
- 若手ビジネスパーソンは疲れている?
- なぜ現代の若手ビジネスパーソンは疲れているのか
- 疲れているのに休めないのは日本人特有の理由もある
- 科学的な研究で見えてきた疲労の正体
- より疲れがとれる「攻めの休養」とは?
- 日常生活に取り入れたい、疲労を少なくする行動習慣
- 知っておきたい疲れを少なくする考え方
- まとめ
若手ビジネスパーソンは疲れている?

日本リカバリー協会が就労者10万人を対象に行った調査「日本の疲労状況2025」によると、就労者の約8割が疲労を感じているそうです。「疲労を感じていない2割は若者かな」と思いがちですが、実は若い人ほど疲れているという結果に。特に20〜30代の女性は約9割が「疲れている」と回答しています。
これを読んでいるあなたはどうでしょうか?まずは、こちらの「疲労チェックリスト」で自分の疲れ具合を診断してみてください。
【疲労チェックリスト】
□寝ても寝ても眠い
□体は疲れているのに、いざ寝ようとすると寝つけない
□朝、起きた瞬間からすでに疲れている
□休みの日は思いっきり朝寝坊をして、そのままゴロゴロ
□有給休暇がとりづらい職場に勤めている
□残業は当たり前だ
□人間関係に悩んでいる
□育児や介護などでなかなか休める時間がない
□最近、つまらないことでイライラする
□眼精疲労や肩こりがある
□入浴は湯船につからず、シャワー派だ
□テレビやSNSを見てダラダラしがちだ
□飲み会などの夜の付き合いが多いが、毎朝9時には出社する
□栄養ドリンクやコーヒーを飲まないとやる気が出ない
□ケーキなどの甘いものを頻繁に口にする
□最近、著しく気力・体力が衰えた自覚がある
☑2個以下:今のところ元気です。
☑3~5個:そこそこお疲れですね。まずはゆっくり休んでください。
☑6~10個:かなりお疲れのようです。しっかり休み、この記事で紹介する対策を実行してください。
☑11個以上:危険水域です。この記事を参考に、休むことに真剣に取り組みましょう。
「6個以上当てはまる項目がある人は要注意です。慢性的な疲労は注意力が散漫になってしまうため、ヒヤリハットやインシデントが起きやすくなるというデメリットも。そうならないためにも、何かしらの対策をしておくべきです」(片野さん、以下同)
なぜ現代の若手ビジネスパーソンは疲れているのか
現代の若手ビジネスパーソンはなぜこんなにも疲れているのでしょうか。その要因を解説します。
裁量権のない高ストレスな仕事
「一般的に、若手社員は業務において、指示を『出す側』ではなく『受ける側」にまわることが多いでしょう。
上司は自分の裁量で業務のペースなどをコントロールできますが、部下は上司に報連相をし、指示を仰ぎつつ動くので、思い通りに仕事を進められないケースもあります。受動的な立場は心理的ストレスが非常に高いもの。
さらに、『指示を仰ぎたくても上司が捕まらない』などの状況も発生しやすく、単なる業務量以上の精神的負担がかかっています」
デジタルデバイスの弊害
「現在はスマホやPC、ツール等の発達により、移動中や帰宅後だけでなく土日でもメールチェックやチャットを確認しようと思えばできるため、24時間仕事が追いかけてくる常時接続の環境になっています。信号待ちや駅のホーム、電車の中でさえスマホを見続けるため、脳が休まる暇がないのです」
家事・育児の負担
「現代は多くの家庭が共働きですが、家庭によっては家事や育児の負担が特定の人に偏っている場合も。結果として、睡眠時間を削って対応せざるを得ない状況が生まれており、これが慢性的な疲労につながっています」
疲れているのに休めないのは日本人特有の理由もある
社会人が疲れているのに休めないのは日本人特有の理由もあるそうです。
「日本の学校教育では皆勤賞が評価される場面があることから、『休むこと=ネガティブなこと』というイメージを持つ人が少なくありません。そのため、多くの人は社会人になってからも『疲れていても無理をして頑張らなくてはいけない』と思い、適切なタイミングで休むことができないのです。
今の若い世代は非常に真面目なので、休むのが下手な傾向にあります。タイムパフォーマンス(以下、タイパ)を重視するあまり、空き時間にも何かをして時間を埋め尽くそうとしてしまう人が多いのです」
科学的な研究で見えてきた疲労の正体

若手ビジネスパーソンが疲れがちな理由については理解できたかと思いますが、そもそも「疲労」とはどういったものなのでしょうか。疲労のメカニズムについて片野さんに聞きました。
そもそも「疲労」って何?
「私は疲労を『活動をした後に、活動能力が低下している状態』と定義されています。肉体的であれ精神的であれ、何らかの活動を行えば必ず活動能力は低下し、その状態として疲労が生まれるのです。
疲労とパフォーマンスは以下の式で表すことができます。
今のパフォーマンス = 自分が持っている力(肉体的・精神的) - 疲労
例えば、あなたが本来『100』の力を持っていたとしても、疲労が『20』蓄積していれば、発揮できるパフォーマンスはMAXでも『80』にしかなりません。つまり、疲労している状態では気合や根性で『100』の成果を出そうとしても、物理的に無理なのです。
また、疲労の対義的な概念は『活力』です。低下した活動能力を回復させ、活力のある状態に戻すことが理想的な休養です」
疲労感は一時的にマスキングできてしまう
「痛みがあったり、熱があったりするのは無視できないのに、疲労を無視する人が多いのはなぜなのでしょうか。
実は、疲労は一時的にマスキングする(覆い隠す)ことが可能なんです。これは、疲労自体は解消されていないにもかかわらず、栄養ドリンクや興奮・気力によって、疲労を感じなくさせている状態。
本当は疲れているのに、『自分は疲れていない』『まだ動ける』と錯覚して、活動を続けてしまう人が多いのです」
疲労を放置するとどうなる?
「疲労感は、疲労が存在することを自覚する感覚です。疲労感があると、だるさや億劫さを覚え、何もしたくなくなります。疲労感とは、『あなたは疲れています。これ以上、活動を続けると危険です。今すぐ休みなさい』という体からの警告なのです。
人間の体には神経系・内分泌系・免疫系という3つの制御システムがあり、互いにバランスを取りあっています。しかし、体が疲労するとこのバランスが崩れてしまい、なかなか回復できなくなります。
また、疲労には急性疲労・亜急性疲労・慢性疲労の3段階があります。急性疲労は1日~数日寝れば回復する程度の疲労です。亜急性疲労は、寝ただけでは回復せず、疲労が1週間~数ヶ月続く状態。疲労が半年以上続くと、慢性疲労といわれる状態になります。
慢性疲労はさまざまな病気を招く原因となります。そうなる前に、しっかり休んで対策をしましょう」
より疲れがとれる「攻めの休養」とは?

では、どのような休み方をすれば疲れがとれるのでしょうか?理想的な休養の取り方を片野さんに聞きました。
「攻めの休養」へシフトしよう
「多くの人は『活動→疲労→休養』のサイクルを繰り返しています。スマホの充電にたとえると、休養によって100%まで回復するのであれば問題ありません。しかし実際は、休養をとっても50%程度までしか充電されない人が多いです。
そこから脱するために片野さんが提唱しているのが、休養のあとに『活力』の要素を加えること。つまり『活動→疲労→休養→活力』のサイクルを作るのです。
寝だめをしたりだらだらと過ごしたりすることを『守りの休養』とするならば、活力を得ることは『攻めの休養』といえるでしょう。活力を得るためには、あえて軽い負荷を自分に与えることが効果的です。
筋トレにおける『超回復理論』とは、負荷をかけたトレーニングをすると、その直後は体力が低下するものの、そのあと十分な休養をとることでトレーニング前よりも体力がつく、というもの。私たちの普段の生活も同じで、あえて軽い負荷をかけることで、疲れにくい体や習慣を作ることができるのです」
「休養学」が定義する休養モデル
「それでは、どのように過ごせば疲れがとれて活力を得られるのかを解説します。『休養学』では、休養を下記の7タイプにわけて考えます。この7タイプのうち、複数の過ごし方を日常に取り入れることで、疲労回復効果が促進されます」
生理的休養
・休息タイプ:一般的な休みのイメージに近い過ごし方をする
睡眠をとる、休憩をとる、ソファでゴロゴロする、机で仮眠するなど
・運動タイプ:適度な運動をする
ウォーキングをする、ヨガをする、ストレッチをする、軽く運動するなど
・栄養タイプ:必要以上に食べすぎないことで体を休める
胃腸に優しい食事をとる、食事量を抑える、白湯で体を温めるなど
心理的休養
・親交タイプ:社会や人と交流したり、自然や動物と触れ合ったりする
雑談、ペットと触れ合う、自然に触れるなど
・娯楽タイプ:趣味嗜好を追求する
音楽鑑賞、映画鑑賞、推し活、習いごと、読書など
・造形・想像タイプ:創作活動に没頭する
絵を描く、文章を書く、日曜大工やDIY、時刻表や地図を見て空想する、瞑想など
社会的休養
・転換タイプ:まわりの環境を変える
洋服を着替える、部屋の模様替えをする、買い物や外食をする、旅行に行く
疲労を溜め込まないために、勤務間インターバルを意識してみよう
「EU(欧州連合)では1993年に『11時間以上の連続休息時間を取らなければならない』という法律が発令されています。つまり、夜12時まで残業したら、翌朝11時までは出社してはいけないのです。
このように、何時間もぶっ通しで働くことを禁じ、一定時間の休息を義務付ける考え方を『勤務間インターバル』といいます。
一方で『ワークライフバランス』という考え方もありますが、これは仕事(ワーク)が主体となり、残った時間で生活(ライフ)のバランスを取る、ということになりがちです。必要以上に疲れを溜め込まないためには、勤務間インターバルを意識して、先に休息時間(インターバル)を確保するようにしましょう。
そうすることで、勤務時間におけるパフォーマンスが最大化するのです」
日常生活に取り入れたい、疲労を少なくする行動習慣

理想的な休養を取って休むことも大事ですが、日常生活の中で普段から疲労が少なくなるように意識して行動することも必要です。いますぐ取り入れられる疲労を少なくする行動習慣を片野さんに教えていただきました。
仕事がひと段落していなくても、まず休む
「『仕事が落ち着いたら休もう』と思っているとなかなか休めません。仕事が落ち着いていなくても、休んでいいのです。
まずは手帳に『休み』のスケジュールを書き入れましょう。先に休みを確保しておくという姿勢が大事なのです。」
電車で立つときは、吊り革でなく手すりにつかまる
「地面が揺れていると足にぐっと力を入れて踏ん張るため、それが緊張となりストレスを感じ、結果として疲労につながります。電車で立つときは、吊り革ではなく手すりにつかまることで体が安定し、足に力がかかりにくくなります。
電車や新幹線、飛行機の座席に座る際もできるだけ揺れが少ない真ん中の席を選ぶようにしましょう」
SNSの不快な投稿は迷わず非表示にする
「心理的なストレスの原因になるものは目に入らないようにするのがおすすめ。SNSは特定のワードをミュートする機能があるので、目に入る前にシャットアウトしましょう」
1週間の予定を見てペース配分を考えておく
「土曜日に手帳を開き、来週1週間の予定を確認しましょう。次の平日5日間の予定が詰まっているようなら、この土日は『攻めの休養』に充てるのがおすすめ。
活力を取り戻して100%に充電しておき、次の1週間を乗り切りましょう」
隙間時間にこまめに休養する
「1日まるまる休めないときは、仕事の合間のちょっとした時間を休養に充てましょう。同僚と雑談をするだけでも『親交タイプ』の休養ができますし、お弁当をいつもと違う場所で食べれば『転換タイプ』の休養ができます。
このように考え方を変えてみると、短い時間でもできる休養はたくさんあります。椅子から立ち上がって深呼吸する、思いっきり伸びをしてみる、などからでもいいので、リフレッシュすることを意識してみましょう」
疲労感をレコーディングする
「アスリートは毎日、日誌を書いて自分のコンディションを『見える化』しています。ビジネスパーソンも、体調や疲労感を手帳やスマホに記録するのがおすすめ。
自分の体の声をチェックし、記録しましょう。レコーディングを続け、自分の疲労に敏感になると『やたらとミスが多いから今日は早めに仕事を切り上げよう』というようにコンディションを調整する意識が芽生えてきます」
普段の家事こそ脱マンネリを意識する
「人は『飽きる』ことがストレスになり、疲労につながります。そのため、日々の家事にも変化を取り入れ、マンネリ化しない工夫をすることが大切。
例えば掃除なら、定期的に新しい洗剤や掃除グッズを取り入れてみたり、掃除する順番を変えてみたりすることがおすすめです。前よりきれいになった、時短になったというちょっとした達成感が疲労を抑えることにつながります」
できるだけものを選ばないようにする
「日々の選択を少なくすることで、脳の疲労を軽減できます。
例えば、毎日のコーディネートを決めておく(難しければ同じ服を色違いで購入する)、曜日ごとにお店で注文するメニューを決めておく、通勤・通学ルートを決めておくなど、自分なりの「デフォルト」を決めておくだけで、選択による消耗を抑えられます」
ものは必ず同じ場所に置く
「鍵やスマホなど、よく使うものは家の中での置き場所を決めておきましょう。同様に、カバンの中はバッグインバッグを利用して、ものの居場所を決めておくのがおすすめ。
ものの場所を覚えておくことで、いちいち探す必要がなくなり、脳のエネルギー消費を抑えられます」
疲れているときは甘いものは食べない
「疲労を感じているから甘いものを食べて脳に糖分を補給……という人は多いかと思います。しかし、疲れているときに甘いものを食べると、かえって緊張・興奮状態になってしまいます。
甘いものを食べると疲れがとれる感覚がありますが、それは疲れをマスキングしているだけ。疲れているときは、甘いものを控えましょう」
パワーナップ(15分ほどの短い昼寝)をする
「パワーナップには、疲れがスッキリとれる、判断力や集中力が上がる、やる気がアップするなどの効果があります。しかし、あまり長く眠ると夜に眠れなくなってしまうので、あくまで15分程度にしておきましょう」
寝すぎないことを意識する
「必要な睡眠時間は人によって違うため、長く寝ればいいというものではありません。また、寝てばかりいると体の機能が衰えてきます。
たった1日寝て過ごすだけでも、『骨格筋』という体を動かす筋肉の中の筋タンパクは0.5~1%ほど減少してしまいます」
意識的に何もしない時間をつくる
「現代人はパソコンやスマホの使い過ぎによって脳が疲れています。こうした脳疲労を抑制するには、意識してワーキングメモリーのスイッチをオフにして、ぼんやりしたり、のんびりしたりして情報を整理する『デフォルトモード』に切り替えることが必要。
何もしないでぼーっとすることで回復を図りましょう」
暑さ・寒さを必要以上に我慢しない
「気温や室温の変化によって自律神経が乱れると疲労につながるので、できるだけ快適な温度を保ちましょう。暑さや寒さを我慢せずにエアコンを使ったり、着る毛布やこたつ、ハンディフォンを活用したりするのがおすすめです」
知っておきたい疲れを少なくする考え方

最後に、行動習慣ではないですが、日々の疲れを少なくする考え方も覚えておきましょう。
オフファーストの意識を持つ
「土日を『1週間の疲れを癒やす後ろの時間』と捉えると、金曜に夜更かしをし、月曜にダルさが残りがち。逆に、土日を『次の5日間を乗り切るための準備期間(前の時間)』と捉え、月曜にベストパフォーマンスを出すための過ごし方を計画しましょう」
タイパの発想を捨てる
「『タイパ』意識が強い人は、無意識のうちにスキマ時間もスマホを見ています。スマホを見ている間、脳は情報の嵐にさらされ続けているため休まりません。
景色を見たりぼーっとしたり、あえて何もしない時間を過ごすことが大切です」
時には働き方や環境を見直すのも選択肢の一つ
疲れないための行動習慣を取り入れたり、攻めの休養を意識したりしても、そもそも職場が休みを取りづらい環境だった場合は改善が難しい場合もあるでしょう。そういった場合は働き方や環境を見直すことも選択肢の一つです。
ただし、大きな判断をする場合は、信頼できる人や専門家の意見も聞いて検討するようにしましょう。
まとめ
労働環境や生活、デジタルデバイスの弊害によって常に疲れがちな現代人。休養=睡眠だけと考えている人は多いですが、実際は、活力を取り戻すための「攻めの休養」が大切です。
この記事をきっかけに今一度、疲労と休養について見直してみませんか?正しく休んで疲労を回復し、いきいきとあなたらしく過ごしましょう。
話を聞いた人:片野秀樹さん
医学博士、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。株式会社ベネクス執行役員。休養に関する社会のリテラシー向上を目指して啓発活動、休養士の育成などに取り組んでいる。
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