- 自制心とは?
- 自制心はどのような状況で発揮される?
- ビジネスシーンで自制心を保つメリット
- 自制心がある人・ない人の特徴
- 自制心を保つことができない原因は?
- 自制心は強すぎてもダメ?
- 自制心を鍛える方法
- 自制心は目的ではなく手段のひとつ
自制心が強いことは、ビジネスシーンにおいても大きな強みになります。自身の感情をコントロールできることで集中力が向上し、目標達成につながっていくでしょう。しかし、いざ自制心を高めたいと思っても、「自分の感情を上手くコントロールできない」「自制心を鍛える方法が分からない」といった悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。
今回は、経営コンサルタントの横山信弘さんにお話を伺い、自制心の意味やビジネスに与える影響、自制心を鍛えるための具体的な方法について解説します。
自制心とは?

自制心とは、「目先の欲望や感情に流されず、理性的に自分の行動をコントロールする力」のことを意味します。英語では、Self Control(セルフコントロール)と呼ばれており、一時的な感情に流されずに目標達成に向けて行動できている状態を指します。
感情や欲望に左右されてしまうと、集中力が続かなかったり、冷静なコミュニケーションが難しくなったりすることがあります。
横山さんによると、仕事で成果を発揮する人には“自制心が強い”という共通点があるそうです。特にビジネスシーンでは重要な素質のひとつといわれています。
自制心の類義語・対義語は?
自制心の言い換え表現(類義語)としては、以下の3つが挙げられます。これらは、自身の感情や欲望をコントロールできている状態を表すときに用いられる言葉です。
- 自律心…自分で自分の行動を管理する(律する)状態
- 状態管理(ステータスコントロール)…自分の感情を意識的に管理し、望ましい状態へ調整すること
- 克己心…自分の感情・欲望に打ち勝つこと
次に、自制心の対義語についても見ていきましょう。
- 衝動性…自身の欲望を満たすために行動を起こす性質または気まぐれな行動傾向
- 放埒(ほうらつ)…規律や節度がなく、自分の好きなように振る舞うこと
衝動性や放埒という言葉は、どちらも自身の感情や欲望を管理できず、思ったまま行動に移してしまう状態のことを指して使われることが多いです。
自制心はどのような状況で発揮される?
ビジネスシーンにおいて、自制心はどのような状況下で発揮されるのでしょうか。
ここでは、具体的なシーンを3つ解説します。
目標達成へ向けて粘り強さを維持するとき
設定した目標に到達していない状況のときは、「もう無理かもしれない」と心がくじけそうになることもあるでしょう。しかし、自制心があればマイペースに物事を進めるのではなく、目標の期限から逆算して粘り強く計画的に行動を続け、最後までやりきることができます。
理不尽な指示を受けたとき
職場の上司から、目的や意図が分からない仕事を振られることもあるでしょう。そんなときは、「どうしてこの仕事をやらなくてはいけないのだろう」と不満に感じることもあるかもしれません。
しかし、自制心がある人は、すぐに感情的にならずその仕事の背景や目的を冷静に推測しようとします。「この仕事には、何か意図があるのかもしれない」「新しいプロジェクトの準備かも?」と指示の裏側を考えることで、結果として、ただの雑務に見える仕事を自分の成長機会につなげることもできるでしょう。
SNSやメールの誘惑に負けそうなとき
集中すべき仕事があっても、スマホの通知音やメールが届くたびに仕事を中断してしまうと、作業効率が悪くなってしまいます。
自制心がある人は、可能な範囲で自分自身にルールを設定します。例えば、制限時間内で特定のタスクを完了させる“タイムボクシング”の発想で仕事をこなすことで、決めた時間まではスマホやメールを見ずに目の前のタスクに集中することができます。
ビジネスシーンで自制心を保つメリット

自制心を保ったまま仕事をすると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、主なメリットを5つ紹介します。
長期的な成果が出せる
自制心は、仕事の成果に大きく影響します。例えば、比較的楽な仕事ばかりを選んでいては、将来的な成長は望めないでしょう。しかし、自制心があれば、困難な案件にも挑戦し続けられるため、長期的に着実な成果が期待できます。
たとえ苦手な仕事であっても、地道に自己研鑽を続けることで成果に結びつき、その仕事が好きになるケースもあります。
信頼関係が構築できる
ビジネスシーンにおいて「約束を守ること・締切を守ること・感情的にならないこと」、この3つは信頼関係の基盤となる非常に重要なポイントです。
これらを守っていくには自制心が必要とされるので、信頼関係の構築という点でも自制心があることは大きなメリットになります。
<関連記事>信頼関係を築くには?仕事における重要性や築き方を解説
意思決定の質が向上する
衝動的な判断は失敗につながることが多いものです。しかし、自制心があれば一度立ち止まって考えることができます。
「もっと冷静な判断が必要だった」「他者から指摘されて間違いに気付いた」のような、後から後悔するような突発的な決断も、自制心があれば防ぐことが可能でしょう。
生産性が向上する
自制心を保つことで、マルチタスクの誘惑に流されることなく、目の前の仕事に集中することができます。
近年はシングルタスクで仕事をする人の生産性は、マルチタスクの人の3倍以上ともいわれています。他の作業に気が散らないように自制することで、仕事効率は大幅にアップするでしょう。
メンタルヘルスが安定する
感情の起伏が激しいと、自分も周りも疲弊してしまいます。自制心によって衝動をコントロールできれば、感情の波が穏やかになり、精神的な負担が軽減します。その結果、メンタルヘルス不調の防止にもつながるでしょう。
メンタルヘルスが安定すれば、仕事に対するモチベーションの向上も期待できます。
自制心がある人・ない人の特徴
次に、自制心がある人・ない人にどのような特徴があるのか、それぞれ詳しく解説します。
自制心がある人の特徴
自制心がある人は、一歩引いた位置から周囲を観察しているためか、多角的に物事を考えることができる、視座が高い人が多いです。自分視点ではなく、組織全体や将来を見据えた行動ができるでしょう。
また、主体性があることも自制心がある人の特徴のひとつです。指示を待つのではなく、自ら考えて主体的に動きます。そして小さな成功体験を積み重ねながら、目標を確実に達成することで自信が育ち、仕事にも良い効果をもたらします。
自制心がない人の特徴
自制心がない人は、仕事中に不注意やミスがあったとしても、その行動を正当化するために言い訳をしてしまうことがあります。
「忙しかったから」「環境が悪いから」など、他責思考に陥りやすいのも、自制心がない人の特徴といえるでしょう。
そもそもの物事の捉え方として、“相手や環境が変われば自分も良くなる”という受け身の発想があるために、自主性がなかなか身に付かず、十分な自制心が育っていないとも考えられます。
<関連記事>他責思考とは?人のせいにする原因と改善方法、自責思考との違いを解説
自制心を保つことができない原因は?

「自制心を保ちたいけれど、なかなかうまくいかない……」という人も多いのではないでしょうか。その背景には、現代ならではの環境要因もあるかもしれません。
ここでは、一例としてビジネスパーソンが自制心を保つのが難しいと感じる場合に考えられる要因をいくつか解説します。
スマホに気を取られて集中力が削がれてしまうから
今やスマートフォンが手元にある状態が当たり前という人も多いかもしれません。
通知がくるたびにスマートフォンを確認するクセがついている人は、仕事を中断してしまいがちです。スマホ依存によって集中力が低下すると、自制心が育たなくなる可能性があります。
「タイムパフォーマンス思考(タイパ思考)」が継続を妨げてしまうから
タイパ思考とは、「費やした時間に対する効果や満足度」を重視する考え方のことで、仕事を効率的に行うという意味ではタイパ思考はメリットも多いです。しかし、「すぐに結果が出ないならやらない」という考えを優先してしまうと、自制心がなかなか育たないでしょう。
自制心は、日々の積み重ねによって身に付いた忍耐力によって身に付くもので、筋トレと同じように、時間をかけて鍛えるものです。
長期的な目標を達成するために、短期間で得られる誘惑を我慢し、地道な努力を継続していくことで自制心が育ちます。
安心感が強すぎる可能性があるから
「無理しなくていいからね」「自分のペースでいいよ」というような、過度にストレスの少ない環境では、自制心を育てることは難しいかもしれません。適度なプレッシャーと挑戦がなければ、人は成長することが難しくなります。
心理学では、適度な緊張感がパフォーマンスを最大化する心理現象を「ヤーキーズドットソンの法則」と呼びます。緊張感が少ない職場環境の場合は、仕事を通して自制心を鍛えること自体が難しくなってしまうのです。
自制心は強すぎてもダメ?
「自制心が強い」と聞くと、ポジティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、自制心が強すぎることの弊害も存在するため、自制心を適度に保つことが重要です。
例えば、過度な自制心は、「完璧主義」につながりやすいです。完璧主義であること自体は必ずしも悪いとはいえませんが、すべてを完璧にこなそうとすると、計画通りに進まなかったときに焦りやストレスが生じてしまい、かえって生産性が落ちてしまうこともあるでしょう。
また、感情を押し殺しすぎると、周りに対しても強い「自制心」や「忍耐」を求めるようになり、寛容さがなくなっていく要因になってしまいます。
その結果、人間関係の悪化やストレスの増加、さらに柔軟性の欠如につながることもあるため、自分や周りに対して過剰な自制心を求めることは危険といえます。
自制心を鍛える方法

最後に、必要なときに自制心を発揮するために知っておきたい、自制心を鍛える方法を解説します。
「小さな成功体験」を毎日積む
達成体験は自己効力感を高める効果が期待でき、自制心を鍛えられます。
例えば、「毎朝タスクを書き出す」「金曜日のお昼に来週のスケジュールを確認する」など、確実に達成できる小さな目標を設定し、日常的に達成体験を積み重ねていきましょう。
大事なのは、高い目標を設定することのではなく、やれば絶対に達成できる目標を1つか2つか決め、必ず達成していくことです。きっちりとタスクをこなすことで、自制心を保つ状態が継続できるようになるでしょう。
「見通し」を立ててから行動する
計画を立てて習慣化することで、自身の感情をコントロールできるようになります。「とりあえずやってみる」のではなく、始めから終わりまでの見通しを立てることが重要です。
例えば、資料を作るときなどは、完成イメージをしっかりと思い描いたうえで取り掛かるようにするといいでしょう。
イメージが描けないときは、すなわち見通しが立たないということなので、その場合は周りに相談しましょう。他者の協力はモチベーション維持や行動の継続につながるため、自制心が格段に向上します。
タスクは細分化して時間を見積もる
自身の感情や欲求をコントロールするためには、時間管理も重要なポイントです。
例えば、30分で終わると思っていた仕事が2時間かかってしまうなど、見通しの甘さが、感情の乱れを招くことがあります。
そのような事態を防ぐために、タスクを細分化してどの作業にどのくらいかかりそうなのか、あらかじめ時間の見積もりをしておくのがおすすめです。
仮に、企画書作成であれば、「情報収集に30分、書類作成に40分、見直しと誤字脱字チェックに15分」というように細分化して見通しを立ててみましょう。
慣れてくれば仕事にかかる時間の予測精度が上がり、「時間がない」「忙しいから無理」といった感情的な判断が減る効果も期待できます。
<関連記事>「短くやる」が、マルチタスクの鉄則。自分をラクにするタイムマネジメント術
「インサイド・アウト」の思考を身につける
「インサイド・アウト」とは、物事や問題を解決する際に、自分の価値観・感情・考え方などの内面を起点にして行動し、外側の状況を改善しようとするアプローチのことです。
他人や環境のせいにする「アウトサイド・イン」の思考を手放し、インサイド・アウトの思考を意識することで自制心が鍛えられます。
まずは、自分の中に「モノサシ」を持ち、それに従って行動することを意識してみましょう。
定期的に振り返りをする
客観的な視点を持つことは、自制心を鍛えることにもつながります。週に一度など、時間を作って自分自身の行動を定期的に振り返ってみましょう。
「今週、計画通りに処理できたタスクはいくつ?」「誘惑に負けた場面は?」と自問自答し、客観的な視点で自分自身の行動を分析します。これを続けると、少しずつ衝動をコントロールできるようになるでしょう。
<関連記事>振り返りをする目的とは?仕事におけるメリットとおすすめのフレームワークを解説
自制心は目的ではなく手段のひとつ
ビジネスシーンにおいて、自制心を鍛えることは、成果を出すために必要なことです。仕事で成果を出すことができれば、職場へ貢献ができ、周りからも感謝され、自分自身も成長するでしょう。
現代は不確実性の高い時代といわれているからこそ、自制心が弱いと、創造性や人間力を発揮することが難しくなってしまう可能性があります。
もしも、「自分はもう少し自制心を鍛える必要があるかもしれない」と感じているのであれば、適度な負荷で自制心を鍛える方法を模索してみましょう。一度自制心を鍛える方法を身につければ、仕事もよりスムーズになっていくはずです。
監修:株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、コラム執筆、昨今ではYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いでいる。大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ち、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読。主な著書には「絶対達成」シリーズのほか、「『空気』で人を動かす」「キミが信頼されないのは話が『ズレてる』だけなんだ」等多数。
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