完全リモートワークでも「報・連・相」を徹底するために設けたルールとは?【実態調査! みんなのリモートワーク #1】

リモートワークを導入する企業が急増しているものの、初めてのことに戸惑っている人も多いよう。他の人たちは、一体どうやっているのか。気になる“隣のリモートワーク”をのぞいてみよう!

今回は、フルリモートクリエイター組織・ダフトクラフト株式会社をのぞき見!

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「xR」と総称されるVRやARのコンテンツ開発を行うクリエイター集団、ダフトクラフト。
ユーザー体験を可視化するソリューション「Owl Vision」独自開発をはじめ、立体音響の空間で音に触れる体験が可能なVRアプリ、スタジアムでスポーツ観戦をしている臨場感をリアルタイムで味わえるARアプリの共同開発など、新たなテクノロジーの可能性を追求したモノづくりを行っています。

オフィスを持たず、創業当時からフルリモートワークを行っているという彼ら。
代表の花島さんに詳しいお話を聞いてみました。

リモートワークを始めて約2年。地方を拠点にするメンバーも

弊社は2018年6月に創業しましたが、当初から全社でリモートワークを導入しています。創業前にはオフィスも検討しましたが、自己資金で創業したため、固定費をなるべく下げてスモールスタートしたいという思いから、フルリモートワークを選択しました。

当時のメンバーは、僕と気心知れた元同僚たち。すでに信頼関係ができていたため、導入は比較的スムーズだったと思います。そうはいっても、リモートワークならではの課題は度々発生しますが、臨機応変にルールを変化させています。

まもなく2年になりますが、今ではさまざまな職種や働き方のメンバーが増え、東京と長野の2つの場所が生活の拠点となっているメンバー、複業するフリーランスのメンバーも。それでも大きな障壁はなく、業務を進めることができています。

基本的に自宅を主としていますが、それぞれの職務や働き方に合わせ、フレキシブルに対応できるように配慮しています。

現在は難しいですが、プロジェクトのキックオフ時には貸し会議室を借りて集まったり、気分転換に公園で青空ミーティングをしたりすることもありましたね。

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代表取締役 花島渉さん

リモートワークにこそ欠かせない「報・連・相(ほうれんそう)」

皆を信頼して仕事を任せているとはいえ、コミュニケーションせずにプロジェクトを進行することはできません。そのため、最低限のルールを設けています。

まず、週に一度、全メンバーが集まるオンラインミーティング。一週間の報告と次週の作業予定をクラウド上の報告書に記入の上、Google Hangouts Meetで会話をして補足しながら共有していく場です。
これ以外にも、開発チーム、ビジネスチーム、それぞれが週次でオンラインミーティングを行っています。

また日々の細かなやりとりにはSlackを使っていて、特にフルコミットのメンバーは営業日には最低1日1回、Slack上で「分報」を更新するようにも定めています。

※分報とは
Slackにおいて、個人の公開チャンネルを用意し、「今やっていること」「困っていること」「今の気持ち」など、普段考えていることを各メンバーが積極的にアウトプットするというもの。

他社に比べてコミュニケーション頻度が少ないだろうという自覚はありますが、縛りすぎないつながりが継続のカギを握っていると思っています。

それと併せて重要なのが、情報の透明化。
スケジュールはGoogleカレンダーで管理し、それぞれが必ず登録するよう促しています。そのほか、業務管理ツールとして現在Jiraも使っています。

いわゆる「報・連・相(ほうれんそう)」の徹底は、リモートワークでは最も重要なことです。クライアント対応業務のある場合は、営業時間内であれば、原則1時間以内に一次対応することなども取り決めしていますね。

ただし、相談のハードルはどうしても高くなりがちなので、折を見て適宜1on1をするよう心がけています。

リアルなコミュニケーションの重要性を再認識

グループウェアとしてGsuiteを使っているため、先述のように、社内のオンラインミーティングには現状Google Hangouts Meetを使用しています。当社はxR開発企業のため、VRを用いてミーティングしようという案もありますが、現状はビデオ通話でのミーティングを行っています。

とはいえ、カメラを苦手に感じているメンバーもいますし、「朝一でメイクが間に合いませんでした!」というメンバーが顔を出せないということもよくあり、音声だけでの参加も許可してはいます。人となりを理解していてこそ、という面はもちろんあると思いますが。

ただ、「家族が隣でリモートワークをしていて、カメラをオンにしにくい」という新たな事情も最近は出てきて、どんな企業においてもフレキシブルな対応が求められる局面かもしれませんね。

最近の状況による変化といえば、全社ミーティングに強制雑談タイムを設けるようになりました。ひとり暮らしのメンバーも多く、仕事以外の会話の機会も重要だと思うんです。

オンラインツールは「なにを使うか」より「どう使うか」

さまざまなオンラインワークツールを導入していますが、どれを使っていれば安心というものはないと思っています。使い方にルールを設けることも重要ですし、新たな情報をキャッチアップし、より良いものを取り入れていく必要があります。弊社でも、新しいものを見つけては試行錯誤しながら使っています。

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オンラインホワイトボード「miro」

最近、ダフトクラフト内でなくてはならない存在となりつつあるのが、オンラインホワイトボードのmiroです。

会議にホワイトボードというお約束をオンラインの会議でも用いることで、かなり捗るんです。話しながら同じボードに書き込んでいくことで、コミュニケーションが可視化されるのがいいですよね。

最近ではクライアントとの打ち合わせもオンラインに切り替わっていますが、こういったツールにより、円滑に進められている実感を得ていただけているようです。

リモートワーク時代、本当のスタートはこれから

この状況下、リモートワークを導入しなければならない企業が増えたことと思いますが、あくまでも「在宅勤務」という一部分がフォーカスされている状態ですよね。きちんと評価制度の整備とセットで考えるべき問題だと捉えています。

ダフトクラフトには2拠点生活や複業をしながら働くメンバーがいることが例に挙げられますが、リモートワークとは本来、働く場所や時間から解き放たれ、新たな可能性が生まれるものだとも思っています。

また、私たちはスモールスタートの手段としてフルリモートワークを選択したため、今回の事態にも苦労することはありませんでしたが、社会全体でリモートワーク化が進み、さまざまな課題が露見されるようになって、初めて気づかされていることも多いんです。

以前は会って話す機会を重んじる部分もありましたが、平穏が戻った後、直接会うことの意味はきっと変わるでしょう。その意味について深く考え、よりいっそう大事にしていきたいです。

リモートワークという仕組みには、まだまだ成長の余地があります。さらに磨き、育てていかなければならない、そんな使命感も感じますね
もちろん、リモートワークの話に限らず、今後も従来の組織体や慣習の悪しき部分はどんどんリプレイスし、クリエイターがのびやかに発想できる組織を作っていけたらと考えています。

<取材協力・写真提供>

ダフトクラフト株式会社

取材・文=まいにちdoda編集部
編集=末松早貴+TAPE

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