
- 仕事中に「帰りたい」と思ってしまう原因は?
- 仕事中に「帰りたい」と思いがちな人の特徴
- 【原因別】「帰りたい」という感情への対処法
- 仕事を早く終えて帰るにはどうすればいい?知っておきたい効率化のポイント
- 「帰りたい」と思う状況を回避するには?
- 「帰りたい」と思ったら、自分自身を見つめ直す絶好の機会
仕事に行ってもすぐに「帰りたい」と思ってしまったり、仕事量が多すぎて早く帰ることができないと悩んだりしている人は、意外と多いかもしれません。こうした「帰りたい」という気持ちが強く、日常的に続いている場合は、何らかのストレスや業務環境に問題がある可能性があり、早めの対処が必要です。
本記事では、コミュニケーション講座の講師をしている公認心理士の川島達史さんにお話を伺い、仕事中に帰りたいと思ってしまう原因や帰りたいという感情への対処法について解説します。また、実際に仕事を終えて早く帰るための効率化のポイントなど、実践的なヒントもあわせて紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
仕事中に「帰りたい」と思ってしまう原因は?

仕事中に「早く帰りたい」と思った経験がある方は多いのではないでしょうか。仕事に行って帰りたいと思ってしまうのには、主に3つの原因が考えられます。
仕事の内容に原因があるケース
仕事の内容に原因があるケースでは、業務の負荷が軽すぎるケースと、重すぎるケースの2つが挙げられます。
業務負荷が軽すぎて飽きてしまうケースでは、仕事の内容が簡単すぎて刺激がなく、退屈に感じると、「早く帰りたい」と思うことがあります。
一方、納期に追われる、仕事量が多すぎるなどの業務の負荷が過剰なケースも、同様に「帰りたい」と感じる理由になります。
心理学ではヤーキーズ・ドッドソンの法則において、覚醒水準が低すぎるとパフォーマンスが下がるだけでなく、逆に覚醒水準が高すぎてもパフォーマンスは低下するとされています。過剰な緊張は、燃え尽き症候群や離職にもつながるので注意が必要です。
<関連記事>燃え尽き症候群とは? なりやすい人の特徴や原因、予防策を公認心理師が解説
職場環境に原因があるケース
職場の悩みで多いのが、上司や先輩との関係など、人間関係に関する問題です。人間関係の悪さはストレス要因の一つとされており、例えば上司との相性が悪く、ストレスが積み重なると出社意欲そのものが損なわれ、「帰りたい」という逃避思考が強まることがあります。
また、同じ部署内に苦手な人がいたり、周囲とのコミュニケーションがうまく取れなかったりといった理由で、仕事に対するモチベーションが下がることもあるでしょう。照明、温度や湿度、騒音などの室内環境が精神的な負担に繋がるケースもあります。
心理状態や体調に原因があるケース
自分の心理状態や体調が原因で仕事に対する意欲が下がることもあります。
例えば、仕事が自分の理想とする未来につながっていないと感じたり、誰かの役に立っている実感や社会に貢献している感覚が薄かったりすると、目的意識を失いやすくなります。
つまり、内発的動機づけが弱まることで仕事への意欲が下がり、「この仕事を続ける意味がない」と感じやすくなるのです。
また趣味や勉強など、仕事以外に優先すべきことがある場合も、仕事に対する意欲が低くなることがあります。
ほかにも、生活リズムの乱れで疲労がたまったり、体調が悪くなったりすると健康状態が原因で「帰りたい」と思うこともあるでしょう。
仕事中に「帰りたい」と思いがちな人の特徴

仕事中に「帰りたい」と感じることが多い人には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、仕事中に「帰りたい」と考えがちな人に見られる特徴を5つ紹介します。
コミュニケーションが苦手
「帰りたい」と考えがちな人は、仕事中に表情が硬く、同僚や上司とは必要最低限の会話しか交わさない傾向があります。
結果的に業務上の連携が淡泊になってしまい、職場での居心地の悪さや孤立感が「帰りたい」という思いを強めてしまう場合があります。
受け身で主体性が低い
仕事の内容にもよりますが、自ら考えて動くことが少ない人は、仕事に意味ややりがいを見出しづらい傾向があります。
当事者意識が低く、誰かに仕事を「やらされている」と感じることで、早く解放されたい=帰りたいという気持ちにつながってしまうのです。
真面目で頑張り屋
仕事に対して真面目に取り組むことは良いことですが、自分に厳しく、「与えられた仕事はすべて終わらせなければ」と無理をしがちです。
その結果、身体的にも精神的にも自分自身を追い込むこととなり、「帰りたい」といった気持ちに結びつくことがあります。
プライベートを重視している
「帰りたい」と感じる背景には、仕事よりもプライベートの充実を優先したいという価値観がある場合もあります。
日々の働き方において、自分の時間や趣味、家族との時間も大切にしたいと考えているため、勤務時間中でも「早く自分の時間に戻りたい」と感じることがあるかもしれません。
【原因別】「帰りたい」という感情への対処法

仕事で「帰りたい」と思うことがある場合は、まずは、「なぜ帰りたいのか」の理由を明確にすることが重要です。ここでは、「帰りたい」という感情への対処法を、原因別に紹介します。
仕事の内容に原因がある場合の対処法
前述したように、仕事の内容に原因があるケースでは、業務の負荷が軽すぎる、あるいは重すぎるケースの2パターンがあり、それぞれ対処法が異なります。
業務の負荷が軽すぎる場合は、「適度な挑戦」を意識してみましょう。
少しだけ難しい業務に挑戦してみたり、改善提案を行ったりするなど、自ら適度な負荷をつくる工夫が求められます。上司に相談して挑戦できる環境を整えてもらうのもいいでしょう。
業務の負荷が大きい場合は、限界を見極めることが必要です。
自分の体力や時間に見合った仕事量を意識し、過負荷を避けましょう。1人で仕事を抱えすぎている場合は、同僚や上司に相談して仕事量を調整するという方法もあります。
業務の優先順位を明確にし、完璧を目指さず、対応可能な範囲を冷静に見極める力が、持続可能な働き方につながっていくでしょう。
心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱したフロー理論では、自分のスキルと課題の難易度が適度に釣り合っているときに、集中とやる気が高まる心理状態になるとされています。
職場環境に原因がある場合の対処法
職場の人間環境が原因で「帰りたい」と思ってしまう場合は、日々の小さな信頼構築がポイントになります。職場での関係を業務だけに限定しすぎると、心理的な孤立感が強まります。
業務以外にも雑談や日常的なやりとりなど、こまめにコミュニケーションを取りながら人間的な交流を大切にすると、信頼関係の構築につながっていくでしょう。
室温や騒音など、作業環境に問題がある場合は、周囲と問題を共有したうえで早めに担当部署に相談し、改善してもらうことが大切です。
自身の心理状態・体調に原因がある場合の対処法
仕事に対するやりがいは人によって様々ですが、「自分の仕事が誰かの役に立っている」と実感できることが、やりがいの一因になることもあります。
一見目立たないような業務でも、社会の一部を支えていると意識し、実感することで、仕事に意味を見出しやすくなるでしょう。
成果や成績だけでなく、同僚との日々のやりとりの中で得られる小さな達成感や感謝の言葉も、心に満足感を与えてくれるはずです。
体調不良など、健康状態が万全ではない場合は、半休や有休などを活用し、まずはしっかりと休養を取ることが大切です。同僚に相談し、仕事を分担できないか相談してみるのもいいでしょう。
趣味や勉強など、仕事以外にやりたいことがある場合は、仕事とプライベートのメリハリをつけることを意識し、「仕事も頑張り、好きなことにも時間を使う」とポジティブなイメージを持つことが重要です。
仕事を早く終えて帰るにはどうすればいい?知っておきたい効率化のポイント

「帰りたい」という気持ちに向き合う方法としては、感情や体調のケアに加えて、日々の仕事の進め方を工夫することも有効です。
業務の進め方を見直し、実際に早く帰れるようになれば、気持ちが前向きになるきっかけにもなります。
ここからは、仕事を効率よく進め、早く帰るための具体的なポイントを紹介します。
出社直後にスケジュールを立てる
出社直後の朝の10分で、「今日やること」を整理すると、脳のエネルギーを無駄に消費せずに済みます。事前にスケジュールを設定してタスクの見通しが立つと、集中力が高まり、無駄な残業の回避にもつながっていくでしょう。
仕事の優先順位をつける
やるべき仕事に関して、すべてを同時に、かつ完璧にこなすのは不可能です。
重要度と緊急度のマトリクス(チャート図)を作成し、「今やるべきこと」「後でいいこと」を明確に分けましょう。仕事の優先順位をつけることで判断の迷いが減り、時間を有効に使えます。
時間を有効活用するための方法は以下の記事でも詳しく解説しています。
<関連記事>「短くやる」が、マルチタスクの鉄則。自分をラクにするタイムマネジメント術
やらないことを決める(やらない勇気)
上司や同僚などから、「この仕事をお願いしたい」と頼まれることもあるかもしれません。特に若手のうちは、自分の判断で断るのが難しいと感じる場面も多いでしょう。
しかし、すべてに応えようとする姿勢は、結果的に自分の業務を圧迫し、非効率につながることもあります。
まずは「自分の役割や優先すべき業務は何か?」を整理し、時には優先度の低い業務は任せる・分担できないか相談する、などの選択肢を持つことも大切です。
完璧を求めず、6〜8割で区切る
仕事で完璧主義を求めると、精神的な負担が大きくなり、かえって非効率になることがあります。心理学では、「最適化よりも実行」が重要とされます。
完璧を求めて結果的に手を止めてしまうことがないように、まずは優先順位の高い仕事を終わらせてから微調整をすることが重要です。仕事量は6~8割と意識すると、心理的な余裕も生まれます。
周囲に助けを求める勇気を持つ
自分ですべて解決しようとすることが、必ずしも正解とは限りません。誰かに相談したり、仕事の分担をお願いしたりすることで、業務全体の効率が上がっていきます。これは「ヘルプシーキング行動」と呼ばれ、心理的負担の軽減や、チームの成果を最大化する効果が見込めます。
【参考】努力しても終わらない時は「会社の問題」と切り分ける
アルフレッド・アドラーが提唱した“アドラー心理学”では、「課題の分離」という考え方があります。
これは、「その問題は誰の責任か」「誰が解決すべきか」を見極め、自分の課題と他者の課題を冷静に切り分けるというものです。
どれだけ努力しても終わらない業務量であれば、それは個人ではなく組織側の構造的な課題ともいえます。「これは私の責任ではない」と意識することで、過剰な自己責任感から解放され、精神的な余裕が生まれます。
「帰りたい」と思う状況を回避するには?

最後に、「帰りたい」と思う状況自体を回避する根本的な対策を4つ紹介します。
キャリアの見直しを行う
どうしても今の仕事や職場に適応できないと感じるのであれば、一度立ち止まってキャリア全体を見直すことも重要です。
「どんな働き方をしたいのか」「何を大切にしたいのか」といった視点で、自分にとっての最適な職場とは何なのか、再定義しましょう。
「この仕事に意味があるのか」と感じたときこそ、自己理解を深めるチャンスです。自分の価値観や目標、人生観を言語化し、自分の働き方にどのような軸があるのかを見つめ直してみましょう。
現在の状況や課題が可視化されれば、目の前の仕事への納得感が高まることがあります。また、定期的に自己分析を行う時間を持つと、モチベーションの維持にもつながります。
中々自己分析ができない、やり方がわからないという人は、診断ツールを活用してみるのも良いでしょう。
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社内での部署異動を検討する
業務内容や職場の人間関係に負担を感じる場合、部署異動を検討するのも有効な方法です。たとえ同じ会社でも、配属先が変わるだけでストレス要因は大きく変化します。
タイミングを見ながら上司や人事担当者に相談し、働きやすい環境に異動できるように相談してみましょう。
転職を視野に入れる
何度改善を試みても状況が変わらない場合は、転職という選択肢を検討するのも良いでしょう。転職市場の情報収集を始めるだけでも、心理的な余裕が生まれることがあります。
職場の外に相談できる環境を持つ
一人で悩みを抱えると視野が狭まり、感情に飲み込まれやすくなります。信頼できる友人や家族、専門のカウンセラーなど、職場外に相談できる存在を持つことで、問題を客観視しやすくなるでしょう。
心理的安全基地を職場の外に確保することで、自分を守る力が高まります。
また、パワハラや長時間労働、サービス残業などの労働基準法違反は、個人の努力では解決できない問題です。社内相談窓口や労働基準監督署などの外部機関を活用も検討してみましょう。
「帰りたい」と思ったら、自分自身を見つめ直す絶好の機会
「帰りたい」と思うことは、決して悪いことではありません。その感情は、「あなたの心が少し疲れているよ」「無理しているかもしれないよ」と教えてくれているサインです。
自分の気持ちを見過ごしてしまうと、仕事に行くこと自体が億劫になってしまいます。だからこそ早めに気づき、できることから対処していきましょう。
監修:ダイレクトコミュニケーション 代表取締役 川島達史
目白大学大学院心理学研究科を修了し、現在ではコミュニケーション講座の講師として、心理学や人間関係に関するワークを行う。専門は成人のソーシャルスキルが孤独感・対人不安に与える影響。普段は「コミュニケーション講座」の主催や、YouTubeチャンネル「ダイコミュ大学」による情報発信を行なっている。
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