「性格が悪い」と感じてしまう理由は?心理的背景やビジネスシーンでの対処法を解説

「もしかして、この人は性格が悪いのでは?」と、人間関係に悩んでしまうこともあるかもしれません。この記事では、「性格が悪い」の基本的な意味や心理的背景、対処法について解説します。

同僚のことを性格が悪いのでは?と感じている人のイメージ

チームワークや協調性は、ビジネスシーンにおいて重要な要素です。しかし、コミュニケーションを取るときに、相手の言動に対して「この人は性格が悪いのでは?」と思ってしまうこともあるかもしれません。

そもそも、性格が悪いとはどういうことで、なぜそのように感じてしまうのでしょうか。本記事では、コミュニケーション講座の講師をしている公認心理師の川島達史さんにお話を伺い、性格が悪いと感じてしまう理由や相手との付き合い方、セルフケアについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

「性格が悪い」とは、そもそもどういうことなのか

「あの人は少し性格が悪いよね」など、普段の会話の中で「性格が悪い」という表現を使うことがありますが、そもそも、性格が悪いとはどういうことなのでしょうか。

「性格が悪い」の意味とは

「性格が悪い」という表現は、曖昧かつ個人の感情的な評価語と言えます。仮に、自分がAさんに対して「性格が悪い」と感じたとしても、他の人からは好意的に受け取られていることもあるのです。

一般的には、私たちが日常でこの言葉を使うときは、一時的な言動を指すのではなく、その人物の本質的な部分を指していることが多いでしょう。

例えば、他者とのコミュニケーションにおいて、いつも協調性や共感性に欠ける態度をとっていたり、自己中心的な行動パターンが目立っていたりする人などに対して、「あの人は性格が悪い」と表現することが多いです。

ビジネスシーンでは、チームの和を乱したり、組織の目標達成を阻害したりするようなネガティブな行動パターンを指して、「あの人は性格が悪い」と、その人の人間性を否定的に捉える際に用いられることがあります。

そもそも、どうして「性格が悪い」と感じてしまうのか

上司との価値観の違いに戸惑う様子

私たちが誰かに対して「性格が悪い」と感じるときは、心理的背景などのいくつかの要因が考えられます。ここでは、「性格が悪い」と感じてしまう理由を4つ紹介します。

自分が心理的な安心感を得るため

人の心理として、物事が予測可能であることを好む傾向があります。例えば、誰かのネガティブな行動の原因を「たまたま機嫌が悪かった」「状況が悪かった」といった変動的な外的要因として捉えると、いつ同じことが起こるかわからず、不安になってしまうのです。

しかし、「あの人の行動は性格によるもの」と考えれば、その人の行動は予測可能になり、安心感を得ることができます。

「性格が悪いから」と考えることは、予測できないものに対する不安を軽減するための、心理的な防衛機能の一つと考えられるでしょう。

価値観の違いによるすれ違い

私たちは、育ってきた環境やこれまで親しんできた集団のルールによって、何が「良い」行動で何が「悪い」行動かという独自の価値基準を持っています。それぞれの善悪の基準が衝突してしまうと、相手を「性格が悪い」と定義づけてしまうことがあるのです。

特に社会人経験が浅い人が陥りがちなのは、このような他者との違いを、その人の根本的な気質や人間性に結びつけてしまうことです。

ビジネスの場では多様な価値観が交差するため、「性格の良し悪し」で判断するのではなく、「価値観の相違」として捉え直す視点が求められます。

他者からの情報に影響されてしまうケースも

他者に対して「性格が悪い」と感じるときは、その人の最初の印象や情報に強く影響を受けていることがあります。これは、心理学では「初頭効果」と呼ばれるもので、初対面のときの第一印象や情報が強く記憶に残ることを意味します。

例えば、周囲から「あの人は性格が悪いらしい」というネガティブな情報を受け取ると、その後の相手の言動に対して、バイアスのかかった見方をするようになってしまいます。相手が善意で行った行動に対しても、「何か裏があるのでは」と悪意的に解釈してしまうのです。

そういった思い込みを防ぐには、他者からの情報に惑わされず、相手の言動を客観的な事実として捉える意識が必要です。

期待と現実のギャップに対する失望感

他者への期待感が高いほど、その期待に反する行動を見たときの失望感が大きくなり、結果として「性格が悪い」と感じてしまうことがあります。この現象を、心理学では「ギャップ効果」と呼びます。

例えば、普段は完璧でリーダーシップを発揮する上司が、プライベートで部下に対して良くない態度を取ったりすると、人は「表向きの顔」と「裏の顔」の落差に強烈な違和感を覚え、「あの人には裏の顔がある」「本当は性格が悪いのかもしれない」とネガティブな評価に転換するのです。

ビジネスシーンでは、肩書や能力によって過剰に理想化しすぎないことが大切です。

誰もが多面性を持つ一人の人間であると理解し、相手の行動を現実的に受け止めることが、人間関係のストレスを軽減する鍵となります。

性格が悪いと思われがちな行動

他者に対して無関心な人のイメージ

ここからは、周囲から「性格が悪い」と思われやすい行動について見ていきましょう。

他者に対して無関心

人間関係を良好に保つためにはある程度の距離も必要ですが、他者に対して無関心すぎると、相手からマイナスの印象を持たれることがあります。

例えば、チームメンバーが困っているときや相談しているときなどに関心を示さず、「それはあなたの問題でしょう」などと相手を突き放すような冷たい対応をする人は、周囲から性格が悪いと受け取られる傾向があります。

挨拶や感謝の気持ちを伝えることが少ない

「おはようございます」など、日常で交わされる挨拶に対して返事をしなかったり、無視したりすることは、ときに相手を傷つけてしまいます。

また業務を手伝ってもらったにも関わらず「ありがとう」を伝えられないなど、礼儀や配慮に欠ける態度を示す人は、「性格が悪い人」と他者から思われてしまうことがあるでしょう

相手によって態度を変える

状況や相手によって態度や評価を変える人は、信頼や評価を失いやすいです

特に、目上の人には愛想が良い一方で、後輩や部下に対しては高圧的になるような人は、「あの人は性格が悪いかも」と、周囲から距離を置かれることがあります。

マイクロマネジメントをしている

チームメンバーに対して「マイクロマネジメント」をしてしまっている場合、その行動から性格が悪いと受け取られることがあります。マイクロマネジメントとは、仕事上の細かい指示や過干渉のことで、業務に必要以上に口を出し、細かすぎる進捗報告を要求したりします。

このような対応は、相手の裁量を奪い、「信頼していない」というメッセージを与えてしまい、自律性を損なう原因にもなります。

遠まわしに皮肉を言う

直接的な表現を避けて、遠まわしに皮肉を言う人も、他者から「性格が悪い」と思われることが多いです。

例えば遅刻やドタキャンが多い人に対し、「自由な時間感覚をお持ちなのですね」など、嫌味に聞こえるような皮肉を言う人は、ネガティブな印象を与えやすいでしょう。 

性格が悪いと感じる人が周囲にいる場合どうすればいい?

もし「この人は性格が悪いかも」と感じている人が周囲にいる場合には、どのように向き合えばいいのでしょうか。意識すべきポイントや接し方などについて解説します。

相手の言葉や態度を冷静に見極める

相手を「性格が悪い」と判断する前に、まずは価値観の違いや相手に対して誤ったイメージを持っていないか、冷静に考えてみましょう。本当に悪意に基づく行動なのか、さまざまな可能性を考えることが重要です。

このチェックを行うことで無用なストレスや敵意を回避できます。また、冷静に分析することにより、認知的倹約(安易に原因を性格に求めること)を避け、客観的な事実に基づいて行動を捉え直すことが可能になるでしょう。

自分の気持ちを「I(アイ)メッセージ」で表現する

相手の言動が不快だと感じたら、相手を非難するのではなく、「私は〇〇な行動によって、△△な気持ちになった」と主語を「私」にして主張を試みましょう。

Iメッセージは、相手の人格を否定せずに、自分の感情と境界線を伝える最も建設的な方法です。相手が無自覚に行動していた場合は気づきを与えることができ、自己主張のスキルを磨く訓練にもなります。

可能な範囲で「距離を取る」

ストレスを感じる相手とは、業務上必要な最低限の関わりに留めるのも一つの方法です。上司に席替えを依頼したり、別のルートで報告を済ませたり、休憩時間をずらすなど、物理的・心理的な距離を可能な範囲で取るようにしましょう。

適度に距離を取ることは、自分の心の健康(メンタルヘルス)を最優先するためのものです。相手の考えや性格をすぐに変えることは困難ですが、人と関わる量をコントロールすることは可能です。

距離を取ることでストレス負荷を減らし、他の業務や人間関係に支障をきたすのを防ぐことができるでしょう。

心理的・物理的な「限界設定」を明確にする

相手の言動によって不安やストレスが続く場合は、許容できるラインを自分の中で明確にし、それを超えたら毅然とした態度で具体的な行動をとることを意識してみましょう。

例えば、「あと3分でこの話は終わりにする」「業務に支障が出たら上司に相談にいく」など、基準をあらかじめ設定しておくのです。

限界設定は、相手からの不当な要求やハラスメントから自分を守るための防衛線です。これを明確にすることで、相手に「この人にはこれ以上踏み込めない」と認識させ、不適切な行動のエスカレートを防ぐ効果が期待できます。

信頼できる「第三者に相談」する

上司や先輩、人事担当者など、信頼できる第三者に相談することで、心理的負担を軽減することができます。状況を具体的に報告・相談し、事実ベースで客観的な情報を伝えることが重要です。

第三者に相談して客観的な視点を得られれば、自分の状況理解が深まるでしょう。また、組織内で情報を共有することで、問題の是正に向けた公式な対応が期待できます。

もしかしたら、性格が悪いわけではなくただの誤解という可能性も

「性格が悪い」と感じるのは、個人の判断基準に左右されることがほとんどです。一見、冷たい態度に見えても、悪意があるとは限りません。ここでは、性格が悪いと誤解しがちなケースについても解説します。

ストレスや疲労がたまっている

例えば、挨拶はするものの声が小さかったり、笑顔が少なかったりする場合は、性格の悪さとは関係ない可能性があります。このような言動は、私生活や職場で大きなストレスや過度な疲労を抱えているサインでもあるのです。

心身に余裕がなく、他者に向けた感情的な対応まで頭が回らないだけで、悪意はないと考えられます。

処理能力の限界状態に陥っている(認知負荷)

話しかけても返事やリアクションが薄い場合は、相手に関心がないのではなく、ただ単に、処理能力の限界であるケースも。

一度に複数の情報を処理するマルチタスクが苦手で、会話やタスクに追われて認知負荷が高い状態になっている可能性があります。悪気はなく、実は目の前の情報処理に集中しているだけなのかもしれません。

緊張状態にある

話しかけにくい雰囲気があるときは、相手が何らかの緊張状態にある可能性があります。新しい環境や、与えられた役割によるプレッシャーなどにより、極度の緊張を感じている状態とも考えられます。

表情や態度が硬くなるのは、性格が悪いのではなく、自己防衛やストレスの現れである可能性があるでしょう。

完璧主義の傾向が強い

批判や指摘が厳しい人は周囲から敬遠されがちですが、性格というよりは、完璧主義の傾向が強いだけと考えられます。業務や仕事上の成果に対する高い基準を持っているだけなのです。

個人的な悪意や人格否定ではなく、純粋に「より良い結果」を追求するあまり、表現が厳しくなっているにすぎません。

他者にも自分にも優しくなれるおすすめのセルフケア

自分では気付いていないだけで、ときには相手に誤解を与えるような言動を取ってしまうこともあるかもしれません。そうならないためにも、心に余裕を持つための工夫が必要です。

具体的には、疲労やストレスといったネガティブな気分になる原因を物理的に解消することです。以下の4つは、すぐに実践できるものばかりなので、ぜひ試してみてください。

  • 仕事中でも適切な休憩をとり、休息を確保する
  • 業務の抱え込みすぎを防ぐために、タスクの調整を検討してみる
  • おいしい食事や好きな音楽など、五感を満たすリラックス時間を確保する
  • 十分な睡眠をとり、疲れをためない

心身に余裕が生まれると、他者の言動を冷静に見極められるようになり、悪意のない行動を悪く捉えたり、不適切なコミュニケーションをとったりすることを防げます

心理学では、「気分一致効果」というものがあり、これは、現在の気分と一致する情報や記憶が意識されやすくなる心理現象のことを指します。

例えば、イライラしたり、気分が落ち込んだりしていると、周囲のネガティブな側面ばかりに目が行き、結果的に相手の悪口や嫌味を言いたくなってしまうのです。

この負の連鎖を防ぐためにも、上記のような方法で精神的にゆとりがもてるように意識を変えていくことが大切です。

感情的にならずに客観的な視点を取り入れることが重要

周囲に性格が悪いと感じる人がいると、どのように接したらいいのか悩んでしまうかもしれません。そんなときは、「性格が悪い」という考えに囚われず、具体的な行動へと切り替えることが大切です。

相手を批判するのではなく、客観的な行動と業務への影響について話し合いの機会を持つことで、誤解が解けたり、感情的な対立を避けたりすることが可能です。どうしたら相手と建設的な関係を築けるのかに焦点を当てていくと、良好な人間関係を築きやすいでしょう。

監修:ダイレクトコミュニケーション 代表取締役 川島達史
目白大学大学院心理学研究科を修了し、現在ではコミュニケーション講座の講師として、心理学や人間関係に関するワークを行う。専門は成人のソーシャルスキルが孤独感・対人不安に与える影響。普段は「コミュニケーション講座」の主催や、YouTubeチャンネル「ダイコミュ大学」による情報発信を行なっている。

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