「飽きた」と感じたらどうすればいい?よくある原因と仕事に飽きたときの対処法について解説

何をやっても「飽きた」と感じてしまうときもあるかもしれません。人はなぜ飽きるのか、本記事では飽きてしまう原因や飽きやすい人の特徴、仕事に飽きたと感じるときの対処法について解説します。

飽きたと感じながら歩いている様子

「なんだか最近退屈に感じる」「同じような毎日に飽きた」など、日常生活やビジネスシーンにおいて、何をやっても「飽きた」と感じてしまうことはありませんか。飽きること自体は決して珍しくはなく、心理的要因や環境の問題など、原因もさまざまです。

この記事では、臨床心理士として活躍されている関屋裕希さんにお話を伺い、人はなぜ「飽きた」と感じるのか、まずはその心理的な背景を解説します。そのうえで、特に仕事に飽きてしまう原因や、実際に飽きてしまったときの具体的な対処法を解説します。

「今の仕事、このままでいいのかな」と感じ始めたときのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

なぜ人は飽きるのか?

今の仕事に飽き始めている様子

何かに対して「飽きた」と感じるのは、誰もが経験することではないでしょうか。しかし、小さい頃からずっと飽きる状況が続いているわけではありません。何かのきっかけや原因によって、「飽きた」と感じるようになってしまうのです。

まずは、人が飽きる原因について見ていきましょう。

慣れ(馴化)によって反応が弱まるから

「慣れ」は、人が飽きる原因の一つといわれています。例えば、毎日同じ時間に起きて、同じ時間に日々のルーチンをこなしている方などは、同じことを繰り返して慣れていくうちに、「飽きた」と感じやすくなります

これを、心理学では「馴化(じゅんか)」と呼びます。馴化によって感情やリアクションなどの反応が弱まると、人は飽きてしまうのです。

先が読めることで期待が薄れるから

初めて経験するときは何でも新鮮に感じがちですが、「この先何が起こるのか、一度経験しているか、もう分かっている」という状況では、期待感が薄れて飽きを感じることがあります。例えば、このお店にはいつも同じメニューしかない、といった状況では、味や得られる体験に予測がついてしまうため、「飽きた」と感じやすくなります。

特に、新しい情報や体験で気分が上がるという人は、慣れて予測がついてしまうと、興味が薄れて飽きやすいでしょう。

重要度が低いと脳が判断したから

人は新奇性の高いものに注意を向ける傾向があります。例えば、何も変わらない風景よりも、珍しいものや今まで見たことのない風景の方が、注意する力が働きます。

そのため変化がない状態が続くと、脳が「重要度が低い」と認識して注意し続けることが難しくなり、飽きたと感じやすくなります。

仕事に飽きたと感じる原因は?

業務がルーチン化している様子

「飽きた」と感じる仕組みは、日常生活だけでなく、仕事でも同じように働きます。では、仕事に「飽きた」と感じるとき、そこにはどのような原因があるのでしょうか。

ここから、仕事特有の視点で詳しく見ていきます。

業務がルーチン化している

あらかじめやるべき業務やスケジュールが決まっていることが多い仕事もあるでしょう。業務内容が単調で変化がなく、先の展開が予測できることばかりの状況では、新鮮さがなく、飽きやすくなってしまいます。

成長している実感が持てない

入社したばかりの頃は、挑戦することやできることが増えていく実感があり、楽しさややりがいを感じやすいものです。

しかし、経験を積むにつれて業務を問題なくこなすことができるようになると、周囲からのフィードバックの機会も減り、成長実感が得られずに飽きてしまうことがあります。

裁量度が低い

仕事の進め方や内容を自分で工夫しにくい環境では、人によって「飽きた」と感じやすくなってしまうことがあります。例えば、改善提案をしても意見が反映されず、「今まで通りの決まったやり方で仕事をするように」といわれてしまうと、主体性を持ちにくくなります。

その積み重ねが、飽きにつながるだけでなく、やりがい自体を感じられなくなることもあるでしょう。

人間関係が影響することも

同じメンバー、同じ役割でずっと仕事を続けていると新しい視点や刺激が生まれずに飽きてしまう場合があります。

信頼できる人間関係は大切ですが、仕事の中で関わる人や立場に変化がない状態が続くと、学びや発見が減り、マンネリ感につながることもあります。

仕事に「飽きた」と感じるのは悪いこと?

何か新しいことを学びたいと考えている人のイメージ

仕事に飽きてしまうと、「自分は飽きやすいタイプなのかも」「飽きてしまう自分に問題があるのでは」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、仕事に飽きたと感じることは、必ずしも悪いケースばかりとは限りません。

「飽きる」という感情は、新奇性や変化に注意が向きやすい“探索志向の高さ”の表れと捉えることもできます。「これまでと違うやり方を試してみたい」「新しいことを学びたい」などの前向きな気持ちが、飽きることをきっかけに生まれる場合もあります。

今とは違う別の方法にチャレンジしたり、新しい環境に踏み出したりする中で、変化が多い環境への対応力や柔軟性、精神的な強さも身につけられるかもしれません。

仕事に飽きたと感じたときの対処法

上述のように仕事に飽きることは必ずしも悪いことではありませんが、「もっとモチベーションを高めたい」「周囲と協力しながら結果を出していきたい」など、もう一度今の仕事に熱意をもって向き合いたい人もいるでしょう。

最後に、仕事に飽きたと感じたときに前向きな気持ちや行動につながる対処法をご紹介します。

ジョブ・クラフティングのアプローチを活用してみる

ジョブ・クラフティングとは、仕事のやり方、対人関係、仕事に対する捉え方を変えることで、働きがいを感じやすくする工夫(概念)です。具体的には、次の3つの方法があります。

1.仕事の「やり方」に工夫を加える

仕事のやり方を工夫する方法としては、仕事内容の手順を改善することや、優先順位の設定などがあります。具体的には、仕事の良かったところ・うまくいった点の振り返りや、不要な業務の削減などが挙げられます。

新しく覚えた知識があれば、日常の業務に可能な範囲で反映させてみましょう。振り返りによって自分の強みを明確にできれば、他の業務への応用にもつながり、成長実感を得られます。

2.仕事での「対人関係」に工夫を加える

職場の対人関係のあり方を見直してみると、仕事の充実度や満足度の向上が期待できます。例えば、他部署の人と関わる機会があったら、用件のみではなく、他にどんな仕事をしているか聞いてみるのもよいでしょう。新たな人間関係づくりにもつながります。

他部署の状況を聞いたり対人関係が充実したりすることで、新しい視点を持って自分の仕事に取り組むことができます。

3.仕事の「とらえ方」に工夫を加える

仕事の「とらえ方」とは、仕事に対する心の持ちようのことです。

「なぜこの仕事を選んだのか」「この仕事で達成したいことは何か」「将来どんなことに役立つのか」など、仕事の目的について改めて自問自答してみましょう。

仕事の意味や目的を見直すことで、目の前の仕事にも少しずつやりがいを見出しやすくなるかもしれません。

チャレンジ要素を足してみる

仕事に飽きた原因が業務の難易度の低さだった場合、自分でできる範囲で受け持つ業務の難易度を上げてみるのもひとつの方法です。

改善すべきポイントを見つけるよう心掛けてみたり、最近学んだ新しいスキルや視点を取り入れてみたりするのもいいでしょう。ルーチンワークを短時間で正確に仕上げたり、自分の専門における最新情報を仕事に取り入れてみたりするなどの方法があります。

現在の状況を俯瞰して見てみる

社外の勉強会に参加してみたり、他の業界・業種で働く友人と話したりするなどすると、現在の業務や自分が働いている会社を、新しい視点で見られるようになります。

客観視することで、今までは気付けなかった自分の伸びしろや、キャリアに関する新しい目標が見つかる可能性があります。

「飽きた」からこそ気持ちを切り替えていくことが大事

「なんか最近飽きたかも」と感じる方も多いかもしれません。飽きる原因はさまざまですが、慣れによって飽きてしまったのか、刺激の少なさによってくる飽きなのか、原因が分かれば対処法も見つかるはずです。

仕事に「飽きた」と感じている場合は、仕事のアプローチの仕方を工夫してみると、充実度や満足度を改善することができます。できそうなところから取り入れてみて、気持ちを切り替えるきっかけにしてみてください。

監修:心理学博士、臨床心理士、公認心理師 関屋裕希
東京大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座所属。
早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了。専門は、産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、業種や企業規模を問わず、ストレスチェック制度や復職支援制度などのメンタルヘルス対策・制度の設計、職場環境改善・組織活性化ワークショップ、経営層・管理職・従業員それぞれに向けたメンタルヘルスに関する講演や執筆活動を行う。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)、『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。

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