アイデアをとことん鍛えるブートキャンプ! 「Yコンビネーター」の正体とは?

国内外で次々と活躍を見せているスタートアップ企業。新たなビジネスモデルとアイデアをもとに起業をするには、一体どんな努力が必要となるのでしょうか?

アイデアをとことん鍛えるブートキャンプ! 「Yコンビネーター」の正体とは?

国内外で次々と活躍を見せているスタートアップ企業。新たなビジネスモデルとアイデアをもとに起業をするには、一体どんな努力が必要となるのでしょうか?

そんな若き起業家たちを超強力バックアップする「Yコンビネーター」という団体が、アメリカに存在します。あの有名なDropboxや、世界中を席巻しているAirbnbを輩出してきたシリコンバレーのスタートアップ企業の養成スクールとして、いま注目を集めています。悩める起業家たちを成功へと導いてきた、その独自プログラムとはどんなものなのでしょうか?

Yコンビネーターがシリコンバレーで人気の理由とは?


Yコンビネーターの実態は、投資団体とも養成スクールともいわれています。それはスタートアップ企業に対して投資を行う一方で、ブートキャンプとして起業家たちにビジネスノウハウを徹底的に叩き込んでいくことが理由でしょう。金銭を出してただ陰から支援するわけではなく、実践的に彼らのビジネスを鍛え上げていくのが特徴です。

しかし、プログラムの詳細はオフレコとなっており、そのメソッドを得るために応募者は絶えません。当初はアイデアのみ持ち込みをする応募者が多かったようですが、現在ではすでに毎月一定の売上を得ているにもかかわらず、参加応募をする起業家もいるそうです。

どうすればYコンビネーターに入れる?


Yコンビネーターへの参加方法は、年に2回行われる公式サイトからの応募のみです。この方法以外での募集は一切受け付けていないそう。また、選考通過のハードルは非常に高く、その合格率は1?3%といわれています。

書類審査をパスすると面接に進みますが、面接時間はたった5?10分。面接ではまず「人を見る」のだといいます。

面接での判断基準について、Yコンビネーターを経験したGinzamarketsのCEO、Ray Grieselhuber(レイ・グリセルフーバー)氏は、諦めずにビジネスを続ける「粘り強さ」、ビジネスの内容を1行で具体的に説明できる「簡潔さ」、そして面接で矢継ぎ早に投げかけられる質問に自分なりのアイデアを出して対応できる「柔軟さ」を挙げています。

いずれも一般的な企業の採用面接でも重要視されるポイントばかりですが、この内容をたった数分でアピールし、相手に判断をさせる必要があります。Ray氏は、受け答えにはインパクトが必要で、実際に見せられるデモがないとたぶん受からないだろうとも言っています。やはり一筋縄ではいかないようです。

プレッシャー続きの、徹底されたプログラム


面接を通過し、晴れてYコンビネーターのプログラムに参加することになると、起業家たちはその間、シリコンバレーに引っ越す必要があります。

それは、3カ月にわたるプログラムの期間中、毎週Yコンビネーターへ出向き、スタッフとミーティングを行う必要があるためです。

ミーティングは週に2?3日、好きなときに好きなだけ議論するというものだそうですが、あまり気楽な内容ではないようです。例えば構想だけで応募してきた参加者は、そのアイデアを良いものにするために、最初の1カ月で内容をとことん詰めていきます。

また、すでに製品や売上がある応募者ならば、その先のマーケットをどうやって広げるかといった話を詰めていきます。ここでも面接と同様に、実現に向けて常にスピード感が求められます。また「こうするべきだ」というアドバイスを受けられるものではなく、アイデアや製品の良しあしについて徹底的に言及されるといいます。

もうひとつ毎週開催されるのが、他の参加者たちが一堂に会するディナー。ここでは自分がやっていることを説明して、互いにフィードバックを行い、来週までにはここまでやると宣言。そして翌週にレビューし合う…ということを繰り返します。ディナーとはいえ、ライバルたちと切磋琢磨する時間なのです。

他にも、成功した起業家がやってきて、自分たちの体験をスピーチするという機会も設けられているそう。

このようにYコンビネーター参加期間は、自身のビジネスをいかにブラッシュアップしていくか、という試行錯誤に毎日ひたすら専念するのです。

いざ卒業! その後の進路は人それぞれ


こうして参加者たちの製品は、プログラムの終盤にはかなりブラッシュアップされます。そして実現のためには新たな投資先を見つける必要があります。そこでプログラムの最後に用意されているのが「Demo Day」と呼ばれるイベント。ここでは有名な投資家やメディアに対して、今までの成果をプレゼンすることができます。なんとYコンビネーターを卒業した90%近くの企業が、この「Demo Day」で次の投資家から資金を得ているのだとか。最後まで一ミリも気が抜けませんね。

仮に資金を調達できなかった場合でも、引き続き仕事の合間を縫って自身の事業を進めたり、Yコンビネーターで知り合った同期のビジネスに参画したり、自分のスタートアップを諦めてグーグルなどの大企業に就職するなど、卒業後のケースは人それぞれです。

いずれにしてもこの濃密な3カ月間で培った成果は、決して無駄にはならないでしょう。

まとめ


遠い世界のことのように思えますが、Yコンビネーターが伝えているのは、資金や設備が足りなくてもアイデアさえあれば誰でも成功者になり得るということ。そして現代の起業家たちは、お金よりも、アイデアを実現するための具体的なアドバイスを求めているということです。

ちなみに、Yコンビネーターは日本からでも応募が可能です。記事中のRay氏も、実は日本在住時に応募を果たし、そして受かっています。(もし受かった場合はシリコンバレーに引っ越す必要がありますが…)

DropboxやAirbnbに並ぶ、世界を巻き込むほどのサービスアイデアを持っている!という人は、一度チャレンジする価値はあるかも…!?


※この記事は2016/09/02にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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