距離感で悩んでいませんか?職場で「ちょうど良い距離感」を保つコニュニケーション術

職場の人と「ちょうど良い距離感」に悩んだことはありませんか? 本記事では、距離感についてのよくある悩みや対処法について紹介します。

ちょうど良い距離感をとりつつ上司や同僚とコミュニケーションを図る様子

上司や先輩からのアドバイスを少し負担に感じたり、そんな自分自身も、後輩に余計なアドバイスをしてしまったり……。職場におけるちょうど良い距離感を見極めるのは難しいですよね。

今回は、『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「ちょうど良い距離感」を保つコミュニケーション術』の著者である林 健太郎さんに、職場の人とちょうど良い距離感を保つ方法を伺いました。職場の人間関係に悩む方はぜひ参考にしてみてください。

職場の人との「距離感」で悩んでいませんか?

職場の人と上手に関係を築き上げられないイメージ

若手のビジネスパーソンが抱きがちな「距離感」の悩み。上司や先輩との距離感・同僚や後輩との距離感についてのよくある悩みを林さんに伺いました。

上司や先輩との距離感についての悩み

「上司や先輩に対して『言葉のトーンが厳しいと感じる』『意見を出しても否定されやすい』と感じる若手は少なくありません。

ほかにも、働き方に対する考えが世代によって異なることでコミュニケーションに摩擦が生じたり、会話がいつも上司の話になりがちだと感じて戸惑ったりするケースも。

また、飲み会や取引先への移動中などにプライベートな質問をされることに悩んでいる人もいます」(林さん、以下同)

同僚や後輩との距離感についての悩み

「同僚や後輩との関係では、自身の行動や影響について悩む傾向があります。特に多いのが『好かれようと無理してしまう』『自分のアドバイスが押しつけがましくなっていないか気になる』という悩みです。

また、若手同士でも食事や飲み会に誘うことに対して気を使ってしまい、なかなか誘いづらいと感じることもあるようです。

上司や先輩、同僚や後輩との距離感についての悩みを紹介しましたが、これらの悩みの背景には必要以上に『干渉されたくない』『干渉したくない』という思いがあるようです」

「ちょうど良い距離感」を保った方が仕事をスムーズに進められる

そもそも、職場の人とはどのくらいの距離感を保つべきなのでしょうか。

「必ずしも、職場の人と深く親しくする必要はありません。とはいえ、『誘われてもランチや飲み会はすべて断る』『雑談をしない』といった距離をとりすぎる行動は、周囲に話しかけづらい印象を与えてしまい、結果的に仕事を進めにくくなってしまうことも。

リモートワークの場合は、チャットツールでのコミュニケーションは文字情報だけなので感情が乗らず、否定や冷たさを感じやすいです。ランチなどのカジュアルな場で交流することによって、その人がどういった人なのか解像度が上がり、相手のメッセージのトーンや意図を理解しやすくなりますよ。

特にこれからの時代は、AIでは代替できない『人間が人間と関わることで何かを生み出す仕事』が主流になります。そこでは人間同士の絆や仕事を一緒に達成できる喜びといった要素が不可欠。ドライに距離をとりすぎると、これらを共有できなくなってしまうので気をつけたいですね」

距離感をうまく保つカギは「干渉されない・しない」こと

距離感をうまく保ちつつ教える・教わるイメージ

職場の人とちょうど良い、適正な距離感を保つためのカギは、「干渉されない・しない」ことにあるそうです。干渉されないこと・干渉しないことで得られるメリットについて林さんに伺いました。

干渉されないことで得られるメリット

上司や先輩と適正な距離感を保つためには、必要以上に干渉されないように意識することが大切です。これによって自分のペースを守れるだけでなく、相手を信頼できるようになり、人付き合いが楽になっていきます。

相手からのアドバイスも、どれを受け取り、どれを自分の考えとして整理するか丁寧に判断していくことで、自信もついてきます」

干渉をやめるメリット

「反対に、相手に対して干渉してしまう心理の背景には、『教えてあげたい』という貢献欲求や、自己顕示欲があります。しかし、善意からの行動だとしても、過度な干渉は相手から主体性を奪ってしまいます。相手にとって負担になっていないかどうか、自分の行動を客観視することが大事です。

干渉を控えて自主性や自己表現を尊重することで、相手は『自分のやり方で進められる』と感じ、主体的な行動を取れるようになります。そうなることでお互いに仕事をスムーズに進められるようになるでしょう」

ちょうど良い距離感をキープできると、仕事の成果に結びつく

「適切な距離感をキープすることは、上司や組織からの信頼感を高めることにつながり、結果的に評価やキャリアの成長にも結びつきます。なぜかというと、意見に従うだけでなく、『まずは自分で考えたいので少し時間をもらえますか』と境界線を引くことで、『能動的に考えているんだな』というプラスの印象を与えられるからです。

ほかには、ミーティングの場で『今日は〇〇について話したいです』と伝えることもおすすめ。能動的に動いている印象を与えれば、必要以上にフォローされる場面が少なくなります。

ちょうど良い距離感をキープするスキルは、単なるソフトスキルではなく、現代の仕事で成果を生み出すための戦略的な力となります。過干渉を避けることは精神的な安定につながり、継続的に高いパフォーマンスを発揮するための基盤となるでしょう」

干渉されない人・干渉しない人になる技術

では、どうすれば干渉されない人・干渉しない人になれるのでしょうか。すぐに実践できる簡単なテクニックを解説します。

干渉されない人になる技術

干渉されない人になるためには、以下のことを意識して行動してみましょう。

普段から自分のスタンス(得意なこと、興味がある分野)を表明しておく

「『なんでもやります』『どっちでもいいです』といった受け身の姿勢でいると、上司側は仕事を振る際のヒントが不足しているので、こちらが苦手意識を持っている仕事を振ってしまうかもしれません。

普段から『私、こういう仕事が好きなんです』『こんな分野に興味があります』といった自分の得意分野や興味のある領域について意思表示をしておきましょう

自由回答を求められたとき、すぐに答えられるようにする

「自由回答を求められたらすぐに答えられるよう準備しておきましょう。準備しておくことで、話したい内容が伝えやすくなり、曖昧さが減るので相手も安心します。

単に干渉を避けるだけでなく、上司に対してプラスの印象を与える効果もありますよ」

必要以上に自分を卑下しない

「本当はそうではないのに『できるか不安です』など、安易に不安を表明してしまうと、上司や先輩は必要以上にフォローしようと考えることもあります。不安があるときは相談してOKですが、必要以上に自分を卑下するような言葉はできるだけ使わないようにすることで、距離感を保ちやすくなります」

言いづらい意見を述べる際には「丁寧な前置き」を加える

「意見を述べる際は、『もしかしたら間違っているかもしれませんが』『これはもう誰かがやってきたことかもしれませんが』『私が不勉強で申し訳ありませんが』などの前置きを使うことも有効です。

前置きを入れることで丁寧な印象を与え、上司が『聞く耳を持つ』状態になり、スムーズに受け取ってもらえる可能性が高まります」

上司や先輩の指示に対して「時間の猶予」を設ける

「上司や先輩から判断や回答、指示への即時的な対応を求められたとき、一度考えるためのバッファを設けると、自分のペースと自律性を確保しやすくなります。このとき、相手の指示を拒否していると捉えられないように注意しましょう。

『まずは自分で考えたいので少し時間をもらえますか』などのフレーズを使うと効果的です」

干渉しない人になる技術

干渉しない人になるためには、以下のことを意識して行動してみましょう。

基本は黙って相手の話をじっくりと聞く

「人間には、相手の発言や行動に対して反射的に反応したくなる『自動プロセス』というメカニズムが備わっています。この自動プロセスを意識的に食い止め、いいたいことがあってもぐっとこらえることで、相手に過度に干渉してしまうことを防ぎます。まずは相手の話を遮らずに最後まで聞きましょう。

傾聴の姿勢は、相手との信頼関係やパートナーシップの構築にも役立つはずです」

<関連記事>「傾聴力」ひとつで、好印象に!コミュニケーションが円滑になる、話の聞き方

干渉してしまったら、リカバリーの一言を付け加える

「自分が行き過ぎたアドバイスをしてしまったと気づいたら、すぐに『ごめん、ちょっと踏み込みすぎたかも』『ちょっと言い過ぎですかね』など、リカバリーの一言を付け加えましょう。この一言を伝えることで、相手との関係性を維持し、お互いに冷静な状態に戻ることができます

反論したくなったら「なぜ?」に置き換える

「相手の言動に対し『理解しづらい考え方だ』と感じ、感情的に反論しそうになったとき(干渉しそうになったとき)は、ぐっとこらえ、『なぜ相手はそう思っているのかな?』と想像してみましょう。好奇心を持って相手の思考を探求するのです。

そうすることで気持ちが落ち着き、一方的な干渉や否定を避け、建設的な対話を進めることができるようになります

相手の表情や態度を観察する

「表情や仕草にはメッセージが表れます。特に戸惑いや違和感は顔に出やすく、これを見落とすとトラブルに繋がることも。

『好かれようと無理してしまう』『自分のアドバイスが押し付けがましくないか気になる』という人は、自分がアドバイスしている際に相手の顔色やリアクションを見て、負担に思われていないかどうかを判断しましょう。可能であれば、相手に『今のアドバイスって必要だった?』などと聞いて、フィードバックをもらうこともおすすめです」

ランチや飲み会へ誘う場合は段階的にやりとりしてみる

「ランチや飲み会に初めて誘う場合は、段階的にやりとりの幅を広げていくとスムーズです。例えば、いきなり誘うのではなく『ランチは普段どうしてるの?』といった質問を通じて、相手の嗜好を聞き出してみましょう。

一人で食べるのが好きな場合は相手の意向を尊重するのがおすすめです。相手が複数で食事をするのが好きな場合、さらに好きな料理を質問してみて、『実はこういうお店見つけたんだけど一緒に行かない?』と誘うと自然でお互いが心地よく感じられますよ」

相手が話しやすい状態をつくる

「いきなり、『どこに住んでいるの?一人暮らし?』など個人的な質問をしてしまうと、相手が身構えてしまう可能性があります。相手のことをもっと知りたいときは、自己開示が鉄則

まずは自分のプライベートな話を先にしてみてください。そうすることで、相手も『こういった話がしたいんだな』と察して誘いに乗ってくれるかもしれません」

<関連記事>自己開示の効果とは?ビジネスで信頼関係を築くコツを解説

【応用編】「ちょうど良い距離感」を保つ方法

自分の意思で相手との距離感をデザインするイメージ

干渉されない人・干渉しない人になるテクニックを理解しても、いざ実行に移すのは難しく感じる人もいるかもしれません。そういったときは、「距離の椅子ワーク」という応用的なテクニックで相手との距離感は自分の意志でデザインできるということを実感してみましょう。

心理的距離を物理的距離に置き換える「距離の椅子ワーク」

距離の椅子ワークのイメージ画像

距離の椅子ワークは人との距離感を見える化することで、『距離感は受動的なものではなく、こちらから意識的に変えていくことができるものである』と実感するワーク。上司やリーダーが「メンバーとの距離感」について考えるときに有効なワークですが、そうではない人が実践しても効果があります。

<ワークのやり方>
1. 椅子に座り、向かいに別の椅子を置く
2. 相手の椅子に座る
3. 再び元の椅子に座り、自分が望む距離感を設定する

このワークを行うことで、距離感の『現状』『相手の視点』『望む距離』が可視化するので、自分自身で距離感をデザインする感覚が備わっていきます。もっと近づきたいなら近づく、距離を置きたければ置くというように、自分が動くことで距離を柔軟に変えていけることに気づくことができるでしょう」

まとめ

職場の人間関係は、近すぎず遠すぎない「ちょうど良い距離感」を築くことで格段にラクになります。ちょうど良い距離感を築くためには、相手に干渉させない・相手に干渉しない技術が大切です。この記事を参考にして、明日から「干渉させない人」「干渉しない人」になりましょう。きっと職場の人間関係がスムーズになるはずですよ。

話を聞いた人:林 健太郎さん
リーダー育成家。合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部創設者。日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業や家族経営の会社まで、のべ500人を超える経営者やビジネスリーダーに対してコーチングを実施している。

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