【中村貞裕の未来の授業Vol.1】最強ジェネラリストの生き方論 -ミーハーはスペシャリストに負けない才能?-

中村貞裕/1971年東京都生まれ。

【中村貞裕の未来の授業Vol.1】最強ジェネラリストの生き方論 -ミーハーはスペシャリストに負けない才能?-

中村貞裕/1971年東京都生まれ。

慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て、2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。カフェブームの立役者としてカフェ「Sign」をはじめ、アパレルブランドのカフェや「bills」などの運営を手掛けるほか、大阪の「堂島ホテル」、「the SOHO」などホテルやオフィス、商業施設のブランディングやプロデュースなど、その仕事は多岐に渡る。8月には「bills」のハワイ進出を控えている。

中村貞裕の未来の授業<時間割>


(1)最強ジェネラリストの生き方論 -ミーハーはスペシャリストに負けない才能?-
(2)ビジネスパーソンの会社活用術 -クビになる覚悟でできることをやってみる-
(3)中村式マーケティング術 -立ち読みから、流行の“最大公約数”を知る-
(4)中村式人たらし術 -恋愛から学ぶビジネス人脈の作り方-

毎回、さまざまなジャンルの次世代を担うエキスパートを講師に迎え、来るべき未来への基礎体力を養成する、20代のための授業。第2回目の講師は中村貞裕さんです。

ミーハーというコンプレックス


高校生だった僕は「いい大学」に入ることが目標(ゴール)で、それを達成することに全ての情熱を注いでいました。晴れて希望の慶應義塾大学に入学してからの大学生活は、人が集まる場づくりに興味があったので、パーティーの企画に明け暮れる日々…。就職活動するときまで「将来は何になりたいか」についてはまったく考えなかった。読者にもそういう人は少なくないのでは? 僕が伊勢丹を受けたのも「合コンが多い、キレイな社員がいっぱいいる」という先輩の売り文句に「楽しそうだな」と感じたのが正直な理由(笑)。一方で、そういうミーハーな自分をコンプレックスにすごく感じていたんですよ。



スペシャリストではなくジェネラリストに


ミーハーであった僕は、10代のころから流行に飛びつくのは誰よりも早かった。スケボー、ギター、テニス、DJ…。でもすぐに飽きてしまって、どれも長続きしなかった。20歳を過ぎた頃になると、当時一緒にやっていた周囲の友人は、それぞれのジャンルで一定の成果を出して活躍するスペシャリストになっていたんです。その事実を知ったとき、「中途半端でどれも投げ出したミーハーな自分には何もない」と、情けない気持ちを味わっていました。

でも改めて自分を見つめ直したときに「今、何が流行っているか」ということに関してはとても敏感で、周囲の友人からも“とりあえずいろんな流行や話題のことを知っている人”として、「今、何が面白いの?」「話題の○○って実際どうなの?」と、あれこれ聞かれる自分というのを発見したんです。

このときに、突出した100の才能を1つ持っているスペシャリストを「100(の才能)×1」とするならば、才能・技能は1しかなくとも、100個のコンテンツに興味を持ってかじっていれば、「1(の才能)×100」のジェネラリストになれるということに気づけたんです。超ミーハーな自分もジェネラリストとしての道を極めたら、スペシャリストの人とも対等に渡り合える可能性がある。そうであるならば、広く、浅く色々なことに興味を持って、あらゆるジャンルで知識を持った、ジェネラリストとして生きていこうと決心したんですよ。

カリスマバイヤー藤巻さんとの出会い


「ジェネラリストになる!」といっても伊勢丹に入社してからの最初の1年間は、華やかなイメージとは裏腹に店頭での品出しやストック管理に勤しむ地味な日々を送っていました。「辞めたいな」と考えていた頃、「解放区*」というプロジェクトをカリスマバイヤーの藤巻幸夫さんがやっているというのをTVで知りました。これに触発された僕はなんとか藤巻さんの下で働きたい! と考えて粘り強く必死にアプローチをしました。その甲斐あって、入社2年目から憧れの藤巻さんの下で働くことができるようになり、そこでミーハーな自分の能力を活かせる場を持たせてもらうチャンスをもらえたんです。

*解放区 … 若手デザイナーの作品を展示販売する編集売り場。本館一階の中央という一番良い場所で展開し、話題を集めた。



リーディングカンパニーに就職するメリット


就職活動をしていた当時は「なんとなくモテそうだから」という理由で、広告代理店やテレビ局などのマスコミ関連の企業を、そして他には、伊勢丹などの、その業界を牽引するような大手企業を受けていました。今になって思い返すと、その選択は間違っていなかったと思います。それはリーディングカンパニーに就職することで、自分がその「ブランド」を使って人に会うことができたから。

業界や会社の規模は違えど、有能なスペシャリスト達、仕事での「勝ち方」を知っている人たちに会うチャンスは、ブランド力のある会社ならではだと思います。僕は社内で藤巻さんというカリスマに出会い、社外で「伊勢丹」という看板を使ってパーティーを開催することで、様々な人脈を築くことができました。なので、とにかく一流企業を目指すというのは、多いにアリだと思いますね。

本日の授業のおさらい


1.広く浅くのミーハーを極めて、頼られるジェネラリストに!
2.尊敬できる先輩を見つけて、自分を売り込もう!
3.リーディングカンパニーで「勝ち方」を学ぶ!

※この記事は2013/05/29にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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