
- 「頑張れない」とはどういう状態?
- 頑張りたいけど頑張れないのはなぜ?考えられる原因を解説
- 頑張りたいのに頑張れないのは甘え?
- 頑張りたいのに頑張れない人によく見られる特徴
- 頑張りたいのに頑張れないときの対処法
- 頑張りたいのに頑張れないときにおすすめの考え方
- 頑張れないときは十分に休息をとってリフレッシュすることが大事
「頑張りたいのに頑張れない」「なんだか最近モチベーションが上がらない」と感じることはありませんか。日常生活やビジネスシーンにおいて、頑張りたいけれど頑張れない状況に陥ってしまうこともあるでしょう。どうしても頑張れないときは、何かしらの原因が考えられます。
この記事では、臨床心理士として活躍されている関屋裕希さんにお話を伺い、頑張れないときに考えられる主な原因や特徴、対処法を解説します。「もう一度頑張りたい」と切り替えたいときに、ぜひ参考にしてみてください。
「頑張れない」とはどういう状態?
仕事だけに限らず、日常生活の中でも理由はわからないけれど、思っていたよりも頑張れないということはありませんか。
「頑張れない」状態とは、一般的に精神力や体力など、心身のエネルギーが枯渇し、物事に対する意欲が湧いてこない状態を指します。
心と体が休息を求めているときなどに頑張れない状態に陥る場合が多く、誰にでも起こりうることです。
頑張りたいけど頑張れないのはなぜ?考えられる原因を解説

頑張れない状態に陥ってしまうのには、いくつかの原因が考えられます。ここでは、頑張りたいときに頑張れない場合の原因について見ていきましょう。
すでに頑張りすぎているから
休息をあまりとらずに物事にのめりこんで頑張りすぎてしまった結果、頑張れなくなる状態=バーンアウト(燃え尽き症候群)になってしまっている可能性があります。
身体的負担、精神的負荷が続くと、処理できる情報量を超えてしまい、心身が適切に対応できなくなることがあるのです。
バーンアウトになってしまうと、物事に取り組みたくても心が動きにくく、強い疲労感や無気力の状態に陥る傾向があります。
<関連記事>燃え尽き症候群とは? なりやすい人の特徴や原因、予防策を公認心理師が解説
強い不安を抱えているから
不安が高まると失敗への恐怖に注意が向きやすくなり、目の前の課題になかなか集中できず、先延ばしや回避行動をとりやすくなります。
不安な状態のときは失敗するリスクを高く見積もる傾向があるため、行動そのものをためらってしまうことがあるのです。
学習性無力感を抱えているから
「学習性無力感」(Learned Helplessness)とは、回避できないストレスや失敗を繰り返すことで、「何をしても無駄だ」と感じるようになり、状況改善の自発的行動を諦めてしまう心理状態です。
努力しても状況が変わらない経験が続いてしまうと、「努力しても無駄」という認知が形成されて、行動意欲が低下し、頑張れない状態になってしまう可能性があります。特に過去の失敗経験が多い人などは、この学習性無力感に陥りやすいでしょう。
抑うつ状態になっている可能性も
「抑うつ状態」になっていることで、頑張れない状態に陥っている可能性もあります。
抑うつ状態とは、強いストレスや疲労などにより、気分が沈んだり、活動意欲が低下したりする状態のことです。あくまでも可能性のひとつですが、抑うつ状態によって意欲の低下や楽しみの喪失が進行する傾向があります。
頑張りたいのに頑張れないのは甘え?
頑張りたいのに頑張れないときは、自己嫌悪に陥ってしまう方もいるかもしれません。しかし、「頑張りたい」という意志を持っていることからもわかるとおり、頑張れない=甘えとは言い切れないでしょう。
そもそも、「甘え」とは、余力が十分にあり、やる必要も理解しているのにもかかわらず、行動しない、もしくは他者に責任を預ける状態のことです。
「頑張りたい」という意志がありながらも「頑張れない」のであれば、そこには疲労やストレスなど、何らかの制約がかかっている可能性が考えられます。
頑張りたいけど頑張れない人の多くは、真面目で責任感が強い傾向があります。「頑張れないのは自分が悪い」「自分は甘えている」という思考はいったん手放し、現在の自分の状態に向き合ってみることが大切です。
頑張りたいのに頑張れない人によく見られる特徴
ここでは、主にビジネスシーンで頑張れない状態になってしまった人に見られる主な特徴を解説します。
返信や意思決定にいつもより時間がかかる
先述のとおり、頑張れないと感じているときは、疲労がたまっている可能性があります。そのため、あまり思考が働かず、メールの返信に時間がかかってしまったり、意思決定の場面で判断するまでに時間がかかったりすることがあるでしょう。
リスクを過剰に恐れる
物事に対して、「うまくいかないかもしれない」「失敗しないか不安」といったネガティブな思考にとらわれ、リスクを必要以上に恐れてしまう傾向があります。
完璧に準備をしないと不安になり行動ができなかったり、決断を先延ばしにしてリスクを過大評価してしまったりすることもあるでしょう。
仕事へのモチベーションが低下
指示待ち状態が増えたり、最小限の仕事しかこなせなくなったりと、仕事のモチベーションが低下する傾向があります。
会社の経営理念への共感不足が一因となる場合もあり、会社の方針に納得できなかったり、「やらされている感」が強くなったりします。
常に作業に追われている
何から手をつけたらいいのか判断ができず、常に焦って仕事をする状態が続いてしまうことがあります。タスク管理が不十分で優先順位があいまいになり、結果的にキャパオーバーになってしまうことも少なくありません。周囲に助けを求める気力がなくなると、さらに自分自身を追い込んでしまう状態に陥ることもあります。
頑張りたいのに頑張れないときの対処法

頑張りたいけれど頑張れないときは、どのように対応すればいいのでしょうか。ここでは、頑張れないときこそ意識したい対処法をご紹介します。
休息をとる
頑張れないときは、心と体が休息を求めているのかもしれません。睡眠や休日の過ごし方を見直し、休息をしっかりとりましょう。心と体がリセットされると、意欲や気力、エネルギーが回復します。
心が満たされる「小さな行動」をする
頑張れないときは気持ちもネガティブな思考になりがちです。そんなときは、すぐに達成できることを意識的に行うと、心が満たされるでしょう。
小さな行動でもかまいません。深呼吸、ジャーナリング、良かったことの振り返りなど、行動することで気持ちが前向きに変化していき、意欲が刺激されていきます。
他者からフィードバックをもらう
頑張れないときは殻に閉じこもりたくもなりますが、可能であれば上司や同僚、友人などから自分がやってきたことについてフィードバックをもらってみましょう。自分の行動に対して反応がある状態をつくると、行動への意欲を引き出すことができます。
周囲へ悩みを相談してみる
誰かに相談することで気持ちが楽になり、不安の軽減になることがあります。また、自分の気持ちや悩みを言語化すると頭の中が整理され、さらに他者からのアドバイスによって客観的な視点や改善策が見つかる場合もあります。精神的な負担を軽くすると、結果として目の前のことに集中しやすくなるでしょう。
完璧を求めすぎないことも大事
頑張れずになかなか動けないときは、ハードルが高すぎるのが原因かもしれません。「完璧にちゃんとやろう」と思うと、逆に行動しにくくなることがあります。「5分だけやる」「3割仕上がったところで誰かにみてもらう」など、完璧を求めすぎずにハードルを下げてみましょう。
頑張りたいのに頑張れないときにおすすめの考え方

頑張りたいのに頑張れないときは、考え方を工夫するだけで前向きな気持ちになれます。最後に、頑張れないときこそ意識したいおすすめの考え方を紹介します。
「十分頑張ってきた」ととらえる
安易に頑張れない自分を責めるのはやめましょう。自分を責めると、心身に大きな負担をかけることになり、自分で自分のエネルギーを奪ってしまいます。自分の気持ちと向き合い、小さなことでも自分を褒める習慣をつけて心を満たすことが重要です。
まずは、今までやってきたことを振り返り、頑張ってきたことに目を向けてみましょう。自分の過去の頑張りを認めることで自己効力感が高まり、気持ちを切り替えやすくなるはずです。
休むことを戦略ととらえる
回復に時間を使うことや休むことは、後退ではなく戦略と考えるようにしましょう。「戦略的休息」という言葉からもわかるとおり、休むことは心身の健康維持や脳の疲労回復効果が期待できます。頑張れないときこそしっかりと休む時間をつくると、新しいアイデアが生まれたり仕事への意欲が向上したりするかもしれません。
良質な睡眠とバランスの良い食事、適度な運動や集中しやすい環境づくりなど、心・体・環境のバランスを整えるように意識すると、また自然と頑張れるようになるはずです。
自分の成長や強みに目を向ける
過去を振り返って、自分が成長できたことやうまくできるようになったことなどの変化に目を向けてみましょう。
心身ともに落ち込んでいるときは、自分のポジティブな側面に注目すると、気持ちが前向きになるかもしれません。自分の強みに目を向けると、活力を引き出せるでしょう。
頑張れないときは十分に休息をとってリフレッシュすることが大事
「どうしても頑張れない」という状態は、誰もが一度は経験することではないでしょうか。頑張れないときは無理をせず、「今は休むタイミングだ」と気持ちを切り替えることが大切です。
もし頑張れない原因が働きすぎや完璧主義にある場合は、仕事に対する考え方や意識を見直してみると良いでしょう。これまで頑張ってきた自分をまずは褒めてみてください。心に余裕が生まれ、次のアクションにつながるはずです。
監修:心理学博士、臨床心理士、公認心理師 関屋裕希
東京大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座所属。
早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了。専門は、産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、業種や企業規模を問わず、ストレスチェック制度や復職支援制度などのメンタルヘルス対策・制度の設計、職場環境改善・組織活性化ワークショップ、経営層・管理職・従業員それぞれに向けたメンタルヘルスに関する講演や執筆活動を行う。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)、『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。
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