処世術とは?意味や身につけ方、活用する際のポイントを解説

処世術を身につけておくと、さまざまなビジネスシーンで自分の強みを発揮しやすくなります。この記事では、処世術の意味やメリット、身につける方法について解説します。

処世術を身につけてビジネスで活躍する人のイメージ

社会人として働く中で、円滑な人間関係や仕事の成功には「処世術」が欠かせません。 例えば、上司との信頼関係を築く方法や、チームで協力しながら成果を出すための立ち回り方など、処世術にはさまざまな形があります。

今回は、経営コンサルタントの横山信弘さんにお話を伺い、ビジネスシーンにおける処世術の意味や求められるシーン、活用する際のポイントについて解説します。

処世術とは?

人間関係を円滑に保ちながら働く人のイメージ

まずは、「処世術」の基本的な意味と言い換え表現について解説します。

「処世術」の意味

「処世」には、“社会の中で生活していくこと”という意味があります。つまり、処世術とは、「社会や組織の中で効率的に成果を出していくためのスキル」を意味します。

処世術と聞くと、打算的なイメージを抱いてしまう人もいるかもしれませんが、実際はそれだけではありません。要領よく立ち回ることだけでなく、上司や同僚との人間関係を円滑に保ちながら、自分の目標を達成するためのスキルというのが処世術の本質です。企業や組織に属する人間ならではの独特なスキルともいえるでしょう。

処世術の類語・言い換え表現

処世術の類語や言い換え表現としては、「立ち回り」、「処世法」、「渡世術」「世渡り術」などがあります。どの言葉も、人間関係を円滑に進めながら目標達成するスキルという意味で表現されることが多いです。

・立ち回り…状況に応じて自分が有利になるように振る舞うこと
・処世法…社会でスムーズに生活していくための方法
・渡世術…社会で生きていくための技術やスキル
・世渡り術…社会生活を円滑かつ自分に有利に進めていくための技術や方法

処世術が活きるビジネスシーンとは?

処世術を身につけておくと、具体的にどのようなビジネスシーンで役立つのでしょうか。処世術が活きるビジネスシーンの一例を紹介します。

上司との対話

上司との関係は、キャリアや業務に直結します。しかし、距離が近すぎると客観的な視点を持つことが難しくなり、遠すぎると信頼を得にくくなってしまいます。だからこそ、適度な距離感を保ちながら信頼関係を築く処世術が必要です。

適度な距離感で上司と信頼関係を育みつつ、周囲のメンバーにも配慮することを忘れないようにしましょう。橋渡し役としてチーム全体をつなぐ意識を持てば、上司からもメンバーからも、信頼される存在になれるはずです。

同僚との情報共有

ビジネスシーンでは、チーム内での情報共有も重要です。必要な情報を伝えないと、仕事の効率が下がるだけでなく、信頼も損ないかねません。

処世術は、情報を公平に共有し、誰も取り残さない環境をつくるためにも役立ちます。俯瞰的な視点で「誰が何を知っているか」を把握し、有益な情報は積極的に共有しましょう。こうした姿勢がチームに安心感を与え、あなたの評価を高めます。

会議での発言時

会議では、発言のタイミング次第で印象が変わることがあります。沈黙を続ければ消極的に見え、空気を読まずに話せば逆効果になってしまうこともあるでしょう。処世術は、最適なタイミングで意見を出し、議論に価値を加えるために必要です。

話の流れを理解し、勇気を持って口火を切るか、議論が煮詰まったときに建設的な意見を出すことを心がけましょう。積極的な発言は信頼につながります。

トラブルの発生時

問題が起きたときには、対応の仕方で信頼度が決まります。隠したり遅れたりすれば評価は下がりますが、 迅速で誠実な対応は「頼れる人」という印象を与えます。ここでも処世術が活きるのです。

トラブルが発生したら、その機会をチャンスだと捉えてみましょう。すぐに報告し、状況を整理して改善策を示します。この初動の速さが、信頼を築く大きなポイントになります。

処世術を身につけるメリットは?

処世術を身につけて仕事の効率を向上させた人のイメージ

ここでは、ビジネスシーンで処世術を身につけるメリットについて解説します。

仕事の効率が上がる

処世術によって上司や同僚と信頼関係が築けていれば、必要な情報やサポートを得やすくなります。結果として、業務の効率化に繋がり、無駄な手戻りや確認作業を減らすことにつながるでしょう。

正当な評価が得られる

仕事の評価は、成果だけでなく周囲といかに信頼関係を築けるのかによっても左右されます。

丁寧な仕事ぶりや業務の進捗の見える化など、処世術を身に付けることで、周囲からの印象が良くなり、実力を正当に評価してもらう後押しになります。

成長機会が増える

処世術は、チャンスを呼び込む技術ともいえます。

周囲から「この人なら大丈夫」と信頼されれば重要な仕事やプロジェクトを任される可能性も出てきます。こうした経験は、キャリア形成にも大きく役立つでしょう。

環境変化への対応力が高まる

変化の激しい時代において、柔軟性はとても大事な要素です。どんな環境でも適応できる処世術が身につけば、転職や部署異動などの環境変化でも、スムーズに馴染むことができます。

ストレスを軽減できる

人間関係の摩擦は職場のストレスの大きな要因の一つです。処世術によって適度な距離感を保ち、衝突を避けることで、精神的な負担を減らすことができます。

処世術はどうやって身につける?

処世術はどうやって身につけることができるのでしょうか。ここからは、そのための具体的な方法について解説します。

観察力を磨く

新しい視点を発見するという意味でも、まずは、周囲の人たちや状況について注意深く観察することが大切です。周囲と円滑にコミュニケーションを取っている先輩や同僚など、身近で参考にできる人が、会議でどんなタイミングで発言しているのか、周囲に対してどのように振る舞っているかなど観察してみるといいでしょう。

聞く力を鍛える

職場で上司や同僚、先輩と会話する場面では、しっかりと話を聞く姿勢を持ちましょう。まずは、相手と自分の発言の割合は8対2くらいを意識し、相手の話を最後まで聞くことにフォーカスしてみるのがおすすめです。

また、会話の途中で、「でも」「だって」「どうせ」といったD言葉(否定的な言葉)を使わないようにしてみることもポイントです。これだけでも周囲からの印象は大きく変わるでしょう。

約束を必ず守る

どんな小さな約束でも、必ず守ることが大切です。たとえば、「明日連絡します」と言ったら必ず連絡するなど、小さなことのように考えがちな約束でも、しっかり守るようにしましょう。

「一度決めたことをしっかりと守る人かどうか」は、意外と周囲からも見られています。成功体験を積み重ねることと同じように、「小さな約束を守る体験」を積み上げていきましょう。

感謝の気持ちを言葉にする

上司や同僚に対して日常的に「ありがとうございます」と言葉にすることを意識してみましょう。言葉の最後に「本当に助かりました」と付け加えるなど、小さなことでもメールや対面などで感謝の気持ちを伝えることが大切です。

言葉や態度で感謝を示すことは、人間関係を深めるだけでなく、自分自身の心の健康にもいい影響を与えます。感謝を表現することは、処世術の中でも特に重要といえるでしょう。

失敗を素直に認める

仕事でミスや失敗をしてしまったときは、失敗を素直に認めることが大切です。ついつい言い訳してしまうという人は、まずはそのクセを治すことを意識してみましょう。

問題が発生したときは、謝罪し、そして改善策を示します。この順番を常に徹底することで、人間関係も円滑になります。

今すぐできる処世術

相手よりも先に挨拶をして信頼関係の構築に役立てるイメージ

処世術は、ちょっとした心がけですぐに実践できるものもあります。 ここでは、横山さんに聞いた「今すぐに実践できる処世術」を5つ紹介します。

相手よりも先に挨拶をする

相手より先に挨拶をするように意識してみましょう。挨拶する際には、できる限り相手の名前を呼び掛けてみると効果的です。

「〇〇課長、お疲れ様です」、「〇〇さん、おはようございます」など、 こうした挨拶だけでも信頼関係の構築に役立てることができます。

こまめにメモを取る

仕事でメモを取ることは、情報を整理するためにも重要な要素です。相手が話しているときにはメモを取る習慣をつけるようにすると、内容を理解するだけでなく、真剣に話を聞いている姿勢を示すことができます。

スマホやPCでメモを取るという方も多いかと思いますが、紙とペンでメモを取ると、記憶しやすいのでおすすめです。

報連相を徹底する

報連相(報告・連絡・相談)によって、必要な情報を必要な人に共有できます。上司だけでなく、同僚や後輩に対しても報連相を徹底しましょう。

特に意識すべきは、報告です。「あの件、どうなった?」と聞かれることのないように、中間報告や結果報告をこまめに行うようにしましょう。

締切の前倒し習慣

書類の提出日など、仕事では締め切りが決められていることがほとんどです。「締切日当日でも問題ない」と考えず、少なくとも締め切りの1日や2日前に提出することを心がけましょう。

「この人はいつも早めに提出してくれる」など、締め切りの前倒し習慣を意識するだけで信頼度が上がる効果があります。余裕を持つことは、相手への配慮でもあるのです。

批判より提案

不満をつい口にしたり、文句や愚痴を言ったりするのは、感情コントロールができていない証拠ともいえます。問題があったときには、「こうしたらどうでしょう」と提案することを意識してみましょう。

批判する人より、改善策などの提案を示す人のほうが評価されやすく、信頼も得られます。

処世術を活用する際のポイント

ビジネスシーンで処世術を活かすうえで大事なのは、処世術の目的を見失わないことです。

処世術の目的は、仕事で成果を出すことや目標達成することです。組織の中でうまく立ち回ることだけが目的にならないよう、注意しましょう。

また、処世術を活用する際は、客観的な視点を持ち、正しい観察力を持つことが大切です。上司だけでなく、同僚や先輩など、メンバー全員に目を配り、配慮できるように心がけましょう。

客観的な視点があれば、組織の状況や人間関係を正しく把握でき、不満や愚痴に振り回されることも減ります。結果として、よりよい判断に繋がり、成果を出しやすくなるでしょう。

自分なりの処世術で仕事を効率的に

時代とともに社会が変化していくなか、処世術の在り方も変化しています。特定の人物や特定のときだけ処世術を活かすのではなく、処世術を一つの戦略として、さまざまなシーンで応用していきましょう。

今自分には何が足りないのか、自分の強みは何なのか、定期的に自分自身について振り返りながら、処世術を目標達成に役立ててみてください。

監修:株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、コラム執筆、昨今ではYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いでいる。大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ち、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読。主な著書には「絶対達成」シリーズのほか、「『空気』で人を動かす」「キミが信頼されないのは話が『ズレてる』だけなんだ」等多数。

【関連記事】
信頼関係を築くには?仕事における重要性や築き方を解説
影響力のある人の特徴は?ビジネスにおけるメリットや高めるポイント、方法も紹介
人当たりがいいとは?長所なの?その特徴や向いている仕事について解説

page top