【心理士監修】感受性が強い人の特徴は?ビジネスでの活かし方と向いている職種を紹介

「感受性が強い」とは、そもそもどういう意味なのでしょうか。本記事では「感受性が強い」の意味や感受性が強い人に見られる特徴、ビジネスシーンにおける影響について解説します。

感受性の強さをビジネスに活かしている人のイメージ

「感受性が強いね」という表現を聞いたことはないでしょうか。「感受性」とは、外からの刺激や印象を受け入れる性質で、感受性が強い人は共感力が高く、創造的な表現が得意ともいわれています。

この記事では、臨床心理士として活躍されている関屋裕希さんにお話を伺い、「感受性が強い」の意味や感受性が強い人の特徴、ビジネスシーンでの活かし方について解説します。

「感受性が強い」とは、そもそもどういうことなのか

「感受性が強い」という言葉は、日常生活やメディアで耳にする機会も多いかもしれませんが、言葉の本来の意味まで理解している方は多くないかもしれません。

まずは、「感受性が強い」の基本的な意味と、「感受性が豊か」との違い、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)との関連について解説します。

「感受性が強い」の意味

感受性が強いとは、物事に対して深い感動を覚えたり、強く影響を受けたりするなど、心が動きやすい状態を指します。

「感受性」という言葉には、音、光、香り、他者の表情や言葉などの、外界の刺激を敏感に感じ取る性質という意味があります。「感受性が強い」という表現は、周囲からの影響を強く受けている状態を指すときに使用されるケースが多いです。

「感受性が強い」人はHSPなのか?

感受性が強く外界からの刺激に敏感に反応する人を、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)と呼ぶことがあります。ただし、感受性が強いからといって、必ずしもHSPであるとは限りません

HSPは、「感覚処理感受性(SPS)」という、次の3つの特性すべてに該当する場合を指すケースが多いです。もしも、3つとも該当している場合は、HSPの特性があるといえるでしょう。

【感覚処理感受性の3つの要素】
1. 低感覚閾…わずかな刺激でも敏感に反応してしまうこと
例:明るい光や強いにおいに強く反応する など

2. 易興奮性…刺激に対する感情反応(イライラや不快な感情など)が強いこと
例:気に入らないことがあると瞬時に怒りが湧いてしまう など

3. 美的感受性…芸術や自然の風景などに対して美しさや感動を深く感じ取ること
例:美術館の作品や音楽に深く感動する など

「感受性が強い」と「感受性が豊か」は違う?

「感受性が強い」は、外界の刺激を敏感に感じることを指しますが、「感受性が豊か」とは、豊かな感情や想像力といった、心の豊かさを指すという違いがあります。

前述したHPSの特性のうち、1と2の要素は、「感受性が強い」と表現されますが、「感受性が豊か」は主に3の美的感受性を指す場合が多いです。

3の美的感受性は、人生に対する満足度や自己肯定感などの心理的幸福感を総合的に高めるともいわれています。

感受性が強い人の特徴

想像力が豊かな人のイメージ

感受性が強い人には、どのような共通点があるのでしょうか。ここでは、感受性が強い人によく見られる特徴を紹介します。

周囲の変化にすぐに気付ける

感受性が強い人は、場の雰囲気や周囲の変化をいち早く察知します。例えば、ミーティングなどでは、相手の迷いや言葉にならない要望、ためらいに気付いたうえで、発言や提案を調整することがあります。

想像力が豊か

本を読んで想像を膨らませたり、映画を見て感動したりと、想像力が豊かな点も、感受性が強い人に見られる傾向の一つです。感受性が強い人は高い共感力と深い思考力を持っていることが多いため、深い洞察力から想像力が豊かになるのです。

他者とのやりとりに疲弊しやすい

感受性が強いと、人の感情や場のプレッシャーなどを敏感に感じ取るため、対人交流によって疲労感や消耗感が出やすくなります。

また、上司や同僚など、周囲の課題や感情を自分ごととして抱え込んでしまうだけでなく、他者からも影響を受けてしまうため、仕事が終わってからも気になる出来事を頭の中で反すうしてしまいがちです。

刺激の多い環境で集中しづらい

音に敏感に反応する傾向があるため、人が多い場所では騒音が気になってしまいがちです。また、スマートフォンの通知音が鳴るたびに集中力が途切れてしまうこともあります。

特に、オープンスペースのような場所では、集中力が落ちて仕事がなかなか進まず、自分のやりたいことにフォーカスできなくなってしまう場合もあるでしょう。

感受性の強さはビジネスにどう活かせる?

感受性の強さをどのようにビジネスに活かすか考えている様子

感受性が強い人は、共感力の高さや深い洞察力、創造性などをビジネスシーンで活かすことができます。ここでは、感受性の強い人が活躍できるビジネスシーンの具体例を見ていきましょう。

「合意できていない点」を発見する

感受性が強いと、ビジネスシーンでの小さな摩擦を早めに察知できます。

例えば、ミーティングや顧客との契約時などに、反応が薄い人や言いたいことをためらっている人がいると、相手の真の目的や懸念点を察知して再交渉し、トラブルを回避できます。

こうしたお互いに合意できていない点に早めに気付くことは、大きなトラブルや失敗、相手との対立を予防するのに役立ちます。

創造性を発揮して課題を解決していく

仕事で課題や問題が発生したときは、従来の考え方にとらわれず、独自の感性や創造力で最適な解決法を見出し、課題の解決へと導くことができます。

感受性が強い人に見られる深い洞察力と高い共感力は、新しいアイデアを生み出しやすい傾向があります。そのため、新しい製品やサービスを生み出す職種では、創造性の高さを活かしやすいです。

顧客の「言語化されていないニーズ」をつかむ

ビジネスシーンでは「聞く力」が求められます。感受性が強い人は傾聴の姿勢と質問を繰り返し、会話だけでなく相手の表情や言い回しの変化から、言葉にされていない期待や懸念を汲み取ることができます。

相手の要望や懸念点を推定したうえで、「機能面だけでなく、商品の使いやすさを大事に考えていらっしゃいますか?」など、仮説を立てながら質問し、提案の精度を上げることが得意です。

文章や資料、プレゼンを「伝わる形」にする

細部への気配りができ、小さなミスにも気付きやすい傾向があるので、「読める資料」ではなく、「伝わる資料」を作成することができます。読み手がどこで迷うか、どんな言葉を使うと心に刺さるかを感じとり、話の構成を決めていくのです。

どうしても採用されたい企画やアイデアがある場合には、感受性の強さを活かして効果的な資料作成やプレゼンを行うことができるでしょう。

感受性の強さを活かしやすい職種

感受性の強さをカスタマーサポート職で活かすイメージ

ここでは、感受性の強さを活かしやすい職種の特徴について解説します。

「相手を理解すること」が重要な職種

相手の意図を汲み取るのが得意なため、以下の職種では共感力や傾聴力を活かして働けます。

【職種例】
営業、人事(採用)、カウンセラー、ファシリテーター、コーチ、カスタマーサポート など

これらの職種は、丁寧な対応や、細やかな気遣いなどが評価されやすいでしょう。また、少人数での対話がメインの人事、カウンセラー、カスタマーサポートなどは、静かで落ち着いた職場環境で働けるというメリットもあります。

「表現」する職種

独自の感性を活かして言葉や表現にする職種では、自分のアイデアを反映させて新しい価値を創造できるため、やりがいを感じやすいでしょう。

【職種例】
編集者、ライター、デザイナー、ブランドプロデューサー、マーケティング、コピーライター など

表現する仕事はクリエイティブな発想力を活かしやすく、キャリアを積めば独立も叶えられる職種が多いです。

「体験」をつくる仕事

言語化されていないニーズを読み取るのが得意なので、以下の職種のような、顧客体験の設計に活かすことができます。

【職種例】
ホテルやレストランのホスピタリティ職、UI/UXデザインの仕事 など

顧客が何を求めていて、何を不満に思っているのかを感じ取り、より良いサービスへの改善に貢献できます。UI/UXデザインの仕事では、「このボタンの位置はここでいいのか」「この色は不快に感じないか」など、細かい違和感を検証し、デザインに反映させることができるでしょう。

感受性の強さを上手くコントロールする方法

感受性の強さが気になる場合は、その影響をコントロールし、不快感を軽減していきましょう。ここでは、感受性の強さをコントロールする方法について解説します。

「自分は自分、人は人」と境界線を明確にする

周囲の人の影響を受けすぎて疲弊してしまう場合は、「自分は自分、人は人」と意識することが大切です。

例えば、同僚や友人と意見が分かれたときは、必ずしも「自分は間違っているのかも」と悩む必要はないといえます。また、周囲に傷ついている人がいた場合、「私も同じようにつらい気持ちでいるべきなのかも」と共感する必要もないでしょう。

自分がどう感じるのか、何を考えると心が落ち着くのか、自分の体験や気持ちを大事にし、周囲の人の感情と自分の感情を分けて考えてみましょう。

自分に快適な物理的環境を整える

オープンスペースなど、ずっと刺激が多い場所にいると、精神的に疲弊してしまうことがあるかもしれません。そのような場合には、個室など、自分にとって快適な場所にいる時間帯を確保すると、好きなことに没頭できたり、仕事に集中できたりします。

人との距離が十分にあり、適度に音が聞こえてくるような場所で、心が落ち着く場合もあります。喫茶店や商業ビルの屋上など、自分が快適だと感じられる環境で休む時間を作ってみましょう。

自由に自分の感受性を発揮できる時間をもつ

感受性の強さは、感情をアウトプットし、心を落ち着ける時間をつくることで発揮できます。仕事以外で、自分の好きなものに対して感受性を活かしてみましょう

芸術に興味がある人は、美術館に行って感性が刺激されると、心が落ち着くことがあります。自然の中を散策したり、好きなミュージシャンのライブに出かけたり、おいしいものを食べたりと、仕事などの必要に迫られたケース以外で、自分の感受性を自由に楽しむ時間をつくりましょう。

意識的に感受性を高めることはできる?

感情を上手に言語化するイメージ

「自分の感受性は強くないかも」「ビジネスシーンで感受性を活かしたい」と悩んでいる人は、工夫次第で感受性を高められます。日常生活でできる感受性を高める方法を3つ紹介します。

周囲の非言語情報を観察する

誰かと話をしているときは、表情や声のトーン、首をかしげるなどの動作に注目してみると、微細な変化に気付きやすくなります。このような経験を積み重ねていくと、周囲の変化に察知しやすくなり、自身の感受性を高めることができます

感情をなるべく言語化する

周囲との会話やテレビやニュースのトピックスを見たときなどに、何か違和感を覚えることもあるでしょう。

そんなときは、自分の感情に注意を向け、「もやもやする」といった曖昧な言語化ではなく、「この問題が気になる」「焦りと緊張が混じっている気分」など、自身の感情を的確に表現する言葉に落とし込んでいくと、自身の感情に敏感になります

マインドフルネス

マインドフルネスは、些細な感情の変化を察知し、感受性を高めやすくします。「今ここ」に意識を向けるトレーニングをしてみましょう。

一般的な方法としては、3~5分間姿勢を整えて呼吸に意識を集中する瞑想や、頭に浮かんだ思考を紙に書き出すジャーナリングなどがあります。取り入れやすいものから始めてみましょう。

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感受性を上手くコントロールすれば強みに変えられる

共感力の高さや深い洞察力、創造性など、感受性の強さはビジネスシーンでも活かすことが可能です。しかし、もしも感受性が強くて周囲からの影響を受けやすいと感じているのなら、定期的に心が休まる場所に身を置いたり、他者とのスペースを少しだけとってみたりするといいでしょう。

感受性を自分で上手にコントロールできるようになれば、チームの生産性向上や良好な人間関係の構築に役立てられるはずです。

監修:心理学博士、臨床心理士、公認心理師 関屋裕希
東京大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座所属。
早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了。専門は、産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、業種や企業規模を問わず、ストレスチェック制度や復職支援制度などのメンタルヘルス対策・制度の設計、職場環境改善・組織活性化ワークショップ、経営層・管理職・従業員それぞれに向けたメンタルヘルスに関する講演や執筆活動を行う。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)、『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。

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