給料は上がる!? 合コンでモテる!? 経験者が語る“上場の奇妙な経験”

近年ではITベンチャー企業の上場が目立つように、かつてと比べて、上場は中小企業の一般社員にとっても身近なものとなっています。

給料は上がる!? 合コンでモテる!? 経験者が語る“上場の奇妙な経験”

近年ではITベンチャー企業の上場が目立つように、かつてと比べて、上場は中小企業の一般社員にとっても身近なものとなっています。

経営が良好である印として、会社としての価値が高まる出来事ですが、自社が上場したとき、一般社員の身にはどんな変化が起こるのでしょうか。今回は上場を体験して感じたメリットやデメリット、上場による身の回りの変化について、実際に上場を経験した方々の声をご紹介します。

上場によるメリット・デメリット

まず従業員にとって、会社が上場することのメリットはなにがあるのでしょうか。

メリット


「やはり会社が株式市場に加わることで大規模な資金集めができ、事業の拡大がしやすくなるので、個々の業務範囲が広がったり、より大きく、やりがいのあるプロジェクトに関わることができたりしますね」(29歳・男性/通信業)

「自分の身の回りのことでいえば、『上場企業=優良企業』というイメージから、親や親族が安心するようになりました。仕事についてむやみに心配をかけることが減ったので、こちらも一安心です」(30歳・女性/IT業)

上場による最大のメリットは、会社の評判が上がり、広く知られるようになることと考えている人が多いようです。確かに、誰もが知っている会社は、取引先の相手にとっても、従業員の家族にとっても安心できますよね。

デメリット


「上場を目的にしてはダメだと感じます。会社としておめでたいことなので気分が浮かれがちになってしまいますが、上場を目的にしていると、上場達成後は売り上げ達成に追われてしまいます」(40歳・男性/通信業)

「上場後は会社の経営について株主からの監視の目がつくため、会社が株主の意見に翻弄されるようになることも。会社の経営方針や営業形態、人員配置なども変わりかねないので、社員が混乱したり、内部で反発が起こる可能性があります」(30歳・男性/金融業)

上場し、資金の提供を受けるようになった会社は、いわば株主たちに支えられているようなもの。定期的に開かれる「株主総会」で多数の株主の意見を聞く必要があったり、その意見を反映するために会社の方針を変えることもあるため、世の中には大企業でありながら、あえて上場しない企業も数多く存在するのだそうです。

上場で変わるもの・変わらないもの

実際に、自社の上場によって身の回りで変わったこと、変わらなかったことは何かを尋ねました。

変わるもの


1.社内規定

「勤怠管理やお金周りの管理が厳しくなりました。夜は早く帰らないと叱られますし、お金も使う理由がちゃんとしてないと経費で落ちなくなりました。社内規定は上場審査中から細かくなっていったように感じます」(28歳・男性/広告業)

証券会社による勤怠管理についての厳しい審査を通り抜けたのもつかの間、上場後は常に株主に経営状況をチェックされる状態に。健全な経営を保たなければならないため、社内規定が厳しくなるのは必然のようです。

2.周囲からの反応

「知人から『株買ったよ』『上場おめでとう』と声をかけてもらえたり、株主からTwitterを通してエールをもらえたり、自社を好意的に捉えてもらえるようになりましたね。上場についてもよく聞かれるようになって、会社としての価値が高まったことを感じます」(29歳・男性/IT業)

会社の評判が上がったことに対するお祝いの言葉や、応援の声は多いのだそう。それにしても、今や株主とSNSでつながる時代。上場企業の社員は、SNSで株主から直接上場の反響が届くのですね。

変わらないもの


1.給与

「給与の額でいえば正直変わりません。でも、ストックオプション(あらかじめ決められた価格で自社株を買える権利)を持っている人は変化が大きいと思います。株価が上昇した時点で自社株を売却すれば、得る利益も大きいので、そういう意味でもモチベーションを上げて頑張る人もいますね」(28歳・男性/金融業)

これまでの頑張りに応じたご褒美としての給与アップがあるのかと思いきや、意外にも社員の給与に変化はなし。上場がゴールではなく、あくまでも気を引き締めるべきスタートであることを感じさせます。

2.職場の雰囲気

「上場した瞬間はフロアでヤフーファイナンスの画面を開いている人がたくさんいましたが、その後の現場の雰囲気はさほど変わりません。ただ、役員は売り上げを作るのに必死という印象は受けます。資金を提供してくれる株主という存在は、ありがたくもあり、プレッシャーにもなるのだと思います」(32歳・女性/通信業)

上場をきっかけに会社としての見られ方は大きく変わっても、職場の雰囲気が大きく変わるということはなく、いつもと変わらずに業務が進んでいくのだそうです。

3.異性からのアプローチ

「合コンで『すごいね』とか、『おめでとう』という一時的なリアクションはもらえますが、それ以外は全く変わりません。非上場企業に勤めていてもモテる人はモテるし、『上場企業』という肩書きが加わったからといって、急激にモテ始めるということはありませんね」(31歳・男性/広告業)

「優良企業に勤めている」というステータスは、異性との出会いで有利に働くと思いがちですが、実際、急激な変化はないのだそう。損になることはなくても、あまり期待しすぎると肩すかしを食らうかもしれません。

まとめ


「上場=会社の一大事」と捉えると、職場や身の回りがガラッと変わってしまうような大げさな変化をイメージしてしまいがち。しかし、実際はそこまで派手な変化はなく、むしろ株主からの信頼や自社の価値を背負って、より健全な社内環境づくりを求められるのだそうです。皆さんも、いざというときの心構えとして、参考にしてみてはいかがでしょうか。


※この記事は2015/08/05にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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