- 社会人こそ勉強が必要?
- 社会人の勉強時間はどのぐらい?その実態は?
- 社会人が勉強できない理由は?
- 社会人が勉強するメリットは?
- 社会人は何を勉強すれば良い?おすすめのジャンルを紹介
- 社会人におすすめの勉強法
- 社会人が勉強を続けるコツ
- 社会人の勉強はトレーニングと同じ
社会人が勉強するには、自主的に時間を作り、習慣化することが大切です。しかし、仕事やプライベートなど目先のことに追われ、取り組めないことも。
今回は、社会人が勉強する必要性や平均的な勉強時間をはじめ、実際に何をどのように勉強すれば良いのかについて、コミュニケーションに関する著書を執筆されている横山信弘さんに伺い、分かりやすく解説します。
社会人こそ勉強が必要?
勉強と聞くと、どうしても学生時代にするものというイメージを持ってしまう人が多いかと思います。しかし、勉強は社会人にとっても必要なものです。
勉強することで脳機能を鍛えられる
勉強すると、脳の認知力をはじめ、記憶力、思考力など、さまざまな力を総合的に鍛えることができます。これらの機能は、日々慣れ親しんだ仕事を繰り返していると、衰えてしまう可能性があるので注意が必要です。
例えば認知機能が低下すると、他人の言っていることや本の内容はもちろん、時代の変化までも正しく認知することが難しくなってしまいます。さらに、記憶力が低下すれば、物事をすぐに忘れてしまうかもしれません。
これらの機能を衰えさせないように脳の機能を鍛えるためにも、社会人にとって勉強は必要と言えるでしょう。
スキルの陳腐化や人生100年時代にも対応していく必要がある
昨今は、技術革新の速さによってスキルの陳腐化が叫ばれています。さらに、人生100年時代と言われている現在では、長期間のキャリアを築く必要もあるでしょう。
つまり、これからの時代に活躍していくためには新たにさまざまな知識やスキルを身につけることが求められるのです。勉強を通して、自己成長やキャリアアップを図り、時代の変化にも適応していくことが大切になります。
社会人の勉強時間はどのぐらい?その実態は?
では、実際に社会人はどれくらい勉強をしているのでしょうか。いくつかのデータを参考にしながらその実態を見ていきましょう。
社会人の勉強時間の平均は?
総務省の「令和3年社会生活基本調査」では、週全体の平均による1日の「学習・自己啓発・訓練」に充てた時間を発表しています。
調査によると、「学習・自己啓発・訓練」の時間について、日本人の平均は1日あたり13分で、有業者の平均は1日あたり7分という結果になっています。この時間から、社会人が勉強に充てる時間は多くなく、比較的確保しにくいことが分かります。
社会人が勉強するには、忙しい中でも自主的に勉強に充てる時間をつくることが必要と言えるでしょう。
社会人の学習意欲の実態は?
学習時間が多いとは言えない社会人ですが、「勉強したい」と考えている人もいるはずです。
転職サービス dodaでは、社会人15,000人に対し、社会人の自己研鑽とリスキリングについての意識調査をしました。
「ビジネスシーンで役立つ資格・スキルを身につけるために、自分磨きを行っていますか?」という質問について、20代で「現在行動している」と答えた人は31.4%。一方、「必要性は感じているが、行動はできていない」人は34.0%で、「特に必要性は感じていない/行動していない」人は20.9%でした。
また、30代では行動していると答えた人は28.8%で、必要性を感じているが行動に至っていない人は34.7%、必要性を感じておらず行動していない人は19.9%です。この結果を見ると、多くの人が勉強するための行動を起こせていないことが分かります。
さらに「自分磨きが必要な理由」に関する20〜30代の回答では、割合が高い順に「キャリアアップ・自己成長のため」、「仕事の幅を広げるため」、「転職を見据えて」となりました。
現在の課題を意識しつつ、長く続く社会人生活の中で、今後のキャリアについて考える人が多いようです。
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社会人が勉強できない理由は?
調査からも勉強できていない社会人が多いことが分かりましたが、その理由のひとつには必要性に迫られていないことが挙げられます。
20〜30代の社会人は仕事もプライベートも忙しく、目先のことに追われて余裕がないケースや、勉強をしなければならないと頭で思っていても何をしたら良いのか分からない人もいるかもしれません。
しかし勉強というのは、必要性を感じていれば本来自主的に行うものです。したがって、まだ勉強の必要性を感じていない社会人も一定数いるのが現状と言えるでしょう。
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社会人が勉強するメリットは?
社会人が勉強をすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なものを見ていきましょう。
思考力が高まる
勉強することで、知識や能力を身につけられます。自分の中で新しい視点や方法を見つけられるので、さまざまな思考をすることが可能になります。結果的に、思考力が高まるのです。
思考力が高まれば、日々の業務などで生じた課題に対しても柔軟な対応ができるようになるでしょう。
情緒が安定する
勉強すると、自分のできること、できないことを、客観的に把握できるようになるため、感情のコントロールもしやすくなります。それによって、業務でストレスを感じても、できなくて悩んだり、失敗して落ち込んだりといったネガティブな感情に影響されすぎず、落ち着いた対応ができるようになります。
また、勉強して自己成長を実感することで得られる達成感によって、自己肯定感も向上します。高い自己肯定感は、業務に対して前向きに取り組む姿勢にもつながるでしょう。
セカンドキャリアにつながる
勉強によって得た知識や能力は、自身のキャリアの幅を広げることにも寄与します。勉強を積み重ねて深まった知識や能力によって、自分の市場価値を高められるため、転職やキャリアチェンジの際に非常に有効となるのです。
さらに、自分の成長を実感することは、明確な自信の獲得につながります。セカンドキャリアに向けて積極的に挑戦する意欲も生まれてくるでしょう。
社会人は何を勉強すれば良い?おすすめのジャンルを紹介
業務やキャリアアップにも有効な勉強ですが、どのようなことを学ぶべきなのでしょうか。ここでは、さまざまな職種で日常の業務に活かせる思考術について、おすすめのジャンルを紹介します。
ロジカルシンキング(論理思考)
ロジカルシンキングとは、問題を解決するために要素を分解して整理する力のことで、筋道を立てて矛盾や破綻しないように考え、結論を出していく思考法です。論理的に考える癖がつくことは、物事を客観的に見る力や分析力の向上にもつながります。
さらに、問題について原因の解明から解決までの見通しを立てる力や、分かりやすい説明ができるようになることもロジカルシンキングのメリットです。
ビジネスでは、問題を解決するために仮説を立てて立案する力が重要となります。仮説は、スピーディーかつ効率的な意思決定を行うために必要です。ロジカルシンキングで仮説を立てることで、分かりやすく合理的な提案ができるようになるでしょう。
クリティカルシンキング(批判思考)
クリティカルシンキングとは、物事を客観的に分析し、正確な判断を行う力です。筋道を立てて結論を考えるロジカルシンキングとは異なり、クリティカルシンキングは、本当に筋道が通っているか、本質的な課題を検証します。他人や自分の考えをあえて一度疑うことで、本質を発見する思考法を指します。
クリティカルシンキングを身につけることは、情報の過不足や真偽に気づく力や課題分析の質を向上に役立ちます。ビジネスシーンでも、立てた仮説を検証する力が身につくため、場合によってはロジカルシンキングよりも重宝されるケースもあります。
多角的な視点で課題を捉えられることで意思決定の質を高め、リスク管理もできるようになるでしょう。
ラテラルシンキング(水平思考)
ラテラルシンキングとは、物事の角度を変えて、多角的に考察する考え方です。あいまいな要素があっても、直感的な要素や考えの幅を広げて結論を導き出します。固定概念や既存の考え方に囚われず、従来にないアプローチや発想の幅を広げる思考法と言えるでしょう。
ラテラルシンキングはイノベーションを起こすためには必要な思考力で、変化し続けるビジネスの世界においても欠かすことができません。特に革新的なソリューションや、新たなビジネスモデルなどを考えるためには必要な思考です。
ラテラルシンキングによって、課題に対する新たなアプローチや視点を見つけ出し、競争力のある戦略を展開できるはずです。
何から勉強すれば良いか分からない場合は?
勉強は学ぶ内容によってさまざまな知識や能力を向上させてくれます。しかしあまりにも漠然とし過ぎて、何から勉強すれば良いのか分からないという人も少なくないでしょう。
そのような場合は、「最新テクノロジーを生み出すような力ではなく、そのテクノロジーを使いこなせるスキル」を基準に考えてみましょう。
例えば、現在業務で活用しているソフトウェアやデータ解析のツールを使いこなすための勉強などが挙げられます。テクノロジーを使いこなす力を勉強すれば、多くのビジネスシーンで役立ち、活躍もできるでしょう。さらに、転職をする際にも即戦力として評価されます。
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社会人におすすめの勉強法
ここまで勉強することのメリットについて触れてきましたが、具体的にどういった方法で勉強すれば良いのか分からないという人も多いかと思います。社会人におすすめの勉強法を紹介しますので、勉強をする習慣を身につけていきましょう。
書籍を読む
読書は社会人における勉強の中でも、圧倒的にリーズナブルな方法です。オンライン学習やスクーリングなどの方法と比較すると、日程も気にすることなく、比較的安価に取り組むことができます。
加えていつでも始めやすく、好きな時間に自分が求める知識をインプットできるため、コスパの高い勉強方法とも言えるでしょう。
さらに書籍には、著者の研究や経験に基づいた情報がまとめられています。信憑性が高く、より正確な情報を得られるという点も読書のメリットです。
研修を受ける
研修は経験豊富な講師やトレーナーから専門知識やスキルを直接学ぶことができます。受講料などの費用がかかり、先述した読書よりもやや金銭面の負担はありますが、緊張感があり集中しやすいのが特徴です。
まずは、月2~3回の研修を取り入れてみましょう。さらに、研修を受講するだけでなく、より知識を深めるために書籍での勉強を組み合わせるのも効果的です。
資格試験の合格を目指す
さらに勉強の負荷を高めたい場合は、資格試験の受験に挑戦してみましょう。資格取得は、勉強の成果として目に見える形で専門知識やスキルの証明につながる上、キャリアアップにも有効に働く可能性があります。
合格に向けて目標を設定することで、勉強を計画的に進めやすくもなるので、継続して勉強に取り組むことができるのもメリットでしょう。
社会人が勉強を続けるコツ
社会人が継続して勉強するにはどういったことを意識すれば良いのでしょうか。手軽に取り入れられる、勉強を続けるコツを紹介します。
毎日やる
勉強を続けるには、とにかく継続する習慣を身につけることが大切です。毎日短い時間でも勉強するようにしましょう。週2回、月数回など、頻度を少なくしてしまうと、勉強を意識するタイミングが減り継続が難しくなります。
毎日短時間でも勉強して習慣化することで、勉強に取り組むハードルが下がり、継続につながります。さらに短時間の勉強は集中力を維持できるので、内容を効率的に吸収しやすい点もメリットです。
記録をつける
勉強時間や学習内容を日々記録することも、継続のコツです。記録は自分自身の成長を可視化する方法とも言えます。達成感を得ることで自信につながったり、モチベーションが上がったりするので、継続も可能になるのです。さらに記録は、勉強の理解度など自分の現状を把握する方法にも役立ちます。
SNSなどで定期的にアウトプットする
勉強は、インプットするだけでは精度が上がりません。定期的なアウトプットを併用することが大切です。アウトプットの方法として、SNSやブログを活用してみましょう。アウトプットすることで、自分の理解を整理し、不明瞭な部分を明確化できます。
さらに、SNSやブログは多くの人の目に留まります。誰かから見られる文章を書くことや、図を用いてまとめることで、構造的な理解の促進にもつながるでしょう。
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社会人の勉強はトレーニングと同じ
社会人の勉強は、ビジネススキルの向上をはじめ、将来のキャリアにも大きく関係します。そのためにも、まずは自分が勉強によって、どのような知識や能力を身につけていきたいのかを考えてみましょう。そして自分に合った勉強方法を見つけたら、毎日継続することを意識し、短時間でも取り組んで習慣化し、日々の成長につなげるのです。
脳は筋肉と同様で、トレーニングをして鍛えなければ、年齢と共に衰えが生じます。年齢を重ねても、脳への負荷に耐えられるよう、勉強の継続と習慣化に努めましょう。
監修:株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、コラム執筆、昨今ではYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いでいる。大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ち、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読。主な著書には「絶対達成」シリーズのほか、「『空気』で人を動かす」「キミが信頼されないのは話が『ズレてる』だけなんだ」等多数。
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