デキる社会人は演技を学ぶ!? 話題の「インプロ」が仕事に役立つ5つの理由

突然ですが、皆さん「インプロ」という言葉をご存知でしょうか?

デキる社会人は演技を学ぶ!? 話題の「インプロ」が仕事に役立つ5つの理由

突然ですが、皆さん「インプロ」という言葉をご存知でしょうか?

簡単に言えば、インプロビゼーション=即興劇のこと。今、このインプロを研修として導入する企業が増えるなど、話題になっています。 いったいなぜ、インプロがビジネスに有効なのでしょうか?

今回は、俳優育成のメソッドを用いてインプロトレーニングを行う、株式会社ASCEND FEATHER代表の別役慎司さんに、ビジネスの現場におけるインプロの有効性について伺いました。

そもそもインプロってなに?


インプロはもともと演劇の世界で即興劇を指す言葉だそう。演劇の世界では、俳優がアドリブを言ったり、台本にないことをその場で演じることがあるのだと別役さんは言います。
現在ではこのインプロ=即興劇が、ハーバードやMITなど、世界的なビジネススクールでも注目され、『ビジネスインプロ』として、ビジネスパーソンのトレーニングで使われているのです。

実際のインプロ研修の流れ


実際のインプロを用いた研修では、参加者同士が協力しながら、即興で劇を創り上げていきます。それが参加者たちに気付きをもたらし、表現力や即興力を身に付けることができるのだといいます。
たとえば「殻破りインプロトレーニング」というプログラムでは、プレゼンやキャッチセールスなど、ビジネスや日常で遭遇するさまざまなシチュエーションを想定して、受講者はペアを組んだり、グループとなって、5~8分の即興劇を行います。
なかなか言葉で説明してもイメージが湧かないかもしれないので、下の動画を見てください。殻破りインプロトレーニングのイメージがつかめるはずです(即興劇は動画の1:00から)。


(「殻破りインプロトレーニング あなたが見たことも体験したこともない即興力&表現力育成講座」YouTubeより)

インプロがビジネスに役立つ5つの理由


なんだか楽しそうなインプロ。しかし、実際に世界的なビジネススクールで注目されるからには、ビジネスパーソンにとって非常に役立つことがあるはずです。
インプロのトレーニングは、どのようないいことがあるのでしょうか?

1.思考力が柔軟に!


まずは思考を柔らかくすることに役立つそうです。突然クリエイティブな発想が求められる仕事を任され困っている方などには、有効かもしれません。

「目に見える数値や理論にとらわれ、論理的な発想に縛られているビジネスパーソンの思考力を柔軟にし、『想定外』に強くなることができます。それにより、相手と感情に基づく、温かみのあるコミュニケーションを構築することができるようになります」(別役さん)

2.総合的な人間力が育つ


次に、コミュニケーション能力などを含めた人間力を育てることができるそう。他人とのコミュニケーションが苦手、という人に役立ちそうですね。

「俳優は大勢の人の前で、言葉を喋り、ジェスチャーを使い、感情をあらわにし、相手役とコミュニケーションを取り、緊張に負けず堂々と振る舞わなければいけません。そんな俳優教育の一環として生まれたインプロを通して、コミュニケーション能力や自発性、集中力などの総合的な人間力を伸ばすことができるでしょう」(別役さん)

3.本番に強くなる


本番に弱く、緊張して自分を出せないビジネスパーソンにとって、何も準備をせず、その場を臨機応変に切り抜けるインプロは、本番に強くなる最高のトレーニングだと別役さんは言います。

「トレーニングを続けていくと、緊張に負けることがなくなり、自信を持ってプレゼンや商談ができるようになります。また、表面的なテクニックではなく、素の自分を出すようになるので、個性も出て、クリエイティブなアイデアを出すことにもつながります」(別役さん)

4.「今」に注力する力を培う


インプロは「今」に集中する力を高めることにも一役買います。

「インプロは、頭と体を総動員するので、今という瞬間にエネルギーを向け、楽しい体験を通して成長できます。まさに子どものときに、遊びを通して行っていたことです。インプロは既存の多くの研修と異なり、知識を蓄えるものではありません。しかし、大人になって忘れてしまいがちな、人間的なものを思い出させてくれるでしょう」(別役さん)

5.より多くの気付きへつながる


そのほかにも、知識ではなく、体験を通してビジネス上の重要な気付きをたくさん発見できるようになるのがインプロ。

「例えば、トレーニングの中に『Oh,Balls!』というビジネスゲームがあります。このゲームは、お互いにアイコンタクトを取りながらボールをパスするというもの。6~8人程度で円になって、ボールをパスし合います。そして誰かがボールを落としたら、その瞬間ボールを指さし、あらかじめボールに付けた名前を叫ぶ。ボール1個であれば簡単ですが、2個、3個と増やしていくと、集中力が必要になり、落とさないでパスし合うために目配り、気配りが必要になります。『仕事をする上で、お互いにカバーし合うことは大切。そのためには目配り、気配りが必要だ』ということも、言葉上で理解するのではなく、実際に体験しながら落とし込めるようになるのです」(別役さん)

個人で始めたいなら、一般開講のクラスも


企業の研修として導入が進んでいるインプロトレーニングですが、個人で学びたいと思っている人も多いはず。その場合、どのように学ぶのがいいのでしょうか。

「一人でゼロから学ぶことは難しいと思いますが、トレーニングを受けたいと考える方のために一般開講のクラスがあるので、そちらを受けるのがおすすめです。ある程度ノウハウを知ってしまえば、自分でグループをつくり、仲間と練習することもできるでしょう」(別役さん)

このように、インプロトレーニングで得られるものは、ビジネスパーソンとして確実に培っておきたいスキルばかり。個性や自らの考え方を持ちながらも、いまいち仕事に発揮できていない……そんな悩みを抱える方は、インプロを通して、楽しみながら成長を遂げてみてはいかがでしょうか。

識者プロフィール


別役慎司(べっちゃく・しんじ)/ 株式会社ASCEND FEATHER代表取締役。劇作家・演出家・俳優トレーナー・研修講師。世界のメソッドを使って、優れた俳優を育成するアクティングスクールを経営する一方で、ビジネス教育への応用化を推進し、インプロ(即興)トレーニングや、俳優流スピーチ&プレゼン術、劇作家流ストーリーテリング、プロの俳優によるロールプレイヤー派遣などを行う。著書『誰でも人前で台本なしに10分間話せるようになる本』(CCCメディアハウス)はアマゾンで総合1位も獲得。

※この記事は2015/02/18にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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