「機転が利く人」になるには? その特徴や意味、ビジネスでの活かし方

仕事で予期せずトラブルが発生しても、機転が利く人であれば上手に解決できる可能性が高まります。この記事では、ビジネスシーンにおける「機転が利く」の意味や機転が利く人の特徴、身につける方法について解説します。

ビジネスで機転が利く人のイメージ

仕事で予期せぬ事態が発生したとき、「どうしたらいいのか分からない」と頭が真っ白になってしまう人もいるかもしれません。しかし、そんなときでも機転が利く人であれば思わぬアイデアを出してその場を乗り切ることが可能です。

今回は、「やさしいビジネススクール」で学長を務める中川功一さんにお話を伺い、ビジネスシーンにおける「機転が利く」の意味や機転が利く人の特徴、身につけるための方法について解説します。ビジネスで機転の良さを発揮したいという人は、ぜひ参考にしてみてください。

「機転が利く」とは?

タスクをどのようにしたら効率よくこなせるか考えるイメージ

まずは、「機転が利く」の基本的な意味と言い換え表現について解説します。

「機転が利く」の意味

「機転が利く」とは、「その場の状況を素早く察知し、的確な判断や対応ができること」を指します。

予測していなかった事態が起こったときや、何か問題が発生したときに、機転を利かせることが多いです。マニュアル通りではない柔軟な発想で、スマートな解決策を見つけられる能力ともいえます。

「機転が利く」の言い換え表現

「機転が利く」の言い換え表現としては、次の3つが挙げられます。「機転が利く」と同様に、ビジネスシーンでもよく用いられる表現です。

臨機応変(りんきおうへん)な対応ができる

「機転が利く」は、予期せぬ事態が起こったときに、とっさに気の利いた判断や行動ができることを指しますが、「臨機応変」 は、その場の状況や変化に合わせて、あらかじめ想定される範囲内で適切な対応をすることを指します。

マニュアルや既存の選択肢の中から最適なものを選び、問題をスムーズに処理する能力ともいえるでしょう。

気が利く

「機転が利く」はマニュアルにはない、その場限りの独創的で機敏な行動を指すのに対し、「気が利く」 は、主に相手の気持ちや状況を察して、細やかな配慮や心遣いができることを指します。

日常的な気遣いや、相手が「こうしてくれたら嬉しいな」と感じるような、予測できる範囲内の行動が多いです。

要領が良い

「要領が良い」 とは、物事のポイントやコツを掴み、無駄なく効率的に物事を進められることを指します。「機転が利く」と違うのは、“既存のタスクやプロセスをいかに効率的にこなすか”に焦点を当てている点です。

たとえば、複数のタスクを抱えている中で、優先順位を明確にし、短い時間で成果を出す人などが「要領が良い」といえるでしょう。

<関連記事>要領がいい人とは? 特徴や仕事面でのメリット、効率化するコツを紹介

なぜビジネスシーンで機転が利く人が求められているのか?

機転が利く人が求められる背景として、現代が「VUCA(ブーカ)」(※)と呼ばれる、変化が激しく、予測不能な時代であることが挙げられます。

VUCA時代は、マニュアル通りの対応だけでは通用しないことも多いため、その場で最適な判断を下し、柔軟に対応できる「機転の良さ」が求められているのです。

また、AI技術の発展も、機転の良さが求められる理由のひとつといえます。AIが進化する中、業務の一部をAIに任せるケースも増えてきています。そこで、私たち人間は、状況を肌で感じ取り、感情を読み解き、AIにはできない「人間ならではの機転」で、付加価値の高い仕事をしていくことが必要になっているのです。

※「変動性(Volatility)」、「不確実性(Uncertainty)」、「複雑性(Complexity)」、「曖昧性(Ambiguity)」4つの頭文字を取った造語。

機転が利く人の特徴・強みとは?

問題解決能力が高い人のイメージ

機転が利く人には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、その主な特徴と強みについて解説していきます。

問題解決能力が高い

予期せぬトラブルや困難な状況に直面した際、すぐに状況を分析したり、的確かつ迅速な解決策を見つけ出したりすることが得意です。

既存の枠にとらわれず、柔軟な発想で「どうすればこの状況を乗り切れるか」と瞬時に思考を巡らせることができます。

周囲の人が戸惑っている間に、すでに次の一手を打っているような行動力も持ち合わせているため、チームや組織にとっては非常に頼りになる存在といえるでしょう。

コミュニケーション能力が高い

相手の状況や気持ちを素早く察知し、それに応じた対応ができるため、円滑な人間関係を築くことが得意です。

相手が求めている情報を先回りして提供したり、会議中に意見が出ないときに適切な問いかけをしたりと、常に場の状況を最適化しようと努める傾向があります。これにより、誤解や認識のズレが減り、チームワークの向上や良好な関係構築にも貢献します。

仕事を効率的に進められる

機転が利く人は、物事の全体像を把握したうえで、無駄を省いて効率的に業務を進める傾向があります。ルーティンワークの中でも改善点を見つけたり、複数のタスクを並行しながら最適な段取りを組んだりするのが得意です。

たとえば、会議資料の準備中に「今回は前回にはなかった〇〇の部分を重点的に説明しよう」と判断し、効率的な資料作成を行うなど、常に最適なアプローチを模索します。

周囲からの信頼と評価が高い

常に状況を把握し、適切な行動がとれるため、周囲からの信頼を得やすく、高い評価につながりやすいです。「困った時は〇〇さんに相談しよう」と、自然と頼られる存在になっていることも少なくありません。

特に、誰もが困るようなイレギュラーな状況で、最適な解決策を提示したり、先回りして問題を防いだりする姿は、上司や同僚だけでなく、取引先や顧客からも「安心して仕事を任せられる」という評価につながります。

ストレスに強く、冷静である

日頃から「もし○○が起こったらどうするか」のシミュレーションを無意識で行っているため、不測の事態が起きても冷静に状況を判断し、落ち着いて対処することができます。

緊急時にも感情的になることはなく、最善の行動を選択することが多いです。自分自身のストレスを軽減できるだけでなく、周囲の不安を鎮めることができるため、プレッシャーの高い場面や危機管理が求められる状況では、大きな強みとなるでしょう。

新しい視点や発想を生み出すのが得意

機転が利く人は、目の前の状況を多角的に捉え、新しい視点や発想を生み出すことができます。たとえば、企画などで行き詰まったときは、顧客の些細な反応からヒントを得て、全く新しいアプローチの提案や、誰も思いつかなかったような意外な解決策を提示したりします。

このような能力は、新たなビジネスチャンスの発見やイノベーションの創出につながり、組織に大きな価値をもたらすでしょう。

機転が利く人はどんな場面で活躍できる?

機転が利く人は、具体的にどのような場面でその強みを発揮できるのでしょうか。ここでは、若手ビジネスパーソン向けに具体例も交えながら解説していきます。

会議や商談での予期せぬトラブル発生時

予期せぬトラブルが起こったときには、代替案を提示したり、周囲の真意を汲み取って最適な回答や対応策を提示したりすれば、混乱を防ぎスムーズに進行できます。

この能力は、会議や商談の成否を左右する重要なスキルとなるでしょう。

例:
・会議中にプロジェクターが故障→プロジェクターがダメならPC画面を共有、音声トラブルならチャットで補足 など
・商談中に顧客から想定外の質問→一度持ち帰って迅速に確認し、後日改めて回答する旨を伝える など 

顧客とのコミュニケーション時

顧客とのやり取りでは、常に相手のニーズや感情を的確に察知し、先回りした対応が求められます。単に質問に答えるだけでなく、相手が何を求めているかを予測し、一歩踏み込んだ提案や心遣いができれば、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係の構築に貢献できるでしょう。

例:
・提案内容への不安を察したとき→安心させるために追加情報を提供
・スケジュールや状況を考慮し、最適な連絡手段やタイミングを選ぶ など

チーム内での連携やプロジェクト進行時

複数のメンバーと協力して進めるプロジェクトでは、各自の進捗状況や役割を把握し、円滑な連携を図るための機転が求められます。機転によってチーム全体の生産性を高め、プロジェクトを成功に導くことに繋がります。

例:
・プロジェクトの進捗が遅れそうなとき→ボトルネックを早めに察知。他のメンバーに協力を促したり、タスクの再配分を提案したりして、全体の遅延を防ぐ
・意見が対立したとき→双方の意見の共通点を見出して調整役を務めたり、新しい視点を提示して議論を活性化させたりする など

突発的な業務や緊急対応時

予期せぬ来客や他部署からのヘルプ要請など、突発的な業務や緊急対応はビジネスシーンで頻繁に発生します。このようなとき、機転が利く人は瞬時に上長に報連相を行いながら、自分の抱えているタスクの優先順位を判断し、最適な対応策を見つけ出すことができます。

これらの能力は、組織全体の危機管理能力を高める上でも重要といえるでしょう。

例:急ぎの依頼が入ったとき→自分で対応できる範囲を即座に判断。依頼者への回答と自身の行動を素早く決定する など

機転が利く人になるための方法

情報収集を図るイメージ

それではここからは、機転が利く人になるための具体的な方法について解説します。日々の思考習慣を少し変えるだけで、機転が利く人になることができます。

周囲をよく観察し、状況を多角的に把握する

まずは、周囲の状況や人の様子を注意深く観察してみましょう。会議の雰囲気、上司の表情、同僚の仕草、顧客の言葉のトーンなど、五感をフル活用して情報収集をします。

単に目に見える情報だけでなく、「なぜそうなっているのか」「次に何が起こりそうか」と一歩深く考える習慣をつけることで、表面的な情報だけでなく、その背景にある意図や潜在的なニーズを読み取る力が養われるでしょう。

常に「もし自分ならどうするか?」と考える癖をつける

あらゆる場面で、「もし自分がこの状況の当事者だったらどうするか?」「自分に何ができるか?」と、常に自問自答する癖をつけてみましょう。

たとえば、上司が困っている様子だったら「自分ならどうサポートするか?」と考えてみたり、同僚が資料作成で難航していたら「自分ならどう取り組むか?」と考えてみたりするといいでしょう。

この思考訓練を繰り返すことで、様々な状況に対するシミュレーションが頭の中で行われるようになり、実際に同じような状況に直面した際に、最適な行動ができるようになります。また、自分の役割や立場を超えて物事を考えることで、視野が広がり、より建設的な解決策や発想力が養われるでしょう。

積極的に質問し、情報収集を怠らない

機転を利かせるためには、「知らないこと」を減らすことが重要です。そのためには、分からないことや疑問に思ったことは積極的に質問し、情報収集を怠らない姿勢が必要になるでしょう。

新しいプロジェクトが始まるときなどは、目的・目標・メンバーの役割・スケジュールなどをしっかりと確認するだけでなく、「このプロジェクトで想定されるリスクは?」「過去に似たような事例は?」と踏み込んで追及することで、潜在的な問題や必要な準備が見えてきます。

普段から情報アンテナを高く張り、知識を蓄えておけば、いざという時に「あの情報が使えるかもしれない」と閃きやすくなるでしょう。質問は、単に情報を得るだけでなく、相手とのコミュニケーションを深めて信頼関係を築くための、有効な手段です。

経験を振り返り、成功例・失敗例から学ぶ

機転の良さは、過去の経験から学ぶことでも磨くことができます。うまくいったケースも、そうでなかったケースも、「なぜその時、そう判断したのか」「他にどんな選択肢があったか」「結果はどうだったか」を具体的に振り返る時間を作ってみましょう。

この振り返りを通じて、自分なりの成功パターンや失敗パターンを認識し、次に活かすための「引き出し」を増やすことができます。経験から学ぶ習慣は、次回以降の判断力と行動力を着実に高めてくれるはずです。

読書や異業種交流で多様な価値観に触れる

多様な知識や視点、価値観に触れることで、機転を利かせるためのアイデアにつながることがあります。ビジネス書や自己啓発書からは、さまざまな成功事例や思考法を学ぶことができ、小説やエッセイからは、他者の感情や人生観に触れることができるでしょう。

また、自分の業界や職種以外の、異業種交流会やセミナーに積極的に参加し、普段関わらない人々と交流することもおすすめです。

異なる背景を持つ人々の考え方や仕事の進め方を知ることで、固定観念が打ち破られ、柔軟な発想力が養われます。新しい知識や視点は、いざという時の「閃き」の源となり、既存の枠にとらわれない機転の利いた行動へとつながるのです。

ストレスマネジメントと心身の健康を保つ

どんなに優れた能力を持っていても、心身のバランスが崩れていては、いざという時に機転を利かせることができません。適切なストレスマネジメントを行い、心身の健康を良好に保つことは、機転の良さを維持・向上させる上でも非常に重要です。

まずは、十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を取り入れるなど、基本的な生活習慣を整えましょう。

また、仕事でストレスを感じたときは、信頼できる人に相談したり、趣味に没頭する時間を作ったりと、自分なりのリフレッシュ方法を見つけることが大切です。心に余裕がある状態であれば、冷静に状況を判断し、柔軟な発想で問題を解決しやすくなります。心身ともに健康な状態を保つことが、最高のパフォーマンスを引き出す土台となるのです。

ビジネスシーンで機転を利かせる際の注意点

ここまで機転を利かせるためのポイントについて紹介しましたが、機転の良さは適切なタイミングで発揮することが重要です。場合によっては周囲に誤解を与える可能性があるため、注意が必要です。

最後に、機転を利かせる際に気を付けたい注意点について解説します。

相手の反応を確認してから動くことも重要

機転を利かせる行動は、スピード感が求められる一方で、相手の意図や状況を無視した独断は逆効果になることがあります。 良かれと思ってした行動が、相手の考えと食い違ったり、かえって手間を増やしたりするケースも少なくありません。

そのため、行動を起こす前に、一瞬立ち止まって相手の反応を伺ったり、簡単な確認を挟んだりする慎重さもときには必要です。

また、突発的な行動だと周囲から誤解されたままにならないように、自身の行動の意図について、簡潔に共有することも忘れないようにしましょう。

「自分の役割や権限を逸脱しない」ことも肝心

機転を利かせようとして、自分の担当範囲を超えて他の人の業務に手を出したり、独断で重要な決定を下したりしては、かえってトラブルの原因になりかねません。

あくまでも、自分の立場を理解し、必要であれば上司や関係者に相談・確認するステップを踏んでから行動するようにしましょう。

「常に学び、改善する姿勢」を持つこと

機転の良さは一朝一夕に身につくものではなく、日々の経験から学び、改善を繰り返すことで磨かれていきます。

仮に、一度の経験から「次はこうすればうまくいくはず」と思ったとしても、それが成功しないこともあるでしょう。うまくいかなかったときは、なぜそのような結果になったのか、客観的に分析し、きちんと反省して何度もシミュレーションしてから活かしていくことが重要です。

恐れずにチャレンジしていくことで機転が利く人になれる

機転を利かせた行動が、常に成功するとは限りません。しかし、失敗から学び、次へと活かすことで、機転の精度は高まっていきます。何事にも恐れずに挑戦し、経験を重ねることがビジネスシーンにおける成長への第一歩です。

ときには、考えるよりも「まずは動いて見る」という瞬発力が、思わぬチャンスにつながることもあります。そうして行動した結果、状況に応じて軌道修正できる柔軟性が身に付き、機転を利かせることができるようになるのです。今回紹介した内容を参考に、皆さんの機転の良さを、ぜひビジネスで活かしてみてください。

監修:やさしいビジネススクール学長 中川功一
経済学博士(2009年、東京大学)。「アカデミーの力を社会に」をライフワークに据え、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。学長を務めているオンライン経営スクール「やさしいビジネススクール」を中心に、YouTube・研修・講演・コンサル・著作などで経営知識の普及に尽力している。 主な著書に『感染症時代の経営学』『ど素人でもわかる経営学の本』『戦略硬直化のスパイラル』など。

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