、それを隠すために、怒りを表出しているケースもあるでしょう。人から怒られたときに、怒る口調や表現が強いと、「ハラスメントでは?」と必要以上に不信感を抱いたり、怒られたあとの周囲の目やチーム内での関係性が気になったりする人もいます。

仕事で怒られた際はどう反応するべき?

仕事で怒られているときに最後まで話を聞いているイメージ

仕事で怒られることがあった場合は、どのように反応するのが良いのでしょうか。社会人としてのマナーも考慮すると、次のように対応するのがおすすめです。

まずは相手の話を最後まで聞く

怒られたときは、まずは、怒っている相手の話を遮らずに、最後まで話を聞きましょう。たとえ納得のいかない内容であっても、途中で話を遮ってしまうと、相手の怒りが増幅する可能性があります。

相手の話を聞いたうえで謝意を示す

怒られた後は、「ご指摘ありがとうございます。今後のためにも、しっかり受け止めたいと思います」などと謝意を示しましょう。「怒る」という行為はネガティブな印象がありますが、実は、期待の表れでもあります。

もちろん、怒られること自体はポジティブな経験ではないかもしれなませんが、相手は自分に期待を寄せていたり、自分の仕事に関心を持っていたりするなど、良い面もあります

改善策やアクション案を提案する

怒られたことに対して、何が問題だったのか事実ベースで確認を行うことが大切です。状況に応じて今後の改善策やアクション案を検討しましょう。

仮に、これだけは相手に知ってもらいたい事情等がある場合は、相手の話が一通り終わった後で、最後に付け加えるのがポイントです。

話を遮って伝えようとすると、言い訳ととられてしまいます。謝罪をした後は、今後の改善策を相手に伝えることも忘れずに行いましょう。

【感情別】仕事で怒られたときの対処法

仕事で怒られたあとにうまく切り替えられる人のイメージ

仕事で怒られると、「なかなか前向きな気持ちになれない」という人もいるかもしれません。ここでは、仕事で怒られたときの感情別の対処法について紹介します。

仕事で怒られることに恐怖心を抱いてしまう場合

仕事で怒られることに恐怖心を抱いてしまう場合は、怒られるのを想像して恐いと感じるケースと、怒られている最中に恐怖を感じるケースがあります。

もしも、怒られるのを想像して恐怖を覚える場合は、「想像は決して事実ではない」と認識することが大事です。実際に起きたらそれから対処すればいいと言い聞かせるようにしましょう。

また、あえてとことん最悪のシナリオを想像し、「さすがにそんなことは起こらないな」、というところまで想像してから手放す方法も有効です。

仮に、怒られている最中に恐怖心を感じた場合は、まずは呼吸に注意を向けて、ゆっくりとした呼吸を意識しましょう。身体にアプローチして心を落ち着かせることで、恐怖も落ち着いてきます。

相手の怒りは攻撃ではなく、「行動へのフィードバック」ととらえなおすことが大切です。

怒られて落ち込んだ場合

怒られるたびに落ち込み、仕事になかなか身が入らないという人もいるかもしれません。怒られることは、仕事に対するフィードバックの意味合いが強く、自分を否定されたわけではありません

仕事でうまくいっているところや、自分ができているところ、得意なことや強みなど、ポジティブな側面を思い出してみましょう。落ち込んでいる気持ちを和らげることができます。

怒られると不安になる場合

怒られて不安になる人は、怒られた=嫌われた、怒られた=関係が悪くなった、という考えを手放しましょう。業務上のミスや改善点への指摘であると捉えなおし、客観的に分析してみることが重要です。

不安感から、相手と話すことを避けるなどの回避行動を取ってしまうと、より不安が強くなります。むしろ、相手といつも通りにコミュニケーションを取ることを心がけてみましょう。

怒られて腹が立ってしまった場合

「自分は正しい」、「相手が間違っている」と考えて怒りを感じる場合は、相手の考えに耳を傾け、「そういう捉え方もあるのか」と理解する姿勢を意識してみましょう。

「言い方がきつい」、「自分だけ怒られている」と理不尽さを認知して怒りを感じる場合は、本当に理不尽なことが起きているのか、事実ベースで確認することが重要です。他の人にフィードバックを求めて、客観的な意見を聞いたうえで反省点や課題を洗い出し、改善策や対処法を検討しましょう。

実は傷ついたり落ち込んだりして不安を感じていて、それを隠すために怒りを表出している場合は、自分の気持ちを内省することが重要です。「なぜ傷ついているのか」「なぜ不安に感じるのか」などを突き詰めて考え、本質的な問題や答えを導き出しましょう。

同じ失敗を繰り返さないためにメモを取る、同僚や先輩にアドバイスを求めるなど、原因が分かれば対処法が見えてくるはずです。

怒られても平気なのは、実はあまり良くない?

怒られても平気という人もいますが、これは必ずしも悪いことではありません。例えば、怒られても「ミスは誰もがするもの」と納得し、次へのフィードバックと受け入れる人は、そのままの状態で問題ないでしょう。

過去に怒られたり失敗したりした経験が豊富で、怒られることに慣れている人も、学習や改善に活かしているのであればそのままで問題ありません。

しかし、仕事や評価に対する関心が低く、「怒られても別にいい」ととらえている人や、怒られたときの傷ついた感情や不安な感情を受け止め切れていない人は、対処法が必要です。

前者の場合は、怒られた内容を学習や改善につなげる行動に反映させることを意識してみると、仕事のモチベーションアップにつながります。

後者の場合は、気にしないようにするのではなく、自分の気持ちを内省し、自分の感情に素直になることを意識してみましょう。友人や家族に自分の感じたことを話してみるだけでも、気持ちを整理できます。

仕事で頻繁に怒られる際に意識したいこと

コミュニケーションを積極的にとる人のイメージ

仕事で怒られることが多いという人は、普段の自分の行いや仕事に対する姿勢を振り返り、改善していくことが重要です。ここでは、仕事で怒られる場合の対処法と意識したいポイントを紹介します。

コミュニケーションを積極的にとる

報告・連絡・相談は自分から積極的に行うようにしましょう。特に、仕事で問題があった場合などは早めに報告することが重要です。

結果が出てから「できませんでした」と報告するのではなく、途中経過や問題点を都度共有するように心がけましょう。

普段から密にコミュニケーションを取っていれば、仕事の進捗状況だけでなく、仕事に対する姿勢や考え方も相手に伝わります。

仮に失敗したとしても、日ごろの努力や取り組みを理解していれば、より建設的なフィードバックを得られる可能性が高まります。

認識のズレをなるべくなくす

ビジネスシーンで意外と多いのが、確認不足による認識のズレです。相手からの指示事項や言われたことは、「これはこういう意味で合っていますか?」とこまめに確認し、認識のズレをなくすことを意識しましょう。

同じ共通認識のもとで仕事に取り組めば誤解が減り、怒られる回数も減っていきます。

再発防止策を考え、実践する

指導されたことや注意されたことは、「今後は〇〇する」と行動レベルで確認して、実践することが重要です。失敗を繰り返さないためにも、普段からメモを取り、仕事の振り返りがしやすいように工夫するのがいいでしょう。

メモをもとに改善策を考え、実際に実行して問題ないか確認するクセをつけるようにすると、再発防止につながります。

1人で抱え込まないことが大事

怒られることは、苦しいことでもあります。頻繁に怒られるような状況が発生し、自分の中だけで抱え込んでつらくなるときには、職場の人にかぎらず、安心して話せる場所で「怒られた」という話ができるといいでしょう

もし他の人からフィードバックをもらったりしたときに、怒られた内容が理不尽だったり、不公平だったり、頻度や程度が度をこすようであれば、社内の窓口に相談するのも一つの方法です。

怒られたときは一度立ち止まってみる

ビジネスシーンでは、どうしても怒られることがあります。怒られたときにどのように感じるかは人それぞれですが、怒られた原因を明確にし、繰り返し怒られることのないように、改善策を実行することが重要です。

心が苦しいと感じたときは、同僚や友人など信頼できる人に話を聞いてもらい、一度立ち止まって深呼吸してみましょう。怒られることは期待の表れでもあるので、落ち込みすぎずに気持ちを切り替えることが大切です。

監修:心理学博士、臨床心理士、公認心理師 関屋裕希
東京大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座所属。
早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了。専門は、産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、業種や企業規模を問わず、ストレスチェック制度や復職支援制度などのメンタルヘルス対策・制度の設計、職場環境改善・組織活性化ワークショップ、経営層・管理職・従業員それぞれに向けたメンタルヘルスに関する講演や執筆活動を行う。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)、『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。

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